今回は、不動産業界における組織課題の解決方法について考えていきます。
目次
不動産業界の特性
不動産業界では、慢性的な人手不足が課題として挙げられます。
特に不動産仲介に関しては、結果に応じた出来高制を採用している会社が多く、結果を残せない社員の退職が後を絶ちません。
また、能力の高い人はどんな会社でもやっていけるので、条件のよい会社を見つけたらすぐに移ってしまいます。
そもそも、不動産仲介業は商談難易度が高く、一人前になるまでに時間がかかります。
属人的な業務のため、歩合率が高い会社に人が流れやすいことが不動産業界の特性として挙げられるのです。
また、極力接触を伴わない営業や接客が一般的となった現在、AIを使った不動産査定や、IoT・VRを利用したバーチャル内覧なども話題になっています。
このように、新技術を導入して消費者に対するサービスの質を向上させていくことで、不動産業の信頼産業としての側面を際立たせることが求められているのです。
そのためには、いち早い環境整備と技術の導入を牽引できる人材の確保、育成が必要になってきます。
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四つのチェックポイント
このような組織課題の解決は可能です。
まずは、以下の四つのチェックポイントで現状を把握してください。
所属意識
所属意識とは「会社の一員である」という感覚です。
「上司と馬が合おうが合わなかろうが、上司の求めてくる内容がやりたいことであろうがなかろうが、上司の求めることを達成しないとお給料は貰えない」。
この事実を正しく認識できているかが、所属意識が醸成できているかの基準です。
例えば、上司が何か指示するとできない理由や文句ばかり言う社員、誰もが守れる社内の決まり事をいつも守らないメンバーなどがいたら要注意です。
コミュニケーション
直属の上司以外からの指示、所属部署以外から指示が日常的に行われているかを見ましょう。
特にNGなのが「一個飛ばし」です。
これは、社長-部長-社員といった階層組織において、社長が部長を飛び越して社員へ指示する、社員も報告や相談を部長ではなく社長へ直接するコミュニケーションです。
予算の進捗を確認する会議において、社長-部長-メンバーが一堂に会する会議運営や階層の枠を超えてやり取りできる社内コミュニケーションツールを活用している場合も然りです。
その瞬間におけるスピード性、情報の正確な伝達の重視、気兼ねなく意見を言い合える組織文化の醸成の観点から上記のような運営を行っている企業はとても多いです。
この何気ないコミュニケーションが本来あるべき指示命令系統を歪ませ、組織内にロスタイムを発生させているのです。
評価制度
あなたの会社に評価制度はありますか。
その評価制度の項目にやり方やプロセス、行動を評価するような定性的な項目が存在していませんか。
社内に結果を重視する管理職とやり方・プロセス・行動も重視する管理職が混在していませんか。
定性的な評価項目がある場合、評価を確定させるのは必ず評価者間でのすり合わせが必要となり、最終的には社長の決断で確定させる運用になります。
最終評価者である社長に人として気に入られることを求めている職場となります。
被評価者にしてみれば、何をしたら評価を獲得できるのか分かりません。
常に迷いながら、不安を抱えながら仕事をせざるを得なくなります。
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管理
管理とは日々行っているマネジメントのことです。皆さんの会社内の管理者は普段部下の何を管理していますか。
やり方・プロセス・行動を管理している上司はいませんか。
これらを管理すると、部下側、上司側の双方に弊害が発生します。
部下側への弊害は、指示待ち人間が生まれやすいこと、目標未達の場合に他責になりやすくなることです。
上司側への弊害は、現場仕事が減らずに上司としてやるべき仕事を果たす時間が確保できなくなることです。
部下と上司の双方に成長機会がないことになります。
組織課題の解決
組織課題を抱えている企業は上記四つのいずれかにチェックが入ったはずです。
これからはそれぞれのチェックポイントの解決策をお伝えします。
所属意識の醸成方法
2人以上が共通の目的に向かう場合、所属意識の醸成は必須になります。
所属意識が醸成されていない組織ではPDCAが回りません。
その組織はいつか消滅してしまいます。
所属意識を醸成するには、誰もが能力を必要とせず守れるルールを設定し、それを100%遵守する管理をしてください。
まずは、多くても五つ位に限定してルールを設けましょう。そして、そのルールの違反発見回数=指摘回数の管理を行ってください。
守れない理由のないルールですので、ルール化後1カ月以内にはメンバーの遵守率100%を達成するようにしてください。
正しいコミュニケーションの仕組化と運用
組織を発展させようとするのであれば、全てが役割で運用されていなければなりません。
人柄=カリスマ性、年齢、性別、専門性、学閥などが組織運営の秩序となっている状態では駄目です。
そこで、組織図を正しく作成しましょう。
上司は1人とし、兼務の場合には、業務毎の上司を1人に定めてください。
次に、社員それぞれの役割を設定します。
全ての業務がその役割に帰結するのが正しい状態です。
メンバーに期待する内容をいつまでに(期限設定)、どのような状態(結果設定)にするか明文化してください。
社内における仕事上のコミュニケーションは直上司-直部下の間のみで交わされる運用に変えてください。
一個飛ばしは厳禁です。一個飛ばしを行うと中間管理職が育ちません。
現場メンバーにとっても上司が2人いる状態となり、どちらの言うことを聞くべきか分かりません。
評価の仕組み化と運用
評価は代表が目指すべき方向へメンバーを向かわせるためのものです。
よって、メンバーは日々評価項目を意識して仕事をする状態が正しいと言えます。
そして、その仕事の結果に対する評価の解釈は、結果が出次第上司と部下とですり合わせせずとも一致することが必須です。
評価項目を多くても五つに限定してください。理想は三つです。
全ての評価項目は結果で評価する運用にし、結果に至るやり方やプロセスは評価してはいけません。
会社の評価者は市場です。市場はやり方やプロセスがいかに素晴らしくても、結果を出さなければ評価してくれませんよね。
定性的な評価項目ではすり合わせが必要となります。
すり合わせしないと評価が確定しない状態では、メンバーは自身の仕事振りを他人に確認しないと評価できない日々を送っていることになり、常に不安を抱えながらの仕事を強いられていることになるのです。
正しい管理手法の統一
管理も評価同様に結果だけを見るようにしてください。
顔を合わせる期間が長くなると情が沸いてきて、ついついやり方やプロセスを管理してしまう上司が多いです。
仕事は役割で行うのが正しいので、全上司がその役を演じ切ることに集中しましょう。
組織課題の解決は上記に示した順番が大切です。すなわち、
- 所属意識の醸成
- 正しいコミュニケーションの仕組化と運用
- 評価の仕組み化と運用
- 正しい管理手法の統一
の順番です。
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