スピードが遅い会社には、共通点があります。
それは「一次情報」でやりとりが行われていない会社です。
「事実」や「発言」そのものを「一次情報」と言います。
一方「二次情報」というのは、その事実の裏側とか「発言に対してどう思っているか?」といったことを指します。
会社で言えば「社長がこういうふうに言ってたよ」という、本人以外の発言。伝聞であったり、裏側にある思い、伝達者の解釈。それらは全部「二次情報」です。
この「二次情報」のやりとりが起きる会社は、裏側や真意を探る必要があるため、そこがロスタイムとなります。
「課長はあんなこと言ってたけど、社長は本当はそう思ってないんじゃない?」などとやっている時間がものすごくロスタイムになるのです。
スピードの早い会社は「一次情報」でやりとりする。スピードの遅い会社は「二次情報」をこねくりまわす。
ここが違うのです。
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目次
責任に基づく発言はすべて「一次情報」
一次情報でやりとりせよ、と言っても「社員全員が社長と直接やりとりせよ」と言っているわけではありません。
正しい組織では、社長の伝聞を部長が発信した際に「部長の発信を一次情報として」部下たちが認識します。
組織においては、責任に基づく発言はすべて「一次情報」になります。
私の下には、部長や課長がいますが、たとえば課長が言ったことは、課長の部下にとっては「一次情報」なわけです。
でもそれを一次情報だと認識できないような組織では「課長はこう言ってるけど、社長はもしかしたら違うこと言ってるかもしれない」とか「こいつは誰かに配慮して、こう言ってるんじゃないか」と言って探り出すわけです。
ダメな組織は上長の発言を社員が疑います。
ここでロスタイムが発生するわけです。二次情報を疑い続けるというロスタイムです。
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部下に対して上司が配慮する会社はNG
さらに言うと、そういう組織では「部下側の二次情報を疑う」という作業を上司がしていたりします。「あいつ本当は嫌がってるんじゃないか?」「ちゃんと納得してるのか?」といったことを探りにいく。
これが起きると、二次情報を取りにいくほうが「下」になってしまいます。「お前、大丈夫か?」と上司が配慮しはじめる。すると、どんどん関係性もおかしくなっていきます。
気を使ってくる上司に対しては、部下も「ああ、気を使ってもらえるんだ」と思います。すると、わざとしんどそうにして配慮してもらおうとする人も出てきます。「もう会社辞めますよ」といったオーラを出すような部下も現れる。そんなことではどんどんドツボにハマっていきます。
そこで、一切動じない、変わらない上司であれば、部下もそんなことしてもしょうがないというように粛々と仕事するはずです。
私の会社では、言葉の裏側とか本当の気持ちといったことを社内で探り合ったりはしません。だから今のような状況になっても、なんら問題はありません。
他の会社だと、テレワークになって顔も見えないため「ほんとはいろいろ悩みあるんじゃない?」といったことに、ものすごく時間を使っているはずでしょう。それはすべてロスタイムになり、組織の動きは鈍ってしまいます。
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「一次情報」を発する人には責任がある
ここで重要なのが「一次情報として発信する人は、きちんと責任を負わなければいけない」ということです。
課長が一次情報として発信するのであれば、自分の責務を果たさなければいけません。つまり、組織の利益になる方向で発信しなければいけないということです。そこで自分の利益になる方向で発言するような課長は失格です。
そういう組織にするためには、社員全員が自分の「位置」を認識しなければいけません。社員は上長に従う。上長はその上長に従う。幹部は経営者に従う。そのように会社内の「位置」を明確にするわけです。すると「上司の指示に必ず従いなさい」と言えるようになります。
会社が設定したルール、上司が設定したルールや指示は「一次情報」です。その一次情報に基づいて動くことを徹底すると、組織のスピードはどんどん増していきます。
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経営者は「環境」を規定せよ
もしうまくいかなければ、最終的な責任は経営者である私が負うことになります。そこの覚悟はもちろん必要です。
しかし世の中には責任をとりたくないから、個々の判断に任せる経営者も多くいます。そういう経営者のもとで働いている社員はかわいそうです。
責任に基づいた「一次情報」がないと、「環境」が確定しません。それは、社員にとっていちばん大変なことです。
「うちの会社は、コロナへの対策はこうします。あとは通常どおり動きなさい」と確定してあげれば、社員はその環境下で動けます。しかし「一人ひとりに判断を任せるわ」となったら、環境が確定しません。当然社員は迷ってしまいます。
「会社が決めたこと、上司が決めたことが一次情報、つまり環境である」と認識できるかどうか? そこが重要なのです。
ただ、環境と唯一違うのは「情報を上げることができる」ということです。現場の情報を上に伝えることはできる。それによって環境が変わる可能性はあります。ただ一次情報が「前提条件」であると認識できるかどうかで、まったく動きは変わってくるのです。
一次情報でやりとりする。環境を認識する。その環境を前提に行動する。
これだけで余計なロスタイムはなくなり、スピード感が生まれます。スピードが早い会社と遅い会社の違いはここです。
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引用元:安藤広大/株式会社識学 代表取締役社長note「組織にルールを。」
https://note.com/kodaiando