シンポジウムは日本語で「公開討論」や「研究発表会」といった意味があります。
ただし、シンポジウムは公共団体や学術研究会だけが開催するものではありません。企業や何らかのコミュニティでも開催するケースがあります。
今回の記事では「セミナーやシンポジウムを主催してみたい」「シンポジウムとフォーラムは何が違うの?」といった疑問に答えます。
シンポジウムとフォーラムやセミナーの違いについて詳しく説明します。くわえて「会場のシンポジウム」「オンラインシンポジウム」のやり方や注意点、ポイントも解説します。
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目次
シンポジウムの意味と定義とは
シンポジウムは日本語で「公開討論会」「研究発表会」の意味がある言葉です。シンポジウムでは1つの決められたテーマを議論します。関係者の他に第三者となる聴衆を招いて公開討論するのがシンポジウムの特徴です。シンポジウムは「基調講演」「質疑応答」の流れで進められます。
基調講演とは参加した登壇者が、決められたテーマに関する研究結果や考えを発表します。質疑応答では登壇者だけでなく、聴衆も質問できます。シンポジウムの語源はギリシャ語で「シュンポシオン(Symposion)」で、英語では「Symposium」と書きます。
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シンポジウムと他のイベントの違い
シンポジウムにはさまざまな類語があります。「フォーラム」「パネルディスカッション」「座談会」「講演会」「セミナー」などです。これらの類語とシンポジウムの違いを知ることで、シンポジウムのイメージがつかめます。シンポジウムと他のイベントの違いについて紹介します。
フォーラム
シンポジウムと同様に「公開討論」と訳されるのがフォーラムです。フォーラムの語源は公共広場を意味するラテン語「フォルム(Forum)」とされています。フォーラムは現在では、集団での討論を行うことや討論の場を指す言葉として用いられます。フォーラムは正確には場を指す言葉です。
集団の公開討論自体は「フォーラムディスカッション」と呼びます。フォーラムは1つのテーマに対して結論を出すことを目的として開催されることが多いです。シンポジウムが「意見交換の場」としての意味合いが強いのに対して、フォーラムは結論を求める意味合いが強いです。
パネルディスカッション
パネルディスカッションも集団討論を指す言葉です。パネルディスカッションは1990年頃から用いられるようになった言葉です。異なる立場や見解を持つパネラーがそれぞれの意見を発表した後、進行役の質問を通して議論します。
シンポジウムが聴衆からの質疑応答があるのに対し、パネルディスカッションでは進行役を通じてパネラー同士の議論が行われます。シンポジウムでも登壇者による講演の後、パルディスカッションを取り入れるケースがあります。
座談会
1つのテーマを複数人で論じ合う形式として座談会があります。シンポジウムやフォーラムはある程度大きな規模で行われますが、座談会はもう少し小規模で気楽な話し合いといったニュアンスです。参加者はそれぞれの意見や感想を、形式にとらわれず話し合う目的で開催されます。
講演会・セミナー
1つのテーマに対して話者が、知見や研究結果を聴衆に向けて講演するのが講演会です。聴衆との間に質疑応答が行われるケースもありますが、講演会において質疑応答は必須ではありません。セミナーも講演会とほぼ同様ですが、参加者が能動的に学ぶ場としてのニュアンスが強くなります。
セミナーは講演会より少人数を対象として行われるのが一般的です。セミナーも講演会も1人の話者が聴衆に対して話す形式です。
カンファレンス
カンファレンスは日本語で「会議」「協議会」を指します。特定の組織に属する当事者だけが参加でき、第三者の聴衆はいません。重要なテーマを議論するときに開催されることが多いです。カンファレンスの類語であるミーティングは、カンファレンスより少人数の会合を指します。
ディベート
ディベートは肯定派と否定派に分かれ、提示された主題を討論することです。課題に対する是非を明確にしたいときにディベートは用いられます。ディベートでは論理性や説得力、わかりやすさなどが求められます。議論のトレーニングとして行われるケースが多いです。
ワークショップ
ワークショップは参加者同士の意見交換を目的に開催される研究集会です。シンポジウムでは登壇者の発表が主体ですが、ワークショップの主体は参加者です。参加者が少人数なら、各自が発言した後で参加者同士の討論に進みます。最終的には進行役が意見をまとめ、結論を明確にするのが一般的です。
レクチャー
レクチャーは参加者が学ぶことを目的として開催される会合です。開催目的はセミナーと同じですが、レクチャーでは質疑応答の時間を長く設けていることが特徴です。レクチャーは討論会に近いスタイルで会合が進行していきます。
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シンポジウムのやり方
シンポジウムの開催には多くの準備が必要です。「企画や立案」「会場や登壇者の選定」「集客や問い合わせ対応」「資料や機材の準備」など、やることが数多くあります。どのように準備すればシンポジウムがスムーズに開催できるのか、ポイントをわかりやすくまとめました。
シンポジウムの企画
シンポジウムでもっとも大切なのが企画です。企画を考えるポイントは「開催目的」「内容」「価格」「開催日時」「タイトル」「定員」の5つです。開催目的ではどのよう層をターゲットに何を広めたいのか絞り込みましょう。たとえば、環境問題のシンポジウムなら「温暖化に興味のある層と問題を共有する」を開催目的として設定します。
価格は有料にするか、無料にするか選びましょう。無料なら多くの聴衆が見込めますが、シンポジウムの開催費用がペイできません。有名な登壇者がいるなら有料で集客が見込めます。その他に、開催日時やシンポジウムのタイトル、定員を企画しましょう。
会場選定
企画が固まったらシンポジウムの規模に見合った会場を選定しましょう。シンポジウム当日の運営に支障を来さないためにも、施設の下見はしっかりと行いましょう。シンポジウムの後に懇親会を開催するなら、懇親会の会場も押さえておいてください。
会場の選定のポイントは「駅からの距離」「場所のわかりやすさ」「会場の費用」「収容できる定員」です。
登壇者の選定・依頼
登壇者の選定や依頼を行いましょう。登壇者の候補が有名な場合、スケジュールの調整が合わないことがあります。ネームバリューの大きな登壇者には早めに依頼を出しましょう。依頼が断られるケースも考えて、候補は多めに選出しておきましょう。
集客・お問い合わせ対応
お問い合わせ窓口や申し込みページを準備しましょう。さらに、事後のフォローアップのシステムをこの段階で準備しておいてください。開催日の1ヶ月前を目安にシンポジウムの告知を開始しましょう。告知にはWebサイトの制作やリスティング広告、SNSなどをフルに活用することが求められます。
告知後は忙しくなることが予想されます。申し込みフローやフォローアップメールは事前にシステム化しておくとよいでしょう。
資料や機材の準備
シンポジウム当日にスタッフが慌てずに動けるよう、運営マニュアルを用意しておきましょう。登壇者と事前に資料やプレゼンを共有することも忘れてはいけません。備品は施設にあるものと、自前で用意しなければならないものをはっきりさせてください。チェックリストを作成して忘れないようにするのがポイントです。
当日運営
シンポジウム当日は事前にリハーサルを行い、機材のチェックをしましょう。リハーサルを行っておけばスムーズに運営できます。運営に手がいっぱいになりがちですが、できるだけ参加者とも接点を持っておきましょう。
フォローアップ
シンポジウムはあくまで通過点です。参加者と継続的な接点を持つことが重要です。事前に用意しておいたフォローアップメールの送信、参加者への次回のアプローチなどを通じて問題意識を共有しましょう。
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シンポジウム主催者挨拶のポイント
シンポジウムを主催するなら、主催者としての挨拶のポイントを押さえておきましょう。
シンポジウム主催者挨拶の目的
シンポジウムの主催者挨拶で伝えるべきことは3つあります。1つめはシンポジウムのテーマや、なぜそのテーマでシンポジウムを開催することになったのかの説明です。2つめは登壇者の名前や略歴の紹介、3つめは来場者への感謝の言葉です。登壇者が複数の場合はそれぞれ、登壇順に名前と略歴、講演の内容を紹介しましょう。
閉会の挨拶で感謝の意を伝えよう
開会の挨拶だけでなく、閉会の挨拶も主催者が行います。閉会の挨拶では登壇者と来場者への感謝の気持ちを述べるとともに、シンポジウムの今後の展望についても述べるとよいでしょう。もし次回のシンポジウムが決定しているなら、その日時や開催場所も伝えましょう。
シンポジウムに参加する服装は?
シンポジウムにどのような服装で参加すればいいのか、初めての場合は悩むことも多いはず。シンポジウムに明確な服装のルールはありませんが、男女ともにスーツがもっとも無難です。どのような服装で参加すればいいのか詳しく解説します。
ドレスコードは守ろう
シンポジウムには明確な服装のルールがありません。それは、シンポジウムがさまざまな目的で開催されるからです。スーツを着ている人やオフィシャルカジュアルな人、カジュアルライクな人などさまざまな人がいます。
シンポジウムではドレスコードが存在する場合もあります。業界の専門家が集まるタイプのシンポジウムではスーツがもっとも無難でしょう。公的なシンポジウムや政治的なシンポジウムは、スーツで参加するのが暗黙の了解となっています。
男性はスーツが無難
男性がシンポジウムに参加する場合、もっとも無難でベーシックなのはスーツです。スーツの色やデザインに決まりはありません。クールビズを推奨しているシンポジウムなら、夏場はノーネクタイ・ノージャケットでもよいでしょう。TPOに合わせてスーツを選択しましょう。
女性はスーツかきれいめスタイル
明らかにフランクな雰囲気のシンポジウムでない限り、女性も基本的にはオフィシャルカジュアル程度に留めておくことがおすすめです。露出が高いものはだらしなく見えますので避けましょう。きれいめのコーディネイトで決めれば問題ありません。スーツの場合はスカート、パンツのどちらでもよいでしょう。
インナーが白シャツである必要はありませんので、きれいめのブラウスやトップスを選びましょう。夏場はジャケットなしでも大丈夫ですが、透ける素材や色には注意しましょう。
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オンラインシンポジウムとは
オンラインシンポジウムとは特定の会場を用意せず、Zoomなどのオンラインツールを使用してシンポジウムを開催する方法です。Zoomにはウェビナー機能があり、オンライン会議を100名から1万名に配信する機能です。こういったオンラインツールの機能を使用して開催するのがオンラインシンポジウムです。
オンラインシンポジウムは会議より放送に近いイメージです。プログラムや中身をしっかりと作り込んで、スムーズに進行することが求められます。オンラインシンポジウムを開催するためのツールはZoomの他に、Jストリーム、Cisco Webex Eventsなどがあります。
オンラインシンポジウムのメリット
オンラインシンポジウムのメリットは3つあります。「準備の手間やコストを軽減」「インターネット上で幅広く情報を届けられる」「参加者の声をリアルタイムで拾うことができる」です。くわえて、コロナ禍でリモートワークが推奨されている情勢下では、シンポジウムを開催しようと思うとオンラインに限定されます。
オンラインシンポジウムのメリットについて紹介します。
準備の手間やコストを軽減
通常のシンポジウムでは会場の手配や告知に大きな手間とコストがかかります。登壇者も聴衆も会場まで足を運ぶ必要があります。しかし、オンラインシンポジウムなら登壇者も聴衆も自宅から参加できます。主催者だけでなく参加者の手間やコストもオンラインシンポジウムなら軽減できます。
運営側に生じるコストも大幅に減らせます。会場の手配や下見、会場の費用がオンラインシンポジウムでは不要です。
インターネット上で幅広く情報を届けられる
オンラインのシンポジウムなら地域に関係なく情報を届けられます。会場で開催されるシンポジウムでは、参加できるのは会場に足を運べる人だけでした。しかし、オンラインシンポジウムなら自宅や会社、好きな場所から参加できます。より多くの人へ情報を届けたいならオンラインシンポジウムは有力な選択肢です。
参加者の声をリアルタイムで拾うことができる
オンラインシンポジウムなら参加者の声をリアルタイムで拾えます。大勢の前で質問するのは参加者にとって高いハードルです。オンラインシンポジウムならチャットで意見や感想、質問を投稿できます。参加者の声をリアルタイムで運営側に届けられます。より多くの参加者が抱いている疑問に運営側や登壇者が答えることが可能です。
くわえて、アンケート機能を利用してシンポジウムに対しての感想や意見を集められます。
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オンラインシンポジウムのやり方
オンラインシンポジウムのやり方のポイントについて解説します。
シンポジウムの目的やターゲットを設定
会場のシンポジウムと同様に、オンラインシンポジウムでも企画段階がとても重要です。会場の場合と異なるのは、ターゲット層へのアプローチ方法です。オンラインシンポジウムでは場所の制約がありません。遠方から参加できるため、地域によってターゲットを限定されません。
配信方法を決定
次に配信方法を決定します。配信方法にはオンデマンド配信とライブ配信があります。オンデマンド配信は、事前に準備したものを決められた時間に配信する方法です。ライブ配信はリアルタイムで配信します。シンポジウムの性格的にオンデマンド配信は向いていません。しかし、セミナーや講演会の場合はオンデマンド配信も選択肢の1つです。
ライブ配信はチャット機能でコミュニケーションを取ったり、質疑応答したりできます。ライブ配信はリアルタイムで配信するため、運営や時間配分をスムーズに行う必要があります。
配信システムの選定
配信システムにはいくつもの選択肢があります。もっとも有名なのはZoomですが、V-CUBEやCocrip、Gigacastなども選択肢に入ります。自社配信に不安があるなら動画撮影代行を利用することを検討しましょう。
登壇者や資料を準備
オンラインシンポジウムの場合、目の前にはカメラがあるだけで聴衆はいません。登壇者にはリハーサルで、聴衆のいない状況に慣れておいてもらいましょう。会場シンポジウムと異なり、資料は配信画面上で切り替える必要があります。スムーズに配信するためにも、事前に情報を共有しておきましょう。
集客
集客については会場のシンポジウムと同様です。問い合わせ窓口や申し込みページの、事後のフォローアップシステムの準備をしておきましょう。開催1ヶ月までを目安に告知を開始します。Webサイトの設置やリスティング広告、SNSなどをフル活用してターゲットに情報を届けてください。
機材の準備・配信テスト
オンラインシンポジウムは映像や音声に細心の注意を払いましょう。事前に「映像は見やすいか」「画面は暗くないか」「パワーポイントと映像の切り替えはスムーズか」「音声は聞き取りやすいか」をくまなくチェックしましょう。
配信
配信日が近づいたらリマインドメールで参加者に開始日を念押ししましょう。オンラインシンポジウムは自宅で参加できる分、気軽にキャンセルされがちです。
フォローアップ
参加者へのお礼メールや参加できなかった人へのフォローアップを行いましょう。シンポジウムへの参加をキャンセルした人は、後ろ暗さからリピートしない傾向にあります。フォローアップしておくことで次回に参加してくれる可能性が高まります。
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オンラインシンポジウムのデメリット・注意点
オンラインシンポジウムの注意点やポイントについて解説します。特に、安定した配信環境はオンラインシンポジウムで必須です。いろいろな配信ツールがリリースされていますので、機能や配信人数をチェックして目的に合ったツールを検討しましょう。
安定した配信環境
オンラインシンポジウムでは、参加者がストレスなく最後まで視聴できる環境を整えることが求められます。オンラインシンポジウムを行うなら「インターネット環境」「カメラ」「マイク」「マイクスピーカー」「パソコン」が必要不可欠です。くわえて、長時間にわたって動画を配信するため、予備の機材も準備しておきましょう。
オンラインシンポジウムを配信するツールは「最大配信拠点数」「チャット機能」「アンケート機能」に着目して検討しましょう。
参加者の反応を確認
会場で行うシンポジウムは聴衆の反応によって話す内容を変えられます。しかし、オンラインシンポジウムでは目の前に参加者がおらず、淡々と話してしまいがちです。こうしたケースを避けるために、ライブ配信ではチャット機能やアンケート機能を活用しましょう。参加者の理解度や疑問点をチャットなどから把握してください。
アフターフォローを忘れずに
場所に制約されず自宅からも参加できるなどいろいろなメリットのあるオンラインシンポジウムですが、会場のシンポジウムのように名刺交換や対面での会話ができません。そのため、以下のようなアフターフォローをおすすめします。
- オンラインセミナー参加者にお礼メールを送る
- チャット機能でコミュニケーションを図る
- アンケート機能を活用して感想や意見を聞く
まとめ シンポジウムをビジネスに活用しよう
シンポジウムは日本語で「公開討論」「研究発表会」を意味します。複数の登壇者が1つの決められたテーマについて話したり議論したりした後、聴衆による質疑応答が行われるのが一般的です。類語として「フォーラム」「講演会」「パネルディスカッション」「座談会」などがあります。
コロナ禍の影響もあり昨今はオンラインシンポジウムが広く開催されています。会場のシンポジウムは場所に制約されますが、オンラインシンポジウムならどこからでも参加できます。会場でもオンラインでも、シンポジウムには丹念な企画と入念なリハーサルが求められます。
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