「食べる人の健康にも、環境にも優しい」と、近年はやりの代替肉。流行に敏感で、健康的な生活を送りたいと考えている人の中には、以下のような疑問を抱いている人もいるのではないでしょうか。
- 代替肉を選ぶメリットを知りたい
- 代替肉と普通のお肉との違いを知りたい
- 国内の代替肉ブランドについて知りたい
この記事では、代替肉の説明やメリットだけでなく、国内外におけるブランドについても紹介します。
「これから代替肉を生活に取り入れよう」と考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
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代替肉とは
代替肉は、本物のお肉に代わって作られた「植物性のお肉」のことです。
まずは、代替肉の読み方と意味について解説していきます。
代替肉の基本情報について、理解を深めていきましょう。
代替肉の読み方と意味
代替肉は、「ソイミート」や「フェイクミート」とも呼ばれています。主に大豆を元にして作られていますが、小麦やエンドウ豆を用いたものも存在し、日本のスーパーやレストランでも購入可能です。
近年では植物性のお肉だけでなく、培養によって生成された代替肉も注目を集めており、国内外で研究が進められています。
日本でも、スーパーで購入できますし、レストランで使われていることもあります。
また、代替肉は「だいたいにく」と読みますが「だいかえにく」と読み間違えやすいので注意しましょう。
なぜ代替肉が生まれたのか
代替肉が誕生したのは、欧米における宗教観や環境問題が発端だといわれています。欧米では日本よりも早い段階で、ベジタリアンやヴィーガンのような、野菜など植物性の食事を中心とした生活様式が普及していました。
よって、欧米では以前から代替肉が食べられていましたが、近年の環境問題に対する意識から、さらに代替肉のブームが加速したのです。
現在では、大手フードチェーンである、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンでも代替肉を取り扱うようになり、世界中に代替肉が普及しています。
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代替肉の種類には以下の2つが存在します。
- 培養肉
- 植物肉
上記2つの代替肉は、技術革新によってレストランやスーパーでも取り扱われるようになっています。すでに世界のトレンドとして扱われていますが、今後も研究が進んでいくことで、私たちの生活に影響を与えていく可能性が高いため、2種類の代替肉について理解を深めておきましょう。
培養肉
培養肉は「牛から取り出した細胞を元に、動物の体外で生成される肉」のことです。大豆などの植物性ではなく、本物の肉を元にしているため、より本物のお肉に近い味や食感を楽しめます。
培養肉が最初に使用されたのは、2013年8月のこと。オランダにあるマーストリヒト大学のマーク・ポスト教授が開催した試食会です。
当時から「食感は一般的なハンバーガーと変わらない」と評価されていましたが、今では技術革新によって、より高品質な培養肉を安価で生産できるようになっています。
培養肉は、環境問題や食用の牛に関する倫理的観点を解決するための手段としても注目を集めています。多くの著名人が関連企業へ投資しており、日本企業も参入しています。
植物肉
植物肉は「大豆や小麦などを用いた代替肉」で、別名「プラントベースミート」とも呼ばれています。最近では、身近なスーパーやレストランでも取り扱われるようになりました。技術が進歩したことで、一般的なお肉と変わらない食感や味を再現しているため、普段は一般的なお肉を食べている人でも満足できるでしょう。
植物肉は、培養肉と同じように、倫理的観点などの問題を解消するために注目されています。特に、植物肉は環境問題を解決するための施策として期待が高まっており、国連環境計画(UNEP)が2010年に発表した報告書では、植物肉への転換が、環境劣化を防ぐために重要な要素のひとつとして挙げられました。
【参考: 国連環境計画(UNEP)の資源管理パネル、エネルギーと農業が最重要課題とする報告書を発表|環境展望台】
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代替肉を利用するメリットは以下の4つです。
- 動物倫理に配慮できる
- 環境への負荷を減らせる
- タンパク質を摂れる
- 味が安定している
代替肉を利用することで、健康に対してだけでなく、世界が抱える問題解決も期待できます。
それぞれのメリットについて、具体的に見ていきましょう。
動物倫理に配慮できる
代替肉が注目される要因として、動物倫理への配慮が挙げられます。食事を代替肉に切り替えることで、動物の無駄な屠殺を減らせます。
世界中での牛の廃棄量は、一年を通して7,500万頭にのぼると言われており、動物倫理の観点からベジタリアンになる人もいるほどです。
Beyond Meat社を創業した、Ethan Brownは、7歳のときに「人間は犬をペットとして可愛がっているのに、よく似た豚は食べるために育てて尊重しないのはなぜなのか?」と不思議に思ったそうです。
我々日本人も、日頃当たり前と思っている動物の屠殺について考え直す必要があり、一度代替肉の導入を検討してみてもよいかもしれません。
環境への負荷を減らせる
従来の畜産から代替肉へ切り替えることで、環境への負荷を軽減できます。現状の畜産では、1キロの牛肉を生成するために、11キログラムのトウモロコシと2万リットルの水が必要とされているからです。
代替肉がより浸透すれば、今まで利用していた水や肥料を、大幅にカットできます。
一般的な牛肉から代替肉に変更することで、肥料や水だけでなく、放牧に必要な森林伐採の影響を軽減できます。また、家畜の糞尿から発生するメタンガスも、環境に悪影響だとされているため、代替肉は環境配慮の観点においても大きな役割を発揮するといえるでしょう。
【参考:お肉の自給率|農林水産省】
タンパク質を摂れる
代替肉は、植物肉と培養肉の2種類が存在していますが、どちらからでも良質なタンパク質を摂取できます。植物肉であれば、不足しがちな食物繊維も同時に摂取でき、脂質を抑えることが可能です。
培養肉の安全性などについては、各国で研究が進められてる最中ですが、シンガポールやイスラエルのレストランではすでに導入が進められているため、日本でも一般向けに販売される日はそう遠くないと予想できます。
培養肉の安全性がより強固になり、日本社会にも浸透すれば、従来と変わらない味や食感で、より安価にタンパク質を摂取できるでしょう。
味が安定している
代替肉の味は、技術の進歩とともに日進月歩で進化しています。
植物肉を取り入れた焼肉店やスーパーが増えてきており、特に「焼肉ライク」と「ネクストミーツ」がコラボしたことに注目が集まっています。
ネット上では「味も食感も本物」や「実際に言われないと全くわからない」といった評価が見受けられ、一般的なお肉と相違ないことが分かります。
代替肉の市場規模
多くのメリットから、有名企業や著名人に注目されている代替肉ですが、実際の市場規模について気になる人も多いのではないでしょうか。
実際、代替肉の市場規模は増加傾向にあり、今後も市場規模が伸びていくことが予想可能です。
世界の流行に乗り遅れないためにも、現状でどれだけの市場規模を有しているのか把握しておきましょう。
代替肉を積極的に取り入れている米国と、日本での代替肉の市場規模について、具体的に解説していきます。
米国
代替肉の世界の市場規模は、2020年の段階で約66.7億ドルとされており、内訳の中では北米の市場が最も大きいです。
北米では、代替肉の世界市場の44%を占める、29.3億ドルの市場規模を有しており、米国に住む人々の健康志向や動物倫理への配慮が感じ取れます。
米国ではベジタリアンだけでなく、魚は食べるスタイルの「ペスカタリアン」や、乳製品と卵は摂取できる「ラクトオボベジタリアン」など、さまざまな生活様式が誕生しています。
移民によって作られ、人種や価値観が混在している米国では、今後も時代の変化とともに新しいライフスタイルが生まれることが予想できます。したがって、代替肉の市場規模も伸びていくでしょう。
【参考:Estimated market value share of plant-based meat worldwide in 2020, by region*|statisia】
日本
2020年における代替肉の市場規模は、約346億円とされており、世界市場の0.5%程度です。
しかし、2019年から2020年にかけて、複数の企業が代替肉の市場に乗り出したことで、スーパーなどの公共の場所でも代替肉を見かけるようになりました。
また、株式会社シード・プランニングは「2030年の段階で、国内における代替肉の市場規模が780億円にまで上昇する」と発表しています。
日本においても、健康志向の普及やベジタリアンなどの多様な生活様式の流行で、代替肉の市場が伸びていくでしょう。
【参考:植物由来の代替肉細胞培養肉の現状と将来展望|シード・プランニング】
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国内の代表的な代替肉ブランドは以下の3つです。
- ネクストミーツ
- ゼロミート
- ダイズラボ
それぞれの国内における代替肉ブランドについて解説していきます。
ネクストミーツ
ネクストミーツは2020年の6月に創業され「地球を終わらせない。」をスローガンとして掲げたブランドです。植物由来の食品を複数開発しており、イトーヨーカドーなどでもネクストミーツの商品が陳列されています。
創業後間もないにも関わらず、素早い事業展開が話題になっていますが、代表取締役である佐々木英之氏は「まだまだ事業展開のスピードが遅い」と発言しています。
ネクストミーツは今後も国内外において、代替肉の普及に貢献するブランドとして活躍するでしょう。
ゼロミート
ゼロミートは、大阪に本社を置いている「大塚食品」が手がける代替肉のブランドです。ゼロミートは大豆を主に使用しており、植物性にこだわるだけでなく、手軽さにも注力しています。
また、販売されている代替肉は「リバースエンジニアリング製法」を取り入れており、お肉と変わらない味を再現しつつも、植物性の旨みを活かした商品が特徴です。
ダイズラボ
ダイズラボは、味噌を中心とした食品メーカーである「マルコメ」によって作られた代替肉のブランドです。「ヘルシーを、もっと美味しく」をコンセプトにしており、脂質や糖質過多などの、現代人が抱えている栄養面の課題解決を目標としています。
ダイズラボでは、主に大豆によるお肉を作っていますが、大豆粉で作られたパンケーキミックスやカレールーも展開しており、様々な大豆由来の代替食品を楽しめるブランドです。
国外の代替肉ブランド
国外の代替肉ブランドとして、代表的に挙げられるのは以下の3つです。
- ベジタリアンブッチャー
- オムニミート
- インポッシブルフード
国外の代替肉のブランドについて紹介していきます。
ベジタリアンブッチャー
べジタリアンブッチャーは、2011年にオランダで設立され、主に牛肉の代替肉を取り扱っているスタートアップベンチャーです。ヨーロッパで最も勢いのあるブランドとして話題を集めており、2019年には大手バーガーチェーンの「バーガーキング」ともコラボしました。
べジタリアンブッチャーは、すでに日本にも進出しており、東京駅と池袋駅で大豆によって作られたバーガーを楽しめます。
オムニミート
オムニミートは香港の代替肉ブランドで、豚肉の代替肉を販売しています。
オムニミートのお肉は、大豆やエンドウ豆を原材料としており、ホルモン剤や抗生物質を一切使っていないため、安心して食べられるでしょう。
オムニミートは「カラダも地球もよろこぶ、休肉日を。」というコンセプトのもと販売されています。日頃、一般的なお肉から脂質や糖質を摂りすぎている人は、オムニミートで休肉日を作ってみてはいかがでしょうか。
インポッシブルフード
インポッシブルフードは、アメリカの代替肉ブランドです。牛肉や豚肉だけでなく、ソーセージの販売もしています。インポッシブルフードの大きな特徴は、肉肉しさにあると言われており「ヘム」という大豆の根粒に含まれた、タンパク質が主な原料です。
インポッシブルフードは、バーガーキングとのコラボや、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏が資金提供したことでも話題を集めています。
スーパーにもある代替肉のおすすめ商品
スーパーでも購入できる代替肉商品でおすすめなのは、以下の3つです。
- 伊藤ハム「まるでお肉! 大豆ミートのからあげ」
- ネクストミーツ「NEXT カルビ」
- アサヒコ「豆腐のお肉 ガパオ」
代替肉商品について、ひとつずつ紹介していきます。
伊藤ハム「まるでお肉! 大豆ミートのからあげ」
「まるでお肉! 大豆ミートのからあげ」は伊藤ハムから販売されている代替肉を元にしたからあげです。
大豆を原料として作られていますが、大豆の香りを感じさせないように研究されており、本物のからあげに近い味や食感になっています。
にんにくとしょうがの風味をほんのりと楽しむことができるため単体でも美味しく食べられるでしょう。
ネクストミーツ「NEXT カルビ」
「NEXT カルビ」は日本を代表する代替肉ブランドである、ネクストミーツから販売されている商品です。
大豆を原料としていますが、見た目や食感が本物のカルビと相違なく、また程よく下味がついているので、すぐに焼いて食べられます。
添加物を使用していないため、子供のお弁当に入れられるのも嬉しいですね。
アサヒコ「豆腐のお肉 ガパオ」
「豆腐のお肉 ガパオ」はアサヒコの『TOFFUⓇ PROTEIN(トーフプロテイン)』シリーズのひとつで、バジルの香りとナンプラーの旨味を楽しめます。
レンジで温めるだけですぐに食べられるため、時間短縮にもつながります。ご飯にかけて食べるだけで、タンパク質を14.2gも摂取できるので「タンパク質を摂りたいけど、お肉は避けたい」と考えている人にもおすすめです。
【参考:食生活上の課題を解決する『TOFFU® PROTEIN(トーフプロテイン)』シリーズ|Asahico】
代替肉を楽しめるレストラン
代替肉を楽しめるレストランとして、代表的なのは以下の2店舗です。
- CITYSHOP 渋谷キャスト店
- The Burn
それぞれのレストランについて、詳しく紹介します。
CITYSHOP 渋谷キャスト店
CITYSHOPは「グルメサラダ&デリ」を提供しているデリカテッセンです。肉や野菜だけでなく、スパイスなども掛け合わせたサラダが注目を集めており、健康志向の人々に利用されています。
CITYSHOP 渋谷キャスト店では、大豆肉でできたパティが使用されたハンバーガーや、大豆肉のカツレツバーガー(1,000円)が食べられます。
「揚げた大豆肉」という、あまり馴染みのないものを安価で食べられるため、興味がある人は、ぜひ足を運んでみてください。
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The Burnは、東京の青山にある「サステナブル・グリルレストラン」で、ゼロミートとコラボした料理を提供しています。
「ブッダボウル(1,650円)」という名称が付いたサラダは「炭水化物がなくても、お腹いっぱいになるランチを作りたい」という米澤文雄シェフの想いが込められています。
米澤文雄シェフは、日本で初めてのヴィーガンレシピ本を出版しており、NYの3つ星店で活躍していました。
The Burnは青山一丁目駅の0番出口から直結で、アクセスが良いため、ランチやディナーでの利用をおすすめします。
まとめ
代替肉は、脂質や糖質過多など、多くの健康問題を抱えている現代人にとって、多くのメリットがあります。
また、健康という側面だけでなく、世界の環境や動物倫理の観点から見ても、今後普及が期待できるでしょう。
すでに日本国内でも代替肉の研究が進められており、一部のスーパーやレストランでは、代替肉が取り扱われているため、興味がある人は一度試してみてください。
健康的かつ、世界問題へ配慮した生活をするために、代替肉を取り入れていきましょう。
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