働き方改革を説明できる?目的やメリット、関連法案の具体的な内容を解説

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はじめに

働き方改革で実際に何が変わったか、あなたは説明できるでしょうか?

働き方改革関連法案によって法改正されたもののなかには、罰則が追加されたものもあります。だからこそ、しっかりと働き方改革について知っておく必要があるのです。

この記事を読むことで、

  • 働き方改革の意味や目的がわかる
  • 働き方改革で変わったことがわかる
  • 働き方改革のメリットやデメリットがわかる

ようになるので、ぜひ参考にしてみてください。

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働き方改革の意味とは?

働き方改革とは、働く人々がそれぞれの事情に適した形で働ける、多様で柔軟な働き方を自分で選べるようにするための改革です。

現在、日本は下記にあるような様々な問題や課題に直面しています。

  • 少子高齢化
  • 労働人口減少
  • 働き方の多様化
  • 長時間労働や過労死

これらの問題を解決していかなければ、生産性の向上や多様な働き方の実現はできません。

そのために現在、厚生労働省主導で取り組まれているのが「働き方改革」です。

働き方改革では「一億総活躍社会を実現する」というスローガンをもとに、従来の旧態依然として変わらなかった労働環境を大幅に見直し、改善していく取り組みが行われています。

しかし、これまでに習慣化したやり方を変えることは、そう簡単ではありません。実際には法令の基準だけを満たすという、形だけの改革が行われていることもあります。

また、実際に長時間労働や格差の是正に取り組まれたとしても、それが私達の実生活で実感できなければ意味がありません。

時間やコストをかけて働き方改革に取り組むのであれば、形だけのものにならないよう、改革が必要な理由や、真の目的を理解する必要があります。

(参考:働き方改革 特設サイト│厚生労働省

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今、働き方改革に取り組むべき理由やその目的

働き方改革では「働き方改革関連法」によって、労働環境を大幅に変化させようというものです。

ちなみに「働き方改革関連法」は、新たな法律ができたわけではなく、下記の労働に関する8つの法律が改正された総称を指しています。

  • じん肺法
  • 雇用対策法
  • 労働基準法
  • 労働契約法
  • 労働者派遣法
  • 労働安全衛生法
  • パートタイム労働法
  • 労働時間等設定改善法

労働に関する法律に対しては今までも時代に適した改正が行われてきました。

しかし、今回の働き方改革関連法では、今まで以上のスピードで大きな改革が行われています。

これは非常に珍しく、政府が本気で労働環境を変えようとしている姿勢が垣間見えます。

しかしなぜ今、政府はいくつもの法改正を行ってまで働き方改革に取り組んでいるのでしょうか? その理由は、日本の労働環境には下記のような問題や課題が山積しており、これを解決しなければならないからです。

  • 少子高齢化による労働力不足の危機
  • 労働生産性の低下
  • 長時間労働の常態化や過労死

それでは1つずつ詳しく解説していきます。

少子高齢化による労働力不足の危機

現在、労働に関して日本が抱えている最も大きな問題は、少子高齢化に伴う労働人口の減少です。日本の人口のピークは2008年で、その後は減少し続けており、少子高齢化が進んでいます。

日本で「労働力」として数えられる15歳以上、64歳以下の「生産年齢人口」の数にいたってはピークが1995年であり、その後は現在まで減り続けています。この結果、あらゆる業界で人手不足に陥り、今後は育児や介護などによる離職・休職によって人手不足がさらに深刻化するでしょう。

労働力が足りなくなると企業の生産性や、国の税収、GDPの低下は免れません。

だからこそ、働き方改革により「生産年齢人口」に該当しない年齢の人でも、働く意欲のある人は働ける環境を整えることで労働参加率をあげていかなければならないのです。

また、少ない人数でも一人ひとりの生産性を上げてることで業務効率化を図る必要があります。

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生産性の低下

近年になって問題視されるようになってきたのが、諸外国と比べたときの日本の労働生産性の低さです。

公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2020」によると、2019年の日本の労働生産性(1時間あたり付加価値)はおよそ4,886円で、OECDに加盟している37カ国中で21位でした。

また、日本人一人あたりの労働生産性は814万円で、OECD加盟国のなかでは26位となっており、1970年代以降で最も低い水準となっています。

このように日本は先進国のなかでも特に労働生産性が低いのです。さらに、生産年齢人口が減っていく日本においては、労働者一人あたりの生産性を上げることが急務となっており、少数精鋭で成果を出せる国にしていかなければなりません。

(参考:労働生産性の国際比較 2020│公益財団法人 日本生産性本部

長時間労働の常態化や過労死

以前の日本には、会社に自分の人生を捧げて業績に貢献するような働き方が称賛される時代がありました。

この企業文化は現代でも完全には払拭しきれておらず、その名残りとして「長時間労働の常態化」という問題が生じています。

少子高齢化が進み、生産性の低い日本において、長時間労働は社会や経済に明らかにマイナスの影響をもたらしています。

そのマイナスの影響の最大の例が「過労死」です。長時間労働は健康に悪影響をもたらし、生産性の低下にも拍車をかけるでしょう。

また、仕事に時間をとられてしまい結婚や出産ができずに、さらに少子高齢化を加速させる要因にもなります。

このように、長時間労働の常態化それによる過労死という問題は、貴重な労働力の損失につながり、日本社会や経済に多大なダメージを与えるのです。

(参考:長時間労働者の 健康ガイド│独立行政法人労働安全衛生総合研究所

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働き方改革における3つの柱

これまで見てきたとおり、日本の労働環境には深刻な問題が山積しています。働き方改革ではこれらの問題を解決するために下記の3つの柱を確立しなければなりません。

  • 長時間労働の是正または解消
  • 非正規・正規の格差解消
  • 柔軟で多様な働き方の実現

それでは1つずつ解説していきます。

長時間労働の是正または解消

長時間労働の解消なくして、日本の働き方を変えることは不可能です。

令和の時代では、会社のために人生を犠牲にして働くことは美徳でもなければ、称賛されることでもありません。

むしろそのような働き方が日本経済を弱くする原因の1つだと言えるでしょう。

それよりも決められた時間のなかでいかに成果をあげるかを考えて、生産性を上げていく必要があります。実際、生産性を上げるために下記のような対応をとる企業も出てきました。

  • 休日出勤の禁止
  • 残業の事前申請制
  • フレックスタイム制度の導入

非正規・正規の格差解消

1980年代以降、日本では非正規労働者の数は増え続けており、1984年ではおよそ604万人だった非正規労働者が、2020年には2,090万人まで増えています。

多くの会社では正規雇用されている正社員と、非正規雇用の従業員が混在しています。

そのなかで業務内容は同じにも関わらず待遇や賃金面での格差があることが、長い間問題になってきました。また、こういった不平等により「非正規」という雇用形態に負のイメージが生じています。

この雇用形態による不平等や格差を解消する取り組みが「働き方改革」によって進んでいます。

具体的にはアルバイトやパート従業員の有給休暇に関する事項が就業規則に明記されて休みが取りやすくなったり、非正規から正社員登用を進める取り組みがなされるようになりました。

柔軟で多様な働き方の実現

まさに今、新型コロナの流行により、リモートワークを筆頭に働き方の多様化が劇的に進んでいます。

また、現代は一人ひとりのライフスタイルや考え方も多様化しており、さまざまな異なる事情を抱えています。

また、少子高齢化を少しでも遅らせるためにも、出産や育児などのライフイベントに応じた労働環境の整備が急務です。

そのなかで労働参加率を高めていくために、働き方改革では働き方の多様性を確保し、どんな人でも働きやすい環境を整えるこを目標にしています。

実際、厚生労働省の「働き方改革 特設サイト」には「働く方の置かれた事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会を実現する」と明記されています。

柔軟な働き方を実現するための具体的な施策には下記のようなものが挙げられます。

  • 出産や育児、介護などに合わせた労働管渠の整備
  • テレワークや在宅勤務、短時間勤務制度の導入
  • 職場へのキッズスペースの併設
  • 副業や兼業の推進

働き方改革による従業員と企業のメリット・デメリット

2021年9月の時点では、まだまだ働き方改革による恩恵を受けられている実感はありません。

働き方改革が推し進められることで、企業や従業員にとってはどのようなメリット、またはデメリットがあるのでしょうか?

従業員からみたメリット・デメリット

働き方改革によって従業員が受けられる恩恵は「ワーク・ライフ・バランス」が最も大きいでしょう。

長時間労働が解消されることにより、自分の時間を確保できるようになります。

その結果、趣味や家族との時間を増やせるため、生活にゆとりや充実感が生まれ、仕事にも良い影響を与えることが期待されます。

他には同一労働同一賃金の推進により、雇用形態による不平等や格差が是正されることもメリットです。

また、出産や育児、介護といったライフステージに合わせた働き方が可能となります。

一方でデメリットとしては、下記のようなものが挙げられます。

  • 長時間労働ができなくなるため、生産性の向上や業務効率化を求められる
  • 業務効率化ができない場合、隠れ残業が必要になる可能性がある
  • 時間外労働の縮小により給料が減る可能性がある

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企業からみたメリット・デメリット

企業は働き方改革に取り組んでいることを、社内外にアピールすることによってメリットを享受できます。

例えば、労働時間を切り離して従業員を評価し、積極的に休みをとってもらうことで、従業員の生産性ややる気を上げることや離職率の低下が実現できます。

また、従業員にとって働きやすい環境は、イノベーションが生まれやすくなることもメリットです。

さらに、有給休暇がとりやすい企業は、求職者に対して良いイメージを与えられるので、採用活動がしやすくなります。

一方で業務効率化や生産性の向上ができていないと、期日までに仕事を終わらせられないなどのリスクがあります。

また、労働環境を整えるためのツールや制度を導入するため、コストがかかる点もデメリットです。

働き方改革関連法案の具体的な内容や時期

日本政府は働き方改革を押し進めるために、「働き方改革関連法案」を成立させています。

正式名称は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と長めです。

要するに「働き方を実際に変えるために法律を変え、形だけではなく実際に改革をする」ということです。

働き方改革関連法案で改正された法律は8つあり、2019年4月以降、企業に適用されています。ここでは大企業でも中小企業でも、企業規模に関わらず必ず対応するべき内容について解説していきます。

一年に5日以上の有給休暇の取得義務

適用時期は2019年4月以降で、従業員が年次有給休暇を取りやすくするために施行されました。

これにより大企業・中小企業に関わらず「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられます。法律が改正される前は、年次有給休暇の付与義務はありませんでしたが、法改正により、本人の希望に関わらず、企業は有給休暇を取得させる必要があります。

(参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説│厚生労働省

労働時間の客観的な把握

施行されたのは2019年4月1日で、目的は従業員の長時間労働を防ぐことです。

原則、企業は全ての従業員の労働時間を「客観的に把握する」ことが義務化されました。

時間外労働の上限規制(罰則付き)

働きすぎを防ぐことを目的に、2019年4月1日に施行されました(中小企業への適用時期は2020年4月以降)。

1か月に45時間、1年間で360時間以上の時間外労働をすることはできません。法改正前は、この基準を過ぎても行政指導で済んでいましたが、適用後は罰金や懲役などの罰則があるため注意が必要です。

同一労働同一賃金

正規雇用や非正規雇用など雇用形態に関わらず、基本給や福利厚生などの待遇に差がある場合は是正する必要があります。適用時期は2020年4月以降です(中小企業は2021年4月以降)。

高度プロフェッショナル制度の導入

2019年4月1日に柔軟な働き方を実現するために施行されました。

アナリストや研究者といった、高度な専門知識が必要な業務で、職務の範囲が明確かつ、一定水準以上の年収が確保される労働者については、労働基準法の決まりに縛られない働き方を認めるものです。

つまり、時間外労働の上限規制や割増賃金などの規定を適用しない制度となります。

フレックスタイム制の拡充

こちらも柔軟な働き方を実現するために、2019年4月1日に施行されました。

フレックスタイム制における労働時間の調整ができる期間(生産期間)を1か月から、3ヶ月に拡充され、使い勝手がよくなりました。

まとめ

日本では少子高齢化による労働人口の減少や、長時間労働と過労死の問題、そして労働生産性の低さが問題視されてきました。

その問題の解決に、「長時間労働の解消」「格差の是正」「柔軟な働き方の実現」といった3本柱を用いて、日本政府がようやく本腰を入れて解決しようと理組んでいます。

ただ、実際に取り組むのは企業そのものであり、本気で取り組まなければ形だけの働き方改革になってしまいます。

だからこそ、働き方改革について必要な知識を学び、自社の現状を的確に把握した上で取り組んでいかなければなりません。

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