少子高齢化による労働力人口の減少は、どの企業も頭を抱えている課題です。
とはいえ、すぐに社員を増やすことは難しいため、「従業員の生産性向上」を重要視している会社も多いでしょう。
そんな中、従業員の生産性を向上させる方法として「マインドフルネス」が注目されています。
本記事では、マインドフルネスの効果や方法、注意点を解説します。
目次
マインドフルネスとは「自分を客観視する技術」
注意が散漫な状態や集中力がない状態のことを「マインドレスネス」と呼びます。
現代は「ストレス社会」ともいわれるほどストレスを感じやすい社会であり、ストレスによってマインドレスネスに陥っている方が多くいます。
例えば下記のような状況で、終わった過去やまだ起こっていない未来について考え、自分を責め立てて、ストレスとなっている方も多いのではないでしょうか。
- 「明日締切のものが終わっていない。本当に自分ってだめだなぁ」
- 「あんなことしなければよかった。嫌われていたらどうしよう」
マインドフルネスは「自分を客観視」できるようになる技術です。
未来や過去を考えるのではなく「今」を考えるように意識することで、今の自分を客観視して、物事を冷静に判断できるようになるのです。
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マインドフルネスの効果
マインドフルネスの効果は下記3つです。
- 集中力の向上
- セルフマネジメントの向上
- ストレスの緩和
集中力の向上
急に頼まれる仕事や人からの意見など、社会で生きているとすべてを自分で決められるわけではありません。
ペースを乱されることが大いにあり、集中力が続かないことを悩んでしまう方も多いでしょう。
マインドフルネスは雑多な思考を捨てて「今」に深く集中することを目的としています。
継続して行うことで、現在向き合うべき目標に集中することがクセ付けられ、他人のペースや出来事に惑わされることが少なくなる効果が期待できます。
セルフマネジメントの向上
セルフマネジメントとは、目標達成のために自身の思考や行動を管理することです。
一度決めた目標をやり遂げられるのは素晴らしいことです。しかし、誰しもが状況によって下方修正したり諦めたりして、自分を責めたことがあるのではないでしょうか。
マインドフルネスは、自分から湧き出たネガティブな感情を素直に見つめます。
自分の気持ちを素直に受け入れ、目標を見直すことで、今の感情や状況を冷静に判断できるようになり、最も適切な目標を設定できるでしょう。
関連記事:セルフマネジメントとは?根性との違いや習得の方法などを解説します
ストレスの緩和
「あの時ああしていれば」「失敗するかもしれない」など、人間が感じるストレスの多くは、過去や未来の出来事に関するものです。
しかし、自分がどうしようもないことばかりに目を向けていても仕方がありません。
マインドフルネスを続けることで、今の感情や現在起こっている出来事に対して集中するクセがつきます。
そのため、ストレスを感じることが少なくなるのです。
また、自分の感情を客観視できるようになるため、怒りや悲しみといったネガティブな感情に振り回されることも少なくなります。
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マインドフルネスの方法
マインドフルネスは下記のような流れで行います。
- 姿勢を整える
- 呼吸を整える
- 目を閉じて呼吸に集中する
どれも時間が決まっているわけではないため、1分程度から始めて慣れてきたら徐々に時間を伸ばしていくとよいでしょう。
より効果的に集中できるよう、ポイントを紹介します。
①姿勢を整える
姿勢を整えることで体が無意識に行っている緊張をほぐし、リラックスした状態で行えます。立位、座位どちらでも可能です。
「天井から吊るされた糸が、頭部に吊るされているイメージ」で背骨をしっかりと伸ばすことがポイントです。
首や肩に余計な力が入っていないか、背骨が気持ちよく伸びているかを確認しましょう。
②呼吸を整える
無意識に行っていた自分の呼吸に意識を集中させます。
鼻呼吸で行うのが一般的です。
呼吸を意識することで「頭で思考を巡らせている状態」から「身体の状態」へ意識の移行が可能になり、「今」に意識を向ける感覚を掴みやすくなります。
ただし、意識しすぎるあまり不自然な呼吸になっても集中できなくなるため、自然なペースの呼吸を心がけましょう。
③目を閉じて呼吸に集中する
自分の意識を呼吸に集中させて、鼻からの空気の流れにだけ注意を向けましょう。
続けているうちに、考え事や外の音など雑念が生まれることもありますが、それも客観的に見つめ意識を呼吸に戻します。
感情や思考に意識を取られずに呼吸への意識を繰り返すことで、何度も「今」に集中する練習ができます。
マインドフルネスを効果的にするポイント
マインドフルネスは下記の3点に注意することで、より効果的になります。
- 取り入れる目的を決める
- 厳密に行わない
- すぐに効果を期待しない
取り入れる目的を決める
マインドフルネスに限ったことではありませんが、目的を明確にすることで取り組む意識も変わり、効果も感じやすくなります。
例えば、下記のような目的があるでしょう。
- メンタルケアのため
- 集中力を向上させるため
- 新しい環境でも最大のパフォーマンスを発揮できるようになるため
マインドフルネスは、何度も繰り返すことでクセづいていきます。
3日坊主にならないよう、仕事や私生活で重要度の高い目標にしておきましょう。
厳密に行わない
マインドフルネスを行う際、静かな部屋できちんと時間をとって、落ち着いて行うというイメージを抱きがちです。
しかし、毎日上記のような状況、時間を確保しようとするとハードルが高くなり、継続できなくなります。
効果を感じるためには、継続が最も重要です。
状況や時間を厳密に決めて行うのではなく、通勤電車の中で行ったり、時間がない日は1分間だけ行ったりして、「正しい方法」よりも「継続」を意識して行いましょう。
すぐに効果を期待しない
マインドフルネスの効果は、実感するのに時間がかかると言われています。
個人差が大きいため一概には言えませんが、一日で効果がある方もいれば数週間継続してもあまり効果が感じられないという方もいます。
すぐに効果を実感できると思わず、生活の一部として取り入れて継続していきましょう。
また、効果を感じられるようになったからといって、すぐに止めてしまうと感覚を忘れてしまい、元の状態に戻る可能性があります。
効果を維持するためにも引き続き継続しておきましょう。
マインドフルネスの注意点
良い点の多いマインドフルネスですが、下記のような注意点もあります。
- 不安が増大する可能性がある
- マインドフルネス自体がストレスになる可能性がある
デメリットを押さえた上で実行しましょう。
不安が増大する可能性がある
マインドフルネスは自分の悩みや不安と直接向き合うため、実践前よりも繊細で不安になる可能性があります。
ただし、不安になった後も続けていれば、ネガティブな感情に圧迫されるのではなく、徐々にきちんと自分を受け入れることができていくでしょう。
不安になることは人間に備わった機能であるため、仕方のないことです。
しかし、マインドフルネスを継続していくことで、そういった不安も乗り越え、物事を前向きに捉えるようになります。
マインドフルネス自体がストレスになる可能性がある
「正しい方法でできているのか」「効果が出ているのか」などと考え、マインドフルネス実践中にも不安な感情が生まれてしまいます。
さらに、忙しいと行うことが難しいため、継続できないことで自分を責める方もいるでしょう。
マインドフルネスを始める前より体調が悪くなるケースもあります。
ストレスを感じている場合は、マインドフルネスを中断することも考えておきましょう。
まとめ
マインドフルネスは、気持ちを整理し心身を健康に保つ手法です。
ストレスを感じやすい現代社会において、ビジネスマンの大きな味方となるでしょう。
しかし「正しい方法」や「効果」に期待しすぎると、継続できず辞めてしまう可能性もあります。
マインドフルネスは、継続してこそ効果を感じやすくなるものです。
最初から完璧を目指すのでなく、1分程度の短時間から始めて「継続できるか」で判断しましょう。