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多人数でのプロジェクト進行、「報連相」の弊害がマネジメントを悩ませる理由とその解決法

多人数でのプロジェクト進行、「報連相」の弊害がマネジメントを悩ませる理由とその解決法

あなたが率いる、若者の多いチームでのプロジェクト。

成功すれば彼らの喜びや自信になるでしょうし、結果に関係なく、その過程は成長の一助になるでしょう。

しかし、難航することもあります。
そうなると問われるのは、「関わる部下の主体性」です。

この時、マネジメントが一人ずつに「答え」を示すのが、実は必ずしも良いとは限りません。

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「抱え込む」上司は見ていてキツイ

世の中には、「ややこしい事態を、全部自分で抱えこむ」タイプの上司がいます。

「デキる」人に多く、結局「任せて面倒になるより、自分がやった方が早い」と考えがちなのだと思います。

近年は人員に余裕がなく、日々の業務に追われてしまっているために、なかなか「教える」余裕がない、という実情もあるかもしれません。

しかし、一人で抱え込んでしまうと、部下が育たないのはもちろんですが、部下からすると「何を考えているのかわからない」となってしまいます。

また、ビジネスパーソンが「部下に伸ばして欲しい」と思う能力は、「当事者意識」が最も多いという調査結果もあります[1]。

株式会社インバスケット研究所プレスリリース(2018年7月)より
https://www.inbasket.co.jp/pdf/press_release/pdf/2018/0709_2.pdf

上司が全てを抱え込む組織では、この「当事者意識」も育ちにくくなるでしょう。

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アメリカ空軍式「インバスケット」の考え方

ここで、複数人を率いる上司の思考実験として「インバスケット思考」というものがあります。

元は1950年にアメリカ空軍で導入されたもので、インバスケットとは「未処理箱」の意味です。

たくさんの案件が詰まった箱を、制限時間内にどれだけ処理していくかの訓練です。

課題の一例として、こんなシチュエーションがあります。

架空の企業で、多くの後輩たちを率いる架空のプロジェクトの進行中、あなたは、直接手を出すことができない状態にあります。

あなたができるのは、受け取ったメールから状況を判断し、遠隔で指示をすることだけです。

しかし、この「メール」が曲者です。

後輩たちからのメールは、自分の困りごとをバラバラに伝えてくる「CCメール」がほとんどです。中には、「Aさんと話しところ、こうでした。Bさんどう思いますか?」というメールがCさんから来たり、と、会話の途中である原文を送りつけてくるだけのものもあります。

やり方もバラバラ、といった状況です。

そして、「今日中に相手先に返事をしなければならない」案件が入っていたり。

こんなメールが10通も20通も溜まっている中、まず何から始めるか、どの順序で、最終的にどんな方向でプロジェクトを進めるか、を書き出さなければなりません。

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全て解決することが答えなのか

このような場合、まず誰に何を指示し、自分不在でスムーズに話を流していくか。
これがマネジメントの力量となります。

この例題の場合、実は、答えは「このやり方が正解」というものはありません。
しかし、問題解決に当たって「優先度」を決めるための基本原理は存在します。それは、

・「重要度」と「緊急度」の決定
・「影響度」の測定
・「捨てるもの」「投げるもの」の選択

の3本柱です。

この3つをこなすには、マネジメントにはこのような心構えが必要です。

まず、「重要度」です。

これを決定するには、プロジェクトに当たってマネジメントが「理念」を持っていなければなりません。

「なんのためにこのプロジェクトをやるのか」がはっきりしていないと、目の前の問題に振り回されて指揮の取りようもなくなってしまいます。

この時の重要度は「目の前の結果」といったものでなく、企業理念といった所にまで拡大して考えておくのが、後のためであり、付いてくる後輩の意識向上に繋がります。

「緊急度」は比較的決めやすいと思います。ただ、見えないところに潜んでいることもあるので、文面だけで判断できない場合もあります。
このため、起きていることの本質を探し出すのは大切なことです。

そして「影響度」とは、誰のやっていることがもっとも多くの人数を巻き込むか、ということです。

最後が案外難しいのではないでしょうか。

「捨てるもの」。問題によっては、「その場では解決しない」という答えを出す考え方です。全てを解決しようとして指示が散漫になってはならないのです。

そして、「投げるもの」。一部を、他人を巻き込んで解決してもらうという方法です。
複数部署にまたがる話の場合は、この方法が有効であることもあります。

実は、物事は、4分の1さえ即時解決しておけばいい、という考え方もあるのです。

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「報連相」「CC文化」が招く弊害

「自分が直接は何もできない」。
このような事態は、日頃から想定しておいた方が良いでしょう。起きうることだからです。
「何かあったら連絡しろ」という、いわゆる「報連相」はビジネスの基本ですが、行きすぎる事による弊害もあります。

「自分のやるべきことは『報連相』であり、それはやったからもう大丈夫」
と意識させてしまうことです。
特に、メール文化が基調になっている若い世代は、自分で本質がわかっていない問題であっても「CCしといたからいいや」と思ってしまうことがあります。
むしろ、本質がわからないからこそそこで自分を納得させてしまうのです。

話が複雑化して自分のキャパを超えた時、「叱られない方向」「責められない方向」に意識が向くからです。

そして、「報連相したのに」指示が下されないと、「なんだこんなに頑張ったのに」と、やる気を低下させてしまうことになります。
普段から「この上司に言えばなんとかしてくれる」という土壌があると、なおさらのことです。

自分の連絡は必要とされていなかったのか?となると、そこでやる気も止まってしまいます。
「問題発見力」も育たなくなります。

「テンパり上司」になるくらいなら「捨てる」ことが大事

「棚上げ」の判断をした仕事をやっていた部下には、あとでフォローを加えるのが良いでしょう。
彼らも、理由を明確に示せば、納得するでしょう。

そして、部下があまり関わりたくないのは「テンパる上司」です。
性格にもよりますが、抱え込みすぎてこうなってしまう上司も少なくありません。
こうなってしまうと、「必要な時に報告をできない人」というイメージが植え付けられてしまいます。

最初に紹介した統計では、厳しい意見かもしれませんが、「部下への仕事の与え方が下手であるという結果」とも分析しています。
「当事者意識は資質ではなく、上司の仕事の与え方に大きく依存するものだからである」からです。

まず、複数人数を率いるプロジェクトに当たっては、

・「なぜこのプロジェクトをやるのか」の本質をチームに示し、共有する
・普段から「目の前の事態に、自ら問題を見出し分析する」土壌を作っておく
・「捨てる判断」の必要性を上司、部下ともに共有しておく
・普段から、合理的なコミュニケーション系統を作っておく

こういったことを最初に考えておくべきでしょう。

「責任感」といった主体性を持たせることは、日頃からの部下のモチベーションを維持することにも繋がります。
がむしゃらになるのは部下だけで良いのです。同じテンションに染まってしまうと、様々な弊害も出てくるのです。
ぜひ、上司の在り方として参考にしてみてはいかがでしょうか。

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参照
[1]”自分に何が求められているか”を意識する『当事者意識』が1位に!」(株式会社インバスケット研究所プレスリリース、2018年7月

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