人間関係を改善させたい。しかし改善の方法がわからない。このような悩みを持つ管理職の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、マネジメント担当者向けに人間関係の悩みを解決する方法を紹介していきます。
目次
マネジメント層とは?人間関係に悩む人事管理のプロの種類
まず、マネジメントは主に3つのレイヤーで分けられます。
- トップマネジメント
- ミドルマネジメント
- ロワーマネジメント
それぞれ解説していきます。
トップマネジメント
トップマネジメントは以下の役職が当てはまります。
- CEO
- 会長
- 社長
- 取締役
つまり、企業での経営全体をマネジメントする層がトップマネジメントです。
会社全体をしっかり把握し、経営戦略やビジョンを打ち立てます。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントは以下の役職が当てはまります。
- 部長
- 課長
- 工場長
- 店長
以上のように、一つの部門やエリアをマネジメントする層がミドルマネジメントです。
トップマネジメントが立てた戦略を円滑に進めながら、現場の生産性にもしっかりチェックを入れなければならない難しい役職となっています。
関連記事:中間管理職とは?役割や必要なスキル、優れたミドルマネジメントの育成方法を解説
ロワーマネジメント
ロワーマネジメントは以下の役職が当てはまります。
- 現場監督
- チームリーダー
以上のように、現場をマネジメントする層がロワーマネジメントです。
トップマネジメントやミドルマネジメントが策定した戦略に則り、現場を指揮する役目を全うします。
また、現場の意見を抽出して、それを上に流す役割もあるといえるでしょう。
ミドルマネジメントは人間関係に悩みがち
3つのマネジメント層の中でも、いわゆる中間管理職にあたるミドルマネジメントは人間関係に悩みがちです。
具体的には以下のような問題が発生します。
- 部下が成果を出してくれない
- 部下と価値観が合わない
- 社員同士のいざこざ
- 上司と部下の板挟みになる
- 262の法則、343の法則、8対2の法則
それぞれ解説していきます。
部下が成果を出してくれない
管理職には、部下の成果を最大化させるという役割があります。
そのため、部下がなかなか成果を出してくれない時というのは、その役割を果たせていないことになり、非常に苦しい状況です。
そのうえ、部下が成果を出してくれない理由は人それぞれのため、解決手段も多様で、簡単ではありません。
また、部下の仕事に介入しすぎると部下の成長に繋がらないといった問題も出てくるため、対応が難しいのです。
部下と価値観が合わない
管理職は責任があるため権限がありますが、部下の意見もしっかり抽出しなければなりません。
しかし、部下と価値観が合わないことがよくあります。また、その理由はいくつか考えられます。
例えば管理職と部下で世代が異なったり、働き方に対する意識が違ったりするのです。
部下との人間関係を構築する際に、価値観の違いで悩む管理職は多いといえるでしょう。
関連記事:【悩める中間管理職に送る処方箋】正しい部下との接し方
社員同士のいざこざ
社員同士のいざこざも管理職の悩みの種です。
仕事に関する意見のぶつかり合いなどのトラブルであれば、管理職が自ら介入することで解決に繋がるでしょう。
しかし感情的な理由、例えば恋愛でのいざこざだったり、ただなんとなくムカついたりといった理由でいざこざが起こる時もあります。
このようなシチュエーションの場合、管理職が手を出すべきではありません。
だからといって見守るだけで解決に繋がるわけではないので、難しい問題です。
上司と部下の板挟みになる
ミドルマネジメント層の場合、上司と部下の板挟みになることがほとんどです。
そのため、上司からは「成果をもっと出せ」、部下からは「もっと現場を尊重しろ」というように相反する意見や不満の板挟みになることがあります。
しかし管理職は、そういった違いがあっても両方の意見を上手く取り入れながら、最善策を選択しなければなりません。
その際には必ず妥協が生じ、それに対して上司や部下から意見が出るので、管理職としては心苦しい状況でしょう。
262の法則、343の法則、8対2の法則
組織が完全に一つになることはほとんどありません。
なぜなら262の法則、343の法則、8対2の法則のように、組織の中で優秀なメンバーとそうでないメンバーが生まれるからです。
例えば、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートの導き出した8対2の法則は、様々な格差が8割と2割という数字で説明できるとしています。
組織で例えるなら、「貢献度の8割を全体の2割の従業員が占めている」という具合でしょう。
また、262の法則は「優秀な人が2割、普通の人が6割、無能な人が3割」だとする法則で、343の法則は262の法則からそれぞれの割合を変えたものです。
以上のことから、組織の中でチームメンバー全員が同程度の貢献度となる確率は非常に低いのです。
だからこそ、それを理解しなければいざこざが起こりますし、人間関係のトラブルも起きます。
職場の人間関係を改善すべき理由
そもそも、なぜ職場の人間関係を改善する必要があるのでしょうか?
その理由は以下の通りです。
- 生産性の向上
- 休職や離職の回避
- 社員のストレス軽減
それぞれ詳しく見ていきましょう。
生産性の向上
職場の人間関係を改善することで、生産性向上が見込めます。
従業員同士での会話が活発になり、情報共有がスムーズになるためです。
また、チームワークも向上し、職場の雰囲気も良くなるため、組織に対するエンゲージメントも良好になります。
そして生産性が向上すれば最大限の実力を発揮できるようになり、それでまた雰囲気が良くなるという好循環も期待できるでしょう。
関連記事:生産性向上の本質とは?メリットや施策、注意するべきポイントを解説
休職や離職の回避
職場の人間関係が改善されると組織に対するエンゲージメントが向上するため、従業員の休職や離職を回避することができます。
また、従業員同士のトラブルも減少するため、人間関係がきっかけで転職することもありません。
例えば「恋愛のいざこざで会社にいられなくなった」ということも激減するでしょう。
社員のストレス低減
人間関係を改善することで、部下のストレスが軽減されます。
そして精神的に健康になり、前向きな思考で気持ちがポジティブになって、生産性も向上するという好循環に繋げられるでしょう。
現在、メンタルヘルスは守りの経営において重要な要素となっています。
そういった観点からも、社員のストレス低減は非常に大きなメリットです。
関連記事:ストレスマネジメントとは?そのメリットや実施方法を紹介
人間関係が悪化する原因
職場において人間関係が悪化する原因は以下の3つが挙げられます。
- コミュニケーションの不足
- 業務内容をしっかり共有できていない
- 教育体制が整っていない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーションの不足
人間関係が悪化する要因としてコミュニケーションの不足が挙げられます。
ここで取り上げるコミュニケーションとは、仕事中での会話だけでなく、休憩時間中の雑談も含まれることを忘れてはいけません。
コミュニケーションが不足すると、相手のことをよく理解できなくなり、関係性が悪化してしまいます。
これがきっかけで職場がネガティブな雰囲気になり、業績に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
業務内容をしっかり共有できていない
業務内容をしっかり共有できていないのも、人間関係が悪化する理由の一つです。
例えば、業務内容を共有できなかったために仕事上でのミスが発生すると、そこからいざこざが発生します。
また、「なんで情報共有してくれなかったのか」と疑いの目を向けるようになり、メンバー同士の信頼がどんどん薄れていきます。
管理職は業務内容を部下全体にしっかり共有する必要があるでしょう。
教育体制が整っていない
教育体制が整っていないと、管理職と部下のコミュニケーションや信頼関係構築が難しくなり、結果として人間関係が悪化してしまいます。
また、教育体制が整っていないことで部下が業務を遂行できなくなり、それが人間関係のトラブルに繋がることもあるでしょう。
仕事が回らない状況であればあるほど、人間関係はどんどん悪化していきます。
職場の人間関係を改善させる方法
では、これらの原因が元で職場の人間関係が悪化した場合、どうやって改善させればよいのか。
以下の5つの方法を試してみると良いでしょう。
- 無理に仲裁しなくてもいい
- 自分の考えを押し付けない
- 部下の価値観を尊重する
- 敬意を持って接する
- 周囲の人に悩みを打ち明ける
それぞれ詳しく見ていきます。
無理に仲裁しなくてもいい
部下同士でいざこざが起こった場合、管理職は無理に仲裁する必要はありません。
当人の問題は、結局のところ当人同士が解決しなければ本質的な解決にならないからです。
また、それが部下にとっての成長の機会にもなります。
管理職はあくまでもサポートに徹するのがポイントです。
自分の考えを押し付けない
自分の考えを押し付けるのもやめましょう。もちろん、あなた自身の考えは尊重すべきです。
しかしそれは仕事に対して活用すべきで、人に振り向けるものではありません。
人間関係改善の一歩目は、自己主張を弱めて、様々な視点で部下を観察することです。
部下の価値観を尊重する
自己主張を弱めることができたら、今度は部下の価値観を尊重するようにしましょう。
そうすることで部下は「自分のことを理解してくれている」と上司を信頼するようになります。
また、部下の価値観を聞き入れることで新たな発見が見つかることもあるので、上司としてもメリットが多いのです。
敬意を持って接する
立場が下の人に対しても敬意を持って接するようにしましょう。
それが傲慢な態度を解消することに繋がり、部下からの信頼を得ることにも繋がります。
しかしだからといって、部下の行動を全て許すべきではありません。
部下に敬意を払いつつも、間違っている点は論理的に指摘するのが上司の役目です。
周囲の人に悩みを打ち明ける
悩みや不安があるなら周囲の人に打ち明けてみたり、相談したりしましょう。
この場合の周囲の人は、同僚・上司・身近な人はもちろんのこと、部下も含まれていれば尚良いでしょう。
自分の悩みを打ち明けるということは相手の「自分のことを信用してくれている」という解釈に繋がるためです。
もちろん、悩みを打ち明けることで解決方法を教えてもらえることもあります。悩みは抱えるものではありません。
安心して打ち明けていきましょう。
ミドルマネジメントにおすすめの本
ミドルマネジメントの方におすすめの本は『修羅場のケーススタディ 令和を生き抜く中間管理職のための30問(PHPビジネス新書)』です。
本書は中間管理職の処世術を学ぶことができます。様々なシチュエーションに対応できる、実践的な書籍です。
もう人間関係に悩まない!マネジメント理論「識学」|マネジメントの正解
さて、ここまではマネジメントでよくある問題点とその解決策を紹介してきました。
しかし、本来マネジメント層は「チームを勝たせること」が仕事であり、社員のモチベーションを上げる。チームの感情課題を解決する。といったことは副次的な課題です。
そもそも「モチベーション」などの感情項目に管理職が介入する必要があるのでしょうか?
本来、社員は一生懸命に働く必要があります。なぜならその対価として給与があるからです。
そのため「やる気がないから働けません」という言葉が部下出てきたり、「モチベーションが低い社員がいるから業績が上がらない」という言葉が上司から出てくる状態は、マネジメントの仕組化に失敗している状況と考えても問題ないでしょう。
それではどうすればいいのか。
弊社識学はマネジメントコンサルティング会社です。
弊社では「感情」を排除したマネジメントを徹底しています。
その代わりに使うのが数値です。例えば社員の「できない」という言動に対しては、「何があればできるのか?」と解決策を自身で考えさせます。
権限と責任をセットにすることで、社員が自身で考える「強い組織」ができあがるのです。
詳しくは下記の資料で説明していますので、ぜひご覧になってください。
よくある質問
ここではマネジメントの人間関係の悩みにおけるよくある質問に解答していきます。
職場の人間関係改善に必要なスキルは?
職場の人間関係改善に必要なスキルは、ヒューマンスキルです。
ヒューマンスキルとは他者と円滑なコミュニケーションができる能力のことで、以下の要素で構成されています。
- コミュニケーション力
- ヒアリング力
- 交渉力
- プレゼンテーション力
- リーダーシップ
特に、数多くの人とやり取りするマネージャーの方に必須のスキルなので、キャリアを築き上げるという意味でも、ぜひヒューマンスキル向上に努めてみてください。
社員同士の喧嘩はどうやって対応する?
社員同士の喧嘩に対しては、まずは社員を冷静にさせるべきです。
感情的な意見をぶつけ合っていてはいつまで経っても解決しないので、論理的な会話を促すようにしましょう。
また、仕事上の問題のみに介入して、プライベートのトラブルには介入しないのが鉄則です。
ここで上司が介入すると、問題が複雑になってしまいます。私事はあくまで当人たちに解決させるようにしましょう。
人間関係がどうしても改善しない場合はどうすればいい?
様々な策を講じ、それでも人間関係が改善しない場合はチーム解散も視野に入れるべきです。
基本的に、人間関係が改善しないチームに将来性はありません。職場の雰囲気が悪くなり、生産性も低下するからです。
早急にチームを解散させて、新たなチームを結成した方が生産的でしょう。
まとめ
ミドルマネジメント層は結果が求められますが、それ以上に従業員のメンタルヘルスを含めた健康管理にも気を配らなければなりません。
人間の悩みの大半は人間関係であり、最悪の場合、命を絶ってしまうというケースもあるからです。
人間関係の悪化は早急に改善するようにしましょう。