日本企業における教育研修は現場で実務を経験させる教育、つまりOJTが主流でした。
しかし近年では、OJTだけではなく「OFF-JT」とかけ合わせた教育方法に注目が集まっています。
そこで本記事ではOFF-JTについて、
- 概要
- OJTとの違い
- 必要性
- メリット・デメリット
- 失敗する原因
- 成功させるポイント
を解説していきます。
目次
OFF-JTとは
OFF-JTとは「Off-the-Job Training」の略称で、座学や職場外研修を用いて業務に必要な知識を習得する教育手法です。
業界におけるビジネスの基本的な知識や理論をインプットして、実務のベースとなる部分を構築します。
ただし、知識を学ぶだけでは実務をこなすことはできません。そこで活用されるのが実務を通して教育を行うOJTです。
OJTとは
OJTとは「On the Job Training」の略称で、現場で実際に業務を行い、先輩や上司が指導して知識や技術を習得させる教育手法です。
新入社員の教育を目的として実施されることが一般的で、1人の新入社員に対して1人の先輩社員が指導するケースが多いです。
関連記事:OJTの意味とは?Off-JTとは?人材育成に欠かせない研修について徹底解説!
形式
OFF-JTは職場外で行われる教育であり、セミナーや研修の形で実施されることが一般的です。
多くの企業では入社後の研修として、「ビジネスマナー研修」や「コンプライアンス研修」などのOFF-JTが実施されます。
また座学だけではなく、グループワークなど意見交換をするケースもあります。
また、OFF-JTが行われるのは新入社員だけではなく、
- 管理職になりたての従業員のための研修
- 中堅社員向けの「キャリアデザイン研修」や「次世代リーダー育成研修」
- 専門性の高い業務を行う人に向けた研修
などのOFF-JTも存在します。
関連記事:若手社員の研修やマネジメントで大切なこと【若手社員は何を錯覚しているのか?】
OFF-JTとOJTの違いとは
OFF-JTとOJTには下記のような違いが挙げられます。
教育方針
知識や技術の習得について、OFF-JTはインプットを、OJTはアウトプットを主眼において教育が行われます。
OFF-JTは知識や理論として学ぶことに重きが置かれおり、対してOJTは実際に業務を進めながら身につけていくことに重きが置かれています。期間
OFF-JTは研修やセミナーなど短期的に行われることが一般的です。
対してOJTは実務を通して中長期的に行われることが一般的です。
関連記事:人材育成方針とは?その重要性から作成方法・事例まで徹底解説
場所
OFF-JTは職場外で行われます。
対してOJTは現場で行われます。
しかし、近年は形態を問わずオンライン形式で行う企業が増加中です。
OFF-JTの必要性とは
OFF-JTやOJTについて「OJTで必要な知識や技術を学べるなら、そちらの方が効率がいいのでは?」という意見があります。
このような意見も一理ありますが、OJTは通常の業務を進めながら指導を行わなければならず、必要な教育ができないケースがあるのです。
年間を通して繁閑があるように、1ヶ月間でみても忙しい時期と忙しくない時期に分けられます。
繁忙期にOJTを行う場合、人手が足りないことがあり、教育の質が低下する危険性があります。
この点、OFF-JTの場合はじっくりと時間をかけて必要な知識を習得させることが可能です。
また、ティーチングやコーチングといった観点でも、外部から専門の講師を招聘するほうが、OJTよりも質の高い教育を施せるでしょう。
関連記事:新入社員研修とは?教育の目的やカリキュラム、やり方を解説「内製化?外注化?」
OFF-JTのメリットとは
ここからはOFF-JTのメリットをみていきましょう。
複数の従業員に並行して教育が行える
OFF-JTでは講義形式で行われることが一般的であるため、複数の従業員に対して並行して教育を行うことが可能です。
繁忙期で実務を通した教育が難しい場合において効果的です。
学習内容を均一化できる
OFF-JTでは参加者の学習内容にムラがでることが少なく、均一的な教育を行うことができます。
OJTの場合は、指導する上司や先輩社員によっては教育の質が左右されますが、OFF-JTでは専門の講師が参加者全員に対して教育を行うので、全員が同じ品質の教育を受けることが可能です。
OFF-JTのデメリットとは
一方で、下記のようなデメリットもあるため注意しましょう。
短期的には効果が表れにくいことがある
研修やセミナーで学ぶ理論や知識は、長期的には重要であり従業員の成長に必要なものです。
しかし、内容によっては実務に直接的な関係がなく、短期的には効果が表れにくいケースもあります。
これにより、経営層や管理職からOFF-JTの必要性を問われ、人材育成に必要な予算や時間が削減されてしまう可能性があります。
参加者が受け身になりがち
OFF-JTでは座学形式で、講師が一方的に参加者に教えることが多いため、参加者が受け身になりがちです。
これによって教育効果が下がり、OFF-JTを行うメリットや意義が失われてしまいます。
したがって、講師側も、また従業員に受講させる企業側も、どのようにすれば参加者の興味関心を惹きつけられるのかを考え、参加者が意欲的に学べる仕組みを検討することが重要です。
まとめ
OFF-JTは有用である一方、自社の指導方針と内容が異なると「意味のない」研修に終わってしまう恐れがあります。
また、トップダウンの会社でOFF-JTを採用してしまうと、経営陣と従業員との間に思わぬ亀裂が生じる恐れもあります。
企業文化を変えたい。とお悩みであるなら、まずは会社全体のルールの設定から見直してみるのも一つの手です。
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