正社員の中途採用とは、新卒採用以外の採用方法の総称です。
「既卒」「第二新卒」「その他」を含む、職務経歴がある人材の採用時に使用します。
自社の欠員補充や増員などを目的とした採用手法のひとつとして、中途採用を進めようと考えている人事担当者の方は多いでしょう。
しかし、どのように採用を進めていくか具体的なイメージができないかもしれません。
この記事では、正社員を中途採用で雇用する重要な目的や中途採用のメリット・デメリットについて解説します。
目次
企業が正社員を中途採用で雇用する重要な目的とは?
企業が正社員を中途採用で雇用する企業が増えている理由は、以下3つです。
- 専門性の高い人材の確保
- 欠員の補充
- 社会の就労意識に合わせた採用
専門性の高い人材の確保
正社員の中途採用は、専門性の高い人材を確保する目的があります。
新卒採用で正社員を雇用しても、業界や業種未経験者であることがほとんどなので、育成に時間がかかります。
また、人によってはビジネスマナーの教育から始めないといけない場合もあるため、専門性の高い人材に成長するまでも、1年以上かかる可能性もあるでしょう。
しかし、すでに職務経歴がある人材は、育成しなくても高い専門性を有していることがあります。
中途採用の求人で経歴や資格などの条件を設定すれば、自社で求めている人材を採用できる可能性も高まるのです。
関連記事:中途採用の目的と失敗しないために必要なポイントを紹介
欠員の補充
退職や異動、昇進など、さまざまな事情で欠員が出てしまうことは珍しくありません。
欠員が出ると人手が足りなくなってしまうため、中途採用で新しい人材を採用して欠員を補充する必要があるのです。
社会の就労意識に合わせた採用
従来の日本社会には、新卒で採用された会社に長年勤務し、転職は極力しないという文化がありました。
転職して経歴が増えると、採用してくれる企業が少なくなるといった風潮もあり、労働者の多くは、一つの企業に長く勤めるのが一般的だったのです。
しかし現在では、転職はネガティブなことではなく、スキルアップやキャリアアップ、ワークライフバランスなど、ポジティブなことだと考える企業や労働者が増えています。
そのため、市場には魅力的な人材が溢れており、企業にとって優秀な人材を確保するチャンスになるのです。
中途採用・新卒採用・キャリア採用の違いとは?
中途採用は、人材採用において特定の期間を設けず、欠員や増員、より優秀な人材の確保を目的に実施されます。
ここでは中途採用と新卒採用・キャリア採用それぞれの違いと特徴について解説します。
中途採用と新卒採用との違い
新卒採用とは、年に一度行われる卒業予定の学生を対象とする、ポテンシャル重視の新規人材採用です。
中途採用のように即戦力を確保するためのものではなく、中長期的な育成をした後に会社へ貢献してくれる人材確保を目的としています。
また、新卒の場合はまとまった時期に大量採用することがほとんどです。
就職説明会やセミナーなどを開いて多くの候補者を募り、全員の面談を同時期に設定してポテンシャルを見極めた後に複数の人材を一括採用します。
関連記事:中途採用とは?新卒採用との違いやメリット・デメリットについても解説
新卒採用とキャリア採用との違い
キャリア採用とは、職務経歴や資格、実績がある人材に絞って実施する採用活動です。
中途採用は、業界・業種未経験者や正社員経験がない者、第二新卒、フリーターを採用することもあるため、ここが大きな違いといえます。
ITやマーケティング、デザイン業界など専門性が高い業種ではキャリア採用が多く、「関連する職務経歴が3年以上」「特定の資格を有する者」など高い条件を設定します。
一方で中途採用はハードルを下げ「未経験可」「未経験歓迎」など、誰でも応募できることも多くあります。
関連記事:新卒採用とは?中途採用との違いやメリット・デメリットを解説
中途採用のメリット
中途採用のメリットは以下の3つです。
採用計画を進めていくためにも、中途採用の特徴を把握しておく必要があるため、それぞれ詳しく解説します。
- スキルが高い即戦力の採用
- いつでも短期間で採用可能
- 人材育成コストの削減
スキルが高い即戦力の採用
中途採用では、他社でさまざまなスキルや経験を積んだ人材を確保できます。
新卒採用とは違い、ある程度社会人経験を積んでおり、高いスキルを有している人材を選ぶことで、即戦力になってくれるでしょう。
また、他業種や競合他社からの採用だった場合は、その企業で培ってきたスキルや知識を自社に取り入れることができます。
いままで自社になかった視点を持った人材を確保できれば、新しいビジネスアイデアが生まれる可能性が高まるのです。
いつでも短期間で採用可能
採用活動を通年実施する中途採用は、新卒採用と比較して増員しやすいのが特徴です。
また、新卒採用は「募集」「面接」「内定」「入社」までの過程に半年から1年ほどかかります。
一方で中途採用は、一般的に面接から入社までが短期間で進むことが大半です。
必要な人材を必要なタイミングで確保できるのです。
人材育成コストの削減
新卒採用はポテンシャル採用とも呼ばれ、人材育成することが前提です。
人材育成するために、新入社員向けの研修やセミナーを実施しなければいけません。
研修は長期間に及ぶため、運営資金や人件費などのコストがかかってしまいます。
一方、中途採用では即戦力となる人材を確保すれば、短期間の研修で済んだり、働きながら覚えてもらったりできるので、人材育成コストを削減できるのです。
中途採用のデメリット
中途採用には、以下のようなデメリットもあります。
メリットとあわせて把握し、中途採用を進めるうえでの参考にしてください。
- すぐに退職してしまう
- 前職のやり方が抜けない
- 同時期に大量採用できない
すぐに退職してしまう
中途採用した人がキャリアアップのために転職していた場合、さらにキャリアアップを目指すため、数年以内に辞められる可能性があります。
ほかにも、前職でトラブルを起こしていたり、コミュニケーション力が乏しかったりするなど、ネガティブな辞め方をしていることもあるかもしれません。
その場合は、同じような理由で退職してしまう可能性もあるでしょう。
採用してもすぐに辞められてしまっては、時間やコストが無駄になってしまいます。
中途採用で人材を選定する際は、転職回数や在籍年数、転職の目的などを把握する必要があるでしょう。
前職のやり方が抜けない
中途採用者が業務において前職のやり方が抜けず、自社の風土を浸透させられないことがあります。
中途採用者の中には、職務経験が豊富で自分なりの働き方や価値観が固定されていることにより、新しい環境に馴染めないことがあるのです。
会社に馴染めないと人間関係がうまく構築できず、業務も効率的に進められなくなり、結局辞めてしまう可能性が高まるでしょう。
中途採用者がうまく馴染めるような環境づくりや研修体制を整備しておかなければいけません。
同時期に大量採用できない
新卒採用の募集は、卒業時期に滞りなく進められるように開始されるため、多数の就活生に対して効率的にアプローチできるのです。
一方で中途採用は、通年で実施可能な採用活動です。
そのため、求人サイトやハローワークなどの求人媒体を利用している人にアプローチしやすい手法といえます。
しかし、就職活動の時期は人によって異なり、求人情報を見るタイミングも異なるのです。
そのため、同時期に多くの人に対して求人の認知を拡大して大量採用するのは難しいと言えるでしょう。
まとめ
正社員の中途採用における重要な目的は、即戦力になる専門性の高い人材の確保や欠員の補充、増員などがあります。
時期にかかわらず短期間で人材を確保できたり、人材育成コストを削減できたりするなどのメリットも享受できるのです。
しかし、すぐに辞められる可能性や前職のやり方が抜けないなどのリスクもあります。
中途採用で失敗しないためには、採用活動の時点で、候補者の経歴やスキルセットを把握しておくことが必要でしょう。