企業やチームをマネジメントする上では、従業員のエンゲージメントを高めることが非常に重要です。
しかし「部下の仕事への意欲が感じられない」「チーム内の仕事に対する温度差を感じる」「従業員が定着しない」という悩みを抱える経営者やリーダーも多いのではないでしょうか。
問題は企業によってさまざまですが、原因の一つとして挙げられるのが従業員のエンゲージメントの低さです。
この記事では、エンゲージメント向上のためのマネジメント方法や成功事例について紹介します。
マネジメント方法を理解できれば、活気あふれる職場づくりへの大きな一歩を踏み出せるようになります。
※この記事は一般記事です。弊社識学では部下のエンゲージメントを考慮しないマネジメントを推奨しています。詳細は下記の記事をご覧ください。
目次
エンゲージメントを高めるマネジメント方法
エンゲージメントを高めるには、以下4つのマネジメント方法があります。
業績にも関わる重要な内容のため、1つずつ目を通してください。
- 目標を共有する
- ワークライフバランスに配慮する
- 成長の機会を提供する
- 正当な評価(フィードバック)をあたえる
目標を共有する
経営者と従業員が適切な量の情報を共有し、透明性を確保して初めてチーム全体が同じ目標に向かって動き出します。
チームの一人ひとりが業務と目標を結び付ける手段を持ち、担当業務の目標達成や成功がどのように事業に貢献しているかを理解できると、業務へのモチベーションが上がります。
また、目標達成のために互いに協力し合えば、良好な人間関係が築かれ企業への帰属意識が高まり、エンゲージメント向上につながるでしょう。
関連記事:目標管理の5つのコツ|組織の目標達成とメンバーのモチベーション向上を図る方法を紹介
ワークライフバランスに配慮する
ワークライフバランスとは「仕事と生活の両立」を意味し、エンゲージメントを高める上で重要な要素です。
理由として、プライベートの充実が業務の生産性向上につながったり、多様な働き方が可能となったりすることで、離職率の低下が期待できる点が挙げられます。
さらに、従業員が各自のライフステージに合った働き方を選べる仕組みづくりや、残業が生まれないための業務改善ができれば仕事と生活の好循環が生まれるでしょう。
ワークライフバランスの推進は、エンゲージメントを高めるために欠かせない取り組みといえます。
関連記事:ワークライフバランスとは?従業員や企業のメリットや注意点、導入事例を徹底解説!
成長の機会を提供する
従業員に対し、現在より上流の仕事を任せてスキル向上につなげましょう。
すると、担当業務をやりきって得られる達成感や、成功体験が従業員の成長につながり、結果として自社の生産性向上につながります。
そのためには、日ごろから従業員に向き合ってコミュニケーションの機会を作り、一人ひとりの個性や能力を発揮できる分野を理解しておく必要があります。
たとえば、スキルや課題、挑戦する機会のタイミング、休息などのバランスを考慮して、適切な仕事を割り当てることが大切です。
正当な評価(フィードバック)をあたえる
従業員が企業の経営者に求めているのは、古くからある年功序列の評価ではなく、成果を正しく評価してもらえるかどうかです。
従業員は、努力や成果に対して感謝を伝えられると、自分の価値を実感でき、モチベーションアップやさらなる努力への原動力となります。
フィードバックで重要なのは、他者との比較ではなく「過去の自分よりも成長したポイントは何か」を丁寧に伝えることです。
こまめなフィードバックで適切なアドバイスができ、従業員も自信をもって業務に取り組めるため、よりエンゲージメント向上の効果が期待できます。
参考記事:部下への正しいフィードバック方法とは?手順やポイント、注意点を解説
エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、社員一人ひとりが企業の戦略や目標を理解して積極的・自発的に行動し、企業と従業員がお互いに成長できる状態を指します。
経営に重要な要素として近年注目されています。
エンゲージメントが高いと生産性向上や離職率の低下、長い目で見れば業績アップにつながるため、期待感の表れともいえるでしょう。
たとえば、従業員が職場環境や労働条件に満足していると「もっとこの企業に貢献したい」と意欲や情熱をもって働けるため、結果として生産性が上がり業績の向上につながります。
よって、企業の成長にエンゲージメント向上は欠かせません。
関連記事:エンゲージメントとは?|ビジネスにおけるエンゲージメントの意味や高め方、調査方法を解説
スタッフのエンゲージメントが低下する3つの理由
従業員エンゲージメントが低下する理由は以下の3つです。
業績や生産性の向上につなげるため、該当する場合は改善しましょう。
- 縦割りの組織
- 人事評価の曖昧さ
- コミュニケーションの少なさ
縦割りの組織
組織が大きくなるにつれて、組織形態は複雑化し縦割り化が進みます。
縦割り化が進むと、他部署がどのような業務を行っているのか把握が困難となるだけでなく、ルールや手続きが増え続け、確認や調整のために多くの時間も必要となるでしょう。
業務が細分化され縦割り化されると、顧客の顔が見えにくくなるだけでなく、いま自分が誰のために仕事をしているのかが分からなくなり、従業員のモチベーション低下にもつながります。
横断的な仕組みの導入について検討すると、事態の改善に効果的です。
人事評価の曖昧さ
年功序列の評価制度で個人の成果が適切に評価されない状態は、従業員の行動意欲やチャレンジ精神を阻害します。
正当な人事評価が受けられない従業員は「努力を認めてくれない」「貢献しても意味がない」と、徐々に上司や企業自体に不信感を抱くようになります。
従業員がチャレンジする場を与え、成果に合った正当な評価をしましょう。
評価の手段は報酬だけでなく、表彰やサンクスメッセージといった金銭的な手段以外でも可能です。
コミュニケーションの少なさ
従業員同士のコミュニケーションが少ないとエンゲージメントが低下します。
なぜなら、コミュニケーションが少なく仲間意識が薄れると、互いに助け合ったり相談したりする関係を築けず、企業に対する信頼や愛着が芽生えないためです。
たとえばプロジェクト内で問題が起きた場合、普段から円滑なコミュニケーションがとれてないと相談や報告に時間がかかってしまうため生産性の低下も危惧されます。
社内コミュニケーションの少なさは、エンゲージメント低下の大きな要因です。
マネジメントにおけるエンゲージメント向上のメリット
エンゲージメント向上のメリットは以下の3つです。
効果を理解し業績アップにつなげましょう。
- 離職率が低下する
- 生産性が上がる
- チームのモチベーションが上がる
離職率が低下する
労働観の変化に伴い、最近では優秀な人材ほどより条件の良い企業に転職する傾向にあります。
エンゲージメントが高まれば、企業理念への理解が深まり企業と従業員との間で信頼関係が生まれるでしょう。
従業員が「可能な限りここで長く働きたい」と思う職場環境や信頼できるつながりが、優秀な人材の流出を防ぎます。
また、離職率を抑えるだけでなく、働きやすさが話題となれば新たな人材確保にもつながります。
生産性が上がる
エンゲージメントが上がると生産性が上がります。
その理由は、従業員のエンゲージメントが高いと自発的な努力や工夫ができ、指示された内容以上の成果を出せるためです。
エンゲージメントが高い従業員が増えると企業は活気あふれる場となり、お互いに切磋琢磨しあうため生産性の向上に結びつきます。
生産性と業績を上げるためにも、エンゲージメントの向上は大切です。
チームのモチベーションが上がる
従業員エンゲージメントを高めると、従業員は自分の仕事に価値を見出せます。
すると、一人ひとりが仕事に働きがいとやりがいを感じ、プライドや誇りをもって業務にあたれるようになります。
企業やチーム全体のモチベーション向上にとって重要なポイントです。
また、モチベーションが上がった従業員は、より効率的に生産性を上げる方法を自発的に考えるようにもなるため、結果として企業経営に良い影響を与えてくれます。
エンゲージメントを高めた2つの成功事例
エンゲージメントを高めることに成功した2社の例を紹介します。
考え方や具体的な取り組み内容を参考にしましょう。
- スターバックスコーヒージャパン株式会社
- 株式会社LIXIL
スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
スターバックスでは、マニュアルではなくエンゲージメントを重視し、企業としての一体感の形成に成功しています。
企業が大切にしている価値観に従業員が共感した結果、企業と従業員との間に強いつながりができ、企業とともに成長したいという従業員の内発的動機が生まれました。
価値観の共有によって、スターバックスならではのカップに書かれたメッセージやイラスト、ドリンクカスタマイズの提案といった顧客満足度の高いサービスだけでなく、従業員エンゲージメント向上につながった好事例です。
株式会社LIXIL
LIXILではデジタル変革によって、従業員エンゲージメント向上と顧客志向の両立に成功しています。
プラットフォームの導入でエンドユーザーとの接点が増え、生の声を現場で働く従業員にリアルタイムで届けられるようになりました。
すると、エンドユーザーの気持ちに寄り添ったサービス提供だけでなく、従業員が必要としているサポートにも迅速な対応が可能となり、従業員エンゲージメントも向上しました。
まとめ
エンゲージを高めることで、企業全体のモチベーションが高まったり、生産性が向上したりと、多くの効果が期待できます。
具体的なマネジメント方法は企業の規模や状況によってさまざまですが、おさえるべきポイントは共通です。
具体的には、目標の共有やワークライフバランスへの配慮、適切なフィードバックなどが挙げられます。
一つひとつの改善が積み重なると、歯車が良い方向に回りだし加速できるでしょう。
まずは、企業と従業員が同じ方向を向いて進めるように、現在の組織体制や人事評価が適切かどうかを見直してください。
思いを共有し同じ目標に向かって一体となって働くことを目指し、従業員のエンゲージメント向上、そして業績アップへとつなげましょう。