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人気マンガに学ぶ!3つの「マネジメントの極意」

人気マンガに学ぶ!3つの「マネジメントの極意」

マネージャーが学ぶべき本は、経営学やマネジメントを論じる分厚い本だけではありません。絵とセリフで分かりやすく登場人物の生き様を描いたマンガからも十分学ぶことができます。ここでは『キングダム』『スラムダンク』『サプリ』という3つの人気マンガの内容をひもときながら、そこから学ぶことができる3つのマネジメントの極意を解説します。

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『キングダム』のマネジメントに学ぶ「マネージャーとしてのあり方」

 

「天下の大将軍」王騎のリーダー論

2006年から連載が始まり、2018年現在も『週刊ヤングジャンプ』で圧倒的な人気を誇る原泰久さんの伝奇作品『キングダム』。中国の春秋戦国時代を舞台に、始皇帝が生まれるまでの歴史を、天下の大将軍を目指す主人公「信(しん)」の視点から描いた作品です。非常に魅力的なキャラクターが多く、特に大軍を率いる将軍たちには学ぶべきところが多々あります。今回紹介するのは、主人公・信が仕えた秦の六代将軍の一人、王騎(おうき)将軍のリーダー論です。

武将とはやっかいなものなのですよ。十三の頃より数えきれぬほどの戦場を駆け回り、数万の戦友(とも)を失い、数十万の敵を葬ってきました。命の火と共に消えた彼らの思いが、全てこの双肩に重く宿っているのですよ。

引用:『キングダム』第16巻p57〜58(句読点は筆者によるもの)

このセリフは王騎が因縁の敵「龐煖(ほうけん)」との戦いの中で言い放ったものです。龐煖は武を極めた「武神」と呼ばれる男ですが、本来実力では劣るはずの王騎は打ち負けるどころか龐煖を圧倒します。「なぜこの男はこんなにも強いのか」と嘆く龐煖に対し、王騎は「背負っているものが違うのだ」と答えを示したのです。そして「山で一人こもっているあなたには理解できないことでしょうねェ」と言います。

将軍とは百将や千人将らと同じく、役職・階級の名称にすぎません。しかしそこにたどりつける人間はほんの一握り。数多の死地を越え、数多の功を挙げた者だけが達せる場所です。結果、将軍が手にするのは千万の人間の命を束ね戦う責任と、絶大な栄誉。故にその存在は重く、故にまばゆい程に光輝く。

引用:『キングダム』第16巻p145(同上)

こちらも同じく龐煖に対する王騎のセリフです。トップはすさまじく重い責任をしっかりと背負っているからこそ、権限と栄誉が与えられる。だからこそ「武神」にも打ち勝てるような力がわくのです。自らの強さのみを追求し続ける龐煖に、王騎は「天下の大将軍」としての器を見せつけます。

マネージャーはチームの全責任を負う存在

王騎の語るリーダー論は、現代のマネージャーにも当てはまります。チームがプロジェクトに携わるとき、チームの上に立つ人間はそのプロジェクトに関係するすべての人間の思いや時間、労力、コストを背負う責任があります。仮にチームのメンバーのミスでプロジェクトそのものが失敗に終わったとしても、それはミスを防げなかったマネージャーの責任です。

責任転嫁をしてはならない。全ての責任は己の中にある。その様に覚悟を決めるだけで物事は前進する。

孫正義

参照:http://blog.livedoor.jp/namuraya/archives/52080599.html

ソフトバンクグループの創業者、孫正義さんも「全ての責任はトップにある」と言い切っています。全責任を背負うからこそマネージャーは、チームの方針を決定し、部下を従わせる権限を持つのです。

逆に言えばこうした覚悟を持っていないマネージャーは、本来こうした権限を持つことはできません。実際、責任逃れに終始しているマネージャーは、部下からも信用されなくなり、指示にも従ってもらえません。そうなれば結果的にマネージャーとしての成果を挙げられなくなり、自分の損失につながります。

マネージャーとして成果を挙げたいのであれば、王騎のようにチームの全責任を背負う覚悟を決め、責任を果たすために目的を達成しようとする姿勢が必要なのです。

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『スラムダンク』のマネジメントに学ぶ「部下の目標設定」

安西先生の目標設定術

『スラムダンク』は『週刊少年ジャンプ』で1990〜1996年にかけて連載されていたマンガです。スポーツドクター辻秀一さんの『スラムダンク勝利学』や、著述家遠越段さんの『スラムダンク論語』など、マンガをチームメイキングや人生に置き換えた啓発書も数多く出ています。今回紹介するのは、主人公でバスケットボール初心者の桜木花道が所属する、湘北高校の監督安西先生に学ぶ、部下への適切な目標設定方法です。

彼(桜木)は本当にのみこみが早い…驚くほど…。この10日−−−彼には中途半端にチーム練習をやらせるより、徹底した個人練習を積ませる方がいいでしょう。彼の成長はチームに確かなプラスとなるはずです。

引用:『スラムダンク』第22巻p113〜114(句読点、括弧は筆者によるもの)

これは全国大会を10日前に控えたチームの強化合宿を前に、安西先生がキャプテンの赤木剛憲に話した内容です。この後桜木は合宿に合流せず、安西先生とともに1週間の個人合宿を強制されることになります。「許せん…!!オヤジ(安西先生)の野郎〜ッ」と悔しがる桜木。そんな彼に安西先生はこんな目標を与えます。

IH(インターハイ)まであと10日−−−その間はこのシュートだけを徹底的にやる、徹底的に。そのために桜木くんはここで合宿です。

引用:『スラムダンク』第22巻p126(句読点は筆者によるもの)

シュート2万本です。

引用:『スラムダンク』第22巻p136(同上)

合宿で見事に2万本のシュート練習をやり遂げた桜木花道は、全国大会2回戦で優勝候補・山王高校との試合で、勝敗を決するシュートを決めます。桜木はバスケットボールの初心者なので、チームプレイや戦略は理解できません。しかし「とにかくシュートを練習する」という単純な目標であれば彼にも理解でき、実行できます。安西先生は桜木に適した目標を与え、彼を成長させたのです。

マネージャーと部下が「同じ目標」を見ている必要はない

安西先生は桜木がチームの中でどのように機能していくかイメージできていたはずです。しかし桜木にそうした話はせず、シンプルに「シュートが決まるようになったら活躍できる。だからシュートを練習しなさい」というシンプルな目標を与えました。それこそが桜木にとってベストの目標だと判断したからです。

これはマネージャーとその部下の場合でも同じです。例えば全社員が理念に基づいて行動することを理想とする「理念経営」をうたう会社では、全員が同じ目標を追いかけることをよしとします。しかし社長と新入社員、マネージャーと平社員では見ている景色が違うのが当然です。社長は会社の誰よりも遠くを見る必要がある一方、新入社員は目の前にある仕事を覚えるべきだからです。新入社員が「顧客へのクレーム対応が会社の理念につながりません」と言っているようでは、会社は機能不全を起こしてしまいます。

したがってマネージャーはそれぞれの部下に適した目標を与え、それを達成するために行動させなければならないのです。

安西先生は、桜木にシュート練習を課す一方で、1年生エースの流川楓には「とりあえず日本一の高校生になりなさい」という大きな目標を与えています。素人の桜木にこの目標を与えても達成の方法は分かりませんが、すでに全国トップクラスの実力を持っている流川にはその道筋がしっかりと見えます。安西先生は個々の実力や適性を見極め、それぞれに適した目標を与えたのです。

マネージャーの仕事とは、安西先生のようにそれぞれに適した目標を与えて行動させることで、チームに勝利をもたらすことなのです。

『サプリ』のマネジメントに学ぶ「努力の基準」

藤井ミナミの「評価基準」

『サプリ』は2003年から2009年にかけて『FEEL YOUNG』で連載されていた、「働く女子」藤井ミナミをヒロインとした作品です。女性の恋愛事情や友情、人生などが主な題材ですが、男性のビジネスパーソンにも共通する名セリフや名場面が頻出するビジネスマンガです。

“普通”のCMでいいやと思ってしまえば、事はもっと簡単なのだと思う。でももっとこう…今まで見たことなくて、見た人みんなが幸せになる様な……。

引用:『サプリ』第1巻p31(句読点は筆者によるもの)

ヒロインであるミナミは広告代理店に勤務する仕事人間で、彼氏もそっちのけで休日出勤をこなし、自分の仕事に真剣に打ち込んでいます。新たなCMを作るとなればチームで企画会議を繰り返し、夜遅くに帰ってもさらに徹夜で企画を考えます。クライアントへのプレゼンに臨んだところ、クライアントはミナミ渾身の企画をばっさり斬り捨てました。

いやあ、上のね、部長がこういうアバンギャルドわからんって言うんですよ。僕は別にこれでもいいと思うんですけどねえ。もっと普通の企画でいいんですよ、普通ので。

引用:『サプリ』第1巻p44(同上)

自分が必死で考えた企画を「これでも」と言われたことに腹が立ち、イライラしたミナミは化粧室で徹夜の顔を洗いながらつい「徹夜して考えたのに、苦労があっという間にパア……」と考えてしまいます。しかしその瞬間、彼女は思い直すのです。

って何言ってんだ!努力が評価されるのは義務教育まで!よし!さー仕事仕事。

引用:『サプリ』第1巻p56(同上)

こうしてミナミは努力が評価されなかったことを嘆くのをやめ、社会で働くにあたって最も基本的なルールに一瞬で立ち戻り、自分の仕事に打ち込みます。

マネージャーも「努力」を評価してはいけない

「評価を受けるためには努力ではなく結果が必要」。これは部下だけでなく、マネージャーにとっても同じです。自分の仕事はもちろんのこと、部下の仕事の結果ではなく、努力を評価基準にしてはいけません。

「部下の頑張りをちゃんと見て、それをほめてやる」というといかにも良いマネージャーのように思えますが、そうした評価をすると部下にとってもチームにとっても良い結果にはつながりません。これには2つの理由があります。

第一に、努力を評価する際には必ず個人的見解・感情が入るからです。例えば、毎日残業している部下Aさんは努力しているものの結果を出せていないと仮定します。一方、毎日定時で帰る部下Bさんは努力する気がないように見えますが、しっかり結果を出しているとします。このとき努力だけを評価すると、Aさんの方がBさんよりも高い評価を得ます。もしかするとBさんは早めに仕事を終わらせて、セミナーに参加したり、自宅で猛勉強をしているかもしれません。

しかしマネージャーがこれを関知できない以上、Bさんの努力を評価することはできません。結果マネージャーは結果の出せないAさんを評価して、チームの実績を低迷させてしまうのです。

第二に評価する立場の人間が結果ではなく努力を評価すると、評価される立場の人間は「努力を見せればいいんだ」と考えるからです。部下は必要以上に残業してみたり、マネージャーに見せる資料のために必要以上に時間をかけたりと、結果に直結しない働き方をします。当然結果は出ませんし、部下自身の成長にもつながりません。

したがって、マネージャーは努力を評価してはいけないのです。「努力が評価されるのは義務教育まで!」と叩き込んで、結果だけを評価するのが正しい評価方法なのです。

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「マネジメントの極意」はマンガで楽しく学ぶ

一昔前までは「子どもの読み物」と思われていたマンガですが、今やマンガは十分「大人の読み物」なのです。しかもマンガは分厚い本よりも圧倒的に物語を伝える力が優れています。これを使って「マネジメントの極意」を学ばない手はありません。良質なマンガを積極的に読んで、楽しく「マネジメントの極意」を学びましょう。

 

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