現場の第一線で高い実績を上げてくれるけれども、部下を成長させることは苦手という中間管理職は多くいます。本記事では、中間管理職がやりがちなミスについて紹介しつつ、あるべきマネジメントについて解説していきます。
目次
やりがちなミスその①経過評価
中間管理職がやりがちなマネジメントのミスの代表が「経過評価」です。経過評価とは、部下が目標達成に向かっている途中の姿を評価することを言います。
例えば、
「頑張ってるね!」
「遅くまでご苦労様!」
「ナイスチャレンジ!」
などです。
部下が日々高いモチベーションを持って仕事に向き合ってほしいという考えから、こうした姿勢を認めてあげたいのでしょう。このマネジメントを100%否定する気はありませんが、これには部下を成長させるにあたっての弊害があることを忘れてはなりません。
最終ゴールに向かう途中の自分を認められることで、部下がそこでの躓きに対して乗り越えたいと思える気持ちを抱くことは確かでしょう。しかし、よかれと思って部下の経過を評価し続けた結果、逆に途中経過を労う言葉がないと最終ゴールに向かえない人材を育ててしまうことになります。
実は、私も識学の考えに触れるまでは愚直にこのマネジメントを実践しておりました。自らの経験からしても、経過評価は止めた方がよいと言えます。
やりがちなミスその②経過管理
中間管理職がやりがちなマネジメントのミスの二つ目は経過管理です。
これは、部下を確実に最終ゴールに到着させようとするあまりに、事細かに仕事のやり方を教えてしまうマネジメントを指します。いわゆるマイクロマネジメントですね。
上司の指示やアドバイスに従っていれば一定の成果を獲得できるでしょう。しかし、これもやはり仕事で行き詰った際に上司の指示がなければそこを乗り越えられない部下が生まれてしまいます。
部下が上司の言われた通りに仕事をしてうまくいかなかったとき、部下はその責任が自分にあるとは思わないでしょう。部下の目標達成確率を少しでも上げるためによかれと思って行うこのマネジメントが、実は部下の成長機会を奪っていることを正しく認識してください。
やりがちなミスその③ 飲み会の開催
飲み会の開催も、部下の育成において弊害となることがあります。
中間管理職はプレーヤーとして忙しい日々を送りつつ部下育成に務めているでしょう。部下にじっくり向き合う時間を確保したいからという理由で飲み会を開催している人も少なくないはずです。
飲み会で部下の悩みをじっくりと聞くうちに、意識上の距離感が近くなり、部下を一人の人間として深く理解することはできるようになると思います。しかし、上司と部下との意識上の距離感が近くなることで部下は言い訳をしやすくなりがちであり、上司も部下に厳しいことを言いにくくなるでしょう。
中間管理職がやるべきこと
部下の育成を主導する中間管理職は何から始めるべきなのでしょうか。現場での経験値の棚卸、コミュニケーション能力やリーダーシップといったスキルの向上など、いろいろあるでしょうが、まずは部下がいつまでにどうなって欲しいかを明確に定義することから始めてください。経営者と中間管理職の間で部下の成長した状態をずれなく定義し、育成期限を定めることです。
次に、個人の目標ではなく、チーム全体の目標達成こそが重要であると認識しましょう。これは、中間管理職だけではなく、経営者も意識しなければならないことです。
中間管理職の評価項目に個人予算は設定されていませんか。個人予算が設定されていると、中間管理職がまず個人予算達成に向かい、部下育成が二の次になりやすいです。
中間管理職の評価は、管理する組織全体の成績について責任を負うため、組織全体の成績で評価されるウェイトを重くすることをお勧めしています。個人予算を評価項目から外す代わりに部下育成度合を新たに組み入れるように修正すれば、中間管理職が必然的に部下育成に集中するようになります。中間管理職の役割を明確に定義し、やりがちなマネジメントのミスを正し、部下育成に集中せざるを得ない評価制度の構築が求められます。
識学社は、これまで2,800社以上の組織の生産性向上を支援してきました。役割の定義の仕方、よかれと思って行うマネジメントの矯正の仕方、部下育成に集中せざるを得ない評価制度の構築の仕方をお伝えし、それぞれが機能するまでハンズオンで支援しています。中間管理職がやりがちなマネジメントのミスを直すことに課題を感じている経営者の方がいましたら、お気軽にお問合せください。