組織やチームの目標を達成するためには、リーダーの存在が必要です。
リーダーがいることで、組織やチームがどのように動けばよいのかが分かるため、方向性がぶれることなく業務がスムーズに進みます。
とはいえそれは、リーダーが「正しいリーダーシップ」を発揮してこそです。
本記事ではリーダーシップを高めるために必要な8つの行動や、養う方法について詳しく解説していきます。
目次
リーダーシップとは?
リーダーシップとは、組織を目標達成に導く能力です。
リーダーシップは限られた人に備わっているものだというイメージを持たれがちですが、近年ではどのような人にも備わっている、そして鍛えられるものと考えられています。
なおリーダーシップは社会学者や心理学者などによって、複数のタイプが提唱されています。
例えば、組織の全ての意思決定や判断をリーダーが行う専制型リーダーシップや、意思決定をリーダーとメンバーが行う民主型リーダーシップなど、考え方によってさまざまです。
リーダーシップのタイプに応じて、メリット、デメリットがあるため、一つのタイプに絞るのではなく、組織の状況に応じて変化させていくようにしましょう。
またリーダーシップの目的や重要性、種類については「リーダーシップとは?定義や種類、必要な9つのスキルについて徹底解説」で詳しく解説しています。
リーダーシップについて詳しく知りたいという方はぜひチェックしてみてください。
マネジメントとの違い
リーダーシップと混同されやすいのが「マネジメント」です。どちらも組織やチームを管理する立場に求められる能力ですが、それぞれ違いがあります。
リーダーシップは組織やチームを目標達成まで導く力であるのに対して、マネジメントは目標達成のための手段を考え、組織を管理する力です。
またマネジメントは基本的には組織、チームを管理する立場の者に求められますが、リーダーシップは管理者だけでなく、一般従業員にも求められる能力でもあります。
企業におけるリーダーの役割
企業におけるリーダーには、リーダーシップとマネジメントの両方が求められます。
具体的には以下のような役割が挙げられます。
- 目標を明確にする役割
- 組織を成長させる役割
- 自らが最前線に立ち、企業を率いる役割
そもそも企業は、営利目的で事業を経営する法人のことで、ほぼ例外なく「企業目標」が存在します。
そして目標を達成するためには、従業員のベクトルを統一するためのリーダーシップと、目標達成のためにリソースを最適に配置するマネジメントが必要です。
リーダーシップの6つの種類
心理学者ダニエル・ゴールマンは、リーダーシップを以下の6つの種類に分類しました。
- ビジョン型リーダーシップ
- コーチ型リーダーシップ
- 関係重視型リーダーシップ
- 民主型リーダーシップ
- ペースセッター型リーダーシップ
- 強制型リーダーシップ
それぞれ詳しく解説していきます。
ビジョン型リーダーシップ
ビジョン型リーダーシップは、組織の目標やビジョンを明確に示し、メンバーを導くスタイルです。
メンバーの帰属意識が強くなるため、組織の急成長期で力を発揮します。
具体的には、Appleやテスラなどの多くの世界的大企業は、ビジョン型リーダーシップに基づいて経営されていると言えるでしょう。
ブランディングにも有効なスタイルです。
コーチ型リーダーシップ
コーチ型リーダーシップは、メンバーの能力やキャリア目標に焦点を当て、指導やフィードバックを通じて成長を促すスタイルです。
従業員のポテンシャルを引き出し、長期的な人材育成に効果的だとされています。
ただし、従業員の特性を理解する洞察力や、コーチング技術などの専門的な知識が求められる点には要注意です。
関係重視型リーダーシップ
関係重視型リーダーシップは、従業員間の良好なリーダーシップを重視するスタイルです。
組織のモラル向上やメンタルヘルスの改善が期待できます。
ただし、組織の感情を優先するが故に、目標達成に関心が向かないことも多々あるため、ほかのスタイルとの併用が基本です。
関係重視型リーダーシップを採用する場合は、目標達成とのバランスが重要になります。
民主型リーダーシップ
民主型リーダーシップは、メンバーの意見や提案を積極的に取り入れて、意思決定に参加させるスタイルです。
メンバーの主体性が高まるため、アイデア発掘にも最適です。
ただし意思決定に時間がかかるため、スピード感が求められる現代社会に適さない場面があります。
民主型リーダーシップを取り入れる場合は、あくまでもメンバーの主体性を高めることを目的とし、最終的な判断は経営者が下すようにするといいでしょう。
ペースセッター型リーダーシップ
ペースセッター型リーダーシップは、リーダー自身が高い基準で率先して仕事を行い、メンバーにも同様のパフォーマンスを求めるスタイルです。
優秀な従業員が揃うチームにおいては非常に効果的なスタイルで、ビジョン型や関係重視型との相性もよいでしょう。
ただし、高度な知識や能力が常に求められるため、従業員に過度なプレッシャーを与える危険性があります。
強制型リーダーシップ
強制型リーダーシップは、リーダーが権威を持って指示を行い、迅速な行動を求めるスタイルです。
業務プロセスなどの細かい部分もマネジメントするマイクロマネジメントは、強制型リーダーシップに該当するでしょう。
強制型は、緊急時では有効な一方で、長期的に取り組むと従業員の士気や創造性を損なうリスクがあります。
リーダーシップを高めるために必要な8つの行動
リーダーシップを高めるために必要な行動は次の8つです。
- 自分から進んで動く
- メンバーと積極的にコミュニケーションを取る
- 他人との違いを強みに変える
- 問題意識を常に持つ
- 明確な目標設定をする
- 素早い意思決定をする
- 部下に役割を与える
- 積極的に人脈を作る
リーダーシップを高めることで組織の生産性も高まり、業績の向上が期待できます。
1. 自分から進んで動く
リーダーの中には人を惹きつける強烈な魅力や指示を出す権限がある人もいます。
しかし先述のように、リーダーシップは全ての人に備わっており、強烈な魅力、権限がない人であってもリーダーシップを発揮することが可能です。
リーダーシップを発揮するためには、まずは率先して行動することが重要でしょう。
目標を明確にしてメンバーに共有したら、リーダー自身が模範的に行動することでメンバーへ行動を促せます。
組織の中には「業務に不安がある」「進め方が分からない」など、さまざまな理由で行動に移せないメンバーがいるかもしれません。
そのようなメンバーに対してリーダーとしてフォローをすることも大切です。
2. メンバーと積極的にコミュニケーションを取る
組織やチームにおいて、コミュニケーションは重要な要素です。
コミュニケーションが取れていれば業務の円滑化につながります。
そのため、リーダーは自分から積極的にメンバーとコミュニケーションを取るようにしましょう。
コミュニケーションを取ることで組織やチーム全体が抱えている問題、従業員個人が抱えている問題に早めに気付けるようになります。
またリーダーから積極的にコミュニケーションを取ることで、メンバーもリーダーに話しかけやすくなり、業務上の悩みを相談しやすくなるでしょう。
3. 他人との違いを強みに変える
他人との違いをリーダーシップの強みとして変えることも可能です。
リーダーシップの理論の一つにPM理論というものがあります。
PM理論はP(Performance:目標達成機能)とM(Maintenance:集団維持機能)という2つの軸でリーダー像を分析する方法です。
例えば、Pm型は目標を達成する力には優れているが、集団をまとめる力には劣るリーダー、pM型は目標達成の力は劣るが、集団を維持する力には優れているリーダーです。
PM理論に基づくことで、自分の特性に応じたリーダーシップを高められます。
自分の長所、短所を分析して、他人と違う点を強みに変えていきましょう。
4. 問題意識を常に持つ
業務に対して常に問題意識を持つことも、リーダーシップを高めるために必要な行動です。
与えられた仕事をこなすだけでは、リーダーシップは発揮されません。
目標達成のために、どのようにメンバーのモチベーションを維持させるか、メンバーのモチベーションを妨げるような業務や課題はないかなど、問題意識を持って業務に臨みましょう。
問題が発生してから対応していては目標達成までの進捗が遅れてしまう可能性があります。
日頃から問題になりそうな種を摘み取るように意識しておくことが大切です。
5. 明確な目標設定をする
リーダーは組織やチームを目標に到達させるために、明確な目標を設定する必要があります。
目標が曖昧では進むべき方向を見誤ってしまうかもしれません。
明確な目標を設定する際に役立つフレームワークがSMARTです。
SMARTは次のような要素で構成されています。
- S:Specific(具体的な)
- M:Measurable(測定可能な)
- A:Achievable(達成可能な)
- R:Related(経営目標に関連する)
- T:Time-bound(時間に限られている)
具体例を出して考えてみましょう。例えば以下がSMARTに基づく目標です。
〇年〇月までに〇〇万円の売上げ目標を達成する
「売上を増加させる」「一生懸命仕事に取り組む」などの曖昧な目標は、メンバーが業務に優先順位を付けづらく、管理者が評価しにくくなるデメリットにつながる恐れがあります。
一方で、上記のようにSMARTのフレームワークを元に明確な目標を設定できれば、やるべき業務が具体的にイメージでき、行動しやすくなるでしょう。
また、SMARTに基づく目標を設定したら、合わせて目標に対してどのようなアクションを取るかも設定しておきます。
具体的なアクションが定まっていることでメンバーを行動に促せるでしょう。
6. 素早い意思決定をする
リーダーとして組織やチームを牽引していると、意思決定を求められる場面が多く出てきます。
その際に意思決定が遅れてしまうと、業務に支障が出てきてしまう恐れがあります。
そのためリーダーには素早い決断が必要です。意思決定をする際には次のポイントを意識しておきましょう。
- 先送りにしない
- 曖昧な決定を下さない
- 明確なルールを設けておく
- 臨機応変に対応する
7. 部下に役割を与える
リーダーには部下の能力を伸ばすことも求められます。
部下に役割を与えて自分自身で考えて行動するように促しましょう。
部下が自分自身で考えて行動できるようになることで、一人ひとりの視座が高まり能力の向上が期待できます。
また部下の能力が向上することで、組織全体の能力向上や生産性の向上にもつながるでしょう。
8. 積極的に人脈を作る
リーダーシップを高めるためには積極的な人脈作りを意識しましょう。
リーダーが持っておくべき人脈は、指示を出すメンバーだけではありません。
上司や同僚、他部署の従業員、さらには外部の人脈なども含まれます。
豊富な人脈を作ることで多様なアイデアに触れられるため、組織やチームにイノベーションを起こすきっかけになります。
リーダーシップを養う3つの方法
リーダーシップを養うためには次の3つの方法を実践してみましょう。
- 外部研修や講座を受ける
- ビジョニングを磨く
- チームビルディングを取り入れる
1. 外部研修や講座を受ける
リーダーを対象にリーダーシップを養う外部研修や講座が開催されています。
外部研修や講座に参加することでプロの意見や考えを学べるため、リーダーシップを養えるでしょう。ロールプレイで実践力を身に付けられるケースもあります。
また外部研修や講座は対面型だけでなく、オンラインでの受講も可能です。
オンラインでの受講は、参加場所の融通が効くため、仕事で忙しい人にも便利です。
2. ビジョニングを磨く
組織やチームを目標に導く際に求められる力がビジョニングです。
ビジョニングを磨くことで、より高いリーダーシップを発揮できます。
ビジョニングを磨くためには次のようなステップを意識しましょう。
- 組織が成功しているイメージを抱く
- 成功イメージからチーム像やメンバー像、リーダー像を導き出してテキストに書き出す
- テキストに基づき、客観的な評価基準を設定する
- 評価基準を毎日の行動に取り入れて自己評価をする
- ビジョンが組織に浸透しているかどうか毎日チェックする
3. チームビルディングを取り入れる
チームビルディングとは、組織やチームの連帯感を強め、メンバーのスキルや経験を活かして目標を達成しようとする取り組みです。
チームビルディングに取り組むことはリーダーシップを養う一つの方法です。
チームビルディングには、次のような方法が挙げられます。
- 社員旅行やレクリエーションで体験を共有する
- チームビルディングを目的とした研修を受ける
- 定期的なミーティングを設ける
リーダーシップを高めるためには自ら積極的な行動を心掛けよう
リーダーシップにはさまざまな種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあるため、一つのリーダー像に縛られずに組織の状況に応じて使い分けるようにしましょう。
リーダーシップを高めるためには、自分から進んで動く、メンバーと積極的にコミュニケーションを取るといった行動を心掛けることが大切です。
また外部研修やチームビルディングの導入も、リーダーシップを養うのに効果的です。
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