「ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える」は、Google人事部のトップを務めるラズロ・ボック氏による、人材採用、育成、評価にいたるまで人事に関わる様々な改革の歴史を紹介した書籍です。
2015年に社員数約6万人、オフィスは世界40ヵ国に70ヶ所を超えるほどの大企業となったGoogleですが、2006年の時点では社員数6,000人の規模でした。その飛躍のきっかけになったのが、Google人事部のトップを務めるラズロ・ボック氏の存在です。
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目次
Googleが人材採用に多くの時間をかけるのはなぜか?
ラズロ・ボック氏の入社以降、社員数が10倍に増えたGoogle。年間あたり約6000人ずつ増えている計算になりますが、実はその採用率はあまり高くありません。なんと、世界中から同社に届く就職申込書は年間約200万通にものぼるそうで、ハーバード大学やイェール大学への入学と比較しても25倍も競争率が高いことになります。
ただ応募数が多いというだけではなく、Googleでは実際に入社が決まるまでの採用プロセスにも多くの時間をかけています。社員数が約2万人になるまでに社員や最高幹部が人事採用に費やした時間は、年間8万~20万時間にもなるそうです。なぜ、ここまで人材採用に多くの時間を割いてきたのでしょうか?
組織を作り上げていく手段は大きく分けて2種類あります。ひとつは大金をかけて優秀な人材を集める「ニューヨーク・ヤンキース」の戦略。もうひとつは、寄せ集めの人材を教育して鍛え上げる「がんばれ!ベアーズ」戦略です。
しかし、平均的な人をトレーニングでスーパースターに変身させることは難しく、後者の戦略は上手くいかないことがほとんどです。そこでGoogleでは、採用に多くの時間をかけるという選択を取っています。
具体的には、独自の求職者追跡システムを活用して、採用候補者ひとりあたり50ページ以上にもなる書類を作成。それを採用委員会が検討するという方法がとられていました。さらに、実際に採用されるまでの間には15~25回もの面接が行われ、全体で半年以上もかかったケースもあったそうです。
多くの企業では、採用は人事の中でも最も重要なものとはわかっているものの、ほとんどの場合、それほど多くの時間を割くことはありません。しかし、この部分を改善していくことで、どんなトレーニングプログラムよりも効果的に会社を強くしていくことができるといいます。
人材の流動性が高まり、転職市場も活発化する現在、「インターンシップ」といった就業体験を重要視する企業が増加するなど、日本全体で採用にかける時間は拡張傾向にあるように思えます。加えて、従業員のスキルをいかに向上させるかも、重要なポイントです。
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研修プログラムは外部の専門家ではなく社員同士に任せる
米国では各企業が世界135ヵ国のGDPを上回るほどの金額を、教育研修プログラムに費やしています。しかし、そのお金と時間の大半が無駄になっているといわれているのです。
組織やチームが目指す目標によって、学ぶべきスキルや方法は異なってきます。しかも、それを学べる最大の専門家は、意外なことにも外部ではなく社内にいることがほとんどです。必要な最高のスキルを学びたいときは、実際にスキルを実践して成績を出している人に教わった方が、無意味な研修を受けるよりもはるかに高い効果を得ることができるというわけです。
研修プログラムを外部に委託する会社は確かに日本でも多いでしょう。しかし、社内にこそ最高の専門家がいて、相互に知識を共有するという発想は日本企業にとっても重要と考えられます。特に、大企業であればあるほど、貴重な知識やノウハウが特定の部門のみで共有され、会社全体としての価値にできていないケースが多いはずです。加えて、社員同士が教え合う仕組みであればコストも少なく済みます。
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業績下位の社員が会社の業績を向上させるチャンスとなる
Googleでは、定期的に業績が下から5パーセントの社員を特定し、その事実を本人に伝えるようにしています。これは、評価が低い社員を解雇し新たな人材を雇うのはコストがかかるというのも理由のひとつですが、他の側面もあるからです。
チームの業績を社員ごとに並べると、なだらかな丘を作りその両端に最高と最低のテール(しっぽ)ができます。しかし、多くの企業では、最低のボトムテールに当たる人たちが、会社の業績を向上させるチャンスとなることを理解していません。
“私たちはクビにする人を探しているのではない。助けが必要な人を見つけだしているのだ”
Googleでは、「採用に長い時間をかけて、活躍できる人材をじっくり見極めて採用している」という前提があるので、ボトムテールの社員をすぐに一律クビにはしません。つまり、もともと能力がない社員を採用しているわけではないので、何らかの助けによって業績を上げることができる人材だと考えているのです。
さまざまなトレーニングやコーチングの実施によって、彼らの業績向上の手助けをする。それでもうまくいかない場合は、別の役割や環境を見つけてあげる。こうした手助けが、解雇と新規採用の繰り返しよりも効率的に業績を向上させるポイントとなっています。
人を評価するというのは確かに日本のどこの会社でも行っていることですが、このようにボトムテールの人たちにあえて焦点を当てて業績のボトムアップを図ることで、本来あるべき評価の意味を創出できるかもしれません。
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Google人事部のようになれるか?
フォーチュンが2017年に発表した「最も働きがいのある100社」に、11年ぶり8回目の1位を獲得したGoogle。同社が得意としているのは、20億人のユーザーに対して設立当初の社員10人だったころと同じ恩慮と信頼を提供することだと謳っています。
一方で、多くの人はGoogleが実行してきた人事戦略は、Googleという大きな組織だからこそできることだと思ってしまうでしょう。しかし、本書にはどんなサイズの組織にも当てはまる改善案やエッセンスが詰め込まれています。経営者や人事という立場であれば、自社の人事戦略を見直す機会として、本書を手にとってみてはいかがでしょうか。
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