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GROWモデルとは?コーチング手法や具体事例を紹介

GROWモデルとは

GROWモデルとは、最も基本的なコーチング手法のことです。

コーチは「GROW」という4つのプロセスを使ってコーチング相手の目標達成をサポートします。

組織において「社員や部下の主体性がない」「生産性を向上したい」などの課題を抱えているかもしれませんが、そういった問題の解決にはGROWモデルが最適です。

本記事では、GROWモデルについて以下の観点から解説します。ぜひ参考にしてみてください。

  • GROWモデルとは
  • GROWモデル実践のためのポイント3つ
  • GROWモデルの質問例一覧をステップ別に解説
  • GROWモデル以外のコーチング手法

GROWモデルとは

GROWモデルとは、コーチング相手を目標達成に導くための基本的なコーチング手法のことです。

GROWとは以下4つの頭文字をとったもので、コーチングのプロセスを表します。

  • Goal(目標)
  • Reality/Resource(現実の把握)
  • Options(選択肢)
  • Will(意志)

GROWモデルでは、コーチがGROWそれぞれのステップで目的を明確にし、プロセスに沿って質問をします。

コーチングを受ける対象者は質問を通して自ら考えて答えを見つけられるようになるため、コーチの負担が軽減します。

GROWモデルを導入するメリットは、コーチング相手の主体性を尊重できることや、モチベーション・パフォーマンスを高められることです。

GROWモデルのメリット・デメリット

GROWモデルのメリットとデメリットとしては、以下が挙げられます。

メリット デメリット
部下の主体性向上:GROWモデルは部下自身が現状を分析し、目標や行動計画を設定するため、主体性が育まれる 時間がかかる:各ステップで深く考える必要があるため、非効率と感じられることがある
コミュニケーション改善:上司と部下の間で目標や現状を共有することで、相互理解が深まり、コミュニケーションが円滑になる スキル習得の必要性:効果的にGROWモデルを活用するには、コーチング技術や適切な質問を問いかける能力が必要
目標達成の効率化:具体的な行動計画を策定し、進捗を確認することで、目標達成までのプロセスが明確になる 相性の問題:全ての部下がGROWモデルに適応できるわけではないため、個々の性格や価値観によって効果が限定的になる場合がある

【ステップ別】GROWモデルの質問一覧

本章は、コーチング相手の目標達成をサポートするため、GROWの各ステップで必要となる質問例を一覧にしています。

ぜひ参考にしてみてください。

  • G:Goal(目標)
  • R:Reality/Resource(現実の把握)
  • O:Options(選択肢)
  • W:Will(意志)

G:Goal(目標)

Goalのステップで必要になるのは、コーチング相手が達成したい目標や理想を明確にしておくことです。

そのために必要な質問例として、以下のようなものが挙げられます。

  • あなたはどんな目標を達成したいですか?
  • その目標はなぜ重要なのでしょうか?
  • 長期的な目標は何ですか?
  • 目標に少し無理があるようなら、中間目標はどうしますか?
  • どのような状態なら目標を達成したと感じますか?
  • 目標は「誰とどこ」で達成していますか?
  • あなたは目標を達成したとき、どんな感情を抱くと思いますか?
  • あなたの目標はSMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性のある、期限の明確な)なものですか?

R:Reality/Resource(現実の把握)

Reality/Resourceのステップで必要となるのは、現在の状態を客観的に把握することです。

そのための質問例は、以下の通りです。

  • あなたは現在どのような状況にいますか?
  • 目標に対してどのくらいの進捗率ですか?
  • 現在、どんなことに挑戦していますか?
  • 他に誰かの影響を受けていますか?
  • どんな問題や不安がありますか?
  • 目標に対してもしすでに何かを試していたらどうですか?その行動によって何か変わりましたか?
  • どんなことに楽しみを感じますか?
  • もしこのままなら、自分にどんな影響がありますか?
  • もしこのままなら、周りにどんな影響が発生しますか?

O:Options(選択肢)

Optionsのステップで必要となるのは、コーチング相手が自ら選択肢を探求・創造し、自己選択することです。

Optionsの質問例は以下の通りです。

  • 目標に近づくためにどんな選択肢がありますか?
  • それぞれの選択肢のメリットやデメリットは何ですか?
  • その選択肢以外、他にもできることはありませんか?
  • 選択肢はどんな基準で判断しますか?
  • どんな人に相談して選択肢を考えますか?
  • どんなことに気をつけて選択しますか?
  • これは単独で達成できることですか?そうでない場合、誰かの助けが必要ですか?
  • 同じような状況で行動して、うまくいった方法はありますか?
  • もし才能がある人がいたとしたら、どんなやり方をすると思いますか?
  • 今まで試したことのない方法で、やってみたいですか?

W:Will(意志)

Willのステップで必要となるのは、明確で具体的な行動計画と目標を達成するための意志です。

Willの質問例には以下のようなものがあります。

  • どのような行動計画を立てますか?
  • 行動計画では、どんなことに優先順位をつけますか?
  • 行動計画で困難に感じることはありますか?
  • 行動計画を立てるとき、どんなことに支援が必要ですか?
  • いつから始めますか?
  • 1週間以内にやるとしたら、何ができますか?
  • 今すぐにできることが1つあるとしたら、それは何ですか?
  • 目標を達成したらどのような気持ちになりますか?

GROWモデル実践のためのポイント3つ

GROWという4つのプロセスを駆使してコーチング相手の目標達成をサポートするGROWモデルは、最も基本的で効果のあるコーチング手法です。

本章では、GROWモデルを実践するためのポイントとして以下の3つを解説します。

  • 必要なスキルを身につける
  • 相手の自己決定を尊重する
  • 継続的に実施する

1.必要なスキルを身につける

そもそも、コーチングとは目標を達成するために、相手のやる気と能力を引き出すコミュニケーション手法のことです。

コーチングを実践するために必要なスキルとして、コーチングの基本である「3つのスキル」と「3つの原則」があります。

「3つのスキル」とは、「傾聴スキル」「承認スキル」「質問スキル」のことです。

また、「3つの原則」とは「双方向(インタラクティブ)」「個別対応(テーラーメイド)」「現在進行形(オン・ゴーイング)」のことです。

最もベーシックな要素である「3つのスキル」と「3つの原則」は、研修やセミナー、書籍などによって身につけることができます。

また、自身がクライアント(=対象者)としてコーチングを受けてみてもいいかもしれません。

2.対象者の自己決定を尊重する

GROWモデルではコーチは対象者に一方的に助言や指示を与えるのではなく、対象者自身が自ら考えて答えを見つけることをサポートする必要があります。

コーチングでは、対象者が自分の目標や価値観に基づいて行動する主体性を育むことが重要です。

上司がコーチ、部下が対象者であれば、上司は部下の自己決定を尊重し、相手のペースや意思に合わせてコーチングを進めるようにしましょう。

3.継続的に実施する

GROWモデルを実践する際は、相手の目標達成のために継続的にサポートするようにしましょう。

 コーチングは、常にコーチング相手のペースで進んでいくため、効果が出るまでに時間がかかることがあります。

セッションは1回きりではなく、定期的に行うことでコーチング相手の進捗や成果を確認します。

必要があれば目標や行動の修正をサポートすることも大切です。

部下のモチベーションやパフォーマンスを高めるためにも、部下との信頼関係を今まで以上に築くことをおすすめします。

GROWモデルでコーチングするときの注意点

GROWモデルは、ただ導入するだけで成功するわけではありません。

適切な方法でコーチングを進める必要があります。

GROWモデルでコーチングするときの注意点としては、以下の3つが挙げられます。

  • 部下の主体性を重視する
  • 双方向のコミュニケーションを意識する
  • 継続的に実施する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

注意点1.部下の主体性を重視する

GROWモデルでコーチングするときの注意点として、部下の主体性を重視することが挙げられます。

基本的にコーチングでは、上司が部下に対して意見を押し付けるのはNG。部下の主体性が失われ、モチベーションが大きく低下するためです。

GROWモデルで重要なのは、部下の「自己決定感」であることを意識しましょう。

GROWモデルでコーチングを進める際は、あくまでも「G・R・O・W」の質問で、部下の考えを引き出すことを目標にすることをおすすめします。

注意点2.双方向のコミュニケーションを意識する

GROWモデルでコーチングする際は、双方向のコミュニケーションを意識するようにします。

上司と部下という関係上、コミュニケーションでは上司が部下に対して一方的に話しがちになってしまうので、コーチングにおいては部下からの発言を促す必要があります。

部下としては「上司から意見を押し付けられている」と感じてしまうため、自己決定感が失われ、主体性が維持できません。

理想は、会話全体の中で部下が6~7割程度発言している状態です。

コーチ役の上司は聞き役に徹して、部下の目標・行動計画を引き出すように工夫しましょう。

注意点3.継続的に実施する

GROWモデルを用いたコーチングは、継続的に実施するのがポイントです。部下が主体的に行動できるようになるまで、一定の頻度でコーチングを実施します。

そのためにも、GROWモデルで策定した目標には明確な期限を設けるようにしましょう。

目標期限のあとにコーチングを実施することで、PDCAサイクルが回ります。

また、次回のコーチングの日時も決まるので、継続的に実施しやすくなるでしょう。

GROWモデルは継続的に実施することがポイントです。あらかじめスケジュールをおさえておき、コーチングのための時間を確保しておきましょう。

GROWモデルの活用事例集

GROWモデルはさまざまな業界で活用できます。

  • 製造業:マネージャーやリーダー層にGROWモデルを活用したコーチング研修を実施し、組織風土を改善することが可能
  • IT業界:新入社員研修にGROWモデルを実施することで、IT業界で必要不可欠となる「自己成長力」や「独学力」が身につくようになる
  • 営業部門:GROWモデルを用いたコーチングを導入することで、自分の目標が明確になり、効果的な営業戦略を構築可能になる
  • 教育業界:生徒の自主的な学習を促すためにGROWモデルを活用可能。主体的な学習態度を育成できる
  • 医療業界:医師や看護師のストレスマネジメントのためにGROWモデルを導入。医療従事者のモチベーション向上に繋がる

このようにGROWモデルは、多様な業界および役職の方々に応用が可能です。

GROWモデル以外のコーチングモデル

GROWモデルはコーチングの最も基本的な手法ですが、コーチングには他のモデルも存在します。

そこで、本章ではGROWモデル以外のコーチングモデルを3つ解説します。

ビジネスシーンにおいて活用できるモデルとなっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • CLEARモデル
  • OSKARモデル
  • SCARFモデル

1.CLEARモデル

CLEARモデルとは、コーチングのプロセスを5つのステップに分けたモデルのことです。

CLEARは、それぞれ以下の頭文字を取ったものとなっています。

  • Contract(契約)
  • Listen(傾聴)
  • Explore(探求)
  • Action(行動)
  • Review(振り返り)

CLEARモデルは、初めにコーチとクライアントがコーチングの目的や期間、方法などを明確にすることがポイントです。

その後、CLEARの順にコーチングを行っていくことで明確な目標達成が可能となります。

2.OSKARモデル

OSKARモデルとは、「ソリューションフォーカスドコーチング」という手法に基づいたモデルのことです。

OSKARは、それぞれ以下の頭文字を取ったものとなっています。

  • Outcome(目標)
  • Scaling(尺度)
  • Know-how(ノウハウ)
  • Affirm and Action(肯定と行動)
  • Review(振り返り)

OSKARモデルでは、コーチがクライアントの望む未来を描き、現状とのギャップを数値化します。

クライアントは自分の強みや成功体験を活用して行動計画を策定し行動。行動後には、振り返りを行います。

OSKARモデルでコーチは、クライアントの行動計画策定をサポートすることが大切です。

3.SCARFモデル

SCARFモデルは、アメリカのコンサルティングファームNeuroleadership InstituteのCEO、デイビッド・ロック博士が開発したモデルです。

SCARFとは、以下の頭文字をとったもので、脳内で「恐怖」「報酬」の両反応を引き起こす可能性のある5つの要素を表しています。

  • Status(状態)
  • Certainty(確かさ)
  • Autonomy(自律性)
  • Relatedness(関係性)
  • Fairness(公平性)

SCARFモデルは、チーム内でなぜ不安や恐怖を引き起こす関係が生まれるか、洞察を得るうえで有効的です。

また、チームリーダーがメンバーを安心できる状態にするために、どのような質問やコミュニケーションをとるべきかを示す指針としても使えます。

GROWモデルを活用して効率よく人材育成を行おう

今回は、GROWモデルについて実践のポイントやステップごとの質問例を解説しました。

GROWモデルは、社員や部下のやる気や能力を引き出せる基本的なコーチング手法なので、人材育成にも役に立ちます。

ぜひ本記事を参考に、GROWモデルを活用した効率のよいコーチングを行ってみてはいかがでしょうか。

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