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有限会社とは?株式会社と違いや4つのメリット・デメリット、働くうえでの違いをわかりやすく解説!

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突然ですが、下記のような疑問を感じてはいませんか?

  • 「株式会社と有限会社はどこがどう違うの?」
  • 「有限会社はどうして設立できなくなったの?」
  • 「合同会社や他の会社形態とはどのように異なるの?」

日本の会社法において、会社は大まかに分けて株式会社と持分会社の2つに分けることができます。

では、求人情報などで見かける「有限会社」という言葉は、いったい何なのでしょうか。実は、有限会社は現在は設立することができないため、その数は減少傾向にあるのです。

では、なぜ以前までは設立できて、今は設立できないのでしょうか?

本記事では有限会社について基本的な知識から、株式会社などのほかの会社形態との違い、設立ができなくなった背景について解説していきます。

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そもそも有限会社とは?

まず、有限会社とは何かを知るために、有限会社と株式会社の規定の違いから見ていきましょう。

有限会社の規定

有限会社の規定は下記のようなものでした。

資本金 300万円以上
従業員数 50人以下
役員の人数 取締役1名以上
決算公告義務 なし

このように、家族経営や個人事業など、企業や事業の規模を大きくするつもりがない中小規模の事業や企業に最適な会社形態が有限会社でした。

この頃、株式会社設立には資本金が1000万円以上必要であったため、株式会社を設立するよりも有限会社を設立する方がハードルが低かったのです。

身内や親族で経営する規模の小さい企業が多い日本においては、有限会社は日本社会に適した制度だと認識されていました。

会社法施行前の株式会社の規定

一方で、会社法が施行される前の株式会社の規定は下記のようなものでした。

資本金 1,000万円以上
従業員数 制限なし
役員の人数 取締役3名以上(任期は原則2年)、監査役1名以上
決算公告義務 あり(株主総会)

このように、株式会社の設立は有限会社の設立よりもかなりハードルが高かったのです。

株式会社と有限会社の間には、株式の公開や資本金、取締役の任期、情報開示義務など異なる点がありますが、実態としては株式会社としての義務を全うしないまま株式会社の肩書を得る企業も存在していました。

後述で解説していますが、会社法の施行によって株式会社の設立に必要な資本金は1,000万円以上から1円に変更されており、今ではかなりハードルが低くなっています。そして、これが有限会社が廃止された理由でもあります。

株式会社の特徴としては、決算公告義務があることや、取締役の任期に期限があるため経営の透明性が高く、社会的信用が高いことが挙げられるでしょう。

有限会社はもう設立できなくなっている

現在、有限会社を設立することはできません。

「◯◯有限会社」というように有限会社として活動している企業が存在しているのは、有限会社が設立できなくなる前に設立された有限会社が、そのまま残っているということです。

有限会社が廃止された背景

では、なぜ有限会社の設立ができなくなったのでしょうか?

これには、2006年の会社法施行によって株式会社の資本金額が1円になり、株式公開も任意となるなど、株式会社制度の柔軟性が高まったことが背景にあります。この結果、株式会社と有限会社を分ける意義がなくなったので、有限会社の制度は廃止されたのです。

上記でも解説しましたが、従来は株式会社を設立するには下記のような条件が必要でした。

  • 1,000万円以上の資本金
  • 役員として最低でも取締役3名以上、監査役1名以上
  • 取締役会の設置

このように、株式会社の設立には非常に高いハードルがありましたが、現在は2006年の会社法施行によってそのハードルが下げられたため、有限会社の制度そのものの必要性がなくなったのです。

つまり有限会社が廃止されて、株式会社に一本化されたことになります。

廃止されたあとも有限会社が存在する理由

2006年に会社法が施行された際に、すでに存在していた有限会社のその後を見ていくと、大まかに下記の2つのケースに分かれていきました。

  1. 特別な手続きをすることなく「特例有限会社」という株式会社の一形態に移行する
  2. 一般的な「株式会社」に移行するための手続きを行う

株式会社に移行した企業も存在しましたが、改正前の制度の一部をそのまま引き継げるので、株式会社にはせず特例有限会社として活動を続ける会社も多く存在するのです。

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有限会社(特例有限会社)でいることのメリット

では、なぜ株式会社に移行せずに有限会社(特例有限会社)として存続することを選ぶ企業が存在するのでしょうか? それは特例有限会社には、下記のようなメリットがあるからです。

  • 面倒な手続きやコストがかからない
  • 役員の任期制限がない
  • 決算の公告義務がない
  • 社歴が長い印象を与えられる

それでは1つずつ解説していきます。

面倒な手続きやコストがかからない

会社法施行によって、それまで有限会社だった企業は、法律上は「特例有限会社」となり、有限会社法も無くなりました。しかし、商号として「有限会社」という言葉を用いた商号を使い続けることが許されています。

仮に商号を変えるとなると、登記や諸届けなどの手続き、名刺、印鑑、看板や公式サイトもともに変える必要があり、さらに挨拶状の発送など手間やコストがかかってしまいます。

しかし、株式会社への移行をせず特例有限会社として存続するなら、特別な手続きは不要ないため手間もコストもかかりません。

役員の任期制限がない

株式会社の取締役や監査役などの役員には必ず任期があります(会社法332条1項、336条1項)。そのため、任期が来れば一度退任したうえで重任(再任)の手続きをしなければなりません。手続きをしなかった場合、自動で継続ということにはならないのです。

株式会社の役員の任期は、通常は2年(監査役は4年)ですが、非公開会社であれば最長10年まで伸ばすことができます。しかし、有限会社には任期そのものが存在しません。したがって役員が変わらなければ、重任(再任)の手続きをする必要もないのです。

特に、許認可事業を展開している企業には、許可を更新する際に重任登記がなされていなければ、更新手続きが進まない可能性があるため、忘れがちな重任登記が不要であることもメリットだと言えます。

決算の公告義務がない

会社法では、株式会社は定時株主総会の終結後、遅滞なく決算の公告をしなければならないと定められています。(会社法440条1項)。「公告」とは、官報やその他の方法によって、特定のステークホルダーに限らず広く会社の情報を公開することを指しています。

原則として上場企業や非上場企業、公開会社、非公開会社も問わず、すべての株式会社は決算公告を行わなければなりません。

しかし、会社法が施行される前の有限会社には決算公告の義務がなかったため、特例有限会社についても引き続き公告義務が免除されているのです。

(参考:会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 抄丨e-Gov法令検索

社歴が長い印象を与えられる

有限会社の設立は2006年の会社法施行によってできなくなりました。つまり、現在存続している有限会社は必然的に、15年以上続いていることになります。

したがって現時点で有限会社であるということは、「最低でも15年以上生き残っている優良企業である」と評価することもできるのです。

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有限会社(特例有限会社)でいることのデメリット

上記で見たように、有限会社でいることにはいくつものメリットがあり、有限会社のほうが株式会社よりも良いように感じる側面もあるのではないでしょうか。

しかし、当然ながら有限会社にも下記のようなデメリットがあるため、注意しなければなりません。

  • 役員の任期がないためワンマン経営に陥りやすい
  • 株式会社との対比で信用度が低下する可能性がある
  • 株主間の株式譲渡が自由
  • 吸収合併をすることができない

それでは1つずつ解説していきます。

役員の任期がないためワンマン経営に陥りやすい

有限会社のメリットで見たように、有限会社の取締役や監査役には任期制限がありません。しかし、このメリットは裏を返すとワンマン経営に陥りやすいというデメリットにもつながります。

ワンマン経営には意思決定のスピードが速いことや、従業員にほどよい緊張感を与えたり、責任の所在が明確という長所があります。

しかし、一方でイエスマンが増えて従業員の自主性が失われることや、経営者に負担や責任が集中しすぎること、従業員の離職率が高くなることなどの短所もあるのです。

株式会社との対比で信用度が低下する可能性がある

有限会社に対して、「安定していないのではないか?」というイメージを持つ人がいることもデメリットの一つです。

実際、就職活動や転職活動をしている人のなかには「有限会社から内定をもらいましたが、株式会社よりも安定していないイメージがあり、入社を迷っています。」という人もいます。

実際には現在存続している特例有限会社は、2006年に会社法が施行される際に株式会社に移行する手続きをしていないだけであり、実質的には「株式会社」と同じとみなされています。

制度上有限会社であろうと株式会社であろうと、どちらに転職しても働くうえではそれほど大きく異なるわけではありません。

しかし、世間一般のイメージとして「株式会社のほうが安定している」と考えられているため、株式会社との対比で信用度が低下するというデメリットには注意しましょう。

(参考:転職お役立ち情報

株主間の株式譲渡が自由

繰り返しになりますが、有限会社は会社法施行によって廃止され、整備法(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)によって特例有限会社として存続することになりました。

この整備法では、特例有限会社の株式について下記のように定めています。

  • 株式を譲り受けるときには会社の承認が必要である
  • 株主間の株式譲渡は会社が承認したものとみなす

つまり、有限会社では株式を譲渡する際には会社の承認が必要になりますが、株主同士であれば会社の承認は必要ないということです。これは、以下のデメリットにつながります。

持分比率や株主の支配関係が変わるかもしれない

会社の承認が無くとも株式の譲渡ができるということは、株式の持分比率や、株主の支配関係が変化する可能性があるということを意味します。

このようなことに抵抗を感じるのであれば、非公開株式会社に移行するのが良いでしょう。

また、上記の定めは法律によって定款に書き込まれているため、これらに矛盾した事項は定款に記載することはできません。また、記載したとしても無効となります。

吸収合併をすることができない

吸収合併などの組織再編は、必ずしも全ての会社が当事者となって行うことができるわけではありません。

有限会社は株式会社や合同会社、合資会社、合同会社などと同様に消滅会社として吸収合併や新設合併はできますが、有限会社を存続会社とする吸収合併をすることはできません。

また、有限会社は株式移転、株式交換ができません。したがって、有限会社は吸収合併や新設合併をされる側にしかなれないのです。吸収合併をする側になるのであれば、株式会社に移行しなければなりません。

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有限会社や株式会社以外の会社形態

ここまで有限会社や株式会社の特徴について見てきました。

しかし、会社形態にはこれ以外にも「持分会社」と呼ばれる形態があります。持分会社とは、下記の3つの種類の会社を総称したものです。

  • 合名会社
  • 合資会社
  • 合同会社

合名会社は、無限責任社員(債権者に対して直接連帯・無限の責任を負う社員)だけで構成されている会社を指しています。

合資会社は無限責任社員と有限責任社員(会社の債務に対して出資額までの責任を負う社員)で構成される会社です。

3つ目の合同会社は、2006年に施行された会社法によって、新たに設けられた会社形態です。

アメリカのLCC(Limited Liability Company)をモデルとして導入されたため、「日本版LCC」と呼ばれており、アメリカでは株式会社と同じくらい一般的な会社形態です。

まとめ

ここまで有限会社の基本的な知識や廃止された理由、その他の会社形態との違いについて見てきました。

有限会社は現在は設立することはできませんが、特例有限会社として現存する有限会社はあります。

有限会社として存続することには役員の任期制限がないことや、決算の公告義務がないメリットがありますが、役員の任期がないためワンマン経営に陥りやすい、株式会社との対比で信用度が低下する可能性があるというデメリットがあることに注意しましょう。

とはいえ、「有限会社は株式会社と比べて不安定」ということはありません。

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