事業計画書は、起業したり、社内で大規模なビジネスプロジェクトを立ち上げたりする際に必要となる書類です。
事業計画書で書くべき要素は、おおよそ決まっています。
今回は、事業計画書作成のポイントや、実際の書類作成に活用できるダウンロードサイトをいくつかご紹介します。
はじめて事業計画書を作成する人も、すでに経験済みで事業計画書の内容をブラッシュアップしたい人も、ぜひ参考にしてください。
【この記事の要約】
- 事業計画書とは「事業の目的や戦略を書いた会社の設計図」
- 事業計画書には、代表者の経歴や財務計画など書くべき要素が決まっている
- 事業計画書は、公的Webサイトから手軽にダウンロードできる
目次
事業計画書の概要と重要性
事業計画書は、事業の目標や戦略、実行計画を体系的にまとめた書類です。
ダウンロードサイトなどで事業計画書のテンプレートを入手する前に、まずは事業計画書の基本的な概要や、起業時に事業計画書が必要になる理由などについて知っておきましょう。
事業計画書とは「事業の目的や戦略を書いた会社の設計図」
事業計画書とは、事業の目的や戦略、目標を達成するための具体的な計画が書かれた書類のことを指します。
事業計画書は、起業や新規事業の立ち上げだけでなく、既存事業の成長戦略を練る際にも重要です。
事業戦略を練る際に事業計画書があれば、事業の方向性が明確になり、リソースの効率的な配分や意思決定もやりやすくなります。
事業計画書が重要な理由
事業計画書が重要な理由としては、次の3つがあげられます。
- 事業計画書がないと金融機関からの融資を受けられない
- 投資家やステークホルダーからの支援を受ける場合は、事業の確実性や成長性をアピールする必要がある
- 経営陣や従業員に対して事業戦略を明確に伝える必要がある
上記のなかでも、金融機関から事業資金を融資してもらったり投資家から出資金を募ったりする場合には、必ず事業計画書が必要となります。
事業計画書の内容次第では資金調達ができなくなる可能性もあるため、緻密に根拠ある内容の書類を作成しなければいけません。
事業計画書で書くべき6つのポイントと注意点
金融機関や投資家に提出する正式な事業計画書には、下記6つの要素を必ず入れるようにしましょう。
- 代表者の経歴と事業概要
- 市場分析や競合他社の状況
- 製品やサービスの説明
- マーケティング戦略
- 財務計画
- リスク管理
金融機関などは事業計画書をもとに、事業の実現性や成長性、将来発生するリスクなどを見て融資の可否を判断します。
事業計画書は、読み手が事業の成功をイメージできるものが理想です。
とはいえ、事業の成長性をアピールしたい一心で、根拠に乏しい無謀な計画を記載するのはやめましょう。
事業計画書をチェックするのは、「投資のプロ」や「金融機関の決裁権限者」です。熱意はこめつつも、根拠ある書類を提出するよう心がけましょう。
代表者の経歴と事業概要
事業計画書の冒頭には、代表者の経歴や事業の概要を書くようにしましょう。
具体的には、次のような情報が必要です。
- 代表者の氏名、住所、連絡先などの個人情報
- 学歴や職歴
- 保有している資格
- 事業概要(どのような事業を計画しているのか要約する)
- 事業の目的(ゴールはどこにあるのか)
代表者の経歴を書くときは、新規事業と関連性がある内容を記載するのがポイントです。
関連性がなく突拍子もない内容を書いてしまうと、新規事業の実現性を疑われてしまいます。
市場分析や競合他社の状況
市場分析や他社分析に関する情報は、金融機関などから信頼を得るために重要な要素のひとつです。
金融機関や投資家は、事業の継続性や競合他社との優位性を重視します。
計画している事業が他社と比較して優れている点はどこなのか、具体的な根拠をもとに記載するようにしましょう。
例えば、飲食店を立ち上げるのであれば、同じ商圏の同業他社をリサーチし、競合の価格帯や商品と比較したポイントも記載します。
業界全体のトレンドや市場規模などについても、できるだけ数値やグラフを使って提示し、説得力のある内容にするのがポイントです。
製品やサービスの説明
事業計画書には、製品やサービスの特徴や独自性を具体的に記述します。
製品の利点やターゲットとなる顧客、市場での差別化ポイントなどを明確にし、事業計画の実現可能性をアピールしましょう。
また、製品やサービスが解決しようとしている社会課題や、顧客への提供価値を強調することも重要です。
マーケティング戦略
事業計画書では、製品やサービスを市場でどのように販売するかなど、マーケティング戦略を記載しましょう。
マーケティング戦略の欄には、事業発展のための具体的なプロモーション戦略や価格設定、販売チャネルなどを詳細に説明します。
効果的なマーケティング戦略は事業の成功に直結するため、市場のニーズや動向を踏まえた具体的な計画を立てる必要があります。
財務計画
事業計画書の中核をなすのが「財務計画」です。
具体的には、次のような項目を記載しましょう。
- 初期投資や運転資金に必要な金額と調達方法
- 収支予測
- 直接コストや関節コスト
- キャッシュフロー
また、財務計画の信頼性を高めるために、リスク評価や想定されるシナリオに基づく財務予測も取り入れると良いでしょう。
関連記事:識学総研「キャッシュフローとは?種類・見方・注意点などを解説」
リスク管理
市場の変動や競合の動向、法規制の変更など、事業運営に影響を及ぼすリスクを分析し、対策も明記するようにしましょう。
具体的には次のような情報が必要です。
- 法的リスク……許認可違反リスク、コンプライアンス違反リスク
- 損益リスク……事業が失敗に終わるリスク
- 事故災害リスク……労災事故や自然災害から影響を受けるリスク
- 雇用関係のリスク……労務トラブルや人材採用、離職に関するリスク
関連記事:識学総研「リスクマネジメントとは?企業に求められる有効な対策を解説」
参考にしたい事業計画書テンプレート5選
事業計画書は、汎用のMicrosoftofficeツールなどで作成する方法もありますが、公的機関のWebサイトからダウンロードすることも可能です。
いくつかの代表的なダウンロードサイトをご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
Microsoftofficeテンプレート
Microsoft Officeの事業計画書は、使いやすさと機能性を兼ね備えたテンプレートとして定評があります。
テンプレートに沿って項目を入力するだけで、簡単に事業計画書が作成できます。
自動計算機能が付いているため、予算計画を作る際も簡単です。
Microsoftofficeの事業計画書テンプレートは、特にExcelを日常的に使用するユーザーが使いやすいように設計されており、A4サイズの普通紙で印刷・ファイリングできるように提供されています。
日本政策金融公庫の各種書式ダウンロードサイト
日本政策金融公庫の公式サイトには、公庫融資を受ける際の各種書式ダウンロードコーナーがあります。
各種業態の記入例が記載された創業計画書や収支計画書などが用意されているので、公庫以外の金融機関に提出する書類を作成するときにも参考になります。
また、日本政策金融公庫のWebサイトには、事業計画書の作成に必要なサポートが受けられる情報が満載です。
公庫融資を利用する人もしない人も、ぜひ参考にしてください
中小機構の起業マニュアル
中小機構が運営するJ-Net21のサイトには、事業計画書に関する豊富な情報が掲載されています。
事業計画書が必要な理由や、ビジョン・目標の書き方、競合分析の書き方などが網羅されており、実際のビジネスシーンに即したアドバイスが得られます。
起業の際に必要な資金調達方法や開業手続きまで、具体的な起業マニュアルも閲覧可能です。これから起業を計画している人は、ぜひ参考にしてください。
参考:中小機構運営サイト「J-Net21」事業計画書をつくる
東京商工会議所の資金調達書類ダウンロードサイト
東京商工会議所の資金調達書類ダウンロードサイトでは、事業計画書を含む様々な資料が提供されています。
「小規模事業者向け経営改善資金」を利用する際に必要な書類も、ダウンロード可能です。
おもに商工会議所の融資制度専用の資料となりますが、一般的な事業計画書作成時にも参考にできる情報がありますので、ぜひチェックしてみてください。
銀行の経営(事業)計画書ダウンロードサイト
融資を申し込む予定の銀行のサイトから、事業計画書をダウンロードする方法もあります。
例えば、京都銀行の公式サイトには「資金繰り表」と「経営(事業)計画書」の作成用エクセルシートが用意されています。
ダウンロードしたシートには計算式が組み込まれており、事業計画の各項目を入力するだけで自動的に書類を作成できます。
銀行に提出する事業計画書を作成するときには、取引銀行で事業計画書が提供されていないか、一度問い合わせてみるといいでしょう。
参考:京都銀行公式サイト「資金繰り表・経営(事業)計画書ダウンロード」
まとめ
事業計画書の作成は、ビジネスの将来を形作る重要な一歩です。
事業計画書の内容次第では、金融機関からの融資が受けられなかったり、投資家から支援してもらえなかったりするケースがあります。
事業計画書の提出先によっても書くべき要素は違いますが、今回の記事でご紹介した必須項目は網羅しておくようにしましょう。