あっさり辞める人ほど優秀と言われるのは、計画的・効率的に離職するケースが多いためです。準備が整ったタイミングで離職を伝えるため、あっさり辞めたように見えます。
本記事では、あっさり辞める人の特徴や会社が被るデメリット、さらには優秀な人が定着しにくい会社の特徴を紹介します。
目次
真面目・優秀な人ほどあっさり辞めると言われる理由
あっさり辞める人ほど優秀と言われる4つの理由について詳しく見ていきましょう。
1. 自分の将来を見据えた決断ができるため
1つ目は、自分の将来を見据えた決断ができるためです。優秀な人は、将来のキャリアプランを持っています。
理想の自分と必要なスキルがきちんと見えているため、現状を客観的に把握することが可能です。このまま会社で働いていても、理想とするキャリアプランを実現できないと考えれば、あっさりと辞める選択をします。
2. リスクを取ることを恐れないため
2つ目は、リスクを取ることを恐れないためです。優秀な人は、チャレンジを恐れません。転職により一時的に賃金が下がったり、仕事が大変になったりする可能性があるとしても、将来につながる道を選択します。
自分に自信がない人の多くの場合は、会社に不満があったとしても辞めません。転職活動が面倒、他の会社もどうせ同じ状況などと文句を言いながら、働き続ける選択をします。
3. 決めたことをやり抜く実行力があるため
3つ目は、決めたことをやり抜く実行力があるためです。一度決めたことは、計画を立てて遂行できる、これも優秀な人に見られる特徴です。目標を立てて終わりではなく、目標にたどり着くまでのルートを逆算して行動します。
何をすべきかを見据えて行動できるため、目標達成までがスムーズです。一度会社を辞めると決めたら、迷うことはないでしょう。
4. 自分の考えが確立されているため
4つ目は、自分の意思や考えが確立されているためです。優秀な人は、自分の置かれている状況について客観的に把握できます。自分の置かれている状況が正しいか・正しくないかを適切に判断できるため、おかしいと思えばすぐに行動に移します。
自分で物事を考えられない人は、会社や上司に流されやすいでしょう。「うちの会社はこうなんだ」と言われれば納得してしまうため、現状に疑問を抱きません。離職ではなく、我慢して働く思考に至れば、あっさり辞める人が少ないのも当然です。
あっさり辞める人が出やすい会社の特徴
あっさり辞める人が出やすい会社には、共通する特徴が見られます。社員が定着しない会社の特徴を見ていきましょう。
仕事以外のことで煩わされる
1つ目は、仕事以外のことで煩わされるという点です。仕事以前に職場環境が悪いと、社員は定着しません。特に重要なのは、人間関係です。
社員同士のコミュニケーションが不足していたり、パワハラやセクハラが横行していたりする職場では、仕事に集中するのが難しくなります。居心地の悪さから離職する社員が増えがちです。
また、備品が揃っていない、職場が狭過ぎる、暑過ぎる、寒過ぎるなどの職場では、作業効率が著しく低下します。働きづらさから、あっさり辞めてしまう人も少なくありません。
やりがいを感じられない
2つ目は、仕事にやりがいを感じられない点です。決まった仕事しか与えられない環境では、自身の成長を実感できません。仕事をこなすモチベーションを維持できず、あっさり辞める人が出てきます。
一方難易度の高い仕事ばかり任される社員も、仕事に不満を抱きがちです。終わらない業務に疲れ果て、ミスが続出することもあるかもしれません。求められる成果があまりにも大きいと、達成感よりも疲れが勝り離職に至ってしまいます。
正しく評価されない
3つ目は、正しく評価されない点です。明らかに仕事をしていない社員の方が高評価だったり、自分の努力が認められなかったりすれば、社員は会社や上司に不信感を抱きます。今いる会社は自分には合わないと離職を決意するでしょう。
不透明で属人化した人事評価制度を維持しているのも、風通しの悪い職場だという印象を抱きやすいです。
将来性がない
4つ目は、将来性がない点です。市場のDX化・グローバル化に対応しきれていない企業は、将来性に不安があります。業績不振が続けば、転職のチャンスがある今のうちに辞めようと考える社員が出てくるでしょう。
また市場の変化に対応しきれない会社ほど、企業体質も古い傾向があります。このような会社は、社員からさまざまな改善案や新しいシステムの導入を提案されても、現状を変えることに否定的です。
市場のトレンドに置き去りにされる自社の現状を見て、離職を決意する人もいます。
あっさり辞める人により会社が被るデメリット
あっさり辞める人が出ると、会社にはさまざまな不利益が生じます。会社が被るデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
採用コストの無駄が生じる
採用コストの無駄が生じるデメリットもあります。一概には言えませんが、中途社員を一人雇うには約100万円の採用コストが掛かるとされています。
社員を採用するためには、求人を出したり面接をしたりすることが必要です。採用する社員が決まれば、備品の手配や業務の説明なども行います。約100万円とは、備品代・社員の研修に掛かる人件費などを合わせた総額です。
多くの採用コストを掛けたにもかかわらず社員があっさり辞めてしまった場合、会社は再度お金をかけて募集から始めなければならないため、大きなダメージとなります。
労働生産性が低下する
労働生産性が低下するデメリットもあります。あっさり辞める人がいると、その人の仕事を他の社員がカバーしなければなりません。社員一人当たりの業務量が増え、労働生産性の低下が予想されます。
辞めた人の代わりがすぐに見つかったとしても、仕事に慣れるまではフォローが必要です。メンターとなる社員は自分の業務・相手の業務を見る必要があり、業務負担が大きくなってしまいます。
辞める人が増える
優秀な人が辞めてしまうと、離職の連鎖で辞める人が増える可能性があります。優秀な人は、社員全体のムードメーカーだったり困ったときの拠り所だったりするケースが少なくありません。
一人の存在がいなくなっただけでも、職場に与えるダメージは大きいものです。「あの人が辞めたのなら自分も」「あの人が見限ったということは、この会社は良くないのかも」などと考える人が増え、他の社員まであっさりと辞めてしまうかもしれません。
あっさり辞める人を出さないための対策
あっさり辞める人が出てくることは、会社にとって大きなマイナスです。離職率を下げて社員を定着させるための対策を紹介します。
従業員エンゲージメントサーベイツールを導入する
従業員エンゲージメントサーベイツールを導入するのもおすすめです。従業員エンゲージメントサーベイツールとは、社員の愛社精神・愛着心を調査するためのツールです。
簡単な質問で従業員のコンディションを把握でき、フォローが必要な社員を発見できます。従業員エンゲージメントのスコアが良い企業ほど、従業員と企業の絆が強く離職率は低い傾向です。
社員が何を考えているか読めない、どのような悩みがあるのかを把握できていない企業は、従業員エンゲージメントサーベイで現状を知るのが有効です。
人事評価制度を見直す
人事評価制度が属人化している企業は、全ての社員が納得できるように人事評価制度を見直しましょう。社員は正しく評価されたいと考えています。
人事評価の透明性を高めるだけで、社員の不満を軽減できるはずです。上司が社員を自己流に採点する古いフローを実施している企業は、人事評価システムの導入検討をおすすめします。
シートの提出やフィードバックも全てシステム上で完結するため、人事評価が公平になるだけでなく、業務効率もアップします。
社員間コミュニケーションを活性化させる
社員間コミュニケーションを活性化させることも必要です。人間関係の良い職場ほど、社員間のコミュニケーションがしっかりと取れています。お互いに仕事の悩みや不安を共有・フォローできれば、離職率の低下が期待できるはずです。
社員同士がコミュニケーションを取れるイベントを実施したり、フリーアドレスを採用したりしてみるとよいかもしれません。
またパワハラやセクハラが見られる場合は、早急な対処が必須です。自社で十分にフォローできていない場合は外部のハラスメント相談サービスなどを導入し、解決に努めましょう。
あっさり辞める人を出さない環境を作ることが重要
あっさり辞める人は、中長期的に物事を見れる・リスクを取れる・決めたことをやりぬくなどの優秀な人材に当てはまる特徴を持っています。
優秀な社員が定着しない会社には、何らかの理由や原因があります。あっさり辞める人が多いで済ませるのではなく、早急に原因を調査して抜本的な改善が必要です。