「イノベーションで世界を変えたい」
そんな高い理想を持って仕事にあたり、ビジネスを計画するビジネスパーソンは多くおられますが、「世界を変える」の本質とは何で、どうやって変えるのでしょうか。その理想を実現するためには、インターネットの特性を理解する必要があります。
世界を変えるビジネスのために、必要な要素を確認していきましょう。
目次
インターネットと絡めたビジネス
見ている世界を変えるには、インターネットを絡めた、ネットと融合したビジネスが欠かせません。インターネットは世界をつなぎ、ダイナミックな社会変革の原動力となってくれます。
インターネットを使ったビジネスは数多くありますが、たとえば日本の「メルカリ」だったり、クラウドソーシングだったり、中国の「アリペイ」だったり、アラブ地域の革命を支えたメッセンジャーサービスの「i-Revolt」だったりと、衝撃的な変革をもたらすサービスには、ある大きな特徴があります。
それが、「すべてを民主化する」というものです。
民主化がインターネットの本質
では、民主化とはなんでしょうか。それは、人々が相互に判断しあう仕組みです。
私たちを取り巻くインターネットの環境は、大きく変質しました。
1990年代の終わり頃から、インターネットが一般に行き渡るようになりましたが、その本質は、先程みたように「民主化」です。
さらにその民主化とは何かというと、縦のものが横になると考えるとわかりやすくなります。
メルカリがもたらしたもの
たとえば、先程例に出た「メルカリ」を考えてみましょう。
メルカリは、二次流通のプラットフォームです。フリマアプリとして、セカンドマーケットを民主化しました。これまで、中古ショップに持ち込んで換金していた不用品を、相互に取引できるようにしたのです。ただ、それだけならYahoo!が運営するヤフオクは20年前からあります。
しかしメルカリの大きな特徴は、評価を民主化した点です。
ヤフオクにも評価制度はありますが、トラブルが生じるとお互いに「非常に悪い」評価をつけあって、コメント欄で延々と喧嘩をしている人たちも散見されました。まったく生産性がないばかりか、全体にとってマイナスです。
しかし、メルカリは、お互いに評価しあって、取引が完了するまで、相手が自分につけた評価をみることができません。これは不毛な揉め事を防ぐ機能があります。この仕組みによって、ユーザーは正しく行動し、信頼されるための取引をつねに心がけるインセンティブが働くのです。これが「評価の民主化」と解釈できるもので、この評価制度によって、信頼が、誰かから与えられるものではなく、自分の責任において獲得していくものに変わります。
つまり、評価が縦から横に、相互になったのです。
アリペイが変えた世界
ビジネスパーソンとしてメルカリに馴染みがなければ、中国の決済アプリ「支付宝(アリペイ)」を考えてみましょう。アリペイは中国本土の銀行口座と結びついた決済アプリです。10億人以上の中国人がアリペイを利用していると発表されており、急速に広がっています。[1]
アリペイがもたらしたものは、ただ単に便利な少額決済機能だけではありません。これは、ある種の「信用の民主化」だといえるでしょう。従来は、社会的信用といえば、クレジットカードがありました。クレジットカードは、発行会社によって審査され、その審査内容はブラックボックス化されています。
つまり、縦に、信用を司る機関から信用を与えられていたものが、アリペイの評価制度によって信用が横倒しになったのです。このインパクトは非常に大きく、従来型のクレジットカードや銀行のローン審査に通らなかった人たちにも、チャンスが与えられるようになったのです。まさに民主化だといえるでしょう。
そして、アリペイが民主化し、フラット化したものは他にもあります。それが「マナー」です。アリペイには社会的信用スコアである、芝麻(ゴマ)信用があり、それが個人主義だった中国の方々のマナーを全体的に向上させているといえます。
マナーもまた、日本的な考えで判断すると、教育によって縦に実施されるものが、相互の評価によって横倒しになったのです。この仕組みは、大きな改革で、まさに「世界を変えた」といっても過言ではないでしょう。
クラウドソーシングが行った民主化
さらに、アメリカから日本にやってきたクラウドソーシングも、仕事のあり方を大きく変えようとしています。クラウドソーシングは、文字通り「群衆」による問題解決の仕組みで、フリーランスを多く生み出したきっかけともいえます。
従来、仕事は縦に与えられるものでした。日本国内のビジネスシーンにおいては、ゼネコンやIT業界に代表されるように、ピラミッド型・ウォーターフォール型として、上から下に降りてくる形式が一般的です。組織の中に仕事が発生し、それが、事業部から部課長を通じて、社員に降りてきます。しかし、クラウドソーシングは「仕事を民主化」しました。つまり、クライアントからダイレクトに受注が可能になったのです。
これには賛否あります。日本でもクラウドソーシングは大変な議論になっており、成果物の信頼性をどこに置くかの議論や個人に対する極端な搾取構造があるなど、まだまだ未成熟ゆえの課題も多くあります。[2]
しかし、それでも仕事を民主化したという役割は大きく、クラウドソーシングによって、日本の雇用環境では就労に至らない多くの人が生計を立て経済的自立を実現している側面があるのは事実です。これもまた、「世界を変える」の一例ではないでしょうか。
クリエイティブの民主化
たとえば、イラストひとつをとっても、コンテンツ販売のnoteというプラットフォームを使えば、「クリエイティブを民主化」する働きがあります。従来は、偉い人に認められてはじめてプロとしての仕事が成立していたものが、ファンからダイレクト課金をしてもらえることで、実力のある人がフラットに評価されるようになったのです。
世界を変えるイノベーションを起こしたいなら
今回みたように、イノベーションで世界を変えたいと願うのであれば、インターネットを絡めたビジネスが欠かせません。そしてインターネットの本質は民主化・フラット化であり、その特性を活かすことで「世界を変える」にふさわしいイノベーションは起こせるのではないでしょうか。
人々がつながるインターネット。スタートした20年前は、限られた人が使う特殊なコミュニティであったインターネットも、10年前にスマートフォンが登場したと同時に、より多くの人が接続し、つながりあうようになりました。
その本質が民主化である以上、世界がつながり、よりフラットになっていくのは避けられません。
そんな世界で、新しいサービスを考案するには、現在、縦になっているものを横にするというサービスがいいのではないでしょうか。
これらの例に代表されるように、何かを民主化するサービスは、大勢の人が利用し、多くの新しい可能性を切り開き、人をエンパワーメントする力があります。よって、インターネットと相性がよく、世界を変えるポテンシャルを秘めており、まさに「世界を変える」にふさわしいといえるでしょう。
[adrotate group=”15″]参照
[1]アリペイ、利用者が世界で10億人突破
https://www.afpbb.com/articles/-/3205880
[2]『#採用やめよう』全面広告で物申す ランサーズ社長「正社員だけが前提になっている」https://www.huffingtonpost.jp/entry/lancers_jp_5cf254a7e4b0e346ce7ebdff
筆者:名もなきライター
Webライター歴5年。ライター業をビジネスととらえ、我流ながらマーケティング戦略で売上を伸ばし、ランサーズのトップライターになった実績あり。
ツイッター: https://twitter.com/writer_noname
ブログ:https://www.kazinc.org/