「働き方改革ってよく聞くけど、結局何がどう変わるの?」
働き方改革と聞いて、このように感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、「働き方改革」という言葉だけが独り歩きして、その内容や影響を正しく把握している人は多くはありません。
そこで本記事では、働き方改革の背景や目的、働き方改革による良い影響や悪い影響などを解説していきます。
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目次
働き方改革とは
働き方改革とは、労働者一人ひとりの事情に合わせ、多様で柔軟な働き方を自分で選べるようにするための改革です。
現在、日本には
- 少子高齢化による生産年齢人口の減少
- 育児や介護と仕事との両立が必要な労働者の増加
- 多様な働き方を望む労働者の増加
といった状況にあります。このようななかで生産性向上や就業機会の拡大などにより、「一億総活躍社会」を実現することが、働き方改革の目的です。
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働き方改革の背景とは
働き方改革の背景には、どのようなものがあるのでしょうか? ここでは、働き方改革が必要になった理由を見ていきましょう。
生産年齢人口の減少
日本は少子高齢化が最も進んでいる国の1つであり、これにともなって生産年齢人口も減少しています。
生産年齢人口とは生産活動の中心にいる人口層のことです。
こういった状況では、どのような事情がある人でも働けるように環境を整えることで、少しでも労働力不足を補わなければなりません。
生産性の低下
「労働生産性の国際比較2021」によると、2020年の日本の一人当たり労働生産性は78,655ドル(約809万円)で、OECD加盟38カ国中28位でした。
このように、日本は労働生産性が低いことが課題となっているため、生産年齢人口の減少が続くなかではいかに労働生産性を上げるのかがカギとなります。
長時間労働や過労死の問題
「令和2年版 過労死等防止対策白書」によると、1週間の労働時間が49時間以上の日本人労働者は18.3%でした。
この数字は、アメリカやフランス、イギリスなどの先進国では最も多いことがわかっています。
また、長時間労働は過労死につながる可能性があります。このような問題を解消するためにも、働き方改革ではさまざまな法改正や罰則規定が設けられました。
働き方改革に関する取り組みとは
政府は働き方改革を推進するためにさまざまな取組を行っています。
長時間労働の是正
まず1つ目の取り組みは、長時間労働の是正です。
上述したように日本では長時間労働をする労働者が多いため、過労死や精神疾患の発症につながるおそれがあります。
この問題を解決するために働き方改革によって労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制(月45時間、年360時間まで)が設けられました。
従来はこの上限を超えても行政指導のみで罰則はありませんでしたが、法改正によって罰則が適用されることとなったのです。
正規・非正規の格差是正
1980年代以降、非正規雇用労働者は増えつつあり、厚生労働省の資料によると2021年時点で2,064万人にものぼっています。
しかし、これだけの人数にも関わらず非正規雇用労働者の立場は弱く、正規雇用労働者との間には格差が存在します。
特に賃金格差は大きいため、働き方改革によって「同一労働同一賃金」の改正法が2020年4月に施行されました。
これにより同様の仕事をしている場合、雇用形態を問わず同一の賃金を確保することが義務化されました。
(参考:「非正規雇用」の現状と課題丨厚生労働省)
多様な働き方への対応
労働生産性の低下や生産年齢人口の減少に対応するべく、さまざまな事情をもつ労働者の多様な働き方を実現できるような環境を整えなければなりません。
そのために策定された制度には、下記のようなものが挙げられます。
- テレワーク:時間や場所を問わず柔軟に働き方を実現
- フレックスタイム制:事前に設定した総労働時間のなかで、働く時間を自由に決められる制度
- 短時間勤務制度:3歳未満の子を養育する場合、時短勤務ができる制度
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働き方改革による良い影響やメリット
働き方改革による良い影響やメリットには下記のようなものが挙げられます。
- 生産性向上
- 採用力の強化
働き方改革では長時間労働の是正や労働生産性の向上を目指しているため、うまく自社に適用させることで従業員一人ひとりの生産性が上がります。
また働き方改革に積極的に推し進めることで、求職者からは「従業員のことを大切にする企業」と認識されるため、採用力の強化につながります。
働き方改革による悪い影響やデメリット
働き方改革による悪い影響やデメリットには下記のようなものが挙げられます。
- 人件費の増加
- 違反すると罰則がある
上述しましたが、働き方改革では「同一労働同一賃金」によって、仕事内容が同じであれば雇用形態を問わず同水準の待遇にしなければなりません。この結果、人件費が上がる企業は少なくないでしょう。
また、法律で罰則が規定されているものもあるため、違反すれば罰金が科されることがあります。
まとめ:働き方改革と生産性向上どちらも実現するために
働き方改革が必要だとわかっていても、同時に問題になるのが社員の生産性です。
既に業務が回っていないのに、社員の業務時間が減ってしまっては経営が回らないとお考えの社長の方も多いことでしょう。
その根本原因は、組織の評価制度にあるのかもしれません。
弊社識学は、マネジメントコンサルティング会社です。