優れたリーダーの条件とは一体なんなのでしょうか。
きっと多くの人は「チームメンバーを上手く動かせる人」を優れたリーダーだと考えているはずです。
一方で、チームメンバーを上手く動かすには、まず自分自身を上手く動かす必要もあります。
本記事では、自分自身をコントロールする技術であるセルフリーダーシップについて解説していきます。
リーダー志望者や人事担当者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
セルフリーダーシップとは?
セルフリーダーシップとは、自分の目標を達成するために、自分に対して発揮されるリーダーシップのことです。
セルフリーダーシップを重視することで、結果的に組織やチームのパフォーマンスも向上することから、企業の利益にも繋がる技術だと言えます。
セルフリーダーシップを発揮するには、自分の特性と目指すべき方向を見極めるのが必要不可欠です。
セルフマネジメントとの違い
セルフリーダーシップに似ている言葉として、セルフマネジメントがあります。
セルフマネジメントは、目標を達成するために自分を管理することを指します。
セルフリーダーシップの違いとしては、取り組み方の姿勢にあるでしょう。
そもそもリーダーシップとは「導く」という意味合いが強いことから「遠くにある目標に導いていく」というニュアンスが強くなっています。
一方、マネジメントは「導く」というよりも、その目標までの旅路を「適切に管理する」という意味合いが強いです。
関連記事:セルフマネジメントとは?根性との違いや習得の方法などを解説します
セルフリーダーシップが求められている理由
セルフリーダーシップが求められている理由は以下の3つです。
- 誘惑が増えているから
- 従業員自らがキャリアを築く時代だから
- 強みと弱みは表裏一体だから
それぞれ詳しく解説していきます。
理由①:誘惑が増えているから
セルフリーダーシップが求められる理由として挙げられるのが「誘惑が増えているから」というものです。
現代社会では、ありとあらゆるところに誘惑があります。
例えば、ダイエット中なのにコンビニでスイーツを買ってしまったり、試験前なのにSNSを触ったり。
このように、目先の誘惑に負けてしまうケースは少なくないと思われます。
このような誘惑に打ち勝ち、長期的な視点で物事に取り組むには、自分自身がやるべきことを見極めるセルフリーダーシップが必要です。
特にビジネスだと、従業員はどうしても目先の利益に注目しがちになります。
もちろんキャッシュの確保は重要ですが、少なくともリーダーだけは長期的な視点を有する必要があると言えるでしょう。
理由②:従業員自らがキャリアを築く時代だから
セルフリーダーシップが必要な理由として、従業員自らがキャリアを築く時代であることが挙げられます。
これまでの日本社会は、企業がキャリア形成を完全にサポートすることがほとんどでした。
成果を出し続けることができれば、社内でどんどん昇進していくという構図だったのです。
だから従業員は、とにかく働いて結果を出していればいい状況でした。
しかし現代社会では、自分自身で働く場所を選び取っていく必要があります。
単純に目先の給料がいい企業を選ぶのか。それとも長期的に投資分を回収できる挑戦的な道を選ぶのか。
一概にどちらがいいかはなんとも言えませんが、少なくともセルフリーダーシップがあれば、きっと正しい判断を下すことができるようになるでしょう。
従業員自らがキャリアを築く時代だからこそ、セルフリーダーシップが求められています。
理由③:強みと弱みは表裏一体だから
セルフリーダーシップが求められる理由として、人間の持つ二面性が挙げられます。
どんなに優秀な人材でも、調子がいい時もあれば悪い時もあり、強みもあれば弱みもあります。
この二面性をしっかり理解し、自分の強みを効率よく発揮できる人材が、きっと結果を出していくようになるのでしょう。
この際に重要になるのがセルフリーダーシップです。
自分自身をしっかり理解し、特に調子が悪い時の対処法を確立できれば、安定したパフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。
この世に完璧な人間は存在しません。弱みを強みに変えられるセルフリーダーシップを持っておく必要があると言えます。
セルフリーダーシップのメリット
セルフリーダーシップのメリットは以下の3つです。
- 生産性が向上する
- 社会に求められる人材になれる
- 自分に自信が持てる
それぞれ詳しく解説していきます。
メリット①:生産性が向上する
セルフリーダーシップを発揮できれば、生産性が向上します。
自分自身を理解し、行動に落とし込むことで、強みを発揮できるようになるからです。
また、セルフリーダーシップを有している人材は、調子が悪い時でも安定してパフォーマンスを発揮できるのも特徴となっています。
これが結果的に、長期的な生産性向上に繋がっていくのです。
セルフリーダーシップを、自分自身のパフォーマンスを最大化できるスキルですが、当然のことながら、組織の利益アップにも繋がります。
メリット②:社会に求められる人材になれる
多くの企業は、セルフリーダーシップを有している人材のパフォーマンスが高いことに気づいてます。
そのため、セルフリーダーシップを持つ人材は、社会に求められる人材だと言ってもいいでしょう。
特に現代社会は、キャリア構築において実に様々な選択肢があります。
これまでは「とりあえず就職して昇進を目指す」のが一般的でした。
しかし現在は、転職したり起業したりするのが当たり前の時代になりつつあります。
その中で、どんな場面でも役立つのがセルフリーダーシップです。
転職や起業を考える上でも、やはりセルフリーダーシップを有している人材に仕事が集まっていくように思えます。
メリット③:自分に自信が持てる
セルフリーダーシップを身につけることで、自分に自信を持てるようになります。
自分自身に対する理解が深まっているからです。
自分自身が現代社会のどこにいて、どこを目指すべきなのかがハッキリしているので、自然と論理的な行動ができるようになっていきます。
また、自分に自信が持てるようになれば、組織内での発言でも説得力が増し、組織を正しい方向に導くことも可能になるでしょう。
セルフリーダーシップのデメリット
セルフリーダーシップのデメリットは以下の3つです。
- やりすぎはストレスに繋がる
- 柔軟性が失われる恐れがある
- 測定しづらい
それぞれ詳しく解説していきます。
デメリット①:やりすぎはストレスに繋がる
セルフリーダーシップのやりすぎはストレスに繋がります。
ポジティブな思考の持ち主であればまだしも、元来よりネガティブな人の場合、自分自身の弱みばかり注目するようになり、どんどん自信を失っていきます。
また、セルフリーダーシップを発揮するのは、実はとても大変なことだと言えます。
なぜなら目先の利益に惑わされないようにする必要があるからです。
その過程は実にストイックで、自分自身に大きなストレスを与えかねません。
自分を追い込みすぎないように、楽な気持ちで自分自身を見つめなおせるといいでしょう。
デメリット②:柔軟性が失われる恐れがある
セルフリーダーシップをやりすぎると、柔軟性が失われる恐れがあります。
自信を持ちすぎるがあまり、他人の意見を素直に聞けなくなる可能性があるからです。
セルフリーダーシップを発揮して、方向性を定めるのは素晴らしいことだと言えます。
一方で、目標達成までの過程を厳しくする必要はありません。
自分に素直になり、社会の流れに身を任せながら、少しずつ目標達成に近づいていく。
これぐらい柔軟な考えを持っておいた方がいいかもしれません。
デメリット③:測定しづらい
そもそもセルフリーダーシップは定性的な概念なので、測定しづらい欠点があります。
何でもかんでも数値化する必要はないと思いますが、正しく測定しづらいのは、ビジネスパーソンからすると少々億劫に感じられるかもしれません。
もし、セルフリーダーシップを少しでも数値化させたいのであれば、セルフマネジメントを活用してみるといいでしょう。
具体的にはMBO(目標管理手法)を用いて、目標の達成度を把握するようにするのです。
工夫次第でセルフリーダーシップを数値化することは可能だと言えます。
セルフリーダーシップで求められる5つのスキル
セルフリーダーシップを獲得する上で求められるスキルは以下の5つです。
- 自己認識力
- 決断力
- モチベーションマネジメント
- 長期的視点に基づいた問題解決能力
- タイムマネジメント
それぞれ詳しく解説していきます。
関連記事:リーダーシップに必要不可欠な3要素 | 権限によらない新たなリーダーシップとは?
自己認識力
セルフリーダーシップに欠かせないのは、自己認識力です。
最も重要なスキルだと言っても過言ではありません。
自己認識力とは、自分がどのような人間で、どこが強み・弱みで、目指すべき地点がどこなのかを認識できる能力を指します。
自分を正しく認識する際に重要なのは主に2つあります。
1つめは客観的な視点。もう1つは外部の情報を取り入れずに自分と向き合うことです。
この2つは一見すると矛盾しているように思えますが、必ずどこかにバランスポイントがあります。
それを見つけ出すために、マインドフルネスなど、リラックスのための時間を設けてみるのがいいでしょう。
決断力
セルフリーダーシップを発揮するためには、決断力が必要不可欠です。
決断力は可能な限り正しく、速く、そしてハッキリと決断できる能力を指します。
決断力で必要なのは、覚悟と責任です。
ハッキリと決断するためには、自分で責任を持つことが必要不可欠だと言えます。
他人、社会、会社のせいにせずに、全て自分で責任を持つ。
これが物事をやり切る覚悟に繋がっていきます。
決断力は、キャリア選択だけでなく、仕事上での意思決定でも活用可能です。
特に、責任を有する立場にあるリーダーは、決断力が必要不可欠だと言えます。
モチベーションマネジメント
セルフリーダーシップではモチベーションマネジメントも求められます。
モチベーションマネジメントとは、その名の通り、モチベーションを管理する能力のことです。
モチベーションマネジメントは、調子が悪い時の対応策を考えることが大切だと言えます。
まず大前提として、調子が悪くなる時の原因を見つけるに越したことはありません。
もし何かしらのトリガーがあるのであれば、そのトリガーを隠すことで、調子が悪くなってしまうのを避けることができます。
とはいえ、いつまでも高いモチベーションを発揮するのは難しいことです。
そこで、調子が悪い時の対応策も用意しておきます。
休息日を設けたり、自然に触れたり、単純作業を増やしたりするなど、自分なりのモチベーション管理術を構築するのがいいでしょう。
そのためにも、自分の弱さをしっかり理解しておくことが大切です。
長期的視点に基づいた問題解決能力
セルフリーダーシップを発揮するには、長期的視点に基づいた問題解決能力が必要です。
この世にある問題は、可能な限り早く解決した方がいいのは言うまでもありません。
一方で、時間をかけた方が問題を解決できる可能性が高いのも事実です。
例えば「1年以内に売上1億円を達成する」と「7年以内に売上1億円を達成する」という目標であれば、後者の方が達成確率は高いと言えます。
なぜなら7年の時間をかけて物事に取り組むことができるからです。
1年だと手段はかなり限られますが、7年であれば実に様々な方法で目標を達成することができるでしょう。
このような考え方が、セルフリーダーシップでは非常に重要になります。
目先の利益に惑わされず、長期的な視点で利益を最大化させる方法を考え抜くのが大切です。
タイムマネジメント
セルフリーダーシップを発揮するためには、タイムマネジメントが必要不可欠になってきます。
自分自身で道を切り拓いていく以上、自分で自分の時間を管理する必要が少なからず出てくるからです。
1日24時間という時間は、全員に平等に与えられている唯一の資産です。
これをどのようなことに使っていくかで、人生が決まっていくといっても過言ではありません。
ここでも、目先の利益に囚われないことが重要になってきます。
欲望に満ち溢れている現代社会で目先の利益を追い続けていたら、それだけで人生が終わってしまうからです。
長期的なスパンで大きな仕事を進めたいのであれば、タイムマネジメントで自分が持つ時間を適切に管理するようにしましょう。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- セルフリーダーシップは自分の目標を達成するために発揮されるリーダーシップのこと
- 現代社会は自分自身でキャリアを築く必要があるので、セルフリーダーシップの必要性が高まっている
- セルフリーダーシップを発揮できるようになれば、生産性が向上し、社会に求められる人材になれる
セルフリーダーシップを発揮できている時は、自分に芯がある状態です。
芯がブレなければ、正しい方向で物事に取り組めるようになり、長期的な視点で成功するようになっていくでしょう。
セルフリーダーシップを身につける際は、まず自分と向き合うことが必要です。
自分自身と向き合う時間を確保するようにしましょう。