識学の『無料セミナ―情報』はこちらから

有給休暇取得理由を聞くのは違法?認められるケースやパワハラについて解説

yukyukyukashutoku-riyu

2019年4月に有給休暇の確実な取得が義務付けられるなど、近年、働き方改革が推し進められています。

このようななか、多くの企業の課題となっているのが「いかに有給休暇の取得率を向上させていくか」ではないでしょうか?

しかし、従業員側から「有給休暇の申請の際に上司が理由を確認するため、取得しにくい。パワーハラスメント(パワハラ)にあたるのでは?」というクレームがあがることも少なくありません。

そこで、本記事では有給休暇取得の理由を確認することについて、

  • 違法性の有無
  • 時季変更権を行使する場合について
  • 確認後に拒否する場合について

などを解説していきます。

ビジネス書としては異例の30万部突破!
書籍『リーダーの仮面』の図説資料
をプレゼント!
リーダーの仮面図解

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍「リーダーの仮面」は、結果の出せるリーダーになるために必要なテクニックをまとめたリーダーシップ本の決定版!

優れたマネージャーに、才能・人間力・経歴は一切必要ありません!

誰でも実践できるマネジメントの原理原則PDF17ページにググっと凝縮!

ぜひ、DL頂き、皆さまの日々のマネジメントに生かしてください!

【結論】有給休暇取得の理由を聞くのは違法?

結論から述べると、下記のようになります。

  • 要件を満たす従業員は有給休暇の権利が発生するため、その取得の際に会社側が取得理由を確認することは、原則として認められない。
  • しかし、時季変更権を行使する場合は取得理由の確認が認められるケースがある。
  • 有給休暇の取得の妨害、嫌がらせ目的で取得理由を確認するなどの行為はパワハラとなるケースがある。

有給休暇とは

そもそも有給休暇とはどのようなものでしょうか?

有給休暇は正式には「年次有給休暇」といい、賃金の支払いがある休暇日のことです。

労働者は要件を満たせば有給休暇の権利が発生し、企業はこれを付与する義務を負っています。

改正労働基準法が施行されたことにより、2019年4月から年10日以上の有給休暇が与えられている従業員に対しては、5日間の有給休暇の確実な取得が義務付けられました。

有給休暇は法律で定められた休暇

休暇には法律で定められた「法定休暇」と、法律で定められていない「法定外休暇」があります。

このうち有給休暇は、企業が必ず付与しなければならない法定休暇に該当します。

しかし、「従業員が有給休暇を取得することに対して、会社や上司が許可を与える」という考え方をしているケースが多く、これが原因でトラブルに発展することが少なくありません。

したがって、正確には従業員が有給休暇の申請をする際は「取得の許可を求めている」わけではなく、「この日に取得するということを申し出ている」のです。

関連記事:労働基準法による有給休暇の定義やルールとは?法改正や罰則、注意点を解説

会社や上司が有給休暇取得の理由を確認することの可否

前述したように、会社側が従業員の有給休暇取得の理由を確認することは原則として認められていません。

実際に判例を見てみても、有給休暇の使用目的は労働者の自由であり、企業が干渉することは許されないとされています(林野庁白石営林署事件 最高裁判所昭和48年3月2日判決)。

また、従業員側も理由を伝える必要はなく、答えたくない場合において執拗に理由を確認しようとすることはパワハラに該当する可能性があります。

ただし、

  • 理由を書く項目を設ける
  • 従業員の任意で理由を書く

という場合においては違法にはなりません。

時季変更権を使う際の有給休暇取得の理由確認

有給休暇が法律で定められた労働者の権利といえど、場合によっては企業側は取得日の変更を求めることが可能です。

この権利は「時季変更権」といい、労働基準法39条第5項によって「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」と定められています。

そして、時季変更権を行使する場合において、従業員に有給休暇取得の理由を確認することが認められることがあります。

ただし、時季変更権の行使が認められるのはあくまでも「事業の正常な運営を妨げる場合」に限るため、注意しましょう。

例えば、一度に何人も同じ日に有給休暇の申請がある場合は時季変更権の行使が認められた、という判例があります(大阪職安事件 大阪地方裁判所昭和44年11月19日判決)。

有給休暇取得の理由を確認した上で拒否する場合

会社側が有給休暇取得の理由を確認した上で取得を拒否する場合、パワハラとなる可能性があります。

例えば、理由が「遊びに行くため」「旅行をするため」だからといって拒否したり、申請を取り下げるように言うのはパワハラです。

つまり、原則として有給休暇取得の理由を確認することが認められるのは、時季変更権を行使するケースのみで、それ以外のシーンで理由を聞いたり拒否することは認められていません。

もし、有給休暇取得を拒否した場合、労働基準法違反により6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

有給休暇に関して企業の対応が違法になるケースとは

ここからは有給休暇に関して、企業の対応が違法となるケースを見ていきましょう。

年5日の有給休暇取得義務を怠った場合

2019年から年5日の有給休暇の確実な取得が義務付けられました。

これに違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。

関連記事:有給休暇の義務化とは?違反・罰則を防ぐ運用、取得してもらう方法を解説

有給休暇を買い取る場合

原則として有給休暇の買い取りは違法ですが、下記の場合は例外として認められています。

  • 有給日数を10日以上に定めている場合
  • 有給休暇の有効期限が過ぎた場合
  • 退職日までに日数を消化できない場合

関連記事:有給休暇買い取りとは?違法性や算出方法、注意点、メリットを解説

有給休暇の理由を聞かなくても問題ない組織を作ろう

有給休暇の理由をつい聞いてしまう…という方の中には、以下のように感じている方も多いことでしょう。

  • 部下が仕事が完結していないのに、休暇を取ろうとしている
  • 結果が出ていないのに部下が有休を使おうとしている

上記のように感じてしまうのは、部下を結果で管理できていないからかもしれません。

昨今広がるリモートワークで十分なマネジメントができていなのと同様、部下の管理は経過ではなく「結果」で判断する必要があります。

詳しくは、下記の資料をダウンロードしてみてください。

マネジメントTips「部下育成編」ダウンロード

書籍『数値化の鬼』の要約解説図をプレゼント!
書籍『数値化の鬼』図解要約資料

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大の執筆した書籍『数値化の鬼』が、なんと発売後 約1か月で12万部を突破しました!

この感謝を皆様にも還元すべく、株式会社識学では、『数値化の鬼』の図解解説資料を作成いたしました!

一度書籍をお読みになった方も、まだお手元にない方もどなたでも満足いただける完成度となっています!

眺めるもヨシ、印刷して目の付くところに飾るもヨシ、使い方は自由自在!

是非、こちらからDLしてくださいね!