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生産性のジレンマを克服するには?概要や事例も合わせて解説

生産性のジレンマを克服する方法

あなたは、「生産性のジレンマ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

この言葉は、事業を進めるうえで必ず理解しておくべきでしょう。

なぜなら、生産性のジレンマに陥ってしまうと競合他社との差別化が難しくなり、新しい製品やアイデアが創出できなくなってしまうためです。

今回は、生産性のジレンマに陥る過程、そしてその克服方法を解説します。

この記事を読めば、自社の問題点改善や競合他社との差別化も可能です。

実際に起きた企業の事例も解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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生産性のジレンマとは

「生産性のジレンマ」とは経営学用語であり、アメリカの教授であるウィリアム・J・アバナシーが提唱しました。

革新的な製品が誕生したばかりの時期は、積極的にプロダクト・イノベーションが行われます。

しかし、企業の関心はプロセス・イノベーションに移行してしまい、生産性は高まりますが、新しい技術革新が起こりにくくなります。これが、「生産性のジレンマ」です。

ここからは、生産性のジレンマについて以下のポイントを踏まえながら、具体的に解説します。

  • 生産性のジレンマに陥る過程
  • 生産性のジレンマの問題点

生産性のジレンマに陥る過程

生産性のジレンマはどの企業にも起こりうる現象であり、陥る過程を理解すると事前に対策できるため、企業の生産性の維持が可能になります。

生産性のジレンマに陥る過程は以下の3つです。

  1. 流動期
  2. 移行期
  3. 固定期

流動期では、革新的な製品が登場することで各々の企業が市場ニーズに沿った製品を開発します。

競合他社との差別化を図るために、プロダクト・イノベーションが活発になるのが特徴です。

移行期では、登場した製品の市場で標準となる製品デザインが決定します。

企業はプロダクト・イノベーションから価格による差別化を図ろうとするのが特徴です。

他企業よりも低コストで製品を売り出すために製造ラインを確立し、大量生産を行なうようになります。

固定期では、自社が提供している製品の修正や改善を中心に行なうようになり、大幅な機能の変更はほとんどありません。

固定期に大幅な変更を加えてしまうと、これまでの労力や開発費用が無駄になる懸念があるためです。

そのため、固定期ではプロダクト・イノベーションは抑制され、代わりにプロセス・イノベーションが活発になります

プロセス・イノベーションとは、製品や生産ラインに対して修正や改善を加えることです。

これが、生産性のジレンマに陥るルートです。

関連記事:労働生産性とは?種類や計算方法、メリット、業界による差異を解説

生産性のジレンマの問題点

生産性のジレンマの問題点は、イノベーションが起きなくなることです。

イノベーションとは技術革新のことを指し、イノベーションが起きなくなると新しい事業や市場に参入しづらくなります。

特に大企業であるほど既存事業への依存は大きくなります。

なぜなら、新しい事業に手を広げて失敗するリスクを負うより、現状の事業に専念するほうが安定感があり、そういった経営スタイルになりがちだからです。

生産性のジレンマに陥ってしまうと、企業間での競争で取り残されてしまいます。

激化していく競争を生き残るためにも、生産性のジレンマをどのように乗り越えるかが重要です。

生産性のジレンマを乗り越える4つの考え方

生産性のジレンマを乗り越えるためには、対策への理解が必要です。

ここからは、生産性のジレンマを乗り越えるための考え方を4つ解説します。

  • 既存の顧客ばかりに捉われない
  • 小さな市場にも目を向ける
  • 積極的にチャレンジする
  • 既存の価値観に捉われず新しい視点を持つ

現状に満足せず、常に新しいことに挑戦する企業こそが、生産性のジレンマを乗り越えられます。

競合他社との競争に勝ち残るためにも、これから解説する考え方を意識するようにしましょう。

関連記事:生産性向上を実現する方法とは?必要性や向上しない企業の共通点を解説

既存の顧客ばかりに捉われない

既存の顧客の声ばかりに捉われてしまうと、新しい顧客、未来の顧客となる層からの声が届きにくくなります。

身近な製品の例でいうと、AppleのiPhoneが当てはまります。

毎年春と秋に新製品を発表していますが、ほとんどが既存顧客に向けたものです。

生産性のジレンマにおける固定期に入っているため、新規顧客に対するイノベーションが起きづらくなっています。

新しい製品や事業を始めるにあたって重要なのは、新しい顧客の声を聞くことです。

生産性のジレンマを乗り越える際は、新規の顧客に向けた製品やサービス展開を意識しましょう。

小さな市場にも目を向ける

小さな市場にも目を向けるのは、企業にとって非常に重要です。

小さな市場が急速に拡大し、莫大な利益につながった事例は数多くあります。

また、イノベーションも小さい市場から生まれるため、軽視できません。

市場が小さいうちに参入すると先行者利益を獲得できるというメリットもあるため、生産性のジレンマを乗り越えたいのであれば、小さな市場にも目を向けるのが大切です。

積極的にチャレンジする

革新的な製品の誕生を予測するのは不可能です。

しかし、リスクを恐れずに何度も積極的にチャレンジすれば、イノベーションを引き起こせます。

チャレンジを通し、市場からフィードバックを受けることで、どのような需要があるのか、データを通して分析できます。

チャレンジを始める際は、小さなプロジェクトから始め、市場のニーズに合わせて試行錯誤していくようにしましょう。

既存の価値観に捉われず新しい視点を持つ

新しい視点を持つことで、革新的な製品の開発や企業の成長につながります。

これは生産性のジレンマに陥る理由でもありますが、「収益性が高い既存製品」と「イノベーション製品」とでは、既存製品の価値基準が優勢になり、それに従った考えでビジネスが進む傾向にあります。

理由として、収益性が高い既存製品と比べると、イノベーション製品は必ずしも成功するとは限らず将来性が不安定だからです。

新しい挑戦には人員が不足していたり、予算が足りなかったりと問題も生じるでしょう。

そういった問題を回避しようという思いから既存の価値観から抜け出せない企業は、生産性のジレンマに陥ってしまうのです。

生産性のジレンマを乗り越えるためにも既存の価値観や成功パターンのみに捉われず、新しい価値観でチャレンジするようにしましょう。

生産性のジレンマによる2つの失敗例

ここでは、実際に生産性のジレンマで失敗した事例を2つ解説します。

大企業であっても生産性のジレンマには陥ります。

以下で解説する事例を参考にしながら、事業への取り組み方を考えるのが重要です。

  • トヨタ自動車
  • Apple

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、日本最大手の自動車メーカーで世界でも非常に大きな成果をあげている企業です。

トヨタ自動車では「トヨタ生産方式」と呼ばれる生産方式を採用しています。

トヨタ生産方式は、トヨタ自動車が開発した独自の生産方式を指します。

「異常が発生したら機械をただちに停止して、不良品を造らない」「各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する」といった2つの要素を軸にした考え方です。

トヨタ生産方式を採用以降、飛躍的に生産効率が向上し、低コストで大量生産が可能になりました。

しかし、時代の流れとともに市場のニーズが変化し、従来のやり方では新しいニーズへの対応が難しくなっていったのです。

自動車産業においても、電気自動車や水素自動車といった新しい分野が注目を集めています。

これらの生産領域はトヨタ生産方式とまったく異なり、新しいニーズに沿った開発を阻害してしまいました。

引用元:トヨタ生産方式 | 経営理念 | 企業情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)

Apple

Appleの生産性のジレンマは、発表される新製品がiPhoneユーザー向けの製品が多い点です。

iPhoneは、スマートフォン業界でいち早く話題になり、成功したイノベーション製品と呼べます。

しかし、標準となるデザインが確立したことで現代のスマートフォン業界における差別化が難しくなっています。

現在、さまざまな企業が同じような見た目・機能のスマートフォンを生産しています。

従来とは異なる動きが見られないのは、生産性のジレンマの渦中にあるといえるでしょう。

現に生産のジレンマを裏付けるようにAppleの株価は近年低下しています。

まとめ

この記事では、生産性のジレンマの概要やもたらす不利益、実際の事例などを解説しました。

生産性のジレンマはどの企業も陥る可能性があり、企業の成長を阻害してしまいます。

生産性のジレンマを乗り越えるためにも新しい価値観を持ち、常にチャレンジすることを意識するようにしましょう。

他企業との差別化を図りたい人や企業を成長させたいと考えている人は、今回の記事を参考に、次の一歩を踏み出してください。

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