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社員満足度、従業員満足度(ES)とは?事例や調査の方法、ES向上のための取り組みを紹介

社員満足度とは

少子高齢化による労働人口の減少や感染症流行の影響により、さまざまな企業や組織で人手不足、人材不足が深刻となっています。

そういった背景では、従業員満足度を高めることは従業員の採用や定着率の向上、人材確保のためにも重要です。

本記事では、従業員満足度が高い企業の事例と調査方法、従業員満足度向上のためにできる取り組みを紹介します。

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社員満足度、従業員満足度とは

社員満足度、従業員満足度とは、会社や組織などで働く従業員が“自分の会社や組織に対してどのくらい満足しているか”を表したものです。

従業員満足度は、英語で「Employee Satisfaction」、頭文字を取ってESと略されます。

ESの要素は、職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論である、ハーズバーグの「二要因理論」で説明が可能です。

この二要因理論では、満足に関わる「動機付け要因」と、不満足に関わる「衛生要因」が存在します。

  • 「動機付け要因」:達成すること、承認されること、仕事そのもの、責任、昇進 など
  • 「衛生要因」:会社の施策と管理方式、監督、給与、人間関係、労働条件 など

「動機付け要因」がより高い業績へと人々を動機づける要因、そして「衛生要因」が仕事の不満を予防する働きを持つ要因として、従業員の満足度に作用するのです。

参考:ハーズバーグの二要因理論|インヴィニオ リーダーシップインサイト

従業員満足度が重視される背景

従業員満足度が重視されている背景として、以下の3つの理由が挙げられます。

  • 少子高齢化による人手不足
  • キャリアプラン・働き方の多様化
  • 業績アップに貢献する

働きがいと働きやすさ

引用:今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業(平成27年度)の報告|厚生労働省

厚生労働省の調査によると「働きがい」や「働きやすさ」がある方が「働きがいがない」や「働きやすくない」よりも、従業員の勤続意向が高くなっています。

労働人口が減少し、人材確保が困難な企業も多くなっている中では、「働きやすい・働きがいのある職場づくり」を行い、従業員の働く意欲を向上させ、定着させることが大切です。

さらに、働き方改革によってキャリアプランに対する選択肢や働き方が多様化していることも忘れてはいけません。

企業は従業員のキャリアプランに応じることで、離職を防止し、採用や人材を育成するコストを削減する必要もあります。

関連記事:離職率を改善!業績アップにもつながるモチベーション管理方法を解説

従業員満足度(ES)と顧客満足度(CS)の関係性

従業員満足度(ES)と顧客満足度(CS)は相関関係にあるとされています。

顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、顧客が“その企業の製品やサービスに対してどのくらい満足しているか”を表したものです。

従業員満足度を高めることでサービスの品質や価値が向上し、顧客満足度によい影響を与えます。

そして、顧客満足度が高まることで売上や利益が向上し、業績アップにつながります。

この一連の流れは好循環を生み「サービス・プロフィット・チェーン(SPC)」と言われ、注目を集めています。

従業員と顧客の満足度

引用:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

他にも、厚生労働省の調査によると「従業員と顧客満足度の両方を重視する」企業は 「顧客満足度のみを重視する」企業と比べ、売上高営業利益率、売上高 ともに「増加、増加傾向」にある割合が高いです。 

業績アップのためにも、顧客満足度だけを重視するのではなく、従業員満足度も重視した対策や取り組みを行うことが大切と言えます。

従業員満足度の調査方法

従業員満足度向上のために、まずは従業員満足度の調査方法や内容、結果に基づいた分析・対策が行われているかなどの見直しが必要です。

従業員満足度は、一般的にはアンケート調査によって測定します。

  1. 調査の目的を明確化する
  2. 設問を策定する
  3. 実際に調査し、分析する
  4. 課題を見つけ対策を行う
  5. 対策が有効か継続してチェックする

この章では、アンケート調査のやり方とあわせて注意点を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

1.調査の目的を明確化する

まずは自社が従業員満足度を調査する目的を明確にしましょう。

従業員満足度の調査を行う目的は企業によってさまざまですが、以下のような例が挙げられます。

  • 従業員の生産性向上
  • 離職率の低下:〇%から〇%(具体的な数字を挙げ)にする
  • 社内制度の見直しや福利厚生の整備のため など

従業員満足度調査を行えば、組織の課題や改善点が見つかります。

調査は、新制度を作りたい場合や従業員がどのような福利厚生を望んでいるか知りたい場合にも有効です。

従業員満足度調査を行うことを目的とするのではなく、従業員満足度を向上させるための手段として調査を行うことを覚えておきましょう。

2.設問を策定する

調査の目的を明確にしたら、調査項目を設定していきます。

まずは自社の課題や改善点を事前に挙げて仮説を立て、その仮説を元に施策を策定します。

立てた仮説を検証する項目と、策定した施策に効果があるか確認する項目に分け、設問を策定していきます。

設問が完成したら調査の回答形式や調査自体の方式を検討しましょう。

過去に従業員満足度調査を行ったことがあれば応用も可能です。

一度も従業員満足度調査を行ったことがなく、知見がない、調査の実施に不安があるという場合は、外部委託も視野に入れましょう。

3.実際に調査し、分析する

準備が整ったら実際に調査を行い、結果を分析します。

弊社・識学が2022年に行った「社員満足度調査に対するエンゲージメント調査」では、満足度調査の回答で本音を書いたことがあるかどうかの質問に関して、77.6%が「本音以外を書いたことがある」、「少しある」と回答しています。

従業員満足度向上のためには正確なデータが必要です。

調査をアンケート形式で実施するのであれば、匿名性が担保されていることや評価や評定に影響しないことを明記することも重要と言えます。

4.課題を見つけ対策を行う

課題や改善点を調査結果から見つけ、対策を講じることは、従業員満足度調査のなかでも最も大切な部分と言えます。

調査項目として仮説や施策を設定しておくのは「本当にその仮説が正しかったのか」「従業員が求めている施策なのか」を調査結果から導き出すためです。

調査結果や対策が決定するまでの過程を公開し、従業員に周知させることで、回答者側による従業員満足度調査の形骸化も防げます。

5.対策が有効か継続してチェックする

実施中の対策を見直したり、従業員満足度調査の頻度を検討したりすることも重要です。

実際に弊社が行った調査では、満足度調査でどのような点に不満を感じたことがあるかの質問に、「調査結果が仕事内容や職場環境の改善に反映されない」が50.3%と最多回答となっています。

「調査」「分析」「施策の実施」「施策の改善」とPDCAサイクルを回していき、最終的に従業員満足度が向上し、目的が果たせるような取り組みを継続するようにしましょう。

従業員満足度を上げるには?ES向上のためにできる取り組み

厚生労働省は、従業員の意欲・業績アップ・人材確保には、従業員の視点に立った「魅力ある職場づくり」が有効であるとしています。

「魅力ある職場づくり」すなわち、従業員満足度を上げるためにできる取り組みを3つ紹介します。

  1. 経営方針やビジョンを従業員に浸透させる
  2. 職場環境の改善
  3. 賃金・評価制度の見直し

1.経営方針やビジョンを従業員に浸透させる

厚生労働省の調査によると、従業員満足度と顧客満足度の両方を重視している企業は、経営に関する考え方や取り組みにおいて「経営ビジョンがあり、従業員に浸透している」の割合が高いです。

経営方針やビジョンが広く社内に浸透し、共感する従業員が増えれば、従業員満足度向上に関する以下のような効果が期待できます。

  • 従業員の自律性の向上
  • 従業員の価値観の統一
  • 組織としての一体感が生まれる
  • 離職率の低下

経営方針やビジョンを浸透させるためには、経営陣が手本となって行動したり、ビジョンに合わせて社内制度を整えたりするとよいでしょう。

参考サイト:「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」|厚生労働省

関連記事:ビジネスにおける理念とは?企業理念・経営理念の目的やメリット、混同されがちな言葉との違いを解説

2.職場環境の改善

従業員の「働きがい」「働きやすさ」意識を高めるためには、従業員が自己効力感を持てるように職場環境を整え、雇用管理を行う必要があります。

従業員の雇用管理、職場環境づくりの例として、以下のようなものがあります。

  • 従業員に仕事の意義や重要性を説明する機会をつくる
  • 提案制度などによって従業員の意見を吸い上げる
  • 従業員の希望ができるだけ尊重される配置をする
  • 従業員の希望に応じ、特定のスキルや知識を学べる研修を行う 
  • 経験が浅い従業員に責任ある仕事を任せ、裁量権を与える
  • 上司以外の先輩担当者(メンター)による相談 など

すべて出来ているという場合は、次章で説明している「賃金・評価制度の見直し」も参考にしてみてください。

関連記事:生産性向上につながるオフィス環境とは?オフィスの重要性や生産性が低いオフィスの共通点を解説

3.賃金・評価制度の見直し

休暇や労働時間、給与や賞与などの労働条件や、給与アップにもつながる評価制度が良好である企業の方が、「働きやすい」と感じる従業員が多い傾向にあります。

労働条件の見直しや評価制度を整備するためにできる取り組みとして、以下のようなものがあります。

  • 能力評価制度の導入
  • スキルや成果に応じた報酬制度の制定
  • 賃金テーブルの整備
  • 人事評価シートによる客観性の高い人事考課制度
  • 退職金制度の導入 など

従業員満足度向上のためにやるべき取り組みは、企業ごとに異なります。

自社の強みや特色を生かし、従業員の視点に立った施策や取り組みを行うことが大切です。

従業員満足度(ES)が高い企業の事例

従業員と顧客、両方の満足度を重視する企業は、 顧客満足度のみを重視する企業と比べ、 業績が向上し、人材確保ができていることが分かっています。

従業員満足度の高い企業の例として、オープンワーク株式会社が2023年1月24日に発表した「働きがいのある企業ランキング2023」から上位3社を紹介します。

  • 1位:ボストン・コンサルティング・グループ合同会社
  • 2位:Google合同会社
  • 3位:中外製薬会社

順位は、オープンワークが運営する「OpenWork」に投稿された会社評価レポートへの回答を元に、社員・元社員の働きがいがランキング化されたものとなっています。

参考:社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング2023」を発表しました|オープンワーク株式会社

1位:ボストン・コンサルティング・グループ合同会社

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、経営コンサルティングを行う企業です。

BCGの「OpenWork」に投稿された会社評価スコアは4.87。

8つの調査項目のうち「20代成長環境」や「社員の士気」の評価が高くなっています。

「社員の士気」の評価が高い理由には、BCGがパーパス(企業の存在意義)を重要視している企業であること、社員がパーパスをもとにした「5つの原則」と呼ばれる行動指針に沿って働いていることなどが挙げられます。

高い報酬や充実した教育制度、キャリアアップの機会もある一方で、パーパスや行動指針がBGCで働く社員に広く浸透していることで士気も上がり、従業員満足度が高くなっていると言えます。

2位:Google合同会社

Googleは誰もが知るインターネット関連のサービスを提供している大企業です。

Googleの「OpenWork」に投稿された会社評価スコアは4.85。

8つの調査項目のうち「待遇面の満足度」や「法令順守意識」の評価が高くなっています。

他にも、革新的な技術やビジネスに挑戦できる環境が魅力と、社員・元社員から高い評価を得ています。

OpenWorkに投稿されたGoogleの年収データを見てみると、回答者の平均年収は1608万円と高水準です。

さらにGoogleならではの福利厚生として、インターネット費用やスマートフォン料金の負担、社内での食事や軽食の提供、マッサージプログラムなどがあります。

福利厚生が充実していることも社員の働きやすさや働きがいにつながっていると言えるでしょう。

参考:福利厚生|Google

3位:中外製薬株式会社

中外製薬株式会社は医療用医薬品に特化した企業で、がん領域製品のシェアは国内No.1です。

中外製薬会社の「OpenWork」に投稿された会社評価スコアは4.71。

8つの調査項目のうち「法令遵守意識」や「待遇面の満足度」の評価が高くなっています。

中外製薬株式会社では、社員の自律、成長、協働を通した働きがいを高めるべく、さまざまな人事施策を行っています。

人事施策の一例は以下の通りです。

  • ワークライフバランスへの取り組み
  • 人事制度の刷新
  • 「コミット&ターゲット」の導入
  • 社内表彰制度「CHUGAI AWARD」の実施 など

他にも、ESを高めるために、経営トップのライブトークの場を設けるなど、企業理念や方向性、指針を浸透させる施策や取り組みも行っています。

ES向上には従業員の目線で継続した取り組みを

従業員満足度の向上は、企業にとって従業員の定着率や生産性の向上、業績アップにつながるため、顧客満足度とともに重視したい課題です。

ES向上のために必要な取り組みは企業によって異なります。

自社の従業員の視点に立って対策や施策を展開する必要があるでしょう。

実施した対策や施策は定期的に見直し、PDCAサイクルを回していくことが重要です。

本記事をもとに、従業員満足度に対する理解を深め、従業員満足度向上に取り組んでいきましょう。

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