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メンバーの「多様性」に組織はどう向き合うべきか?

メンバーの「多様性」に組織はどう向き合うべきか?

「男性・女性のみならず、色々なバックボーンを持った人が働く時代だから、組織がそうした多様性を受け入れることも大事」近年盛んに叫ばれるようになった多様性、ダイバーシティという概念ですが、いざこの多様性を組織に組み込むとなると、頭を抱えたくなるリーダーも多いのではないでしょうか。

特にメンバーの多様性に組織を合わせようとすれば、既存体制との兼ね合いでさらに難しくなります。ここでは組織作りに関する3つの考え方を紹介。リーダーのこうした悩みを解決するヒントをお伝えします。

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「組織が個人に合わせる」はNG

「識学」というマネジメント理論においては、そもそも多様性を組織に落とし込もうとして「組織が個人に合わせる」こと自体が間違いであるとされています。多様性を大義名分として、ある個人に特例を許してしまうと、他のメンバーが同じことを行なった場合にも個別の調整が必要になります。このような、場当たり的な判断はその都度ロスタイムを生じさせるため、組織の成長がストップしてしまうからです。

また「組織が個人に合わせる」が習慣化すると、個人が「組織は自分に合わせてくれる」と錯覚する危険もあります。こうなれば次々に自分の「多様性」を主張するメンバーが現れる可能性もあります。こうなってしまっては、組織のルールは崩壊したも同然です。

だからといってルール変更をしてはならないというわけではありません。ルール変更をしてもいいのは「組織が個人に合わせる」ではなく「個人が組織に合わせる」ようになるときです。組織が個人に振り回される状況にはならないからです。つまり、リーダーが「多様性」を受け入れることで組織やチームが活性化する、成長すると判断したうえでルールを変更する分には問題はありません。

このときのポイントは、ルール変更の選択権がリーダー側にあるのか、個人側にあるのかです。前者なら組織の秩序を保てますが、後者が習慣化すると組織崩壊の危険が生まれます。「多様性」という大義名分に惑わされて、組織としての本質を見失わないようにしよう

参考リンク:『伸びる会社は「これ」をやらない! 』

タックマンモデルでチームレベルに適した対応を

オハイオ州立大学元教授B・W・タックマンは1965年に「タックマンモデル」という組織マネジメント理論を提唱しました。この理論はチームの状態を、4段階のチーム形成過程にチームの解散段階を含めた計5段階で説明したもので、リーダーやメンバーは各段階で異なる行動が必要だとするものです。

1. 形成期(Forming):チーム結成の初期状態、チームの目標などを模索している。
2. 混乱期(Storming):チームの目標などを巡り混乱や意見の対立が生じる。
3. 統一期(Norming):目標や役割などの認識が一致し、チームが安定する。
4. 機能期(Performing):チームが成熟し、チームの力が十分に発揮される。
5. 散会期(Adjourning):目標達成や時間的な制約などにより、チームが解散される。
引用:マネジメントオンライン タックマンモデル

組織の中で多様性が問題になるのは、このうち2つ目の「混乱期」だと考えられます。異なるバックボーンを持つ個人が組織として機能するにあたっては、必ず考え方・やり方、もしくは仕事に対する姿勢などのすれ違いや衝突が起きてしかるべきです。この時期にリーダーがとるべき行動は、基本的に「静観」です。なぜなら混乱期はメンバーたちに自由に衝突させたり、調整させたりして、チームとしての意思決定の方法を学んでいく時期でもあるからです。

しかし元来ディスカッションが苦手な日本の組織の場合、そもそも「混乱期」における「混乱」が起きないケースも少なくありません。「1人の意見に全体が流される」「カースト上位の声ばかりが大きくなって、それ以外の意見が潰される」もしくは「ぎくしゃくした空気が流れたまま事態が硬直する」といった状況も考えられます。このような問題を発見したら、リーダーは静観を中止してあえて混乱が起きるように少しずつ調整を入れる必要があります。

ルール変更を検討するのはこのタイミングです。組織が混乱期から統一期に成長するために、ルール変更が必要だとリーダーが判断するのであれば、それは十分に検討する価値のある選択肢でしょう。ただし逆に言えば、ルールを変更しなくても組織が成長できるのであれば、わざわざ変更する必要はないということでもあります。

用語集リンク:タックマンモデル

ストレングスファインダーでメンバーに多様性を受け入れさせる

「ストレングスファインダー」とは、アメリカの世論調査や人材コンサルティングを手掛けるギャラップ社が提供するツールです。用意された177個の質問に答えるだけで、34種類の資質のうち自分が秀でているトップ5の資質を明らかにしてくれます。それは例えば適応性や共感性、活発性や社交性、信念や規律性、戦略性や内省といったものです。その名の通り、自分の強み(ストレングス)を見つけるツール(ファインダー)というわけです。

多様性の問題は、価値観の相違を各メンバーが受け入れられないからこそ生まれます。相手のやり方や考え方のどこが問題で、どこが優れているかを理解できないからと言い換えてもいいでしょう。ストレングスファインダーを利用すれば、各メンバーは自分の強みや重視する価値観を理解するとともに、それらを共有することで他のメンバーの強みや重視する価値観も理解できます。

こうして「自分とは違う性質の人間がいて、そういう人たちはこういう考え方をするんだ」という気づきが得られれば、どうやって互いのやり方や考え方を調整すればいいかも見えてくるはずです。結果メンバーは他者の多様性を受け入れられるようになるため、わざわざルール変更をする必要はなくなるのです。

「多様性」に応じたルール変更を検討するときは、そもそもそれ以外の選択肢がないかと考える必要があるでしょう。

用語集リンク:ストレングスファインダー

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