企業活動において、一定数の退職者がでるのは避けられません。
そのため、社員が退職する際は所定の手続きを正しく行うことが必要です。
その際に退職者から発行を求められる可能性がある書類が「離職証明書」です。
この書類はどのような目的で発行されるもので、どのように作成すれば良いのでしょうか?
曖昧な認識のままだと、思わぬトラブルに発展するかもしれません。
そこで本記事では離職証明書について、
- 概要や必要なシーン
- 社員が退職する際の流れ
- 離職票や退職証明書について
- 書き方や注意点
などを解説していきます。
目次
離職票とは
会社を離職したことを公的に証明するもので、求職や失業手当などの手続きの際に必要です。
正しくは「雇用保険被保険者離職票」と呼ばれ、勤務していた企業を通して必要な書類、交付手続きを行うことで発行される、公的な文書となります。
必要なシーン
退職者が求職や失業手当の手続きを行う際に必要となります。
転職先・就職先がすでに決まっている場合は手続きを行う必要がないため、離職票は不要となります。
関連記事:失業保険(失業手当)をもらえる人は?条件や金額、日数、受給中のアルバイトについて解説
社員が退職する際の流れとは
社員が退職する際に、主に企業側が行う必要がある手続きは、下記の3つです。
- 社会保険の資格喪失届の提出
- 雇用保険の資格喪失届、離職証明書の提出
- 住民税の変更手続き
ここに出てくる「離職証明書」は、離職票を発行するために必要な書類となります。
前述したように、退職する社員の就職先がすでに決定しているのであれば離職票は必要ないため、退職者の意向に基づいている場合、企業側は交付しなくても問題ありません。
ただし、退職者の就職先が未定であれば離職証明書の発行が求められるのが一般的であり、企業側はこれに応じる義務があります。
この「離職証明書」について、より詳しく解説しましょう。
関連記事:退職理由ランキングTOP5!仕事を辞める社員の離職防止策とは?
離職証明書とは
離職証明書とは、社員が退職する際に希望に応じて発行することが義務付けられている書類で、正式名称は「雇用保険被保険者離職証明書」です。
複写式で3枚綴りとなっており、1枚目は事業主が控えておくもの、2枚目はハローワークに提出するもの、そして3枚目は退職者に提出する「離職票-2」となります。
必要なシーン
必要になるシーンは下記の2つです。
退職者から提出を求められたとき
退職証明書は全ての退職者に対して作成する義務があるわけではありませんが、退職者が望む場合は発行しなければなりません。
また、ハローワークへの提出は期限があり、退職した日の翌々日から10日以内とされているので注意しましょう。
退職者が59歳以上のとき
退職する社員が59歳以上の場合は、退職者の意向を問わず発行が必要です。
離職票が交付される際の流れ
交付される際の流れは下記のようになっています。
- 退職者が離職票の交付を希望する
- 会社がハローワークに離職証明書を提出する
- ハローワークが会社に離職票を交付する
- 会社が退職者に離職票を送付する
このように、交付される際は企業と退職者の二者間だけで完結するわけではなく、三者間のやり取りになるため注意が必要です。
さらに、離職票は退職日に即座に交付できるものではないため、退職した後も退職者と円滑なコミュニケーションが必要になります。
したがって、人事担当者はスムーズにやり取りを進めるためにも、連絡先や送付先を確認しておきましょう。
離職証明書の書き方
退職者の基本的な情報や被保険者期間算定対象期間、賃金支払基礎日数などに加え、下記の記載事項が必要です。
年間の給与支払い額
1年間に支払った給与の総額を記載しなければなりません。
このとき記載するのは所得税や社会保険料が差し引かれる前の、給与の総支給額です。
また、基本的にボーナスや退職金は含まれません。
離職理由
退職理由には、倒産や定年、労働契約期間満了、従業員の判断など6種類19パターンがあります。
しかし、大まかには下記の2つに分けられます。
- 会社都合
- 自己都合
ちなみに、離職理由は失業手当の受給手当などに影響するため注意しましょう。
注意点
注意点として、賃金や支払った期間を確認できる賃金台帳や出勤簿などを添付する必要があることが挙げられます。
また、退職者が提出を望んでいるにもかかわらず発行を拒否した場合は、罰則が科されるため注意しましょう。
退職証明書とは
退職証明書とは、企業が退職した社員について「退職したこと」を証明する書類です。
ハローワークに提出が必要な「離職証明書」は公文書なのに対し、退職証明書は公的機関に提出する書類ではなく、企業が社員のために作成します。
まだ離職票の交付を受けていない際に、その代わりとして失業給付や国民健康保険の手続きに利用されることがあります。
実際に退職していることかどうかの事実確認のために、転職先企業への発行が求められることがあるため、注意しましょう。
退職証明書の作成方法
退職証明書は会社が作成するものであり、定められた様式や書式はありません。
しかし、労働基準法によって退職証明書は定義されているため、これに従って下記の項目の記載が必要です。
- 使用期間
- 業務の種類
- 事業における地位
- 賃金
- 退職の事由
原則として上記すべてを記載しますが、労働基準法においては「労働者に証明を要求された項目以外、証明してはいけない」とされてます。
したがって、退職者から希望がある場合においては、記載内容について確認するべきでしょう。
まとめ
離職証明書と退職証明書は、会社経営をしている限り必要になるものです。
管理部門では、テンプレートを用意するし、対応ができるようにしておきましょう。