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事業内保育所とは?メリットや設置手順、企業主導型保育所との違いまで徹底解説!

近年では多くの企業において、事業所内保育所の設置が進められています。

事業所内保育所は、企業と従業員双方にとってメリットがあり、設置を検討する余地は十分にあるといえます。

本記事では、以下の点をわかりやすく解説しています。

  • 事業所内保育所の定義
  • 企業主導型保育所との違い
  • 事業所内保育所を設置するメリット
  • 事業所内保育所を設置するまでの流れ

事業所内保育所の設置を検討している方は、ぜひ最後までご覧の上、ご参照ください。

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事業所内保育所とは?

事業所内保育所とは、企業が従業員の子ども、ないしは地域内で保育サービスを必要とする子どもを対象として設置する保育所のことです。

事業所内保育所があれば従業員はより便利な保育サービスを受けることができ、さらに条件に合致していれば、保育料が無償化されることもあります。

企業側から見れば福利厚生を提供する形となり、従業員の満足度を向上させられます。

また事業所内保育所を設置していること自体が、企業イメージの向上に寄与するというメリットも期待できるでしょう。

事業所内保育事業の概要や目的

続いて、事業所内保育事業に関して

  • 事業概要
  • 事業発足の背景と目的
  • 事業の対象

の3点を解説していきます。

事業概要

事業所内保育事業は、2015年に発足した「子ども・子育て支援新制度」によって創設されたものです。

これにより事業所内保育所は「地域型保育事業」に分類され、市区町村の認可事業として扱われています。

地域型保育事業に分類されたことで、事業所内保育所を開設する企業は補助金や助成金を受給できるようになりました。

事業発足の背景目的

事業所内保育所の主な目的は、保育施設の増加と拡大による「待機児童問題の解消」です。

「子ども・子育て支援新制度 」が発足するまで、企業が設置する保育施設はすべて認可外保育施設として扱われていたため、原則として補助金制度が適用されませんでした。これにより企業からすると設置のハードルが高いことが課題でもあったのです。

そのため、国は事業所内保育所を地域保育型事業へ分類。企業への補助金や助成金の給付を可能としたことで事業所内保育所の設置におけるハードルが低くなり、事業所内保育所が増加することで、待機児童問題解消の一助となったのです。

また、待機児童問題の解消とともに、女性の育児負担を軽減し、社会進出を支援する狙いもあります。

事業の対象

「子ども・子育て新支援制度」および事業所内保育事業の対象は、0歳から2歳までの児童、いわゆる「低年齢児」です。

2020年における厚生労働省の調査によれば、待機児童全体に占める低年齢児の割合は87.1%と非常に高いため、待機児童問題をより効率的に解消するべく、低年齢児が事業の対象とされています。

[参考:厚生労働省]

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事業所内保育事業と企業主導型保育所との違い

事業所内保育事業に類似した取り組みとして、「企業主導型保育所」が挙げられます。両者の違いをわかりやすく解説するので、ご参照ください。

認可の違い

事業内保育事業は認定保育所に分類されるため、事業所内保育所の開所には市区町村の認可が必要です。

一方で企業主導型保育所は、市区町村による認可を必要としません。

単一もしくは複数企業によって、認可なく設置することが可能です。

ただし企業主導型保育所は、自治体が介入しないことから、サービス品質や安全面について懸念点もあります。

配置基準

事業所内保育事業と企業主導型保育所では、職員の配置基準も異なります。事業所内保育事業における職員の配置基準は以下のとおりです。

<定員数20名以上の場合>

  • 0歳児3人あたり保育士1名
  • 1歳〜2歳児6人あたり保育士1名

<定員数19名以下の場合>

  • 0歳児3人あたり保育士1名
  • 1歳〜2歳児6人あたり保育士1名
  • 職員1名

企業主導型保育所での職員の配置基準は以下のとおりです。

  • 0歳児3人あたり保育士1名
  • 1歳〜2歳児6人あたり保育士1名
  • 3歳児20人あたり保育士1名
  • 4歳〜5歳児30名あたり保育士1名
  • 保育士の人数合計に1を加えた人数以上の職員配置
  • 従事者の過半数以上が保育士有資格者である

このように条件が異なるので注意しましょう。

[参考:厚生労働省ー子ども・子育て新支援制度ハンドブック]

対象年齢

事業所内保育事業における対象年齢は、「0歳〜2歳児(3号認定)」です。

3歳児以降は、連携する保育園へ優先的に入園できます。

一方で、企業主導型保育所には対象年齢が定められていません。

助成金

事業所内保育事業と企業主導型保育事業においては、助成金制度の仕組みが大きく異なります

それぞれ図表で解説するので、ご参照ください。

事業所内保育事業における助成金の仕組み

名目 助成率 助成限度額
設備費 中小企業:2/3

大企業:1/3

中小企業:2,300万円

大企業:1,500万円

増改築費 中小企業:1/2

大企業:1/3

中小企業:1,150万円

大企業:750万円

運営費 中小企業2/3

大企業:1/2

通常型:379万2,000円〜699万6,000円

時間延長型:505万2,000円〜951万6,000円

深夜延長型:533万2,000円〜1,014万6,000円

[参考:厚生労働省ー事業所内保育施設設置・運営等支援助成金のご案内]

企業主導型保育事業における助成金の仕組み

名目 助成率
設備費 設備費にかかる費用の3/4
増改築費 原則として支給なし
運営費 全体運営費の95%を上限として支給

[参考:企業主導型保育事業ポータル]

企業主導型保育事業における助成金の仕組みは、きわめて複雑です。

詳細については企業主導型保育事業ポータル実施要項に基づいて確認してください。

無償化の範囲

事業所内保育所であれば、施設利用料は月額25,700円を上限として無償化されます。

[参考:内閣府ー幼児教育・保育の無償化概要]

企業主導型保育事業では、保育の必要性が認められれば「利用者負担相当額」が無償化されます。

利用者負担相当額は以下のとおりです。

  • 0歳児:月額37,100円
  • 1歳〜2歳児:月額37,000円
  • 3歳児:月額26,000円
  • 4歳児〜月額23,100円

ただし子どもが0歳〜2歳である場合、住民税が非課税の世帯であることが条件に加えられます。

[参考:企業主導型保育事業ポータル]

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事業所内保育所のメリット

事業所内保育所の開設にあたっては、さまざまなメリットがあります。特に以下の点は、企業にとって非常に重要かつ魅力的なメリットです。

  • 離職率が低下する
  • 子どもとの距離が近く、従業員が安心して勤務できる
  • 福利厚生の充実をアピールできる

離職率が低下する

事業所内保育所を導入することで、離職率の低下が期待できます。事業所内保育所があることで、従業員が育児のために離職せざるを得ないケースが減るからです。

先ほども触れたとおり、現在では多くの待機児童の存在が深刻な問題となっています。

厚生労働省の2020年4月1日時点の調査によると、待機児童数は12,439人と人数は漸減しているものの、まだまだ解決には至っていません。

入園先が見つからないのであれば自宅で育児するほかなく、結果として離職を選択せざるを得ない場合もあります。

しかし、事業所内保育所があれば、従業員は子どもを入園させることができます。したがって従業員は離職する必要がなくなり、離職率も低下するわけです。

参考:2020(令和2)年4月1日時点の待機児童数について  | 厚生労働省

子どもとの距離が近く安心する

従業員の立場から見れば「子どもとの距離が近く安心する」というメリットも挙げられます。事業所内保育所は、事業所建物内もしくはその近辺に設置されるものです。

子どもを預けているとはいえ物理的な距離が近いため、保護者である従業員は「何らかのトラブルがあったときにもただちに駆けつけられる」という安心感を得られます。

福利厚生の充実

事業所内保育所を導入することで、福利厚生を充実させられます。従業員および入社志望者にとって、福利厚生は重要なポイントです。

事業所内保育所が利用できることは、子どもを持つ人や出産を考えている人にとって、非常に魅力的な福利厚生のひとつと言えるでしょう。

福利厚生が充実していれば、当然ながら採用活動や人材確保といった面でも有利です。

さらに「事業所内保育所を設置するほどの福利厚生が用意できている」と評価され、企業のブランドイメージ向上にも繋がるでしょう。

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保育士にとってのメリット

事業所内保育所には、設置する企業や従業員だけではなく、保育士から見てもメリットがあります。

  • 少人数の子どもを保育できる
  • 土日休みが期待できる

尚、保育士にメリットがあるという点は、実は企業側のメリットにも繋がります。保育士がメリットを感じることで、長期的な勤務が見込まれるからです。

つまり、企業側は保育所においての新人教育や採用活動にかかるリソースやコストをおさえやすくなります。

少人数の子どもを保育できる

事業所内保育所が受け入れる子どもの数は、多くの場合9人から19人です。つまり保育士は、一般的な保育所と比較して、やや少人数の子どもを保育することになります。

子ども一人ひとりに対して向き合いたいと考えている保育士には、きわめて魅力的な環境です。

また少人数であることから、業務負荷が低くなり、比較的働きやすい環境でもあります。

土日休みが期待できる

事業所内保育所では、保育士は土日に休日を取ることが期待されます。

事業所内保育所に入園する園児のほとんどは、企業内で働く従業員の子どもです。つまり企業が土日休みであった場合、事業内保育所も土日が休園日になると見込めます

したがって、保育士は土日に休日を取ることが期待できます。また企業によっては、ゴールデンウィークや年末年始などで長期休暇が与えられる可能性も高いでしょう。

事業所内保育所のデメリット

一方で、事業所内保育所にはデメリットもあります。特に以下は企業と従業員双方が理解する必要のあるデメリットです。

  • 人数の都合上、子どもに集団行動の経験を提供しづらい
  • 行事が少ない
  • 通勤時の同伴は必須

それぞれわかりやすく解説するので、ご参照ください。

人数の都合上、集団行動の経験を提供しづらい

事業所内保育所のデメリットとして、「子どもに集団行動の経験を提供しづらい」という点が挙げられます。事業所内保育所は、基本的に小規模の施設として設計されます。

したがって、受け入れられる子どもの人数もさほど多くはないため、子どもは集団行動を経験しづらいです。

つまり、事業所内保育所において、子どもに集団行動を通した社会性や協調性について学ぶ機会を与えるのは少し難しいというのが現状です

行事が少ない

「行事が少ない」というのも、事業所内保育所のデメリットです。

事業所内保育所は、事業所内もしくはその周辺に設置されます。つまり周辺は都市部であるケースが多く、周辺に行事を行えるスポットが多くありません。

また大きな場所を確保しづらく、園庭やプレイルームを設けるのが困難です。したがって、運動会や発表会などの行事も開催しづらい傾向にあります。

子ども自身、あるいは保護者である従業員の心境を考えれば、行事が少ないというのは大きなデメリットだといえます。

通勤時の同伴は必須

事業所内保育所は、事業所内およびその周辺に設置されます。したがって、通勤時は子どもを同伴することになります。

出勤時に離れた保育所に寄ってから出勤する、といった手間や時間がかからないことはメリットにもなりますが、電車やバスを利用して通勤をしている場合には子供が通勤ラッシュに巻き込まれる恐れがあります。

マイカー通勤であれば、さほど負担にはならないでしょう。

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事業所内保育所の開設の流れ

事業所内保育所を開設するには、やや複雑な手続きが必要です。

  1. 設置場所を決定する
  2. 運営方法を決定する
  3. 設計をする
  4. 施工をする
  5. 書類の準備と審査対応をする

それぞれわかりやすく解説するので、ご参照ください。

1.設置場所を決定する

まず、事業所内保育所をどこに設置するか決めましょう。設置場所の候補として、以下が挙げられます。

  • 事業所建物内
  • 事業所敷地内
  • 事業所が入居するビル内
  • 駅近辺のテナント
  • 事業所付近のテナント

いずれにせよ従業員が利用することを考えれば、事業所内かその近辺に設置する必要があります。

また設置においては、制度概要で定められる設備基準を満たさなければいけません。設備基準と事業所の状況を鑑み、設置場所を検討しましょう。

2.運営方法を決定する

事業所内保育所の運営方法は、以下2通りがあります。

  • 自主運営
  • 委託運営

「自主運営」とは、自社のみで事業所内保育所を管理する運営方法で、認可から運営に至るまで、すべて自社がおこないます。

自社で運営するのが困難な場合、外部業者へ運営を委託できます。これを「委託運営」と呼び、この場合は認可や人材採用、教育に至るまで、全て外注することが可能です。

自社の状況を鑑み、適切な運営方法を選定しましょう。

3.設計をする

運営方法が決定したら、事業所内保育所を詳細に設計します。設計においては、厚生労働省が定める児童福祉施設最低基準を満たすことが前提です。

事業所内保育所については最低基準を満たしていないとして指導を受けているケースが多発しており、2017年には、実に800の事業所内保育所で不備が指摘されました。

設計については、十分な注意が必要です。

[参考:日本経済新聞]

4.施工をする

設計が終了した後、施工に取り掛かります。施工では、のちに行われる認可および審査、そしてサービス提供開始に合わせてスケジューリングすることが重要です。

また上記のとおり、児童福祉施設最低基準に沿って施工が進められているか、監督する必要があります。

5.書類の準備と審査対応をする

施工が完了したら、書類の準備を進めていきます。

市区町村ごとに「事業所内保育所の応募申請書」が公開されているので、これを入手して必要事項を記入し、市区町村へ申請しましょう。

その後応募を受けた市区町村が、書類審査を実施します。のちにヒアリングや適格性検査も実施されるので、審査対応が必要です。

まとめ

事業所内保育事業は、待機児童の問題を解消するために創設された政府の事業です。

同事業により、企業は事業所内保育所の設置において補助金や助成金を受けられるようになり、従来よりも事業所内保育所の設置、および福利厚生としての保育サービスを提供しやすくなりました。

従業員から見ても、事業所内保育所を利用できるのは魅力的であるとともに、離職率の低下や企業イメージ向上といった企業側へのメリットも期待できます。

自社でも事業所内保育所を設置できないか、本格的に検討してみましょう。

[参考:厚生労働省ー子ども・子育て新支援制度ハンドブック]

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