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アルムナイ採用とは何?意味・リファラル採用との違いやメリット・デメリットを解説

アルムナイ採用とは何?意味・リファラル採用との違いやメリット・デメリットを解説

「アルムナイ採用」という言葉を聞いたことがあっても、その内容について詳しくは知らない方もいるのではないでしょうか。

アルムナイ採用は一度退職した社員を再び自社で雇用する採用手法であり、労働人口が減少するなかで注目されている考え方です。

この記事では、アルムナイ採用の意味やメリット、企業の導入事例を紹介します。

制度について知り導入することで、優秀な人材を確保しましょう。

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そもそもアルムナイの意味とは?

アルムナイとは、元来ラテン語のalumniが語源となる言葉で「卒業生」「同窓生」という意味を持ちます。

人事分野では、定年退職者以外の離職者を表す言葉として使われています。

日本と比べて平均勤続年数が短い欧米の企業では、アルムナイを人材リソースと考えてアルムナイネットワークを構築。

退職者を再び雇用する機会として、活かしています。

例えば、大手外資系コンサル企業であるアクセンチュアは「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」を構築しており、そこには30万人以上のアルムナイが在籍しています。

アルムナイ制度とは?

「アルムナイ制度」とは、過去に活躍していたが、一度離職した人材を再度社員として迎え入れる制度です。

こちらは「出戻り制度」や「カムバック制度」とほぼ同じ意味を持ち、介護や子育て、転職など何らかの事情で離職したあと、再び同じ企業に入社することを指します。

アルムナイはすでに、その企業での業務を経験済みです。

この制度により、企業は自社にとって即戦力となる人材をミスマッチを防いで採用することが期待できます。

それだけでなく、企業にとっては採用コストの削減にも繋がるでしょう。

昨今は高齢化が進み労働人口が減少しているなかで、優秀な人材を採用で確保することの難易度が増しています。

アルムナイ制度を導入すると、一度退職した社員と雇用していた企業が、お互いにとって価値のある関係を再び結べるようになります。

アルムナイ制度が注目されている理由と背景

近年、アルムナイ制度が注目されているのはなぜなのでしょうか。

ここからは、アルムナイ制度が注目されている理由や、その背景を紹介します。

優秀な人材の確保が難しいため

現代では、かつて行われていたような終身雇用制度が崩壊しつつあります。

そのため、優秀な人材が高給やさらなるスキルアップの環境を求め、当たり前のように他の企業に転職していきます。

また、労働人口が減少している側面から、優秀な人材を採用すること自体が容易ではありません。

そのようななかで、自社で働いていた経験がある人材を再度雇用できるのであれば、採用コストを抑えて人材を確保できます。

そのため、退職者とも繋がりを持つ企業が増えてきたのです。

働き方が多様化しているため

本人は働きたいと思っていたとしても、介護や育児など何らかの事情により、フルタイムで働けなくなってしまう人もいます。

それだけでなく、現在は企業にリモートワークや短日数勤務が導入されるなど、働き方が多様化しており、あえて正社員を辞めるという選択肢もある時代です。

かつて戦力になっていたものの、事情があって退職した場合、アルムナイネットワークを構築していれば、今後再びマッチングする可能性があります。

人手不足から自社の仕事を外注する選択肢をとる際でも、かつての社員とマッチするようであれば話が速く、業務の効率を上げられるでしょう。

そのように、今後、自社が労働者のニーズに対応できる可能性がある点から、アルムナイ制度が注目されているのです。

アルムナイ制度の6つのメリット

自社にアルムナイ制度を導入するのが良いのかを判断するためには、制度のメリットを知ることが有効です。

ここからは、アルムナイ制度のメリットを6つ紹介します。

即戦力となる人材を採用できる

同じ業界でも、企業が異なると業務のフローや資料、ファイルの保管場所が異なります。

アルムナイ制度は、かつて自社で働いていた人材を再び自社に迎え入れるという内容です。

そのため、アルムナイは社内での業務フローや書類の保管形式、保管場所といった細かいローカルルールや慣例もある程度把握しています。

それらについて当時と比べて大きな変更がなければ、比較的早い段階で実際の業務を開始できる点がメリットです。

社内に新しい知識を取り入れられる

アルムナイは企業を退社後、他の企業への所属やフリーランスとしての働き方、または仕事を離れて消費者目線での情報収集など、何らかの方法で知識をアップデートしています。

例えば、顧客へアプローチするために引いている動線の改善や、他社で行っている業務フローの良いところを踏まえた提案ができるでしょう。

自社で働き続けている人とはまた異なった視点や知識を取り入れられ、企業を成長させる一助となると期待できます。

採用コストを抑えられる

新しい人材を採用するために転職サイトに求人を掲載したり、キャリアアドバイザーから人材を紹介してもらったりすると、費用がかかってしまいます。

一方で、アルムナイネットワークのなかから採用すると、紹介手数料がかからないため、採用のために大きな費用をかけずにすみます。

採用後についても、新たな人材を採用すると研修やOJTである程度の時間やコストをかけなければなりません。

その一方で、かつて企業で働いていた人材を採用すると、入社後にかかる初期のコストも最小限に抑えられます。

企業のイメージダウンを防げる

一度退職していた社員が企業に対してあまり良くない印象を持っており、かつ今後も関わる機会がないと思っているケースもあるでしょう。

現在は転職サイトやSNSで容易に個人の感想を書ける時代であるため、退職者が企業に対して何らかのネガティブな情報を記載してしまう可能性は否定できません。

一方でアルムナイ制度が導入されていた場合、退職者はまた同じ企業にお世話になる可能性があります。

そのため、企業のイメージダウンになるような口コミを避けることが期待できます。

継続的な学習機会を提供できる

一度退職した企業については、よほど自分から調べない限り、知識がアップデートされません。

その一方で、アルムナイネットワークを構築していると、企業の退職者がいつでも見られるようなサイトを通じて自社のサービスや求人情報を発信し続けられます。

すると現在は企業に属していない人材が、退職後にも何かしら組織に関する情報に触れ続けられ、自然に企業のことを学習し続けられます。

ビジネスチャンスが広がる可能性がある

アルムナイ制度を導入していると、再就職には至らずとも離職者と良好な関係を築けることが期待できます。

例えば、かつて自社で働いていた社員が離職して起業や新しい企業に所属し、数年すると役職者になっている可能性もあるでしょう。

そのような場合、自社と新たなビジネスパートナーとして提携する可能性も考えられます。

アルムナイ制度を導入していると、採用面だけでなく自社のビジネスを加速するためのきっかけとなる可能性もあるのです。

アルムナイ制度の課題・デメリット

アルムナイ制度のメリットを紹介しましたが、導入する際には超えるべき課題を把握しておくと失敗を防げるでしょう。

ここからは、アルムナイ制度の課題やデメリットを4つ紹介します。

雇用されたあとに気まずさを感じる

今まで業務をこなしていた社員が退職するとなると、少なくとも他の社員に業務が配分されたり、新たに雇用した人材が育つまでは、業務の流れが停滞するタイミングがあります。

すると、離職した人材がアルムナイ制度を使って企業に再就職する際に、退職を申し出た時のことを思い出し、後ろめたさを抱いてしまうケースがあるでしょう。

企業にとっては再び雇用できること自体がうれしくても、本人は入社初期にストレスを感じてしまう可能性があります。

そのような事態を避けるため、雇用する際にはフォロー体制をあらかじめ検討しておくとよいでしょう。

退職を気軽なものととらえる

アルムナイ制度が自社に導入されている場合、「一度退職しても戻ってこられる」と、在籍している社員が退職を気軽にとらえてしまうかもしれません。

例えば、同業他社では同様の業務でも給料がより高く設定されており、福利厚生が整っていると、その企業に対して自社よりも魅力を感じる可能性もあります。

「転職して失敗したら最悪戻ってこられる」と思われてしまうと、退職に関するハードルが下がってしまい、アルムナイ制度がデメリットになりうるのです。

スキルのブランク期間が生じる

現在はITの進化やAIの登場、グローバル化により変化の激しい時代に突入しています。

そのため、数年も経てば同じ企業でもフローや業務内容、お客様のニーズが変わっている可能性があるでしょう。

アルムナイは数年や、長いと十数年など企業を離れてから再度雇用される場合もあります。

そのような際にブランクが障壁となり、スキルギャップを埋めるために新たな研修やサポートが必要になる可能性もあります。

アルムナイ制度にコストと人的リソースがかかる

人材サービスを利用するよりは手数料が安くなるとはいえ、採用においてアルムナイ制度を活用すると、ある程度のコストや人的リソースが必要となります。

例えば、退職者がいつでも訪れられるプラットフォームを作成するにはホームページ作成や改修に費用がかかります。

企業でアルムナイに対する雇用条件や受け入れ体制を検討するのにも人的リソースを割かなければなりません。

自社で採用が完結するぶん、ある程度の手間がかかってしまう点はデメリットに当たります。

アルムナイ制度を運用する際のポイント

自社にアルムナイ制度を設けても、活用されなければその意味がなくなってしまうでしょう。

ここからは、アルムナイ制度を運用する際のポイントを紹介します。

制度を周知する

ある程度コストをかけてアルムナイ制度を導入していたとしても、対象者に知られていなければ意味がありません。

アルムナイ制度がきちんと制度として活用されるように、普段から社内のイントラネットに掲載したり、退職する社員の手続き時に伝えたりと、周知することが必要です。

普段から周知活動を行うことで、働き手を大切にする企業というイメージをつけられるだけでなく、制度を利用する人材を受け入れるための社内体制も整います。

再就職後の条件を明確にする

退職者を再び雇用する際には、既存社員や他の再就職者から何らかの不満が出てモチベーションを下げてしまう可能性がある点に注意しなければなりません。

例えば、退職者を以前のポジションで再度雇用し、他の社員の上司になった場合、今まで地道に努力してきた既存の社員は不満を抱く可能性があります。

そのような不満を最小限に抑えて既存社員のモチベーションを欠かないようにするためにも、再就職後の条件を明確にして均一化しておくようにしましょう。

アルムナイと既存社員との調整をする

再び入社した社員は、少なからず退職時のことに後ろめたさを感じており、既存社員と初めからうまくコミュニケーションをとれない可能性があります。

退職から月日が経っていると社内の人員も入れ替わり、初対面となるケースもあるでしょう。

そのため、アルムナイと既存社員とで円滑に情報交換できるような環境を整備することが、アルムナイ制度を成功させるためのコツです。

例えば、リラックスして話せるワールドカフェの開催や、フリーアドレスを導入してあらゆる社員と触れる機会の創出などで実現できるでしょう。

制度の効果を定期的に分析・評価する

アルムナイ制度の導入には、周知や必要に応じてコミュニティサイトの創設など、少なからずコストとリソースがかかります。

そのため、制度の活用状況や満足度を定期的に測定・評価し、より効果が表れるように制度の運用方法を改善していく姿勢が欠かせません。

継続的に改善サイクルを確立すると、企業と離職者双方にとって価値のある関係を構築できます。

アルムナイ制度に取り組む企業事例5選

アルムナイ制度の導入を検討する際には、すでに導入している企業を参考にするとよいでしょう。

ここからは、アルムナイ制度に取り組む企業事例を5つ紹介します。

アクセンチュア株式会社

総合コンサルティング企業であるアクセンチュア株式会社では、アルムナイを大切な家族の一員として繋がりを大切にしているのが特徴です。

日本のみならず、世界中のアルムナイと繋がることができるポータルサイト「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」が構築されており、こちらは30万人以上のアルムナイが在籍している巨大ネットワークとなっています。

アルムナイのメーリングリストがあり、業務に関わる相談だけでなく、イベントの招集など、離職者同士や現役社員との交流を深められます。

「ひとときでもアクセンチュアの“仲間”だった人は、いつまでも仲間であり続けます」という思想を持つアクセンチュア。

社員が退職したとしても、繋がりを大切にして新しい関係のなかで社会に届けうる価値を見つけているのです。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所は、日本最大の総合電機メーカーです。

退職者が再び日立で働けるように、というキャリアの選択肢拡充や、採用チャネルの強化を実現するため、2023年3月に「アルムナイネットワーク」を設立しました。

こちらには、対象グループ企業のいずれかで社員として1年以上勤務した人が登録でき、退職者が活躍できる可能性があるポジションの紹介や、グループの最新情報、各種イベントなどが配信されています。

履歴書や職務経歴書の登録もでき、そちらを用いてカジュアル面談やより具体的な提案も受けられるような仕組みになっています。

アルムナイネットワーク設立以降、2023年12月末までに250名が登録し、15名が日立に再入社。

設立から短い間で、すでに効果を生んでいる制度となっています。

ANAグループ

航空運送事業を中核とし、その他にも人材サポートやITなど、さまざまなサービスを提供する、ANAグループ。

ANAグループは、卒業生限定コミュニティの「ANA Sky Community ~ソラミテ~」というWebサイトを運営しており、元客室乗務員や空港旅客係員が多くの割合を占めています。

ANAでは質の高いサービスの教育を行っており、その教育を受けた人材をコミュニティに確保することで再び雇用する仕組みを構築。

正社員や派遣、アルバイトなどの求人情報のみならず、グループの最新情報、お得なショッピング、学びに関する情報も提供されています。

サイボウズ株式会社

ソフトウェア開発会社であるサイボウズ株式会社は、人のエコシステムを構築する手段として「CIA」と呼ばれるアルムナイ限定の「Cybozu Incredible Alumni」を形成しています。

正社員や派遣社員などの縛りがなく、過去にサイボウズで働いていた方を対象として、参加してみたいと思えるような場所が提供されているのが特徴です。

人脈形成の先に、退職者がサイボウズの理念に関係するような新しいビジネスを始めたり、サイボウズで再び働こうと思うことが期待されています。

現役社員代表と卒業生代表が事務局を勤め、kintoneでのコミュニケーションや各オフィスへの招待、展示や講演などが行われるサイボウズデイズツアーが開催されています。

P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)

世界最大の一般消費財メーカーであるP&Gでは、アルムナイ専用の「P&Gアルムナイネットワーク」を設け、専用のWebサイトを通してあらゆる情報を提供しています。

P&Gのアルムナイネットワークは、世界中のP&G退職者から構成された非営利団体。

2023年12月現在の会員数は35,000人を超え、世界中に支部が置かれています。

アルムナイネットワークのなかでは、フォーラムを通して同じような興味や背景を持つ退職者と交流が可能です。

その他、グローバルな同窓会が開かれており、世界をまたいだ退職者と交流できるようになっています。

これらの取り組みにより、一度企業を離れた人材が将来的に同社の価値を理解し、再度雇用されたり、何かしらの形で協同するチャンスが与えられたりしています。

アルムナイに関するQ&A

アルムナイ制度の導入を検討する際には、アルムナイについてより詳しく知るとよいでしょう。

ここでは、アルムナイに関するQ&Aを紹介します。

アルムナイ採用をなぜするのか

アルムナイ採用を導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • 自社のイメージ向上に繋がる
  • 信頼できる人材を確保できる
  • 採用後のミスマッチを防げる
  • 採用後の離職率を下げられる
  • 他の企業が良く見える現象を抑えられる
  • 採用や採用後の教育費用を軽減できる

このように、費用を抑えられるだけでなく、優秀な人材の確保にも繋がる点から、アルムナイ採用が注目を集めているのです。

アルムナイの語源は何か

アルムナイ(alumni)は、ラテン語で「母校」を意味する単語「アルマ・マーテル(alma mater)」の形容詞系が語源です。

ラテン語は数や性別によって語形が変化する言語であり、そうした語形変化によって「アルムナイ」という言葉が一般的に使われるようになりました。

企業で人事用語として使われる際には、自社の退職者を指し、一度退職した社員を雇用することは「アルムナイ採用」と呼ばれます。

まとめ

アルムナイ採用を導入すると、一度退職した社員が再び自社で働けるようになります。

採用コストも抑えられるうえ、早い段階で戦力となると期待でき、導入することであらゆるメリットが受けられます。

とはいえ、ある程度のコストがかかるだけでなく、リソースが割かれるため、自社への制度の導入を迷うときがあるかもしれません。

今回紹介したメリット・デメリットや導入事例などを参考に、アルムナイ制度をどの程度取り入れるのかを検討し、自社の人材不足を解消しましょう。

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