「これからは100年生きる。私達は働き続けなければならない-」
人生100年。2012年に登場した衝撃のバズワードです。多くの人がそこで生き方を、価値観を、そしてお金との付き合い方を考え直すこととなりました。
そのきっかけとなった本。人生100年時代の新しい仕事との付き合い方を書いた名著『ワーク・シフト』の中で著者のリンダ・グラットン教授は
「働いて給料を受け取り、そのお金で消費して幸せを感じるーこの古い約束事は、もはや機能しなくなっている。これまで本当に機能していたとすれば、の話だが」
と書いています。 [1]
人生100年時代、お金は非常に重要です。
では、お金を稼ぎ続けるため、身につけるべき3つの新しいスキルをみていきます。新時代に必要なスキルとは、どのようなものでしょうか。
目次
リモートワーク越しに言いたいことを知る力
まず、リモートワークはこれからもどんどん浸透していきます。
チャットやメールを使ってコミュニケーションしますから、文章力は欠かせないものではないでしょうか。早くも2011年にリモートワークについて書いた『強いチームはオフィスを捨てる』(ジェイソン・フリード、デイヴィット・ハンソン著)では、
「リモートワークに必要な技術は、けっして難しいものじゃない。」[2]
と書いています。
たとえばテキストで自分を表現すること。書かれたことからすべてを読み取る力が重要です。奇しくも、「literature」という単語は「書かれたもの」が語源です。つまり、書かれたものこそが文学であり、表現なのです。新聞もウェブメディアもSNSもプライベートチャットも、書かれたものすべてが広義の文学といえます。[3]
ただ、文章力はリモートワーク時代に当たり前すぎるスキルです。
そこで、新時代により重要となってくるスキルは、「時間を守る力」であり、「納期」ともいいかえることができます。時間を守るなんて当たり前、と思われるかもしれませんが、後述しますように、この時間を厳守する力は、意思決定の力と大きく関わっています。
納期を守ること。時間を厳守すること。相手が見えないリモートワークの時代において、これほど大切なことはありません。自分が上司だったとき、自宅で働いている部下のレスポンスが悪く、仕事が遅かったら「もしかしてサボっているのかな」と思ってしまいますよね。つまり、時間を守らないことは信用が崩れるのです。
ハイコンテクストなコミュニケーションを成立させる直感力
リモートワークはとても奥の深いワークスタイルです。なぜなら、直感力を身につける必要があるからです。書かれたものから、その背景を推測し、適切な答えを返す必要があり、書かれたことをベースにしながら、書かれたこと以上を読み取らなくてはならないのです。
仕事は、マネジメントや上流になればなるほど、お金がついてきます。もちろん、現場で技術を磨き続けるのも人生100年時代には大切ですが、上昇志向が強い方は社会的地位を高めたいと考えるのではないでしょうか。
そこで、上流のコミュニケーションとは極めて“ハイコンテクスト”なものなのです。では、それを成立させるものはなにか、というと「直感力」です。
直感について書かれた著書『妄想を手なずけ圧倒的インパクトを生む 直感と論理をつなぐ思考法』(佐宗邦威 著)では、さまざまなビジョンドリブンの方法が紹介されています。その中で、筆者が気になった部分をピックアップすると、
○最も人間らしく考える
○「感情アウトプットを練習するーモーニング・ジャーナリング」
がありました。[4]
自分の思考を、妄想ドリブンの内発的動機、インプットの幅を広げ、独自性を足し、アウトプットを実行する、そんなことが書かれています。この本では、直感力は妄想ドリブンで生まれると定義し、その妄想が明後日の方向にいかないための思考法を紹介しています。
感情アウトプットの練習とは、
「他人モードのツール」と「自分モードのツール」は、はっきり分けるということだ。
(中略)「他人モード」の侵犯を遠ざけたければ、ツールそのものを切り分けるのがいい。
と説明されています。SNSを使っていては他人の思考ツールに自分の思考を侵略されていまいますので、手書きのノートがいいそうです。[5]
これで、直感力を磨きます。リモートワークにおいて相手が何をいいたいかわかる力を磨けば、かなり上流に食い込むことができますし、それはそのまま、お金を稼ぐスキルに直結することでしょう。
個人的には、リモートワーク越しにハイコンテクストな会話を成立させ仕事を上流に上げるには、経験値を積み重ねることが一番だとは思います。しかしこの本では、それ以外の具体的手法も紹介されています。
パラレルワークを乗り越える意思決定力
さらに、人生100年時代では、副業すなわちパラレルワークが注目されています。そのパラレルワークを成立させる根本的な力とはなんでしょうか。それが意思決定力です。ウィルパワーとも呼ばれます。この力は、仕事やお金だけではなく、人生の質を向上させるために欠かせません。よって、上記の2つの力ではビジネスの本を参考にしましたが、ウィルパワーに関しては、自己管理の本である科学的なダイエット本を参照します。
『ウィルパワー・ダイエット ダイエットという自分との心理戦に勝つ方法』(メンタリストDaiGo著)では、意思決定力の総量は人ごとに決まっており、身支度や日中の仕事を通じてどんどん枯渇していくそうです。よって、できる限り日常を習慣化することで、そのウィルパワーを節約し、自分のやりたいこと(ダイエット、趣味、そしてパラレルワーク)を成立させようと呼びかけます。
また、習慣には良い習慣と悪い習慣があり、良い習慣を継続して悪い習慣を断ち切るための、ハーバード大学ショーン・エーカー教授のポジティブ心理学が紹介されていて興味深いです。
同著によると、
「よい習慣をつけようとするなら、それをする手間を20秒減らす。
悪い習慣をなくしたかったら、それをする手間を20秒増やす。」
とよいそう。[6]
どういうことかというと、「仕事から帰宅したらSNSをぼーっと見てしまう。本当は英語の勉強をもっと続けたいのに」という悩みがあるとします。その場合は、SNSのアイコンをまとめてスマホをスクロールしなければタップできないように、起動するため20秒余計にかかるように設定します。反対に、英語の勉強はいつもより20秒手間がかからずはじめられるよう、辞書をデスクに置いておくなどの工夫をするのです。
このように、生活面に科学を取り込むことで、ハードなパラレルワークを乗り切れます。
この習慣化の力を身につけることで、ウィルパワーを大事な価値判断にとっておくことができるのです。これで、仕事と日常の終わった後の副業でも質のよい仕事が可能となります。
まとめ
人生100年時代に身につけるべき新しいスキルとして、
- リモートワーク越しに言いたいことを知る力
- ハイコンテクストなコミュニケーションを成立させる直感力
- パラレルワークを乗り越える意思決定力
をさらに分割してみてきました。
これらの力は、これからの世の中で欠かせないものになるでしょう。お金はまず自分の手で稼がないことには、何もスタートしません。時代にあったスキルを身につけて、お金の問題をクリアしていかれることを願っています。
筆者:名もなきライター(渡邉幸子)
参照
[1]『ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』リンダ・グラットン
[2]強いチームはオフィスを捨てる:36シグナルズが考える「働き方革命」(ジェイソン・フリード 著)
[3]「POCKET OXFORD DICTIONARY」OXFORD
[4]『妄想を手なずけ圧倒的インパクトを生む 直感と論理をつなぐ思考法』(佐宗邦威 著)
[5]『妄想を手なずけ圧倒的インパクトを生む 直感と論理をつなぐ思考法』(佐宗邦威 著)
[6]『ウィルパワー・ダイエット ダイエットという自分との心理戦に勝つ方法』(メンタリストDaiGo著)