近年、採用競争の激化により、マーケティング手法を取り入れた採用活動が注目を集めています。
採用マーケティングは、人手不足が深刻な現代での人材確保に必要不可欠な採用活動です。
しかし、実際に自社の採用に活かせていない企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、採用マーケティングに関する以下の内容を解説します。
- 詳細とメリット・デメリット
- 実施手順
- 取り入れやすいフレームワーク
- 成功事例
本記事を参考にすることで、採用マーケティングについて理解ができ、自社が求める人材の採用につながります。
目次
採用マーケティングとは?
採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの考え方を取り入れた採用方法です。
年々人材の獲得が難しくなっているなか、求めている人材を確保できる新しい採用方法として注目されています。
従来は、就職・転職を考えている層に向けた広報を行なう採用活動が主流でした。
しかし、採用マーケティングでは、今すぐに就職・転職を考えていない潜在層もアプローチの対象として採用広報を行います。
採用マーケティングは企業の認知度を高め、自社のファンを増やすことが目標です。
そのために、以下のプロセスを改善しながら活動を行います。
- 認知
- 興味
- 検討
- 応募
- 選考
- 採用
関連記事:採用戦略の成功事例を徹底解剖!成功の秘訣と注意点とは?
採用マーケティングで得られるメリット
採用マーケティングは転職・就職潜在層へのアプローチができるため、従来の採用手法よりも多くの応募者数が見込めるメリットがあります。
応募者数が増えることで、採用の精度をより高められるため、結果として自社が求めている人材の確保が可能です。
また、自社メディアやSNSなどを使い「この会社で働きたい」と思われるような情報を継続的に発信できればファンを増やせます。
ファンが増えれば、将来的な求職者となる可能性もあり、自社の採用成功につながるでしょう。
採用マーケティングがうまく機能すると自社の認知度が広がり、求人広告や就職・転職サイトなどに依存する必要がなくなります。
広告媒体に頼らずとも求職者が集まる状況が作れるため、採用にかかるコストも削減できるのは大きなメリットです。
採用マーケティングで留意すべきデメリット
採用マーケティングは短期間で効果が現れるものではないため、長期的に実施する必要があります。
もし、すぐに効果が表れなくても諦めずに継続しましょう。
また、採用マーケティングは常にPDCAを繰り返し、改善しながら運用する必要があるため、膨大な労力がかります。
採用担当者にとっては大きな負担となるでしょう。
経済的、人的リソースに応じて、必要であれば採用業務の代行サービス活用も一つの選択肢です。
採用マーケティングの実施手順
採用マーケティングを効果的に実施するには、正しい手順を踏む必要があります。
採用マーケティングの実施手順は以下のとおりです。
- 自社の分析
- 採用ターゲットの設定
- 採用ターゲットのニーズを調査
- 効果的なアプローチ方法の検討
1.自社の分析
自社の事業戦略や人事戦略のほか、職場環境や福利厚生などを見直し、自社の強みと弱みを分析しましょう。
たとえば、自社の強みが「充実した福利厚生」、自社の弱みが「若手社員が少ないこと」であれば、これらを踏まえて、ターゲットに対してどのようにアピールするかを検討します。
自社の強みと弱みを客観的に分析・理解できれば、自社が求める人材へのアプローチ方法が明らかになるでしょう。
2.採用ターゲットの設定
ターゲティングはマーケティング戦略において重要な要素です。
自社が求めている人材の特徴をまとめ、アプローチの対象となるターゲットを絞り込みましょう。
採用ターゲットが明確ではない場合、求める人材を集められず、コストと労力だけが消費されます。
自社が求める人材の特徴を明確にして対象を絞り込み、ピンポイントで徹底的にアプローチしましょう。
3.採用ターゲットのニーズを調査
自社が求める採用ターゲットのニーズを調査します。
ニーズはSNSによるアンケートや日々の採用活動による書類選考、面接で得られるデータなどをもとに調査が可能です。
ニーズの調査をしたら、自社の情報を整理します。
たとえば採用ターゲットのニーズが「福利厚生」であれば、自社の福利厚生について情報収集して整理するとよいでしょう。
このように採用ターゲットのニーズ調査は、求める人材を探すために重要です。
4.効果的なアプローチ方法の検討
調査・整理したニーズに対し、ターゲットにもっとも効果的なアプローチ方法を検討しましょう。
就職・転職を考えている人や全く考えていない人、積極的に就職・転職活動している人などパターンはさまざまで、それぞれアプローチするメディアやメッセージが異なります。
たとえば、積極的に就職・転職活動している人に対しては、職場見学や社員との交流会などの実施が効果的です。
どのパターンの人材に向けてアプローチするのか十分に検討しましょう。
関連記事:採用広告の成功事例を解説|特徴や種類から見える傾向とは?
5.アプローチを継続的に改善
採用マーケティングは、実施したら終わりではありません。
実際の運用ではPDCAサイクルを意識して、常に振り返りを行なう必要があります。
応募状況やSNSの反応などを定期的にチェックし、継続的な改善を行なうことで、効果的な採用マーケティングにつなげられます。
関連記事:採用広報が失敗する理由はKPIにあり|具体的な設定方法を解説
関連記事:効果的なPDCAとは?失敗要因やデメリット、対策方法を解説
取り入れやすいフレームワーク3選
実際の採用マーケティングに取り入れやすいフレームワークを3つ紹介します。
- 3C分析
- 4C分析
- SWOT分析
3C分析
3C分析とは「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の頭文字をとったもので、マーケティングで自社を取り巻く3つの環境要因について分析する手法です。
3C分析の手法を採用マーケティングに用いると、以下に置き換えられます。
マーケティング | 採用マーケティング | |
Customer | 顧客 | 採用ターゲット |
Competitor | 競合 | 採用での競合他社 |
Company | 自社 | 自社の強み・弱み |
採用ターゲットや競合他社との差別化ポイントのほか、自社の強み・弱みを客観的に分析でき、新たな発見が可能です。
4C分析
4C分析とは「Customer Value(顧客の価値)」「Cost(顧客のコスト)」「Convenience(顧客の利便性)」「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の頭文字をとった分析方法です。
マーケティングでは、顧客と自社・商品関係性を分析するために用いられます。
4C分析の手法を採用マーケティングに用いると、以下に置き換えられます。
マーケティング | 採用マーケティング | |
Customer Value | 顧客の価値 | ターゲットが自社に感じる価値 |
Cost | 顧客のコスト | ターゲットから見た自社のリスクや不安 |
Convenience | 顧客の利便性 | お応募のしやすさ |
Communication | 顧客とのコミュニケーション | ターゲットが求めるコミュニケーション方法 |
4C分析を採用マーケティングに活かすことで、採用ターゲットに選ばれる会社となるための自社の魅力やアピールポイントを分析できます。
SWOT分析
SWOT分析とは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字をとった分析方法です。
マーケティングでは、自社のビジネスが置かれている現状を分析するために用いられます。
SWOT分析の手法を採用マーケティングに用いると、以下に置き換えられます。
マーケティング | 採用マーケティング | |
Strength | 強み | 以下の経営資源
|
Weakness | 弱み |
|
Opportunity | 機会 | 自社にとって追い風となるもの
|
Threat | 脅威 | 自社だけでコントロールできないリスク
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人材の獲得における自社の強みと弱み、効果的なアプローチ方法や備えるべきリスクを把握できるのが、SWOT分析の特徴です。
採用マーケティングの成功事例2選
実際に採用マーケティングを実施して成功した企業の事例を2つ紹介します。
- 事例1:社員インタビューの掲載で企業カラーをPR/楽器・音響機器メーカー
- 事例2:デジタルマーケティングの手法を活用して母集団形成を大幅拡大/電気機器メーカー
事例1:社員インタビューの掲載で企業カラーをPR/楽器・音響機器メーカー
某大手楽器・音響メーカーでは、各部署の社員インタビューを採用ページに掲載し、企業カラーのPRを実施しています。
リアルな情報を発信することで求職者とのミスマッチ低減につながった事例です。
課題とアクション、得られた結果をまとめると以下のとおりです。
内容 | |
課題 |
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アクション |
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結果 | 求職者が企業カラーを把握できるため、ミスマッチを減らせる |
事例2:デジタルマーケティングの手法を活用して母集団形成を大幅拡大/電気機器メーカー
大手電気機器メーカーではデジタルマーケティングを活用し、ターゲットへの動画広告やSNS広告により認知度の向上を図りました。
結果、エントリー数とエントリーシート提出数の改善に成功しています。
課題とアクション、得られた結果をまとめると以下のとおりです。
内容 | |
課題 |
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アクション |
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結果 | エントリー数10%増、エントリーシート提出数60%増 |
まとめ
採用マーケティングは今すぐに就職・転職を検討している人だけでなく、潜在層へもアプローチできる採用方法です。
日々改善を繰り返し、長期的に運用することで効果的に人材の確保ができるメリットがあります。
まずはフレームワークを使って、自社の分析を始めるところから採用活動に取り入れてみてください。