OKRとは?目標の設定や運用方法、メリット、MBO・KPIとの違いを解説

OKRとは、目標を設定・管理するフレームワークの1つです。

アメリカで生まれた手法で、Googleなど国際的な企業が導入して注目されています。

OKRでは組織と個人の目標を紐付けて設定することで、組織としてまとまりのある行動がとれるようになり、効果的に結果を出し続けることができるのです。

ここではOKRについてメリットやデメリット、導入方法などを解説していきます。

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OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、目標の設定や管理をするために用いられるフレームワークの1つです。

Oが意味する「Objectives」は「目標」という意味で、KRが意味する「Key Results」には「主要な成果」という意味があります。直訳すると「目標と主要な成果」となりますが、意味としては「達成する目標と、目標を達成するための主な成果」となるでしょう。

OKRはアメリカの半導体メーカーであるインテル社で生まれ、その後は世界のトップを走るIT企業(FacebookやGoogle)が導入して世界で注目を集めています。また、国内企業ではメルカリも導入しており、日本でも注目度が高まっています。

他のフレームワークと異なるOKRの3つの特徴

OKRには、他のフレームワークにはない特徴が3つあります。

まず1つ目は、容易には達成できないような、少し達成困難なレベルの目標を設定することです。高い目標を設定することで、組織は一丸となって目標達成に向けて動けるうえに、目標をクリアできなかったとしても思わぬ収穫が得られることもあります。

2つ目は、組織で設定した大きな目標に関連した小さな目標を、チームレベル、個人レベルでも設定することです。組織、チーム、個人という階層の違う規模で、それぞれに統一感のある目標を設定することで、全体の方向性がまとまり、仕事の優先順位が明らかになります。

そして3つ目の特徴は、従来の目標管理のフレームワークと比べて、目標の設定やその進み具合、評価を行うスパンが短く、高頻度で何度も行うことです。

OKRにおける目標設定方法

OKRは「目標と主要な成果」とあるように、「成果」にフォーカスされていることが重要です。

一般的に「目標の設定」と聞いてイメージするのは「売上を上げる」や「シェアを広げる」といったものではないでしょうか。しかしOKRでは、こういったものとは異なり、明確に計測できる目標を設定します。

先程の「売上を上げる」という目標をOKRで設定するのであれば、「いつまでに、いくら売上を上げるのか?」という視点で明確に設定しなければなりません。「シェアを広げる」であれば同じように、期間とどれくらい広げるのかといった数値目標を設定する必要があります。

OKRとノルマの違い

このように聞くと、OKRはノルマのようなものと勘違いされることもあります。

しかし、ノルマは達成しなければならない最低限の目標であり、対してOKRは達成可能な基準を超えるような目標を設定しなければなりません。この、少し背伸びをした目標設定をすることは「ムーンショット」と呼ばれています。

実際、OKRを導入しているGoogleで設定される目標は、達成できても6割から7割ほどだそうです。つまり、「100%達成できるような目標は、目標として低すぎる」という考えがOKRにはあるため、あえて完璧にはクリアすることができない目標を立てているのです。

しかし、どう考えても不可能だと思えるような目標にしてしまうと、逆に従業員のモチベーションが下がってしまいます。したがって、OKRは難しいけどチャレンジしたくなるくらいのバランスが求められます。

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OKRと混同されがちなMBOやKPIとの違い

目標の設定や管理をするフレームワークにはOKR以外にも、MBOやKPIといった方法があり、よく混同されています。これらはどのように異なるのでしょうか。

OKRとKPIの違い

まず、「Key Performance Indicator」の略称であるKPI(重要業績評価指標)について簡単に解説します。

KPIは、目標を達成するまでのプロセスを評価するツールです。KPIを使うことで、目標がどの程度達成できているかという中間指標を確認できます。

その結果、目標達成までに程遠いことがわかれば修正をすることが可能です。OKRとは異なり、基本的に完璧に目標を達成することを目指し、確実に達成できる目標を設定します。

一方でOKRは、従業員の能力を引き出す目的も兼ねて、容易には達成できない目標を設定し、組織として最高のパフォーマンスを発揮できるようにします。

OKRとMBOの違い

続いて「Management By Objective」の略称であるMBO(目標管理)を解説します。

MBOとOKRはどちらも組織で用いられる目標に関するフレームワークで、よく混同されがちです。

しかし、両者は複数の点で異なっているため、一緒に確認していきましょう。

  • 目標の基準
  • 目標を再評価するスパン
  • 目標の達成度合いを測る基準
  • 目標を共有する範囲

それでは1つずつ解説していきます。

目標の基準

まず、目標の設定の仕方ですが、OKRとは異なり厳しすぎる設定はせず、MBOでは「頑張れば100%クリアできる基準」で設定します。なぜなら、MBOは人事評価制が強く、目標の達成と報酬が関わるためです。

一方でOKRは、組織が成長することが目的でもあるため、6割から7割ほどの達成度合いが見込める目標にします。

目標を再評価するスパン

MBOは目標を再評価するスパンもOKRより長く、1年ほどです。一方でOKRは1か月~3ヶ月に一度という短いスパンで何度も見直します。この結果、目標からずれていたときにすぐに修正ができるようになります。

目標の達成度合いを測る基準

OKRやMBOでは、目標をどの程度達成できたかを測定しますが、その測定方法も異なります。

OKRで用いられるのは「SMARTの法則」と呼ばれるものです。この法則は、下記の5つの単語の頭文字をとったもので、これにそって目標を設定することで、明確かつ客観的に測ることができる目標を設定できます。

  • Specific:具体性
  • Measurable:測定可能性
  • Achievable:達成可能性
  • Related:経営目標との関連性
  • Time-bound:期限

対してMBOでは組織によって異なり、決まった評価方法はなく、OKRほど厳格には測定していません。

目標を共有する範囲

OKRでは組織の目標に紐付いた目標を、個人の目標としても設定します。こうすることで組織と個人の方向性が一致し、まとまりのある動きができるからです。その結果、達成が難しい目標でもモチベーションを下げずにいられます。

一方で、MBOで設定される目標は、組織と個人で連携されることはありません。個人の目標は、あくまで個人的なものです。

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OKRを導入することで得られるメリット・デメリット

OKRは組織と個人のパフォーマンスを引き出すために役立つフレームワークですが、それ以外にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

ここでは、OKRを導入することで得られる3つのメリットを解説します。

組織の理念やビジョンを従業員と共有できる

OKRでは、組織の大きな目標と個人の目標が紐付いているため、従業員一人ひとりに組織の理念やビジョンを浸透させられるというメリットがあります。

その結果、従業員一人ひとりの行動が組織の目指す方向へと統一させられるため、組織の成長をより促進できます。

エンゲージメントを上げられる

OKRにより組織と従業員とで目標が共有されているので、従業員が組織への貢献感を感じやすくなり、従業員エンゲージメントを上げることが可能になります。

従業員がどれほど貢献しているかを可視化することで、さらに組織への帰属意識も高まり、モチベーションの向上につながるでしょう。

やるべきことが明確化する

OKRでは組織内で目標が共有されているため、目標を達成するためにやるべきことが明確化します。したがって、今するべきことと後回しにしてもいいことを分けることができ、効率的に仕事を進めることが可能になります。

OKRを導入するデメリット

OKRを導入することでさまざまなメリットが得られますが、下記のようなデメリットが生じることもあります。

  • 従業員が少ない小さな組織では効果があまり出ない
  • 見直しや再評価のスパンが短く頻繁に行うため、その時間を捻出できない組織では扱えない
  • 目標を高く設定しなければならないため、達成のためにストレスがかかる

OKRは短期間で目標の見直しを何度もしなければならないため、マネジメントができる組織でなければ運用が難しいといった点があります。

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OKRを設定するには?

さて、それではいよいよOKRを設定してみましょう。

まずはOKRの「O(objectives)」である目標を設定しますが、「明確で定性的であること」が条件となります。定性的とは、数字で表現できない「性質」のことです。また、努力して60~70%ほど達成できるくらい、少し難しい目標にしましょう。

目標は多くても5個、少なくても3個ほどにしておきます。多すぎる場合、どの目標も中途半端になるうえに、従業員にかかる負担が大きくなりすぎてしまうからです。

また、Googleは設定する目標を「達成が難しい目標」と「絶対に達成するべき目標」の2種類に分けて設定しているようです。

O(目標)を設定する際のポイント

Oの目標を設定するときは、「維持」や「継続」を目標にしてはいけません。なぜなら、「◯◯を維持する」といった形の目標だと、組織と個人の成長と、パフォーマンスの最大化につながらないからです。

維持や継続を目標にするのであれば、Googleのように「100%達成しなければならない」別の目標として設定するので良いでしょう。

また、抽象的すぎる目標も避けるべきです。抽象的な目標は耳触りがよく、なんとなくイメージできてしまうものですが、抽象的すぎるとこの後に設定するKRが難しくなってしまいます。

KR(成果指標)を設定する

Oが設定できたら、続いてはKR(主要な成果)を設定していきます。

KRはOで設定した目標がどれだけ達成できたかを測定するための成果指標であるため、Oとは異なり「定量的」なものにしなければなりません。数値で表すことができる性質が定量的であり、定性的の逆の意味となります。

目標1つに対して、成果指標は3つ設定しますが、その際は下記の3つのポイントを意識して決めていきましょう。

  • 定量的に測れるか
  • 客観的な評価ができるか
  • 難しいが達成できるものであるか

例えば目標が「売上を伸ばす」であった場合、成果指標は「新規顧客を増やす」では不適切です。この場合は「新規顧客を◯人増やす」といったように上記の3つを満たすものが求められます。

KR(成果指標)を設定する際のポイント

KRを設定したら、それを達成できる確率を考えてみましょう。例えば、90%の確率で達成できるのであれば、目標としては優しすぎるため不適切です。50%ほどであればKRとして最適だといえます。

また、KRを設定したら放っておかずに、毎週の会議などで随時チェックしましょう。その都度、達成確率も更新されていくはずなので、モチベーションアップにつながります。

OKRを導入・運用する手順

OKRを導入し運用していくためのステップが下記のとおりです。

  1. O(目標)を決める
  2. KR(主要な成果)を決める
  3. 組織内でOKRを共有する
  4. フィードバックを行う
  5. 成果を測定する

それでは1つずつ解説していきます。

O(目標)を決める

まずは先程解説した目標設定のポイントに沿って目標を決めます。

最初に組織全体の目標を決めてから部門、チーム、そして個人へと細分化しながら目標を設定するのが一般的です。

KR(主要な成果)を決める

組織や個人の目標が決まったら、次は主要な成果を決めていきます。

こちらは先程解説したように、「定量的」で数値で測れるものでなければなりません。

組織内でOKRを共有する

組織内でコミュニケーションがより活発になるように、OKRは広く組織内で共有し、誰もがチェックできるようにしておきましょう。

また、共有しておくことで、組織全体の動向が把握しやすくなります。

フィードバックを行う

OKRの運用では、頻繁なフィードバックが欠かせません。進捗状況を何度も確認し、修正が必要であれば修正するなどして、常に対応できるようにしておきましょう。

また、1on1を用いでフィードバックをすることも目標達成につながります。

成果を測定する

目標がどの程度達成されたか計測し、その結果を組織内で共有することで、組織内でより活発なコミュニケーションを促すことができます。

また、目標の達成度が低すぎるか高すぎる場合には、目標の変更・再設定も視野に入れて検討しましょう。

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OKRを取り入れて組織と個人の成長を促進しよう

組織が大きくなると、従業員一人ひとりの考え方や目指す方向がバラバラになってくるため、組織としてまとまりのある行動をとることが難しくなってきます。そこでOKRを導入して、組織と部門、個人の足並みを揃えることで、組織と個人が目指す方向を統一することができます。

また、OKRでは高い目標を設定するため、組織と個人のパフォーマンスを最大限に引き出し、その結果成長を促すことも可能です。

漠然とした抽象的な目標だけでは、どう頑張ってよいのか不明瞭になり、その結果も正確に測定できません。だからこそ、難易度の高い定性的な目標と定量的な目標を設定するべきなのです。

競争に負けずに生き残っていくためには、OKRは今後さらに必要なものになるかもしれません。

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