企業のマーケティングにおいて、プロモーションは必要不可欠な企業活動です。
商品やサービスを宣伝・広告する手段であるプロモーションは、現在、様々な手法が用いられるようになっています。
本記事では、広報・マーケティング担当者向けに、プロモーションについて解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
プロモーションとは?【販売促進】
ビジネスシーンにおけるプロモーション(promotion)は、商品・サービスの販売を促進するための一連の活動を指します。
プロモーションは、マーケティング戦略のフレームワークである4P戦略の1つです。
ちなみに、ほかの「P」には「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(場所)」が挙げられます。
また、プロモーションには広義の意味と狭義の意味があります。
広義の意味は先ほど述べた「販売促進」で、狭義の意味はキャンペーンセールなどの「直接的な販売促進」だとされているようです。
PRとの違い
プロモーションに似た言葉として「PR」が挙げられます。
PRはパブリック・リレーション(Public Relations)の略で、ブランドのイメージ・評判を構築するための広報活動を指します。
具体的な例としてはプレスリリース、イベント、インフルエンサーとのコラボが挙げられるでしょう。
一方のプロモーションは、商品・サービスの販売を促進する一連の活動を指します。
つまり、利益をあげることが目的である企業において、PRはプロモーションの一部に位置付けられるということです。
プロモーションの3つの目的
プロモーションの目的は以下の3つです。
- 商品・サービスの認知拡大
- 消費者の購買意欲の刺激
- ブランディング
それぞれ詳しく解説していきます。
目的①:商品・サービスの認知拡大
プロモーションの目的として、まず挙げられるのが商品・サービスの認知拡大です。
現代は非常に多くのモノに溢れていることもあり、優れた商品・サービスを作ることができたとしても、顧客の目に届きづらい時代になっています。
これでは、どれだけ素晴らしい商品・サービスを作ったとしても、一向に売れません。
そこでプロモーションを実施することで、多くの顧客に商品・サービスを認知させます。
あくまでも一般論ですが、売上見込み額の30%をプロモーションに投下するのがいいとされているようです。
商品・サービスで売り上げを出す上で、プロモーションは必須の企業活動だと言えます。
目的②:消費者の購買意欲の刺激
プロモーションの目的として、消費者の購買意欲の刺激も挙げられます。
商品を販売する上で、どれだけ商品名が認知されていても、消費者の購買意欲を強く刺激しない限り売れることはありません。
例えば、高性能カメラを販売するとしましょう。
その場合、カメラにどのような機能が搭載されていて、普段の生活がどれだけ良くなるかを訴えなければ、消費者が高性能カメラを購入することはありません。
商品・サービスの認知を拡大させた上で、消費者の購買意欲を刺激して販売を促進するのが、プロモーションの目的です。
目的③:ブランディング
プロモーションの目的として、商品・サービスのブランディングが挙げられます。
ブランディングとは、独自のブランドを作り、商品・サービスの価値向上や競合他社との差別化を作り出す一連の活動を指します。
例えば有名アパレルブランドの大半は、実際の原価はそこまで大きくなく、ブランド価値を高めることで商品価値を高めています。
ブランディングを実施する上で、プロモーションは必要不可欠です。
それも短期的なものではなく、5年以上かけた長期的なプロモーションが必要だと言えるでしょう。
プロモーションは大きく2種類に分けられる
プロモーションには「プッシュ型」と「プル型」の2種類の形式があると考えられます。
ここでは、それぞれの形式の特徴を解説していきます。
プッシュ型プロモーション
プッシュ型プロモーションは、顧客に対して積極的にアプローチする手法です。具体例としては以下が挙げられます。
- 営業
- ニュースレター
- 訪問販売
プッシュ型プロモーションは、まだ商品の認知度が高くないときに実施するのが有効です。
また、自動車や金融商品などの高額商品のプロモーションでもプッシュ型が採用されます。
特に「営業」に関して言えば、営業力次第で売り上げを出すことも十分に可能です。
一方で、プッシュ型プロモーションをやりすぎてしまうと、悪印象を抱かせる可能性があるので注意が必要です。
プル型プロモーション
プル型プロモーションは、顧客の方からの商品・サービスを購入するアクションを待つ手法です。
具体例としては以下が挙げられます。
- 広告
- SNS
- ホームページ
- 店舗
プッシュ型プロモーションと明確に異なる点は、プル型プロモーションは不特定多数に対してコンテンツを展開するということです。
そして、そこから見込み客を獲得し、販売に繋げる手法となっているので、成約まで時間がかかる傾向があります。
一方でプッシュ型プロモーションに比べると「しつこさ」がないので、消費者に悪印象を抱かれることはほとんどないでしょう。
プロモーションの5つの手法
プロモーションの代表的な手法は以下の5つ挙げられます。
- 広告
- 販促
- PR
- 営業
- ダイレクトマーケティング
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①:広告
プロモーションの手法として、真っ先に挙げられるのが「広告」です。
広告はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなど様々なメディアを利用し、多くの人にメッセージを届けることで、商品・サービスの認知を拡大させます。
従来は、テレビやラジオのように、不特定多数に広告を出すことがほとんどでした。
しかし現在は、SNSを活用したパーソナライズド広告が可能なので、一定の年齢・性別・ジャンルに対して限定的な広告を出稿することができます。
自社の商品・サービスに合わせたメディアを選択できると効果的です。
②:販促
プロモーションの手法として次に挙げられるのが「販促」です。
販促では、既に商品・サービスを認知している顧客に対して、直接的なアプローチで購入を促します。
具体例としては無料体験、トライアルセット配布、割引キャンペーン、ポイントカードなどが挙げられるでしょう。
先ほど紹介した「一般的には売上見込み額の30%をプロモーションに投下する」という図式に則ると、30%オフの割引キャンペーンは実質的にコストがゼロという考え方もできます。
販促を実施する際は、プロモーションのコストを考慮した上で、価格に反映させるのがいいかもしれません。
③:PR
冒頭で紹介した「PR」は、ブランドイメージや評判を構築するためのプロモーション手法です。
プレスリリース、メディア露出、SNSなどを活用して、不特定多数の人々に好意的なイメージを抱かせます。
これにより、顧客・見込み客との信頼関係を構築するのです。
他のプロモーション手法に比べると成約まで遠回りになるので、PRを実施する際は、本当に効果があるかをしっかり検証するのがいいでしょう。
④:営業
「営業」は、販売担当者が顧客や見込み客に直接売り込むことで成約を確定させるプロモーション手法です。
数あるプロモーションの中で、最も確実な効果が得られる手法と言っても過言ではないでしょう。
ただし、営業を実施するためには担当する従業員が必要となるので、、相応のコストは発生します。
⑤:ダイレクトマーケティング
「ダイレクトマーケティング」は、PRや広告とは異なり、個別の顧客にメッセージを直接送信することで販売を促す手法です。
具体例としてはライン公式アカウントを利用したLステップ、メールマガジン、ダイレクトレスポンス広告が挙げられます。
SNSや広告に比べると、消費者としては1対1でメッセージを送付されている感覚に陥るため、成約に繋がりやすいと言われています。
プロモーションを成功させる3つのポイント
プロモーションを成功させるポイントは以下の3つです。
- 目的を明確にする
- 長期的な視点を持つ
- CPA・ROAS・ROIを常に意識する
それぞれ詳しく解説していきます。
ポイント①:目的を明確にする
プロモーションを実施する際は、目的を明確にした方がいいでしょう。
一般的な企業において、プロモーションの最終目的は「成約」にあります。
一方で、まだ商品・サービスが認知されていないのであれば、まずは「認知拡大」を目的にプロモーションを実施することも考えられるでしょう。
その場合、不特定多数にアプローチできる広告やPRが選択肢として挙げられるはずです。
プロモーションに限らず、ビジネスの基本は「逆算」にあります。
具体的な目標を設定し、その目標を達成するのに必要なプロモーション手法を選択するのがいいでしょう。
ポイント②:長期的な視点を持つ
プロモーションを実施する際は、長期的な視点を持つようにしましょう。
というのも、目先の利益にこだわりすぎると、押し付けがましいプロモーションを実施してしまいがちになるからです。
それによるブランドイメージの悪化は、長期的に大きな損失になり、企業を苦しめます。
プロモーションを実施する際は、短期的な利益に惑わされず、長期的な利益を優先するようにしましょう。
ポイント③:CPA・ROAS・ROIを常に意識する
プロモーションを実施する際はCPA(顧客獲得単価)・ROAS(広告の費用対効果)・ROI(投資収益率)を意識して、常に効果測定を実施するようにしましょう。
近年は「無料でできる」ということでSNSマーケティングやYouTubeに力を入れる企業が増えています。
しかし「無料でできる」と言っても、あくまでそれは掲載の話であり、実際はコンテンツ制作にあたっての外注費や人件費で一定のコストが発生しています。
ここでの費用から、ROASとROIを正確に算出できるはずです。
実際に効果測定してみると「思っていたよりも効果がない」というケースも十分に考えられるでしょう。
現在、ほとんどのデジタル広告は数字を正確に算出できるため、CPA・ROAS・ROIを容易に算出できます。
常に効果測定して、効果的なプロモーションにリソースを集中するようにしましょう。
プロモーションの成功事例
ここでは以下の3つのプロモーションの成功事例を紹介していきます。
- 日本漢字能力検定協会
- Apple
- 日清食品
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事例①:日本漢字能力検定協会
日本漢字能力検定協会は、毎年恒例の行事として、京都・清水寺で「今年の漢字」を実施しています。
「今年の漢字」は日本人であれば誰もが1度は見るイベントで、プロモーションの効果としては非常に大きいと言えるでしょう。
実際、「今年の漢字」をしてから、当初は1年に12万人だった受検者が100万人台を突破するようになったそうです。
事例②:Apple
プロモーションの事例として真っ先に挙げられるのがAppleです。
Appleのプロモーションといえば、やはり新製品発表会が挙げられるでしょう。
スタイリッシュかつサプライズ感のある発表会は、これまでに全くなかったもので、もはや一種のエンターテイメントだと言えます。
特にスティーブ・ジョブズがiPhoneを発表したプレゼンは伝説的で、プロモーションにおける「サプライズ」の重要性を考えさせられます。
事例③:日清食品
日清食品はプロモーションの活用に定評のある企業です。
カップヌードル1つでも、世界各国に適した味を展開しており、製品ラインナップを充実させています。
メディアを活用したプロモーションに関しては、大人気漫画『ONE PIECE』とコラボしたCMや、SNSでバズったボカロ曲をわずか数日ほどでリメイクした『夏は食っとけシーフード篇』が有名です。
いずれのCMも非常に早いスピードで拡散され、話題性も生まれています。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- プロモーションは販売促進のための一連の活動を指す
- プロモーションはプッシュ型とプル型に分けられる
- プロモーションを成功させたいのであれば、明確な数字を算出して効果測定を常に実施しする
企業活動において、意外に疎かになりがちなのがプロモーションです。
どれだけ素晴らしい製品を作れても、それが消費者の元に届かなければ意味がありません。
企業活動を実施する上でプロモーションは必要不可欠であるとともに、ただやればいいのではなく、最終的な売上目標からマーケティングコストを算出する「逆算」も必須です。
長期的な視点でプロモーションを実施するといいでしょう。