近年、少子高齢化による労働人口減少にともない、人手不足が課題となっている企業は少なくありません。
しかし、人手不足の具体的な解決策が見つからず、悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。
人手不足は、従業員の一人あたりの業務負担量が増え、ノウハウの伝承ができなくなったり、事業を縮小せざるを得なくなったりするリスクがあり、改善に向けて積極的に動くことが求められています。
そこで本記事では、人手不足の具体的な解決策と事例をわかりやすく解説します。
人手不足を早急に対策したい方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
人手不足を解消する5つの解決策
人手不足が深刻でも、すぐに新規の人材を採用するのは手間やコストがかかるため困難でしょう。
下記では、人手不足を解消するための具体的な解決策を5つ解説します。
- 業務プロセスを効率化する
- 待遇を改善する
- 人材育成を強化する
- 人材採用の手法を多様化する
- アウトソーシングを活用する
業務プロセスを効率化する
デジタル化やDXを推進し、業務プロセスの効率化を図りましょう。
たとえば、RPAの導入により、自社にある膨大なデータの管理から分析まで、AIロボットが自動的に業務を進められます。
ほかにも、ペーパーレス化を推進すれば、書類の印刷や契約書の手書き作成、郵送などの業務を削減可能です。
業務プロセスが効率化できれば、一人当たりの業務負担量が減り、人手不足による影響を軽減できるでしょう。
待遇を改善する
給料を上げたり福利厚生を充実させたりするなど、待遇を改善すれば、既存社員のモチベーション向上、離職率の低下にもつながります。
たとえば、業務負担に応じて適切に人事評価をし、昇給やボーナスの支給などを検討しましょう。
ほかにも、家賃補助や資格手当、有給休暇取得の義務化など、社員に働くメリットを感じてもらえるよう、待遇を改善するのが重要です。
人材育成を強化する
新規人材を獲得するより、既存社員を育成した方が手間やコストを抑えられます。
既存社員がスキルアップすれば一人がこなせる業務量が多くなり、生産性が向上します。
また、本人のキャリアアップや昇給などにもつながり、社員にもメリットを感じてもらえるため、モチベーションの向上などの好循環が期待できるでしょう。
人材採用の手法を多様化する
現状の採用手法で自社が求める人材を確保できていない場合は、別の方法を導入するのがおすすめです。
たとえば、リファラル採用やソーシャルリクルーティングは、従来の採用手法より手間やコストを抑えられ、採用市場にいない人材も獲得できます。
いくつかの方法を試した後に効果検証して、もっとも効率的な採用手法に絞るのも良いでしょう。
関連記事：採用のやり方14選｜ユニークな採用方法を実施している企業も紹介
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングとは、外部の専門会社に業務の一部を委託することです。
リソース不足の業務や、自社では扱いにくい専門的な知識を要するプロジェクトなどでアウトソーシングを活用すれば、生産性向上や業務効率化が図れます。
たとえば、コールセンターやインサイドセールス、経理業務などが対象です。
専門的な会社への委託は、サービス品質の改善にもつながり、顧客満足度の向上効果が期待できます。
また、これまで社員がやっていた業務がなくなるため、別の業務へ注力できるというメリットもある方法です。
人手不足に陥る5つの原因
人手不足は、社会的要因や企業の金銭的な要因で陥ることが多いです。
人手不足に陥る原因には、以下の5つが挙げられます。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 働き方の多様化
- 有効求人倍率の上昇
- 採用コストの上昇
- ミスマッチの発生
関連記事：人手不足の原因とは？人手不足による影響と人材確保の対策を解説
少子高齢化による労働人口の減少
日本では、少子高齢化の急速な進行による労働人口の減少が問題となっています。
総務省の統計では、1995年を皮切りに労働人口は減っており、2008年には人口も減少傾向へと転じました。
今後の見通しでは、2020年の7,509万人から2050年には5,275万人まで減少すると予想されています。
労働人口が増加する見込みはないため、より一層人手不足が深刻化するでしょう。
働き方の多様化
過去に比べて現在は働き方が多様化しており、正社員や契約社員のほかに、フリーランスや個人事業主などに転身する人材が増えています。
また、従来のように一つの会社で定年まで勤め上げる人材が減少しており、キャリアアップや労働環境の変化を求めて、積極的に転職活動する人が増えてきました。
そのため、人材を確保してもすぐに離職・転職してしまい、人手不足につながっているのです。
有効求人倍率の上昇
転職市場が活性化している影響で、求職者数と求人数のバランスが崩れて売り手市場になっています。
求職者に対して求人数が多く、有効求人倍率が上昇したことで、多くの応募を見込めなくなりました。
また、求職者側は一人で多くの求人に応募できるため、企業側が内定を出しても別の企業への入社を決めてしまえば、人材が確保できません。
採用コストの上昇
労働人口減少や働き方の多様化により、多くの企業で採用コストが上昇しています。
求職者より求人数が多いため、求人広告費を増やしたり条件を良くしたりといった工夫ができなければ、選ばれにくいのが実態です。
しかし、人手不足の会社では、既存社員の離職対策による待遇改善で人件費を増やしている場合があるため、採用コストを捻出するだけの予算が立てられません。
採用コストが上昇し続ければ、新規人材の採用活動に踏み切れないでしょう。
関連記事：採用コストを削減したい担当者必見｜今すぐできるコスト削減方法とは
ミスマッチの発生
求職者と企業側の待遇や労働条件面でのミスマッチが発生すれば、求職者からの内定辞退率や離職率の上昇につながります。
また、入社しても自社が求めるスキルを持っておらず、即戦力とならなければ、採用コストや人件費が無駄になってしまいます。
ミスマッチは、採用プロセスの工数が少なすぎたり、求人広告の掲載媒体が自社に合っていない場合などに発生しやすい傾向です。
人手不足による企業への影響
厚生労働省によると、人手不足が課題となっている企業の7割で会社経営に影響が出ていると報告されています。
下記では、人手不足が企業へ与える深刻な影響を3つ紹介します。
- スキル・ノウハウの伝承が困難
- 事業の縮小
- 新規事業への着手が不可
スキル・ノウハウの伝承が困難
人手不足に陥ると、後継者の育成や確保が追いつかず、スキル・ノウハウの伝承が困難です。
実際問題として、厚労省の調査では人手不足に悩まされている企業の37.9%が「技術・ノウハウの伝承が困難」と答えています。
特に、専門的な知識を要するビジネスモデルでは痛手となるため、早急な対策が必要です。
出典：厚生労働省 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について
事業の縮小
人手不足は、業務に割けるリソースがなくなるため、事業規模を縮小せざるを得ません。
もし事業を縮小せずそのまま強行すれば、従業員一人当たりの業務負担が増し、長時間労働や休日出勤を要請しなければ運営が困難になるでしょう。
当然、結果としてより人手不足に陥ることとなるのです。
厚労省の調査によると、全体の26.8%が「既存事業のやむを得ない縮小」と答えており、人手不足は、事業運営に多大な影響を及ぼすといえます。
出典：厚生労働省 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について
新規事業への着手が不可
既存事業の縮小まではいかなくとも、事業拡大や新規事業への着手は困難です。
また、新たなビジネスを構築するためには、多くの人的リソースが必要です。
余力がなければ、既存事業を運営するだけで手一杯になります。
厚労省の報告では「既存事業における新規需要増加への対応不可」と答えた企業が34.8%、「新規事業への着手や既存事業の拡大の困難化」が26.8%でした。新たな挑戦ができなくなった影響で、既存社員のモチベーション低下にもつながっています。
出典：厚生労働省 人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について
人手不足の解決事例
人手不足を解決するためには、他社の事例も参考にしてみてください。
下記では、経済産業省が発表している人手不足の解決事例を紹介します。
- 従業員の高齢化による若手人材の不足を解決した事例
- 若手の早期離職による人手不足の解決事例
従業員の高齢化による若手人材の不足を解決した事例
株式会社潮技術コンサルタントでは、従業員の高齢化が進んでおり、スキル・ノウハウの継承が課題となっていました。
従業員全体の3割が55歳以上で、このまま高齢化が進めば高い専門スキルが失われてしまいます。
そこで、高齢者と若年者のチームを組んで顧客対応を行なうことにしました。
これがきっかけで、顧客の信頼感向上と高齢者のやりがいにつながり、若年層には対応方法を勉強させることが可能となり、ノウハウが引き継がれています。
そのほかにも、短時間勤務や定年後の継続雇用も導入し、全社を挙げて働き方改革を進めています。
出典：経済産業省 中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集
若手の早期離職による人手不足の解決事例
エヌ・エス・エス 株式会社では、一人当たりの業務量増加による時間外労働の発生が課題でした。
原因は、新卒採用者の早期離職と製品の受注増加です。
そこで、最新型のIoTシステムの導入による生産性・業務効率の向上と、採用プロセスの見直しによるミスマッチ削減に取り組みました。
業務の合理化による加工時間短縮と、採用活動見直しによって、現在は早期離職の改善につながっています。
出典：経済産業省 中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集
まとめ
人手不足は、労働人口減少や働き方の多様化など、社会的な要因で引き起こされています。
企業は人手不足により、ノウハウが伝承できないことによる事業撤退や事業縮小に追い込まれるなど、解決すべき大きな課題です。
人手不足は、早期に対策することでその影響を避けられる上に、生産性向上やコスト削減も可能となります。
業務プロセスを改善したり採用手法を見直したり、場合によってはアウトソーシングを活用することで、人手不足の問題を解決できるでしょう。
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