深刻化する人材不足に対応すべく、新卒採用だけでなく、経験やスキルを持った人材を迎え入れる中途採用も重要視されています。
しかし、中途採用とは具体的に何か、他の採用方法との違いや現状、企業が導入する理由について、深く理解していない採用担当者も少なくありません。
中途採用を活用するためには、その特性や背景の把握が必要不可欠です。
本記事では、以下の内容を解説します。
- 中途採用とは何か
- 新卒採用やキャリア採用との違い
- 現状や増えている背景
- 導入する理由
中途採用について詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
▼識学マネジメントTips「良い採用、悪い採用のたった3つの違いとは?」
目次
中途採用とは
中途採用とは、社会人経験を有する人材を採用することです。
特定の人材を求める場合や、急な人員不足を補うためなど、さまざまな目的で実施します。
中途採用は既に職場経験がある即戦力を求めているため、採用の際は経験やスキルを重視するのが一般的です。
対象となる人材は幅広く、既卒・第二新卒・それ以外の職務経験者まで多岐にわたります。
年度が切り替わる4月入社を見据えて募集することが多い新卒採用とは違い、中途採用にはあらかじめ定められた時期はありません。
採用ニーズが生じた際に必要な人材を募集するのが一般的です。
関連記事:中途採用とは?新卒採用との違いやメリット・デメリットについても解説
中途採用と新卒採用の違い
中途採用と新卒採用の違いは、以下のとおりです。
- 対象者
- 採用時期
- 必要なスキルや経験
- 採用の目的
新卒採用は大学や専門学校を卒業したばかりの学生を対象にし、3月から4月の入社を見据えて行われます。
一方、中途採用はすでに就職して働いている人を対象にし、企業の採用ニーズに応じて実施します。
新卒採用では将来のポテンシャルを見込んで採用されることが多く、成績や学習内容、部活動やアルバイトなどの経験が重視されます。
一方、中途採用は即戦力として活躍できる人材を求めているため、重視されるのは実務経験やスキルといった部分です。
以上の観点から、新卒採用の目的は将来の人材育成にあるのに対し、中途採用の目的は既存のビジネスの強化と言えます。
関連記事:新卒採用とは?中途採用との違いやメリット・デメリットを解説
中途採用とキャリア採用の違い
中途採用とキャリア採用の違いは、採用する人のステータスが異なる点です。
一般的に中途採用では、職務経験のある人を採用します。
そのため、入社時にはすでに職務経験があるため、採用時のポジションに即した業務を任せやすいでしょう。
一方キャリア採用とは、入社後に即戦力として活躍できる人材を、通年採用する手法です。
自社に関連する経験・スキルを重視するため「一般的な職務経験」を求める中途採用よりも採用する人材が絞られるのが特徴です。
新卒採用とは異なり、その人材が既に持っている経験やスキルに応じたポジションで採用されるため、社内でのキャリアアップが期待されます。
またキャリア採用で採用した人材を、将来的な幹部候補として育成することもあります。
関連記事:中途採用の目的と失敗しないために必要なポイントを紹介
中途採用の現状
中途採用は企業の人材不足解消に貢献する重要な手段の1つです。
採用全体で見ると、中途採用比率は65.3%となっており、新卒採用比率の34.7%を大きく上回っています。
参考:厚生労働省「中途採用に係る現状等について」
ただし、労働者数が多い大企業になると、中途採用比率が低くなる傾向にあります。
実際の選考においては、以下の内容が重要視されます。
- 実績
- 経験
- スキル
- コミュニケーション能力
- チームワーク能力
面接では、企業の業務内容やカルチャーに合わせた対応が重要です。
また、採用後の教育や研修は新卒採用に比べて少ないものの、中途採用者向けの研修やOJTを行い、定着率を高めるような工夫を企業ごとに施しています。
参考:厚生労働省「中途採用に係る現状等について」
中途採用が増えている背景
中途採用が増えている背景として考えられる要因は以下3つです。
- 人材不足による採用難易度の上昇
- 外部からの新しい刺激を得られる可能性がある
- キャリアアップの機会を提供できる
人材不足により採用難易度の上昇
企業が求める人材を見つけること自体が難しくなっていることが、積極的な中途採用につながっています。
現在の日本の労働市場における「人材不足」は深刻化しており、それには以下の3つの要因が挙げられます。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 企業同士の採用競争の激化
- 技術の進歩に伴う新しい人材の需要
こういった現状でも人材を確保するため、中途採用が増えているのです。
外部からの新しい刺激を得られる可能性がある
中途採用を行う理由には、外部からの新しい刺激、つまり新しいアイディアや知識、スキルを得られることへの期待も挙げられます。
また、中途採用者は過去の経験やネットワークを持っているため、企業にとって有用なコネクションを持っていることもあるでしょう。
外部からの刺激やネットワークは企業の成長や競争力向上につながるため、活気を生み出せます。
うまく機能すれば、従来とは違った経営改善が期待できます。
キャリアアップの機会を提供できる
中途採用を通じて、従業員にキャリアアップの機会を提供できます。
なぜなら、企業が新たに求める人材を中途採用することで、従業員は新たな職務やプロジェクトに携わることができるようになり、経験やスキルを磨けるためです。
また、中途採用者とのコミュニケーションや仕事のやり方の違いから、従業員は新たな視点を身につけられ、自己成長につながります。
さらに、中途採用者が持つネットワークや業界知識を吸収できるので、従業員のスキルに磨きがかかり、キャリアアップにつながる可能性もあります。
このように中途採用は、既存の従業員にとってキャリアアップの機会を提供できるため、企業が積極的に中途採用を増やしているのです。
企業が中途採用を導入する理由
中途採用を導入する理由は、企業規模ごとに異なります。
そこで、以下3つの分類に分けて、それぞれの特徴をお伝えします。
- 中小企業
- ベンチャー企業
- 大企業
中小企業
中小企業において人材不足を解消するためには、中途採用を導入して即戦力となる人材を確保することが重要です。
また、業務範囲が狭く特化した業務が多い中小企業では、経験者の知識やノウハウを積極的に取り入れると良いでしょう。
さらに、中小企業だからこその柔軟性を活かせば、新しいビジネスチャンスを創出できる可能性もあります。
ベンチャー企業
ベンチャー企業において中途採用を導入する理由は、革新的なアイデアや技術を持った人材を採用し、企業の成長に重きを置いている点が挙げられます。
また、スピード感が求められる場合があるため、早期にチーム強化を実現できる人材選びも必要です。
さらに、マーケット拡大や新規市場開拓のために多様な人材を採用できれば、経営強化にもつながり、ビジネス成長を促進できます。
大企業
大企業が中途採用を導入する理由は以下の通りです。
- 業務拡大や組織改編による人材需要
- 多様な人材の採用
- ブランディングの向上
- 人事異動による空席補充
大企業は業務拡大や組織改編によって新しい人材が必要になった場合、既に業務経験を持った人材を優先的に採用します。
また中途採用では、業界や職種の異なる人材やグローバルな視野を持った人材を求めることが多いです。
さらに、業界で実績を持った人材を採用すると、自社のブランド価値を高められるでしょう。
まとめ
中途採用とは、すでに他の企業で働いている人を企業が採用することです。
最近は、人材不足や多様性の尊重などの背景から、企業が中途採用を積極的に導入するケースが増えています。
中途採用は人手不足の解消だけでなく、新しい刺激を得られ、キャリアアップの機会を提供できるというメリットがあります。
企業が中途採用を導入する理由は中小企業やベンチャー企業、大企業でも大きな目的は共通しており、新しい人材を補充し、組織の活性化や多様性の促進を図るためです。
どういった企業規模であれ、中途採用は人材の質を高め、企業の成長を促す重要な手段です。
採用担当者として中途採用の適切な導入を検討している場合には、ぜひ中途採用のメリットや理由を理解し、活用していきましょう。