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LLC(合同会社)とは?株式会社との違いやメリット・適した事業者を解説

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2024年現在、日本では「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4つの会社形態から選んで創業することができます。

その中でも合同会社(LLC)は、株式会社に比べて初期費用が小さいことから、メジャーな会社形態の1つ。

所有と経営を両立できることからスピーディーな経営が可能で、あのAmazonやGoogleも合同会社です。

本記事では、合同会社と株式会社との違いやメリット・デメリットなど、合同会社について解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。

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LLCとは、合同会社を意味する英語の略語

LLCとは「Limited Liability Company」の略称であり、アメリカにおいて一般的な会社形態です。

直訳では「有限責任会社」となりますが、日本では2006年施行の会社法によって制定された「合同会社」が該当します。

また、代表的なLLCには、世界的に知られているAmazonやApple、Googleなどが挙げられます。

LLC(合同会社)と株式会社の違いとは

ここではLLCと株式会社の違いを見ていきましょう。

会社の所有者と経営者の関係

LLCはすべての出資者が有限責任であり、この点は株式会社と変わりません。

しかし、LCCは「出資者がすべて従業員である」という点が、株式会社との大きな違いです。

株式会社では株式を発行して広く出資者を募りますが、LCCは持分会社なので原則として出資者は全員、出資した金額の範囲で責任を負い、業務執行権を持つ従業員となります。

設立時の定款認証があるかどうか

株式会社は設立時に定款認証が必要な一方で、LLCは定款の作成は必要なものの、認証は必要ありません。

そもそも定款とは、会社を設立する際に発起人全員の同意で定められる根本原則のことを指します。そのため、定款は「企業の憲法」と呼ばれるほど重要です。

なぜ定款の認証が必要なのかと言うと、実質的な支配人を把握しておくことで、不正なマネーロンダリングを防ぐためです。

特に株式会社の場合、株式などの経済的な不正が大きな問題になるため、定款認証が必須となっています。

定款認証は、資本金の金額次第で3万円から5万円の費用がかかり、公証役場での認証も必要なので、手続きにリソースを取られます。

その点、LLCは定款認証が必要ないため、容易に設立することが可能です。

登録免許税の金額が異なる

株式会社とLLCでは登録免許税の金額が異なります。

登録免許税は、不動産・会社・航空機など、登記手続きが必要な際に発生する税金のことです。

株式会社とLLCは、どちらも資本金の1000分の7の登録免許税が発生します。また、登録免許税の最低金額は、株式会社が1件につき15万円、LLCは6万円です。

先ほどの定款認証を含めると、株式会社の設立には最低18万円が必要な一方で、LLCは6万円で済みます。

この初期費用の安さが、LLCの最大のメリットと言っても過言ではありません。

なお設立時の登記以外にも、資本金の増加、企業合併、支店の設置、移転、取締役の変更などでも登録免許税が発生します。

企業設立で登記する際は、すぐに変更する可能性がないかどうかもチェックするようにしましょう。

決算公告があるかどうか

株式会社は毎年決算公告の義務がありますが、合同会社は決算公告の義務がありません。

決算公告とは、会社法の規定に基づき、定時株主総会が終結したあとに遅延なく公告する財務情報の開示のことです。

株式会社の場合、株主、債権者、取引先などのステークホルダーが多くいるため、取引の安全性を確保するために財務情報を開示する必要があります。

決算公告は、官報に掲載する場合は6万円、電子公告の場合は1万円の費用が発生します。また、決算を作成するための人件費も無視できません。

その点、LLCは決算公告の義務がないため、株式会社に比べて費用を抑えられます。

ただし、LLCは決算公告の義務がないものの、合併、分割、組織変更、基本金額の減少、解散などでは官報で公告する必要があります。

役員任期があるかどうか

株式会社とLLCの違いとして、役員任期の有無が挙げられます。

株式会社の役員任期(取締役、監査役など)は2年で、最大でも10年までです。

そして役員の任期が満了になるたびに発生する重任登記で、1万円から3万円の登録免許税が発生します。

一方でLLCには役員任期がありません。そのため、任期満了による退任や再任の必要がなく、その分だけ登録免許税を節約できます。

株式会社の場合、所有者と経営者が異なるため、任期を設けて流動性を確保する必要がありますが、LLCは所有者と経営者が一致しているため、流動性を持たせる必要がなく、法律で役員任期が定められていません。

ただし、外部の役員を招く場合など、任期が必要な場合は、定款の規定で役員任期を設けることが可能です。

LLP(有限責任事業組合)とはどう違う?

LLP(有限責任事業組合)とLLCの違いとして、法人格の有無が挙げられます。

LLCでは会社法に基づいた法人格がある一方で、LLPに法人格はありません。

そもそもLLPは、企業同士のジョイントベンチャーや共同事業を振興するために設立された組織形態です。

法人格に縛られないことから、経営に柔軟性があることがメリットとなっています。

LLPはLLCと同様に、有限責任による出資で設立され、利益配分も自由に決定できます。

また、課税については法人税ではなく、組合員に対して所得税という形で課税されます。

そのため、LLPの事業で損失が発生した場合は、組合員の所得と通算できるので、全体の課税額を圧縮できます。

一方でデメリットとしては、やはり法人格を持てないことが挙げられます。

そのため、建設業などの法人格を必要とする認可を取得することはできません。

また、LLPから株式会社に変更できないのもデメリットです。

株式会社を作る場合は、LLPを解散させる必要があります。

一般的にLLPは、利益を出しづらい研究開発事業、政府との共同事業で設立される場合が多いです。

株式会社やLLCに比べて、LLPは個人も会社も自治体も参加できるため、枠に囚われない事業活動を実施できます。

関連記事:LLP(有限責任事業組合)とは?特徴やメリット・デメリット、活用時の注意点を解説

LLC(合同会社)のメリットとは

ここではLLCのメリットを見ていきましょう。

安価で設立できる

株式会社の場合、設立する際に25万円ほど必要になりますが、LLCの場合はおよそ6万円で設立できます。

設立時のコストが抑えられるのは大きな利点といえるでしょう。

関連記事:起業するには?まず考えておくべき4つのポイントや必要な費用を解説

間接有限責任

合名会社や合資会社の場合、無限責任(債務者の全財産で債務を支払う責任)が生じますが、LLCは株式会社と同じように「間接有限責任」です。

したがって、会社がもし倒産したとしても、自身の財産で債務を支払う責任を負いません。

取締役を置かなくてもよい

株式会社は株主総会と取締役を設置する義務がありますが、LLCの場合はこの義務がありません。

したがって、出資者である社員が経営に関する意思決定を迅速に行えるのです。

決算公告義務がない

LLCにおいては資本金を出資している人物が社員となるため、決算公告の義務がありません。

これに対して株式会社では、資本金を出資しているのは株主であり、経営者とは異なります。

したがって、決算書によって自社の状況を知らせなければならないため、決算公告義務を負っています。

関連記事:資金調達の注意点とは?ベンチャー企業が確認すべき資金調達項目を詳しく解説!

代表社員の任期がない

株式会社における代表取締役などは、役員を選ばなければならず、原則として任期は2年と決まっています。

また、任期満了時には変更など必要な手続きをしなければならず、重任登記も求められます。

しかしLLCでは、前述したように取締役を置く必要がないため、「代表社員」を定款で定めるだけでよいのです。

また、代表社員には任期がなく、手続きにかかるコストを削減できます。

関連記事:役員とは?種類や混同されがちな役職との違い、報酬・待遇について解説

LLC(合同会社)のデメリットとは

LLCには、下記のようなデメリットも挙げられます。

社会的信用が低い

LLCは株式会社などと比較しても、まだまだ新しい会社形態です。

最近になって大手企業でもLLCを採用するケースも増えつつありますが、それでも認知度は株式会社ほどではありません。

また、決算公告義務もなく、LLCを採用するのは一般的には規模が小さい企業が中心であるため、信頼性が低くなります。

さらに、こういった認知度の低さは、取引先からの印象にも関わります。

取引先からするとあまり聞いたことがない会社形態であるがために、感覚的に信頼できないと感じる可能性があるのです。

出資者が対立するリスク

LLCは出資比率を問わず、出資者一人につき一票の議決権を持っており、これをもとに意思決定を行います。

したがって、出資者である社員同士で意見がぶつかることもあり、経営に影響を与えるリスクがあります。

株式公開ができない

株式会社の場合、株式を発行することで広く出資者を募って資金調達がしやすいです。

しかし、LLCは株式を発行することはできません。

したがって、資金調達をする場合は社員が出資を増やすか、融資を受けることになりますが、この方法では大きな金額を動かすことは困難になるというデメリットがあります。

関連記事:株式上場するには?メリット・デメリットや必要な条件を解説

LLC(合同会社)が適している事業者

LLCが適している事業者は以下の通りです。

  • 設立コストをかけられない小規模事業者
  • 一般消費者向け事業者
  • 法人格をすぐ取得したい事業者
  • 利益配分を自由に設定したい事業者

それぞれ詳しく解説していきます。

設立コストをかけられない小規模事業者

LLCが適している事業者としてまず挙げられるのが、設立コストをかけられない小規模事業者です。

近年は学生起業など、お金があまりない状態で起業するケースが増えています。

このような小規模事業者にとって、10万円は大きな金額です。

事業規模が大きくなったら、あとから株式会社に変更することも可能なため、まずはLLCとしてコストを抑えて起業するというパターンもあります。

少しでも設立コストをかけたくない人は、まずは合同会社で法人を設立するといいでしょう。

一般消費者向け事業者

一般消費者向け事業者も、LLCが適していると言えます。

一般消費者向けの商品やサービスは、企業形態よりも商品・サービスそのものの品質と知名度の方が重要です。株式会社にこだわる必要はないでしょう。

飲食店やto Cの小売店などは、合同会社で十分です。

一方で、企業相手に取引する場合は会社形態が重要になる可能性があります。

LLCだと「資金があまりないのではないか」という印象を与えかねないためです。

法人格をすぐ取得したい事業者

法人格をすぐ取得したい事業者もLLCが適しています。

LLCは定款認証が省略されるので、株式会社に比べて設立スピードが早くなります。

法人格が必要になるケースとしては、取引先から「法人でないと取引できない」と言われる場合や、許認可が必要な場合が挙げられます。

すぐに法人格が欲しい場合は、LLCを設立するといいかもしれません。

ただし、会社形態をすぐ変更すると二度手間になってしまうので、はたして本当に法人格がすぐ必要なのかは、しっかり吟味しましょう。

利益配分を自由に設定したい事業者

利益配分を自由に設定したい事業者も、LLCが適しています。LLCの場合、出資比率に関係なく、定款で利益配分を決定できるためです。

一方で株式会社の場合、出資比率に応じて株主への利益配分が決定されます。そのため、利益配分を自由に設定することはできません。

そのため出資額だけでなく、役割や業績で報酬を決定したい場合はLLCが適していると言えます。

なお、複数人でLLCを設立する場合は、あとになってお金で揉める可能性があるので、定款で利益配分をあらかじめ決定しておくのがベターです。

LLC(合同会社)設立の注意点

LLC設立の注意点は以下の3つが挙げられます。

  • 事業目的の明確化
  • 出資者の慎重な選定
  • 株式会社への移行も視野に入れる

それぞれ詳しく解説していきます。

事業目的の明確化

LLC設立の注意点として挙げられるのが事業目的の明確化です。

LLCは株式会社とは異なり、良くも悪くも定款を自由に決定できてしまいます。

そのため、事業目的が明確になっていないと、定款があいまいになってしまい、事業活動をスムーズに進めることができなくなってしまいます。

定款の変更には手間がかかるため、LLCを設立する際は、事業目的を明確にしてから定款を作成するようにしましょう。

出資者の慎重な選定

LLCを設立する際は、出資者を慎重に選定しましょう。

株式会社とは異なり、LLCは出資者が経営に携わることができるため、事業方針に合致しない人を出資者に選んでしまうと、事業活動が円滑に進まなくなる可能性があります。

これを考慮すると、LLCを設立する際は、可能な限り少人数で出資するのがいいかもしれません。

株式会社とは異なり、所有と経営を両立できるのがLLCの強みです。出資者を少人数にして、スピーディーな事業活動を実現できるようにするのがいいでしょう。

株式会社への移行も視野に入れる

LLCから株式会社への移行も視野に入れておきましょう。

LLCは小さい初期投資がメリットなので、開業時はLLCで十分かもしれません。

しかし、事業規模が大きくなるにつれて、資金調達力に優れる株式会社の方が、都合がいい場合もあります。

LLCから株式会社への変更は可能なので、あらかじめ株式会社への移行も視野に入れるといいでしょう。

ただし、LLCから株式会社に変更するには2ヶ月の期間が必要である点には注意してください。

余裕を持ったスケジューリングが重要です。

関連記事:株式上場するには?メリット・デメリットや必要な条件を解説

まとめ:広がるLLC

設立するのにお金がかかる株式会社と比較し、LLCは費用が抑えられる点はひとつの特徴であり、メリットとも言えます。

このため、近年増えるフリーランスや個人事業主は、年収が増加するとLLCによる法人化を目指すことでしょう。

今後もLLCが増える可能性は十分にあるのです。

この記事を通してしっかり理解しておくことをおすすめします。

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