Webサイトを運営する上で、ほぼ確実に導入することになるGoogle Analytics(以下、GA)は、実は非常に効果的な分析ツールです。
しかし、GAを上手に活用できているチームは、そこまで多くないのではないでしょうか。それもそのはず。実際、GAは非常に複雑で、使いこなすのが難しいツールだからです。
そこで本記事では、今一度、メディア担当者やマネージャー向けに、GAについて徹底解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
Google Analytics(GA)とは?
GAは、Googleが提供するWebサイト分析ツールです。
現在、世界の検索エンジンシェアは、圧倒的にGoogleがNo.1となっています。そのため、Webメディアを運営する上で、GAの利用は避けて通れないと言えるでしょう。
一方で、GoogleドキュメントやGmailと同様に、GAも基本無料で利用できます。
注意点として、2023年現在、GAにはUA(ユニバーサルアナリティクス)とGA4(Google Analytics4 プロパティ)の2種類が存在します。
Google Analyticsの導入手順
GAの導入手順は以下の通りです。
- Googleアカウントを作成する
- Google Analyticsに登録する
- トラッキングコードを設置する
それぞれの手順を解説していきます。
手順①:Googleアカウントを作成する
まずはGoogleアカウントを作成する必要があります。Googleアカウントを既に持っている場合はそれでログインし、持っていない場合は作成しておきましょう。この際、メディア担当関連のメールアドレスでGoogleアカウントを作成するのが無難です。
また、複数ユーザーでGAを利用したい場合は、それぞれのGoogleアカウントが必要になります。Googleアカウントの作成は無料なので、あらかじめ作っておきましょう。
手順②:Google Analyticsに登録する
Googleアカウントを作成したら、GAにアクセスし、「無料で利用する」をクリック。必要な情報を入力していきます。この際、WebサイトのURLを入力する必要があるので、Webサイトの構築及びドメイン取得をあらかじめ済ませておきましょう。
手順③:トラッキングコードを設置する
GAに登録しただけでは、サイト解析をスタートさせられません。トラッキングコードをサイト内に設置する必要があります。
トラッキングコードの取得方法はGA4とUAで異なる上、Webサイトの構築方法によって、求められるコードが変動します。例えばWordPressの場合、GA4の測定IDだけで良い場合があるのです。
トラッキングコードは、実際に運営しているWebサイトに合わせて、設置するようにしましょう。
Google Analyticsで見た方がいい指標5選
GAを利用する上で、確認した方が良い指標は以下の5つです。
- ユーザー
- 集客
- エンゲージメント
- コンバージョン
- リアルタイム
それぞれ詳しく解説していきます。
指標①:ユーザー
まず、見ておいた方がいい指標は「ユーザー」です。ここでは、どのようなユーザーがサイトに訪問しているかがわかるようになっています。具体的には、以下の要素でカテゴライズされているようです。
- 国
- 市区町村
- 性別
- 年齢
- 言語
- インタレストカテゴリ(何に興味を持っているか)
どのようなユーザーが訪問しているかを踏まえておいた方が、コンテンツの質をより高めていけるでしょう。
指標②:集客
「ユーザー」と同じくらい重要な指標が「集客」です。ここでは、ユーザーがどのようにサイトに訪問したのかがわかります。とは言っても、基本的には以下のどれかでサイトに訪問していることがほとんどです。
- Organic Search(検索流入)
- Organic Social(SNS流入)
- Direct(直接流入)
- Referral(紹介流入)
一般的には、検索流入が半分以上のアクセスを占めることが多いです。
指標③:エンゲージメント
ユーザーがどのようにアクションしたのかを見たい場合は「エンゲージメント(UAの場合は行動)」を確認します。ここで大事なのは「セッション」と「エンゲージメント」の違いを把握しておくことです。
セッションは、いわゆるページビューのことで、どれだけのアクセスがあったのかを指します。一方、エンゲージメントは実際にどれだけのユーザーが行動を起こしたのかを示した指標です。Googleによると、以下の3つのうち1つでも当てはまったら「エンゲージメントしたセッションである」と認められます。
- 10秒以上継続してコンテンツを見ている
- 1件以上のコンバージョンが発生した
- ページビューが2回発生した
つまり簡単に言えば、エンゲージメントは「ユーザーが興味を持ってくれた回数」ということになります。これは、コンバージョンに繋げていく上で、非常に重要な指標です。
指標④:コンバージョン
コンバージョンはその名の通り、どれだけコンバージョンしたのかを示す指標です。また、GA4からは「収益化」という指標が展開されており、こちらは、より金額に特化した指標となっています。
ただし、どちらも自動で集計してくれるわけではありません。まず最初に、何がコンバージョンになるのかを自分の手で設定する必要があります。
指標⑤:リアルタイム
最後に紹介するのが「リアルタイム」です。これは「現在何人がサイトに滞在しているのか」を確認できる指標となっています。
用途としては「プロモーション実行後のユーザーの動きの確認」が挙げられるでしょう。メールマガジンやSNSを活用している場合は、リアルタイムを定期的に確認するのがいいかもしれません。
Google Analyticsのメリット
GAを利用するメリットは以下の3つです。
- 完全無料
- 関連情報が多い
- Google関連ツールと連携できる
それぞれ詳しく解説していきます。
メリット①:完全無料
GAの最大のメリットは、全機能を完全無料で利用できることです。
例えば他のブログサービスは、大抵の場合、高性能のアクセス分析機能が有料となっています。そしてそれでも、GAほどの詳細なデータを確認することはできません。
GAは完全無料で利用できるため、ひとまず、導入しておいて損がないツールだと言えます。
メリット②:関連情報が多い
世界トップシェアの検索エンジンはGoogleであり、多くのメディア担当者やマーケターが、Googleでの検索上位を狙っています。もちろん、GAを活用しながら。
そのため、GAでわからないことがあっても、大抵の場合、インターネットで調べるだけで解決策を見つけることができます。
その上、GAでは公式コミュニティが展開されており、その中でプロのマーケターにより情報が更新されていきます。一部英語の部分もありますが、Chromeの翻訳機能で十分カバー可能です。
メリット③:Google関連ツールと連携できる
メディアを運営する際、GA以外で以下のGoogle関連ツールを利用することが増えてくるはずです。
- Google Search Console
- Google AdSense
- Google広告
Google Search Console(通称、サチコ)は、どのような検索キーワードで流入しているかを分析できるツールです。
また、Google AdSenseはWebサイトに広告を貼り付けられるツールで、Google広告はWebサイトそのものを広告出稿できるツールです。
そしてこれらのGoogle関連ツールは、Google Analyticsと連携させることができます。
Google Analyticsのデメリット
GAを利用する際のデメリットは以下の3つです。
- 多機能すぎて使いづらい
- データへの理解が必要
- プライバシー保護に注意しなければならない
それぞれ詳しく解説していきます。
デメリット①:多機能すぎて使いづらい
GAの最大のデメリットは、多機能すぎて使いづらいことです。おそらく多くの人は、GAがあまりにも使いづらいがために、データ分析を挫折してしまうと考えられます。
先ほども述べた通り、GAでは様々なデータを分析できます。しかし、それだけ複雑な構造になっているのも事実。実際、GAのUIデザインは、かなりわかりづらいものになっています。
GAを活用する際は、全機能を活用するのではなく、必要なデータだけに注目するのが良さそうです。
デメリット②:データへの理解が必要
GAを活用するには、データに対する深い理解が欠かせません。GAは実に様々なデータを取得できてしまうため、レポートを作成する際も、自社にとって本当に必要なデータのみを抽出する必要があります。
また、そもそもどのような目的でメディアを運営しているのかも理解する必要があるでしょう。アクセスを増やしたいのか、コンバージョンを増やしたいのか、啓蒙活動をしたいのかでデータの見方は大きく異なってきます。
場合によっては、GA以外のツールでデータを分析する必要も出てくるでしょう。
どちらにせよ、データに対する深い理解が必要です。
デメリット③:プライバシー保護に注意しなければならない
GAは、Cookieを活用することで、ユーザーの特性を分析しています。そのため、GAを導入する際は、プライバシーポリシーで「GAを利用しているため、Cookieを使って情報を取得していること」を明示しなければなりません。
近年は個人情報保護の声が世界的に強まっているため、法改正が度々あります。その都度、プライバシーポリシーやメディア運営の方針を変更する必要があるので、その点には注意が必要です。
【状況別】Google Analyticsの活用方法
ここでは、以下の状況別でGAの活用方法を紹介していきます。
- BtoBサイトの場合
- ECサイトの場合
- メディアサイトの場合
- サイト改築後の場合
BtoBサイトの場合
BtoBサイトがコンバージョンを獲得する流れは、以下の通りです。
- Webサイトにアクセスしてもらう
- コンテンツで信頼してもらう
- お問い合わせや資料ダウンロードでコンバージョン
この中で重要になるのは、アクセス数とコンバージョン率です。どんなユーザーがどのようにアクセスしているか。そして自社のサイトをどのように回遊してコンバージョンに繋がっているのかをGAで分析しましょう。
注意点として、GAはコンバージョン率を正確に把握するのがあまり得意ではないことが挙げられます。別のツールと組み合わせるようにしましょう。
ECサイトの場合
ECサイトで重要なのは、ユーザーがどのように動いて商品を購入しているかを確認することです。検索機能で商品を探しているのか。それともレコメンドされた商品を購入しているのか。
つまり、ユーザーがどのように回遊しているのかに注目する必要があります。
GAには「eコマーストラッキング」というEC専用のトラッキング機能がありますが、コーディングの知識が多少必要になるので、わからなそうであれば専門業者へ問い合わせるといいでしょう。
メディアサイトの場合
メディアサイトを運営する場合は、とりあえず「PV」が目標設定で重要になります。そして、ただ「PVを上げる」と言っても、アプローチは実に様々です。新規セッションを増やすのか、それとも直帰率を低下させるのかで、対策は大きく異なります。
例えば新規セッションを増やしたい場合は、SEOに力を入れるべきか、それともSNSを幅広く展開すべきかを推しはかります。また、離脱率を低下させたい場合は、Webサイトのデザインや表示スピードを確認するのがいいでしょう。
どちらにせよ、PVやエンゲージメントだけでなく、アクセス経路の傾向や離脱率の原因を読み解くようにしてGAを活用するのが良さそうです。
サイト改築後の場合
当然のことながら、Webサイトのデザインにもトレンドがあります。それもあって、それなりの頻度でマイナーアップデートを繰り返すメディアがほとんどかと思います。この際、アップデートの前後で、セッションやコンバージョンがどのように変化したのかを見るのは非常に大切なことです。
特に有名なのは、CTAのボタンの色です。例えばGoogleと言えば青色のボタンですが、実に様々な青色で、何度もABテストしていたという逸話が有名です。そのほかに、色を変えただけでコンバージョン率に何倍もの差が出た事例も多くあります。
このような動きを把握するために、サイト改築前後の変化をGAで読み取ることが大切です。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- GAはWebサイト運営においてほぼ必須のアクセス解析ツール
- GAは完全無料で様々なデータを収集できる
- あまりにも高機能すぎて複雑になっているデメリットがある
GAは、Webサイト運営において非常に重要度の高いツールです。少なくとも、Googleの検索流入を向上させようと思うのであれば、ほぼ必須のツールと言っても過言ではないでしょう。
そんなGAは、基本無料で利用できる優秀なアクセス解析ツールですが、使い方が少々難しい現状があります。もしGAを活用したいのであれば、データへの理解がある従業員に担当を任せてみると良いのではないでしょうか。