リーダーシップ論の権威である、ジョン・コッターは、著書『企業変革力』の中で、「リーダーシップは、激しく変化を続ける企業環境に対応していくために、企業に必要な変革を推進する役割を担う。」と記載しています。
リーダーシップの研究の歴史は古く、時代に応じてリーダーに望まれるリーダーシップの定義は変化し続けています。
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目次
リーダーシップの誤解
ジョン・コッターは、著書『企業変革力』の中で、リーダーシップに関する3つの誤解について説明しています。
リーダーシップ=マネジメント
ジョン・コッターは、著書『企業変革力』の中で、「リーダーシップはマネジメントとは違う」と説いています。リーダーシップの誤解の一つに、「マネジメント」を「リーダーシップ」として誤解していることがあるのです。
リーダーシップ=トップに必要
『企業変革力』では、変革を成功させるためには、トップだけではなく従業員全員もリーダーシップを発揮する必要があるといいます。「リーダーシップ」は「企業のトップのみに必要」だという考え方も、誤解の一つです。
リーダーシップ=部下に命令すること
場面によっては、リーダーからの命令で部下を動かすことがリーダーシップになりますが、それだけではありません。
ダニエル・ゴールマンの考えるリーダーシップ
ダニエル・ゴールマンは、著書『EQ リーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方』のなかで、EQ(感じる知性)がリーダーシップに必要であることを説き、成功しているリーダーは「6つのリーダーシップスタイル」を使い分けていると考えました。
リーダーに求められるリーダーシップは、一つのスタイルのみではなく、企業が置かれた状況で最適なスタイルを選択していく必要がある、という考え方です。ダニエル・ゴールマンの考える6つのリーダーシップスタイルを確認しておきましょう。
ビジョン型
企業が変革や推進力を必要としている時や、企業と従業員のビジョンをあわせる時に有効
コーチ型
短期的な視点ではなく長期的な視点をもったリーダーシップで、従業員を成長させたい時に有効
関係重視型
メンバーとの関わりに基づくは柔軟な対処が求められる際に有効
民主型
優秀なメンバーが存在していて、自主的に仕事が回っていく場合に有効
ペースセッター型
メンバーのやる気とリーダーへの共感がある場合に有効
強制型
短期的に実績を上げたい場合に有効
リーダーシップを発揮するために
ジョン・コッターの著書『企業変革力』の中に、「ビジョンを明確化して、ビジョンを達成していくための戦略を作り、ビジョンと戦略を関係者にコミュニケートし、エネルギーを燃え立たせて力を与え、企業内に必要な変革を推進していくのがリーダーである。」という記載があります。
ダニエル・ゴールマンの考える6つのリーダーシップスタイルで見てきたように、企業の置かれた状況により求められるリーダーシップスタイルは変化するという考え方です。
日産自動車を率いたカルロス・ゴーン氏のように、制度が整い、数多くの人材が揃ったグローバル企業に変革のリーダーとして招かれる場合と、自身で創業した事業を軌道に乗せ、採用にも腐心しながらようやく組織を形作ることができるようになってきたフェーズでは全く別のリーダーシップが求められると言えるでしょう。
自社の今の事業フェーズに求められるリーダーシップとは何か、という点について、多くの経営者が模索を続けています。
リーダーが自社の将来の成長に向けて高い目線で未来のことを考えるべき時に、部下の意見や声に影響されてしまうことも避けるべきでしょう。なぜなら、部下はリーダーよりも現在に近い距離の目線を持っているからです。未来に責任を持っている、というリーダーの役割を改めて認識し、目線と行動を常に問い直し続けたいものです。
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