識学講師は、お客様がどんな業界の方でも、どんな規模の組織でも、どんな組織フェーズでも、識学という論理1本で、組織改善に本気で向き合います。
その結果、大きく組織が成長することを目の当たりにしますが、逆に想定通りの成長を見込めない組織も、残念ながらあります。
では、どうすれば業績は伸びるのでしょうか。
結論から言うと、肝心なのは「とにかく識学を使い切ること」です。自分色を出すのではなく、一回識学を受け入れて、そのまま使ってもらうのです。
識学は、しなやかに、柔軟に使ってもらえば、皆様のノウハウとして定着するものです。ここでは、識学の導入が業績の向上に結び付いた例を取り上げたいと思います。
目次
正解を早く見つけるための論理が識学
「識学を正解として動く」
これはお客様から頂いた言葉です。その方は、
「組織マネジメントに苦慮し、識学導入を決めたのは自分なので、識学で是としていることはすべてやり切る。お金を払って識学講師に正しい組織のあり方を教えてもらっているのに、その通りにしなかったら意味がない」
というお考えでした。講師として、とてもありがたく、そして身が引き締まる思いです。
識学は、正解を提供する方法論ではなく、正解を早く見つけるための論理です。したがって、識学を是として動いてもらうことはとても大事です。
その会社は識学の導入後、インセンティブ制度を撤廃して給与制度を採用しました。
それまでは、トップセールスマンだった社長や役員が部下の数字を代わりに作っていましたが、社長や役員が営業に関わる際のルールを設定し、部下の責任を明確にしたり、評価項目を四半期ごとに見直したりしました。
結果どうなったか。識学を取り入れた時、社員は5名でしたが、2年が経過した今、社員20名の組織になり、IPO(新規株式公開)を目指して成長を続けています。
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講師の知らないところで組織構築
ある会社は私が講師として関わる以前、社長の下に150名の社員が横並びでいるという状態でした。役職は対外的に優位になれるように自分で決めて良いというルールがあり、今となっては笑い話ですが、副社長という肩書の方が複数いました。
その会社の社長はスーパーマンのような方で、一人ですべての意思決定を行い、末端の社員まで指示を出せてしまう人でした。ただ、組織の発展のためにこのままで良いのかと疑問を抱き、識学の導入を考えたというのです。
ただ、もともと150名がフラットの組織ですから、階層の設定を推奨する識学に対して、当初は社長も否定的な質問ばかりを投げてきました。
それに対してこちらがお答えすると、「それは理想論だ。その考えには同意できない。意味が解らない」など、とにかく嫌悪感のある様子でした。
それでも、毎週1度面会して、識学とはどういうものかを根気強くお伝えし続けました。1000本ノックのように質問を浴びせられましたが、あらゆる問に答えがあるのが識学の特徴です。
社長の質問にもすべて論理で返していました。とはいえ、私自身、識学の知識をお伝えしてはいるものの、その社長が組織全体に導入してくれていないのではと思っていました。
ところが、初めてお会いしてから4カ月程度経った時でしょうか、識学の浸透度合いについてお聞きしたら、驚きました。
組織は社長以下、4階層になっていて、識学で推奨する2階層の会議を徹底。
週報も識学フォーマットで実施していたのです。その社長が、「あなたがすべての質問に答えてくれたから、全部導入しているよ」と言われた時には泣きそうになりました。
もちろん結果が付いてきました。識学を始めてから1年半で社員数が350名にまで増え、売り上げも順調に伸ばすことができています。
ルール無しの組織から適切なルール管理へ
とにかく自由、ルールなしという会社を担当したこともありました。お客様の会食も自己判断で、事後稟議。出社も10時となっていますが、遅刻してもノーチェック。
それでも売り上げは伸びていたので、他の誰も何も気にしていませんでしたが、社長は若く、組織作りを学びたいという思いがあったので、識学を始めようとしたのです。
識学ではルールの設定から始めます。しかし、その会社ではまずそこで壁にぶつかりました。
私との話し合いの中で、ルールの内容を決めるのですが、そうすると、社長が、「ルールの発動は、全社会同がある2カ月後にしましょう。そこで社員の反応を見ながら決めましょう」という感じです。
とにかくリーダーが意思決定するのではなく、合議、合意を取り、調整をしながら進めるマネジメントスタイルでした。理念を共有し、自発的に動き、個人の考えが尊重され、上司は方向性だけ確認するという考えが、会社に染み付いていたのです。
社長には、部下の納得や腹落ちは関係なく責任者が意思決定を行い、明確な指示を出してくださいと言い続けました。こうして、組織つくりが進んだのです。
その会社は識学の導入から2年後、それまで50億円だった売り上げが350億円にまで増加しました。これだけでも、かなりの成長です。ただ、その会社のポテンシャルから考えれば、まだまだいけるという思いもありました。
すると、それからしばらくして売り上げが頭打ちになり、コンプライアンス上の問題も散見されるようになったのです。
作ったルールは徹底されていますかとお聞きすると、社長は、「いや、全然守られてないし、管理もしていない」と言うのです。いつの間にか、以前のような自由な組織に逆戻りしていました。
識学によって成長を遂げましたが、識学の実践をおざなりにしたことで成長が止まったのです。私は今こそ、識学を徹底するタイミングですとお伝えしました。
その社長は覚悟を決めたとおっしゃっています。次の目標は3年後に売上高600億。少しでもその目標達成に寄与したいと考えています。
自由はルールとセットでなければなりません。ルールがない環境では部下が迷ってしまいます。部下が集中できるようにルールを定めることが、実は会社の発展に繋がるのです。
モチベーションマネジメントとのバッティング
モチベーションマネジメントにどっぷり浸かっている状態の会社に識学を取り入れてもらったこともあります。
その会社では、一対一での面談を通じて部下の意見をヒアリングし、その意見を組織に反映させることが当たり前になっていました。評価制度も定量的ではなく、定性的なものでした。
その会社の社長は、これらの正しさについて違和感を抱くようになったとのことから識学を実施しようとしたのですが、これまで進めてきたモチベーションマネジメントをすべて捨てることはできず、良いとこ取りをしようとしました。
つまり、モチベーションマネジメントと併用する形で識学がスタートしたのです。
当然、上手くいきません。1カ月が経って、明らかに部下に迷いが生じているのです。どちらかに決めませんかと社長に判断を求め、識学1本に絞ってもらいました。
無事研修が始まったまでは良かったのですが、社員の反発たるやすさまじいものでした。私の研修中、社員の方は携帯を見ているばかりでまるで話を聞いていないうえ、「なんでこんな研修を受けなくちゃいけないのか」とか、「識学って軍隊だろ」と真正面から言うのです。
挙句、社長や役員の前で、「経営陣が間違った意思決定しているから会社がうまくいかないんだ」といった批判まで飛び出す始末でした。
ただ、その社長は社員の不満も含めて現状を真摯に受け入れ、識学で改めて組織構築をしたいと決意を固めてくれたのです。私も気合を入れ直しました。
ところが、そこへコロナ禍がやってきました。その会社はまともに影響を受け、会社も生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込まれます。
しかし、識学を振り切って活用できたとのことで、コロナ禍が落ち着きつつある今、新事業に取り組んだり、新たな営業販路を開拓したりして、以前の業績に戻りつつあります。変化しなくてはいけない環境になればなるほど、識学は威力を発揮します。
いかがでしたでしょうか。10社あれば10通りの識学との付き合い方があります。論理は1つでも使い方は千差万別。論理は自由であり、しなやかで、成長という判断軸で常に意思決定できるツールです。皆さんも識学というツールを使って、組織の生産性を上げてみませんか。