OD(Organization Development)とは「組織開発」のことで、組織を改善するための取り組みや活動のことです。
人材開発と一緒くたにされがちな言葉ですが、ODは組織全体の育成を、人材開発は各従業員の育成を担う点において異なります。
本記事ではOD(Organization Development)について、
- 概要や目的
- 重要視される理由
- 手順やフレームワーク
- 注意点
- 依頼する場合のコンサルの選び方
を解説していきます。
目次
OD(Organization Development)とは
ODとは「Organization Development」の略称で、日本語では「組織開発」と呼ばれます。
組織の効果性や健全性を向上させること、また組織が環境や状況の変化に対応できるように、組織を構成する人材の価値観や態度、風土、人間関係を改善させるための変革や活動を指しています。
簡潔に述べるなら、「より良い組織を目指していこう」または「組織の力を高めよう」というようなイメージです。
目的
ODの主な目的は、組織が環境の変化に対応しつつ組織自体も変化し、健全・効果的に機能することです。
広義の意味においては「集団の相乗効果が発揮されるように組織を構築し、各従業員の意欲を引き出し、生産性を上げていくこと」ということもできます。
例えば、各従業員の能力が高く全員が優れたプレイヤーだったとしても、組織で成果をあげる以上、チームワークが重要になります。
個人のパフォーマンスを最大限に発揮できたとしても、他の従業員との関係性が悪ければ、チーム・組織としてのパフォーマンスは下がるでしょう。
だからこそ、ODによって一人ひとりの関係性を深め、信頼関係を構築していくことが重要なのです。
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重要視される理由
もともとODは1950年代にアメリカで生まれた後、欧米を中心に普及していきました。
日本において重要視されるようになった理由は、終身雇用や年功序列などの日本的雇用慣行の崩壊と、「成果主義の台頭」や「人材の流動化」が進んだことが挙げられます。
これらにより、業務遂行において「どのように人間関係を構築していくか」「どのようなプロセスで意思決定されているのか」など、人と人との関係性の質が変化しました。
このような状況に対応するためにも、組織やコミュニケーション上の課題を発見し、自ら改善策を実施していくODが注目されるようになったのです。
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定義
ODの著名な研究者であるエドガー・シャインは、ODの「O(組織)」を「ある共通の目的・目標の実現のために、多くの人々が活動を合理的に共同させること」と定義しています。
ただ、一般的にODについて明確に定義されているわけではないため、各社によってさまざまな定義が存在します。
しかし、一般的には下記の3つが共通しています。
- 行動科学の理論・手法を活用すること
- 組織の効果性や健全性を向上させること
- 組織のプロセスに対し、計画的な働きかけをする活動であること
OD(Organization Development)を実施する手順とは
ODには決められた方法はありませんが、王道とされる一般的な手順があるため、ここではそれを解説していきます。
①.目的の明確化
ODは組織の健全性を高めることなどが主な目的ですが、ODそのものは手段です。
したがって、ODを行う際はまずは「どのような組織にしたいのか?」を明確にしましょう。
②.課題の発見と設定
人間関係やコミュニケーションがどのように行われているかは、見ただけで判断することはできません。
したがって、ODを実施する際は現状の課題を洗い出す必要があります。
従業員へのヒアリングやアンケートを通して、情報を収集することが有効です。
その結果、得た情報をもとに課題を設定します。
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③.まずは小さく始める
設定した課題をどのように解決するのかを検討しましょう。
ただし、いきなり全社で展開するのではなく、まずは小さく始めて本当に効果があるのかを確かめます。
④.効果測定
解決策をテストした後は、実際に効果があったのかを測定します。
方法としては、アンケートやインタビューなどで意識調査を行うのが良いでしょう。
⑤.全社的に展開
効果があることが確認できたら、全社的に展開していきます。
ここでも急に広げるのではなく、部署単位、事業所単位とステップを踏んで、最終的に組織全体に適用することが望ましいでしょう。
OD(Organization Development)の主なフレームワークとは
ODを実施する際に、よく活用されているフレームワークには下記のようなものがあります。
フレームワーク | 内容 |
ミッション・ビジョン・バリュー | 組織が成長する際のベースとなる「企業理念」を構成する3つの要素のこと。
ミッション(存在意義)、ビジョン(目指す姿)、バリュー(価値観)を定義する。 |
OKR | 目標管理手法の一つ。企業、チーム、個人の目標を連携させることで、同じ目標に向かって計画を進めることが目的。
ODの手法としてGoogleやMeta(元Facebook)が導入している。 |
タックマンモデル | チームビルディングの手法。
チームメンバーが形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期の5つの段階を経て、目標達成に至るステップをモデル化している。 |
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まとめ
組織開発はやや抽象的な表現のため、わかりづらい部分があると思います。
その際は、フレームワークから立ち返り考えてみるようにしましょう。