業務中または通勤中に生じたケガや病気は、労災認定を申請することで給付金を受け取ることができます。
しかし、従業員から労災の申請があった際、会社としては労災として認められるのかどうか疑問が残る場合があり、対応に困るケースも少なくありません。
労災認定されるケースとそうではないケースの判断をするには、労災認定基準を確認しなければなりません。
ここでは、本記事では労災認定について、
- 概要
- 疾病や、精神障害における判断
- 企業側の注意点
などを解説していきます。
目次
労災認定とは
労災とは正式には「労働災害」といい、業務中または通勤の際に労働者が負傷・障害・疾病・死亡が生じることを指しています。
しかし、職場でケガや事故が起こったとしても、必ずしもそれが「労災」として認められるとは限りません。
例えば、休日に職場でお酒を飲んで起こした事故によりケガをした場合は、労災と認められることはないでしょう。
このように、事故やケガが生じた状況を詳しく調べたうえで、それが労災に該当すると判断されることを「労災認定」といい、この判断は労働基準監督によって行われます。
2種類の労働災害
労働災害は下記の2つにわけることができます。
業務災害
業務災害とは、業務上の事由により生じた従業員のケガや疾病、障害、死亡などを指しています。
業務災害の労災認定においては、下記の2点が重要になります。
- 業務遂行性:従業員が事業主の支配下にある状況で事故やケガや生じたこと
- 業務起因性:会社の仕事と従業員のケガなどに十分な因果関係が認められること
通勤災害
通勤災害とは、通勤途中に生じた従業員のケガや疾病、障害、死亡などを指しています。
通勤災害の労災認定要件は下記の4つです。
- 住居と職場の間の移動であること
- 業務に関する移動中に生じたこと
- 合理的な経路・方法の移動であること
- 業務の性質を有さない移動であること
労災認定による企業への影響とは
もし、従業員のケガや病気が労災認定されると、企業側には下記のような影響が考えられます。
- 従業員が企業に対して損害賠償請求を起こす
- 労災認定の対象者は一定期間、解雇できなくなる
- 過労死や過労自殺の場合、世間からのバッシングを受けて企業イメージが悪くなる
- 特定の業種の場合、行政の入札に参加できなくなる
このような事態に陥らないようにするためにも、企業側はどのようなケースが労災認定されるかをあらかじめ把握した上で、労災に該当するような事故や問題を起こさないように防止に努めることが重要です。
また、もし労災が起きてしまったときの対応を考えておくことも求められるでしょう。
疾病にかかった際の労災認定とは
業務との因果関係が認められる疾病の場合、「業務上疾病」として労災が申請されることがあります。
疾病が労災認定されやすいケースとして挙げられるのが、医療従事者が業務中に患者経由で感染症を引き起こす場合です。
また、特定の脳や心臓の疾患においては、厚生労働省が「業務による明らかな荷重負荷を受けた事により発症した」と認める際は、労災認定されます。
このような基準が適用されるのは、下記の疾病です。
- 脳内出血
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 高血圧性脳症
- 心筋梗塞
- 狭心症
- 心停止
- 重篤な心不全
- 大動脈解離
さらに、これらの疾病にかかったことにより死亡したケースでも労災認定の可能性があります。
とくに長時間の時間外労働により過労死ラインを超えていた場合、または超えていない場合においても、一定の労働時間外の負荷要因が存在していれば、労災認定の可能性が高いでしょう。
精神障害における労災認定とは
ハラスメントや長時間労働によって精神障害となった場合、労災が申請されるケースがあります。
精神障害における労災認定の基準は、下記の3つです。
要件1.発症前6か月以内に業務によってストレスを受けた
精神障害の労災認定においては、発症前およそ6か月以内に業務によって強いストレスを受けたことが認定要件の1つです。
「強いストレスを受けたかどうか」の判定基準は下記のとおりです。
「特別な出来事」かどうか
下記の出来事に該当する場合、「特別な出来事」として認められ、「強いストレス」と判断されます。
出来事 | 例 |
業務上の重い傷病 | 業務において後遺障害を残すほどのケガや病気をした |
業務上の重大事故 | 業務において他人を死亡させた、または生死にかかわるケガを負わせた |
業務に関する性犯罪被害 | わいせつ行為などセクハラを受けた |
極度の長時間労働 | 発病前1ヶ月に160時間以上の時間外労働を行った |
要件2.労災認定対象となる精神疾患と診断された
精神障害の労災認定は、国際疾病分類のどれかに該当する疾病と診断されることが要件の1つです。
一般的に対象となるものにはうつ病や適応障害、急性ストレス反応などがあります。
要件3.業務に関連するストレスであること
一般的に、離婚や病気、家族の死亡や財産の損失など、業務に関連しないストレスによって生じた精神疾患は、労災とは認定されません。
言い換えると、業務に関連するストレスによる発症であれば、労災認定の要件の1つを満たすことになります。
まとめ:精神的なストレスを防ぐために
肉体的なストレスは防ぐことは難しいかもしれませんが、パワハラなどの精神的なストレスは回避することができます。
例えば、パワハラが発生してしまうのは、自分の仕事がうまくいかない際に、部下に当たってしまう、などが原因です。
また、部下が無能だからやめさせてやろうというようないじわるからきていることもあるかもしれません。
しかし、部下が無能だということは、部下育成ができていない自分自身を無能だと認めることになりますし、部下を苦しめることは、チームの成果を下げる=管理職自身の成果を下げるものです。
上記の基本的なロジックが理解できていれば、パワハラは起きないのです。
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