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近年、社内交流を図る自主イベントの実施や、社員旅行といった形で社員同士の接点をもたせる取組みが増えました。こうした取組みは「風通しの良い職場」の形成を目的に実施されています。
しかし、「風通しの良い職場」とは一体どのような状態なのか知っている人は少ないのではないでしょうか。
そこで、今回は風通しの良い職場の概要や、メリット・デメリット、風通しの良い職場を作るための施策などについて解説します。
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風通しの良い職場とは
風通しの良い状態とは、「一般的に外界の空気が室内へ、室内の空気が外界へ抜ける空気の循環が良い状態」を指します。
転じて、職場で表現される風通しの良さとは、「社員を介して情報や感情が職場内外で積極的に行き交う状態」を指します。
具体的に風通しの良い職場は、以下の3つの状態のことを指します。
- 社員のコミュニケーションが取りやすいこと
- 社内の人間関係が良好である
- 社員の意見が活発である
それぞれについてひとつずつ解説します。
社員のコミュニケーションが取りやすいこと
社員のコミュニケーションが取りやすい環境では、社員同士の情報共有がされやすく、連携も取りやすいので風通しが良いといえます。
先輩後輩やチーム、課に関係なくわからないことや小さな相談ができる雰囲気が重要です。
反対に、高圧的な上司や厳粛すぎる規則がある職場は、コミュニケーションがとりにくく風通しが良い職場とはいえません。
社内の人間関係が良好であること
社内での人間関係が良好であることも、風通しの良い職場の判断材料になります。コミュニケーションがとりやすい雰囲気と同じく、良好な人間関係が形成されていることも風通しの良い職場には重要なのです。
人間関係が良好であればプロジェクトや業務を進める際もスムーズになります。
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社員の意見が活発であること
社員が積極的に意見をいえる職場は、新たな情報を得ることや組織等の改善がしやすく風通しが良い職場といえます。
反対に上司や周囲の顔色をうかがい最終的に自分の意見がいえない職場、意見をいっても聞いてもらえない職場などは、風通しが良い職場とはいえません。
「新しいことにチャレンジしてみよう」「目標をみんなで達成しよう」といったポジティブな意見が行き交うと、職場も活気づきます。
一方で、「話しかけないでほしい」「失敗するから挑戦しないほうがいい」といったネガティブな意見が行き交う職場には活気を失っていきます。
言葉にどのような感情が乗せられるのかによって職場の活気が左右されるため、発言の際はなるべくポジティブにするようにしましょう。
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風通しの良い職場は、組織の雰囲気が良いだけでなく様々なメリットをもたらします。次はそのメリットについて詳しく解説します。
- 社員の定着率が向上する
- コンプライアンスの推進につながる
それぞれについてわかりやすく解説します。
社員の定着率が向上する
風都通しの良い職場は社員の定着率が高くなります。
風通しの良い職場では、社員を大切にし、成長を促す文化が形成されるのが要因です。そして、社員の定着率の向上は、会社の売上にも直結する鍵となります。
社員の勤続年数が嵩むにつれ業務の効率化や部下教育の精度が増し、生産性の向上が図れますので、風通しの良い職場を積極的に目指すと良いでしょう。
コンプライアンス遵守の推進につながる
コンプライアンスは会社運営を行っていく上で注意しなければなりません。
コンプライアンスは社員の労働時間や機密情報の管理などの社会規範を遵守することでしたが、現在は社会道徳的な違反行為についてもコンプライアンス違反として取り締まりが入ります。
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一見、風通しの良い職場はメリットだけに思われますが、デメリットも存在します。
今後、風通しの良い職場を作りたいと考えている経営者の方は、以下の2点に留意することも大切です。
- コミュニケーションが苦手な社員には苦痛となる可能性がある
- 緊張感が欠けてしまう
それでは、それぞれ解説していきます。
コミュニケーションが苦手な社員には苦痛となる可能性がある
多くの人とのコミュニケーションが苦手な社員には、風通しの良い職場は苦痛となる可能性があります。
周囲がオープンで、意見が自由に行き交う雰囲気に圧倒されてしまい、居心地の悪さを感じる人もいます。したがって社員全員がオープンな雰囲気を好むわけではなく、多様な社員がいることに留意しましょう。
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緊張感が欠けてしまう
風通しの良い職場は、社員とのコミュニケーションが盛んに行われる反面、緊張感に欠けてしまうデメリットもあります。
社員同士の距離感が近すぎると、ただの友達グループになってしまい、業務効率が低下する恐れがあります。
本来の意図を履き違えてメリハリの無い職場にならないように、目的の意義や、組織の理想像を明確にした上で風通しが良い職場づくりに励みましょう。
風通しの良い職場にするための施策
風通し良い職場を実現するためには、会社側は何をすればよいのでしょうか。具体的な5つ施策を紹介します。
- 社内の風通しに関するアンケートの実施する
- 社内のイベントを企画する
- メンター制度を導入する
- フリーアドレス制度を導入する
- BGMをかける
社内の風通しに関するアンケートの実施する
匿名で「社内の風通し」についてアンケートを行い、社員が職場に対しどのように感じているのか調査する方法があります。
そのアンケートの集計結果によって、顕在化した問題に対して対策を講じ、風通しの良い職場づくりに繋げます。
匿名にすることでアンケートに正直な意見が反映されるため、風通しの良い職場づくりをスムーズに進めることができます。
重要なのは、全ての意見が平等に扱われる場を創出することであり、役職に関係なく平等に意見を扱うことのできる形式であれば、アンケートでなくても構いません。
社内のイベントを企画する
社内イベントを企画し、強制的に社員同士のコミュニケーションの場を設ける方法も有効です。
バーベキューや社員旅行など仕事とは関係のない環境でコミュニケーションをとることで、普段会社では見せない顔を知ることができ、コミュニケーションをより深めることができます。
風通しの良い職場にするためには、社員同士コミュニケーションは必須です。したがって、社内イベントなどを定期的に開催し、積極的にコミュニケーションの場を設けることも重要ですね。
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先輩社員が新人や若手社員をしっかりサポートできるようにメンター制度を導入することも有効です。会社や仕事に馴染むまでの時間を短縮でき、仕事のことだけでなくプライベートな相談も受け付けることで、相手に安心感を与えます。
特定の既存社員に相談や助言を受けることで、孤独感や不安が解消され、意欲的に仕事に取り組めます。
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フリーアドレス制度の導入も、社内コミュニケーションを促進させ、風通しの良い職場形成に有効です。固定の座席を設けないことで、コミュニケーションの相手が毎回変わり、社内コミュニケーションが活発化します。
フリーアドレス制により、今まで会話をしてない人とのコミュニケーションが生まれるため、今後新規のプロジェクトやチームを組むときに互いを知った状態から始められるのはメリットです。
この他、席をランダムに変えるよう工夫することで、風通しのよい環境を作ることができます。
BGMをかける
心地の良いBGMをかけることで、社員が精神的にリラックスでき、コミュニケーションが取りやすい環境を作ることができます。また、好みのBGMをかけることによりポジティブな感情になり創造性が高まる結果も報告されています。
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風通しの良い職場でよくある勘違い
職場づくりに関して、「仕事をするのに周りと仲良くする必要がある」とよく勘違いすることがあります。
念を押す意味でお伝えしますが、「職場づくり=仲良くなること」ではありません。
誤解が生じたまま「風通しが良い職場」の施策を打つと「仲良くしなければならない」という同調圧力が作用し、居心地の悪さや拒否反応を感じてしまう人が出ます。
仲が良いことは決して悪くなく、むしろ仲が悪い関係よりましですが、真の目的とは異なります。
風通しの良い職場の真の目的は、各社員がポテンシャル以上の力を発揮し、より価値の高いものを世間に提供することです。そのために風通しの良い職場の形成が不可欠であり、社員の繋がりを養う施策が重要です。
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最後に、風通しの良い職場づくりに成功した会社の事例を紹介します。取り上げたどの企業も一朝一夕で風通しが良い職場づくりに成功したわけではなく、様々な試行錯誤の末、良い文化が培われました。
したがって、以下に紹介する会社を参考にすると良いでしょう。
ヤフー株式会社
ヤフーは社内に週に1度、30分間だけ1on1ミーティングを行っています。ヤフーの「1on1」のベースとなっているのは2つあります。
- 「経験学習」というスキームの導入
- 社員の才能と情熱を解き放つこと
経験学習をさせることにより、失敗や成功関係なく学びを得て、次の仕事に活かしていくサイクルを形成できます。
単に上司が部下の話しを聞くだけでなく、話の真意を感知してどのように通常業務に反映させるのかが重要です。
また、1on1を受ける社員が、自身で気づいてない才能や情熱を引き出してもらうためにも、1on1は重要な役割を担っています。
ヤフーは2012年から、1on1ミーティングを導入し、外部の専門家も交えて徐々に文化として浸透してきました。現在は、約6000人の社員が「1on1」を実施しています。
日本マイクロソフト株式会社
日本マイクロソフトは2011年に本社移転にともなってフリーアドレス制度を導入しています。
フリーアドレスにしたことで、社員のコミュニケーションも活発になり、紙資料も少なくなりました。
また東日本大震災によって、テレワークが推進され、会社に出社しなくても仕事ができることに気づきました。
そしてよりフレキシブルな働き方が浸透していき、働き方を進化させています。
株式会社資生堂
資生堂はリバースメンター制度を導入し、若手社員と上司の関係性を深めています。
普通のメンター制度は先輩社員が助言者であるのに対し、リバースメンター制度は、若手社員が先輩社員の助言者となります。
若手社員は流行に敏感で好奇心旺盛なため、SNSをはじめDXやICTに関する知識に長けています。
そのような情報を先輩社員と共有することによって、先輩社員の知見や視野が広がる可能性が期待されます。
また若手社員にとっても、自分の知識をアウトプットする場となるので、知識の定着や育成につながります。会社全体のコミュニケーションが活発になり、ITリテラシーも高まるため、普通のメンター制度だけでなくリバースメンター制度の活用も一考する余地があります。
株式会社ぐるなび
ぐるなびは、多いときで週3、少なくとも週1で70分のウォーキング・ミーティングを行っています。会議室とは違いのびのびとした空間で、適度に運動をしながら話せることで頭が冴え、第三者に邪魔されることない非オフィシャルな空間として定着しました。
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まとめ
今回は、風通しの良い職場についての概要や、メリット・デメリット、成功事例などを解説しました。
職場の人間関係はある種、生き物のようなものだと比喩されることがあります。生き物に生命の循環があるように、職場の関係性は永続的に続くものではありません。
だからこそ、良い状態を維持していくには、自社の良くない部分としっかり向き合い、非協力的な社員とも交流を図る必要があります。風通しの良い職場にする方法には、答えや方式はなく、胆力が要求されることもあります。
風通しの良い職場にするには、そういった逆風が吹く環境下においても、臥薪嘗胆の思いで取り組むことが重要なのです。
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