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ファミリービジネスとは?特徴や事例、現状を解説!

会社の立ち上げ時から創業一族によって企業経営が行われている会社を、ファミリービジネスと呼びます。実は、日本において長寿企業と呼ばれる会社のほとんどはファミリービジネスの形態をとっています。

企業経営や長寿企業を考える上で、ファミリービジネスの理解は欠かせません。

本記事ではそんなファミリービジネスについて徹底解説します。

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ファミリービジネスの意味

はじめにファミリービジネスの意味を紹介します。

ファミリーとビジネス、どちらも日常生活で頻繁に見聞きする単語なので、大まかなイメージはできるかと思いますが、正確な定義や日本における呼び方などを改めて知っておきましょう。

創業者一族が経営・株式を保有する会社

ファミリービジネスとは、創業者一族が経営し、株式を保有する会社です。

ファミリービジネスでは血縁によって経営陣が決まり、世代が変わっても一族が経営・株式保有を続けています。

「創業者一族によって続いている会社」がファミリービジネスの定義であり、その他の条件は一切問われません。業種や規模の大小だけでなく法人形態も関係ない点が特徴です。

また優秀な従業員が多数在籍する場合であっても、必ず創業一族の血縁者が跡継ぎとなります。詳しくは後述しますが、後継者の能力が足りないと感じられるケースも起こり得るのです。

日本における呼び名:「同族会社」「オーナー企業」など

ファミリービジネスの形態自体は日本でも多く存在しますが、日本では以下のような呼び名が多く使われます。

  • 同族会社
  • 同族経営
  • オーナー企業

なお日本の法人税法においては、上位3株主の持ち株比率が50%を超える企業を同族会社とされています。しかし株式の出資比率が低い場合でも、創業者一族が経営に携わり続けている企業は、ファミリービジネスと表現されるのが一般的です。

本記事でも「創業者一族によって続いている会社」をファミリービジネスとし、同族会社も同じ意味として扱います。

参考:同族会社 | 国税庁

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ファミリービジネスの特徴

ファミリービジネスに見られる主な特徴は以下の3つです。

  • 株式の所有者と経営陣が一致している
  • 経営理念に一貫性がある
  • 長く続いている企業が多い

それぞれの内容について解説します。

株式の所有者と経営陣が一致している

ファミリービジネスは性質上、株式の保有者と経営陣が同じです。

株式会社には「一株一議決権」という原則があります。文字通り1株につき1の発言権が与えられるもので、株式の出資比率が高いほど発言権が強くなり、企業経営に関する実質的な決定権を保有することになります。

株式の保有者と経営の中心にいる人が異なる場合、経営と深く関わっていないのに強い決定権を持っている事態が起こります。

このような状況では実態にそぐわない決定が起きてしまうリスクが高まります。

対してファミリービジネスは、株式の所有者と経営陣が一致しているため、このようなミスマッチは比較的避けやすくなります。

経営理念に一貫性がある

経営理念に一貫性がある点も、ファミリービジネスの大きな特徴です。

経営理念は企業を方向づける上で非常に重要な役割を果たします。

しかし、ビジネスにおいても考え方は人によって違うため、経営理念を受け入れられないケースも有り得ます。

ファミリービジネスの場合、経営の中心に存在するのは常に同じ一族です。したがって理念の継承がしやすく、経営者によって企業理念が変わるリスクを抑えられます。

もちろん考え方や受け取り方に個人差はありますが、非ファミリービジネスと比較すると、経営理念の一貫性を保ちやすい形態といえます。

長く続いている企業が多い

ファミリービジネスには、長く続いている企業が多いです。日本国内において100年以上続いている長寿企業は2万社を超えるといわれていますが、そのうち9割以上がファミリービジネスです。

ファミリービジネスの優位性やメリットについては、日本より海外の方が早くから研究されていましたが、日本には長く続いているファミリービジネスが多く存在するため、世界の研究者から注目を集めています。

企業が長く続く方法を研究する際には、ファミリービジネスの理解・研究も欠かせません。

参考:世界が注目する「日本の同族経営=ファミリービジネス」の秘密~日本経済大学大学院 特任教授 後藤俊夫氏インタビュー | みんなの仕事場

ファミリービジネスのメリット

ファミリービジネスに見られる主なメリットは以下の通りです。

  • 経営や事業に関する決定・変革をスピーディーに行える
  • 長期的な視点での経営活動が可能
  • 継続性・一貫性が強い

これらのメリットが、企業の長寿性とも密接に関係しています。

経営や事業に関する決定・変革をスピーディに行える

ファミリービジネスは前述の通り、実質的な権力者である株主と、経営の中心にいる人物が同一です。したがって経営や事業に関する決定および変革をスピーディに実施できます。

意思決定の速さは企業運営において非常に重要です。スピードが遅いためにチャンスを逃してしまった事例も珍しくありません。

株式の所有者と経営陣が異なる場合、経営に関する理解度や認識の違いから、意思決定が遅れるといった事態も発生します。

しかし、ファミリービジネスは株式の所有者と経営陣が一致しているため、経営について理解している人間が強い発言権を行使できます。したがって、企業運営に関するスピーディな意思決定および変革が可能なのです。

長期的な視点での経営活動が可能

ファミリービジネスは世代を超えて経営を続けるのが前提です。

したがって成果実現のための短期的な視点ではなく、先を見据えた長期的な視点での経営活動をします。

株主の多くが経営に関わらない会社の場合、素早い成果実現を求める声が強くなりがちです。特にベンチャーキャピタルなどが株主に入っている場合には、こうしたリスクは高まります。

権力者の声を無視できない以上、どうしても短期的な視点での経営が強いられる場面が多くなってしまいます。

しかしファミリービジネスの場合、子や孫、そしてその先の世代まで企業を存続させる前提があります。

そのため長期的な視点での経営活動が可能であり、これがファミリービジネスに長寿企業が多い理由のひとつとなっています。

継続性・一貫性が強い

ファミリービジネスには、継続性・一貫性が強いというメリットもあります。

前述のようにファミリービジネスは長期的な視点で経営活動を進めます。

したがって一貫した理念で継続的な企業運営が可能となります。

またファミリービジネスは株主と経営陣が一致しているため、経営において外部からの意見にそれほど影響を受けません。

すなわち経営がブレる場面が少なく、一貫した進め方が実現できます。

企業経営に関わる人もその立ち位置もさまざまな企業では、経営の進め方が経営者によって変わり従業員が困惑する事態は避けられません。

そのような懸念が不要な点は、ファミリービジネスの大きな強みでしょう。

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ファミリービジネスのデメリット

どのような組織形態も、メリットばかりではありません。ファミリービジネスには以下のようなデメリットが存在します。

  • 優秀な人材が後継者になるとは限らない
  • 企業の私物化が発生しやすい
  • 保守的な面が強すぎるケースも

それぞれの内容について解説します。

優秀な人材が後継者になるとは限らない

ファミリービジネスでは、後継者を選ぶ基準は血縁です。

したがって優秀な人材が後継者になるとは限らない点が大きなデメリットとなります。

ファミリービジネスは創業者一族から後継者が選ばれるため、たとえ従業員に優秀な人材がいたとしても、血縁関係がない以上は後継者として選出しません。

したがって経営陣の交代を機に業績が悪化するケースも存在します。

また、後継者候補となる血縁者が複数いる場合、後継者争いが深刻となる恐れもあります。

創業から同じ一族で続くというのは、後継者の能力不足や後継者争いといったトラブルを起こす要因にもなるのです。

企業の私物化が発生しやすい

ファミリービジネスの株主・経営者が同じという特徴は、メリットと同時にデメリットも生み出します。

デメリットの代表例が、企業の私物化が発生しやすいという事実です。

ファミリービジネスの経営陣は、株式を保有しているため会社の実質的な権限も持っており、自身の考えをそのまま企業経営で実行できてしまいます。すなわち、ワンマン経営を招きやすい状態なのです。

企業の私物化が起きてしまうと、企業全体や従業員のことより、自身の欲望が優先されやすくなってしまいます。従業員の意見も耳に入らなくなるため、社内の不満が溜まる恐れもあります。

ファミリービジネスを営む際は、仕事と自己を切り離して考えるという意識が必要です。

保守的な面が強すぎるケースも

ファミリービジネスは継続性や一貫性の強さ、そして長期的な視点が大きなメリットです。

しかしこのような性質が強まりすぎてしまい、保守的な面が目立ってしまうケースも存在します。

企業を長く続けるためには、環境や社会情勢の変化に対する柔軟な対応も必要です。

しかし継続という点を大切にするファミリービジネスには、これまでの進め方を変えることに抵抗を感じる企業が多く見られます。

結果として時代の流れに上手く乗れず、古いままになってしまうというパターンも多いのです。

変化と維持のバランスが取れず、保守に偏りがちな点がデメリットのひとつでしょう。

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ファミリービジネスの事例

ファミリービジネスには世界的に有名かつ優れた業績を実現している企業も多く存在します。

本記事では以下3社の事例を取り上げました。

  • トヨタ自動車
  • ファーストリテイリング
  • ジョンソン

企業の特徴などについて解説します。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は日本の大手自動車メーカーで、国内外でかなりの知名度を誇ります。

2020年には販売台数で世界第1位を獲得しており、規模・業績ともに非常に高いレベルの企業です。

トヨタ自動車は日本におけるファミリービジネスの代表例です。

1933年にトヨタ自動車の起源が開設されて以来、創業者一族が常に経営および株式保有に強く関わり続けています。

赤字転落や販売台数の減少などさまざまな危機に見舞われながらも、ファミリービジネスを維持し続け、トップシェアを実現しています。

参考:トヨタ、世界販売台数5年ぶり首位 モデルチェンジ奏功 | 朝日新聞デジタル

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングはユニクロなど複数の衣料品会社を傘下に持つ持株会社です。

傘下にある企業は、ファストファッションに関する事業を中心に展開しています。

ファーストリテイリングはファミリービジネスでありながら、大きな業態転換を行った企業でもあります。

現社長である柳井正氏は父が展開していた紳士服業を継ぎながらも、将来を見据えてカジュアル衣料を事業の中心に置くと決断。父である柳井政雄氏からの強い反対を受けながらも、業態転換を実現し成功したのです。

ファミリービジネスは保守性が強くなりがちとはいえ、時代に合わせた大きな変化を実現したケースと言えます。

SCジョンソン

SCジョンソンは洗剤など家庭用の化成品を製造するアメリカ企業です。会社設立は1886年ですが、以降5世代にわたって同じ一族によって経営を続けています。

SCジョンソンは、歴代経営陣の思いを非常に大切にしており、ファミリービジネスとしての歴史や代々伝わる理念などを企業公式サイトにも多く掲載しています。

これらのことから、SCジョンソンはファミリービジネスであることに誇りを持っていると受け取れます。

そして、歴史や受け継がれた理念などを大切にしながら、現代でも大きな成果を実現しているのです。

ファミリービジネスはよいものなのか

ファミリービジネスについてさまざまな点から見てきました。

その内容を踏まえて、ファミリービジネスがよいものか否かを考えます。

本記事の結論としてお伝えしたい内容は以下の3点です。

  • 比較的長寿かつ業績がよい傾向
  • 同族ゆえの課題も多数、よい面ばかりではない
  • 良好な人間関係維持の工夫や柔軟な対応が必須

それぞれの内容について具体的に解説します。

比較的長寿かつ業績がよい傾向

ファミリーカンパニーはそうでない企業と比べ、比較的長寿企業が多い傾向です。

その上、経常利益率・総資産利益率ともに高く、業績がよいとも言えます。

もちろんすべてのファミリービジネスが成功しているわけではなく、業績悪化に苦しむファミリービジネスも存在します。

また、後継者が見つからないなどの理由で廃業となるケースも珍しくありません。

とはいえ、ファミリービジネスとそうでない企業を比較すると、継続性や収益性の高さはファミリービジネスが高いという結果になります。

明確な結果が出ている以上、ファミリービジネスの持つ特徴が影響していると考えるのが自然でしょう。

同族ゆえの課題も多数、よい面ばかりではない

長寿企業が多く業績がよい傾向という面だけ見ると、ファミリービジネスの形態が理想的という考えに至ります。

しかし現実的には同族だからこその課題が多数存在し、よい面ばかりではありません。

同族ゆえの課題としてデメリットの部分でも触れたように、私物化が起こりやすいこと、後継者争いが起こりやすいことなどが挙げられます。

また一族による長期的な継続を前提としているため、変化が求められる場面でも保守的になりがちという点もファミリービジネスならではの問題点です。

メリットだけでなく、課題についても正しく理解する必要があります。

良好な人間関係維持の工夫や柔軟な対応が必須

繰り返しになりますが、ファミリービジネスは後継者争いの起こりやすさや保守性の強さなどが大きな課題です。また、ワンマン経営化してしまうと従業員の不満にもつながり、人間関係の悪化が起こり得ます。

このような事態を防ぐために、ファミリービジネスの経営では以下の2点が重要です。

  • 良好な人間関係を維持するための工夫
  • 強すぎる保守性を解消し必要に応じて柔軟な対応を実行

企業経営において当然大切にするべき内容ですが、ファミリービジネスの性質上どうしても軽視されやすい部分です。

ファミリービジネスとして成功を収めるには、当たり前と思える課題こそ強い意識が必要と考えられます。

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まとめ:ファミリービジネスのメリット・デメリット両方の理解が必要

ファミリービジネスは長寿企業や業績のよい企業が多い傾向にあり、この事実だけを見ると理想的な形態と考えられます。

しかしファミリービジネスには同族ならではのメリットもあれば、デメリットも複数あります。

メリット・デメリット、様々な事例など、偏りなく幅広い情報を押さえ、深く理解することで、より適切な判断が可能となるでしょう。

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