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社外留職と社内複業から生まれる破壊的イノベーション

社外留職と社内複業

テクノロジーの進化によって、これから起こる本質的な変化に気づいている人はどのくらいいるだろうか。社会は、中央集権型から分散型へと急速に変わろうとしている。これまでは国や会社が中心で動いていたが、これからはコミュニティや個人が中心となるだろうと予測する識者が多い。この一端となるような社内複業、社外留職制度が始まっている。これらを通して、いま必要とされているイノベーションや中期的な仕事の未来像を探ってみた。

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社内複業、社外留職とは

働き方改革により、副業を解禁する会社が増えている。

本来の仕事以外に、希望する別の部署の仕事を掛け持ちで行える「社内複業」を導入する企業も増えている。さらに「社外留職」という会社に籍を置いたまま、希望する会社やNPO法人、NGOで、決まった期間仕事ができる制度を導入する企業も増えてきた。

社外留職は、越境学習やレンタル移籍とも呼ばれている。出向は会社の命令だが、留職は本人希望というところが大きな違いだ。

厚生労働省の報告書「働き方の未来2035」には、仕事の未来像が書かれている。2035年の仕事は、ミッションや目的が明確なプロジェクト形式になっているのではないかと記されている。

組織という形を維持する企業も存続するだろうが、少数派になるのではないか、また、企業の内外を人が柔軟に移動する形になり、その垣根が曖昧になるのかもしれない、とも書かれている。

「2035年? そんな先のこと、わかるはずないじゃないか」と思われるかもしれない。しかし、テクノロジーの発達により、AI、IoT、ロボティクス、フィンテック、バイオテックなど、最近の変化のスピードには驚くばかりではないだろうか。

未来を映すかのように起業する若者が増え、その成功体験がネット上をにぎわせている。事業内容も働く時間も自分の裁量で決められ、収益もサラリーマンよりいいのなら、わざわざ就職する必要もない。起業家に憧れる若者が後を絶たないのも無理はないだろう。

大手メーカーが続々と複業、留職を導入した理由

大手企業が複業や留職を導入した背景はどのようなものなのだろう。

そもそも「副業」は政府も後押している。本来の仕事以外の収入が増えるのはうれしいし、副業を通してスキルが磨け、さらに新しい技術まで身につけられるとしたら、一石二鳥ではないだろうか。

しかし、現実はそこまで広がっていないようだ。副業とはいえ、短時間でこなせる仕事が少ないことも原因しているのだろう。

副業したがために、本業に支障が出ないか心配で一歩が踏み出せない人も多い。本業がおろそかになっては元も子もない。

複業は、社内で2つの仕事を掛け持ちできるため、新しいスキルが身につくほか、領域をつなぐ力や新たな人脈もできる。また、社内を横断的にみる目が養え、事業部などの垣根を越えた存在にもなれる。次世代リーダーとしての資質が花開くかもしれない。

企業は、組織を縦割りにしているところがほとんどだろう。隣の事業部は他社のようなもので、業務への突っ込んだ話や聞いてはいけない暗黙のルールもありそうだ。

課題解決のリソースが社内にあるのに、外部を探しているケースはないだろうか。

競合他社の方が、よほど自社製品や社風に精通している可能性もある。

複業を通して、社内を横断的に見られるポジションに立てることが、いま重要なのだ。

一方留職だが、日本の企業をめぐる環境は成熟化しており、新しいビジネスモデルも短命化している。企業は競争力を向上させるため、あの手この手と新しい戦略を練ろうと必死だが、安定している反面、閉塞的で変化の乏しい社内から革新的なアイデアは出てきそうにない。

留職は希望するベンチャー企業やNPO法人、NGOなどで仕事が行える。

大手企業では仕事が分業化しているため、限られた範囲の業務しか行わない。ベンチャーやNPO法人では人的リソースが限られており、あらゆる仕事を行わなければならない。漠然としていた経済の流れや会社の仕組みが急に身近に感じられ、仕事に没頭できる環境もある。慣れない仕事に失敗したり、恥をかいたりすることもあるだろうが、体験総量がグンと上がる。そして、留職期間を終え、会社に戻ったときの自身の変化に驚き、周囲に与える影響も大きい。

複業や留職を行う企業の狙いは、次のようなものだ。

・個人のスキルアップ
・次世代リーダーの育成
・環境変化や社内活性化への期待

そして、副次的なものとしてイノベーションの種を見つけることではないだろうか。

イノベーションのもたらす力

イノベーションには、「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」がある。

持続的イノベーションは、日本企業が得意とし、製品を少しずつ改良して顧客の満足度をあげていくものだが、改良が行き過ぎになり、高価格・過剰スペック・高コストになることもある。すぐに思い浮かぶ製品はないだろうか。

そこに破壊的イノベーションが投入されると既存製品はもちこたえられなくなり、下克上が起きる。

破壊的イノベーションは、既存事業を破壊し、業界シェアを激変させる。例としては、ガラケー一辺倒だった携帯電話業界に参入した途端、シェアを一変させてしまったiPhoneがある。カメラや音楽だけではなく、手のひらに宇宙の広がりを感じた人もいたのではないだろうか。同様のものにソニーが生み出したウォークマンがある。

破壊的イノベーションには「ローエンド型」と「新市場型」がある。

・ローエンド型

 既存製品の低機能化・低価格化から始まる。小型化で単純な製品なので最初は目立たないが、改良を重ねていくうちに既存製品を追い抜いていく。

・新市場型

 いままでと全く違う価値観から生まれる。iPhoneやウォークマンがこれだ。

破壊的イノベーションについては、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授の『イノベーションのジレンマ』をご参照いただきたい。

日本の産業界は成熟しており、新たなヒット商品が生まれにくい。新たに導入されてもサイクルが短く、インパクトを与えるようなものが少ない。

いま求められているのは、紛れもなく破壊的イノベーションではないだろうか。

しかし、ローエンド型の破壊的イノベーションは、既存の製品やサービスとの食い合いになるため、大手企業は手を出しにくい。だが、グローバル化している現代、油断していると海外から生まれたイノベーションで業界再編ということもあり得るので気が抜けない。

複業や留職が活発化し、新たな交流やスキルを身につけることで、これまでとは違った視点から気づきや発見があり、イノベーションが生まれることが期待される。

個人の成長と企業の成長、そして分散化へ

はじめに「働き方の未来2035」を紹介したが、プロジェクト形式の仕事はすでに始まっているのではないだろうか。複業や副業、留職などはまさにその動きともいえる。

プロジェクト形式の仕事を簡単に説明すると「個人事業主として仕事をする」ということだ。

アメリカのUpworkの調査によると、2027年のアメリカの労働人口の過半数がフリーランスになるとみられている。テクノロジーが発達した今、日本だけが例外だとは考えにくい。

今後留職を導入する企業が増えて、ベンチャー企業などで活躍し、そのままとどまるケースも出てくるだろう。その延長上で起業する人も増えることも予想される。

留職が一般的になれば、会社に籍を残す形は「うまくいかない」場合のセーフティネットとして機能するのではないだろうか。

実際にスクラップ&ビルドを繰り返し、強固なグループ体制をつくっている企業もある。

組織に隷属することなく、自立し、ピンでやっていける人なら、ワクワクする時代の到来ではないだろうか。

そのために今、準備しなければならないことは何だろうか。

個人としての信用・信頼を着実に積み重ねていくこと、そして自己管理だろう。スケジュールやタスク管理、諸手続きなど、これまで会社にしてもらっていたこと全てを自分で行わなければならないのだ。

まとめ

先日、レシートの買い取りアプリ「ONE」が話題となっていたが、開発会社ワンファイナンシャルのCEO、山内奏人氏は現役の高校生だ。10年後は彼らが20代後半になり、その下のYouTuber世代も社会に出てくる。

その頃までには、驚くような破壊的イノベーションがたくさん出てくるかもしれない。また、劇的に生活に変化がもたらされ、想像もできないほど便利で快適な世の中になっていることも考えられる。

そして、その基盤をつくっていくのは、あなたかもしれない。

最後にドラッカーの言葉を借りて、締めくくりたい。

貢献を考えることによって個人も組織も成長する

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