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オンボーディングとは?実施の目的、方法、メリット、ポイントを解説(事例も紹介)

経営者

最近はオンボーディングという言葉をよく聞くようになったな。
ビジネスマンなら知っておきたい言葉のひとつですね。

専門家

本記事では、

  • オンボーディングのメリット
  • オンボーディングの実施方法
  • オンボーディングに役立つツール
  • オンボーディングの企業事例

をわかりやすく解説します。

今後「オンボーディングを企業内に取り入れたい」方にもおすすめの記事になっていますので、是非ご覧ください。

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オンボーディングとは?

経営者

OJTとかのことかな?

オンボーディングはOJTなどの新人研修と混合して使われるケースがありますが、実際の意味はそうではありません。

まずは、オンボーディングの意味を以下3つの切り口から説明します。

  • オンボーディングの語源
  • ビジネスにおけるオンボーディングの意味・目的
  • オンボーディングの使われ方

それぞれわかりやすく解説します。

オンボーディングの語源

オンボーディングは英語で「on boarding」と表記され、日本語では以下のような使い方がされます。

  • (船・飛行機などに)乗って
  • (ICチップなどが)搭載される

したがって、何かに乗るという意味が本来の意味です。

この意味が転じて「(船や飛行機に乗る)仲間に対して仕事を共有し、サポートをすることで慣れてもらう」意味で現場で用いられるようになり、その後ビジネス・人事用語として積極的に利用されるようになりました。

ビジネスにおけるオンボーディングの意味・目的

オンボーディングはビジネスの現場では「入社してからの継続的なサポート」という意味で使われ、「新人教育」「受け入れ」「イントロダクション」とも言い換えられます。

企業という一つの飛行機・船に乗り込んだ仲間に対して継続的な支援を実施するのです。

したがって、対象者は新入社員のみならず、キャリア採用として自社に入社した転職組や管理職として自社に転職してきた社員まで行われます。

オンボーディングの目的は「仕事に慣れてもらう」だけではなく「既存社員と新社員の交流を促すことで組織全体の生産性を向上させる」ことです。

新しく入ってきたメンバーのサポートだけでなく、会社全体の生産性をアップさせる意味でもオンボーディングは活用されています。

専門家

オンボーディングの使われ方

オンボーディングはその意味から、実践だけでなく「サポート体制が整っていること」のアピールとしてキャッチコピー的に使われるワードでもあります。

実際の例としては以下のようなものが挙げられます。

  • すべての新入社員に素晴らしいオンボーディング体験を:メルカリ
  • オンボーディングを加速させる「入社メンバーへのサプライズ」:ツクルバ

このように、メルカリでは新入社員が超えるべきハードルを低くするためのサポートとして、そしてツクルバでは人間関係の構築の場として、オンボーディングが活用されています。

他社との差別化をはかるサポート体制ができあがっていることのアピールとしてもオンボーディングは有用なのです。

専門家

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オンボーディングとOJT・Off-JTの違い

オンボーディングは、しばしばOJTやOff-JTと混同されるケースがあります。

ここからは、それぞれの違いについて解説します。

OJTとの違い

OJTはOn the Job Trainingの略称であり、入社後に行われる一般的な教育方法です。

入社した社員に実際の業務を行ってもらいながら、先輩社員や上司などが業務を教えます。

一方で、オンボーディングでは実際の業務に限らず、企業の文化や人間関係、職場環境に順応するためのすべてをサポートします。

また、部門を超えた教育担当者が新入社員をサポートするのも、OJTとは異なる点です。

Off-JTとの違い

Off-JTはOff-The-Job Trainingの略称であり、社外で行う教育訓練です。

外部講師や人材育成の担当が行うセミナーや研修、e-ラーニングがこちらに含まれます。

OJTと同じく、業務に必要な知識を習得するために行われるのに対し、オンボーディングは業務以外の環境や人間関係についてもサポートする点で異なっています。

オンボーディングはなぜ必要なのか

経営者

何で今頃になってよく聞くようになったんだろう?

オンボーディングが企業に取り入れられている理由としては、採用環境が大きく変わってきたことが挙げられます。

若手の早期離職やコロナによる働き方の変化により、人材に対するROIは(投資収益率)が下がってきている側面が大きく影響しています。

  • 20~24歳の離職率は高い
  • 転職先ではうまくいっているケースが多い
  • リモートワークが浸透した

具体的な変化を、上記3つの視点からわかりやすく解説します。

20~24歳の離職率は高い

厚生労働省が発表している「令和2年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、19歳以下の離職率は23.5%、20~24歳の離職率は18.6%と他の年代に比べると明らかに高いことがわかります。

また、入社3年目までの離職率で考えてみても、2016年の離職率は30%を超えており、調査結果が入社1年目までの離職率しか開示されていない2019年の結果を見ても数値の推移はほとんど変わっていません。

つまり、若手の早期離職は依然として高い傾向にあるといえそうです。

また、エン・ジャパンの調査によると転職理由のランキングは以下のようになります。

  1. 給与が低かった
  2. やりがい、達成感を感じない
  3. 企業の将来性に疑問をもった
  4. 人間関係
  5. 拘束時間が長かった
若手が早期離職を決定する要因の中に「やりがい・達成感」「人間関係」など企業努力で改善できる面が含まれているため、オンボーディングでこれらの離職理由を軽減し、退職者数を減らすことが緊急の課題となっているのです。

専門家

参考:新規大卒就職者の事業所規模別就職後3年以内※の離職率の推移 | 厚生労働省

参考:新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況 | 厚生労働省

参考:8,600名に聞いた「退職のきっかけ」調査。転職理由は「給与」「やりがいのなさ」「企業の将来性」。―『エン転職』ユーザーアンケート調査 結果発表― | エン・ジャパン

転職先ではうまくいっているケースが多い

経営者

すぐやめる若手はどこに行っても成功しないんじゃないの?

中には上記の転職結果を見て「最近の若手はやる気がない、どこにいっても失敗する」と思った方もいるかもしれません。

しかし、現実として転職先ではうまくいっているケースが7割もあるとITmediaで報じられています。

したがって、若手がやる気がないのではなく「自社で若手をサポートできていなかった」と考え、オンボーディングを取り入れる企業が増えてきたと考えられます。

オンボーディングのみならず、1on1ミーティングやリカレント教育が企業で注目され始めているのにも、上記のような理由があるといえるでしょう。

参考:「3年以内に辞める若手は根性なし」という批判が、時代遅れになった理由 | ITmedia

リモートワークが浸透した

働き方が変化しています。

専門家

働き方が今までと変わってきたこともオンボーディングが重視されている要因です。

今までは席を隣に並べて、何かあればすぐに上司に質問・相談できる関係が構築されていました。

しかし、コロナによってリモートワークが浸透している今、そうした働き方はレガシーになっています。

また、人間関係に関しても、単純に会う機会が減ったことで関係構築が難しくなっています。

したがって、今後はますますコミュニケーション不足による新人社員の離職は高まる可能性があります。

こうした問題は新人社員だけではなく、中途社員にも同様のことがいえます。

会社との繋がりが薄くなると、働きがいも感じづらくなるため、より一層の会社によるフォローが必要になるでしょう。

参考:在宅勤務が職場の関係性及びメンタルヘルスに及ぼす影響 | NTT

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オンボーディング導入で期待されるメリット

オンボーディングを導入することで期待されるメリットは以下の3つです。

  • 若手の離職率の低下
  • 社員のモチベーションの引き上げ
  • 早期戦力化

それぞれわかりやすく解説します。

若手の離職率の低下

まずは、オンボーディングを実施することで既存社員とのコミュニケーションが活性化し、若手の離職理由のひとつ「人間関係」を改善できる可能性があります。

また、オンボーディングの中で先輩社員や組織体制がわかり、相乗効果として「働きがい」が向上する可能性もあります。

社員のモチベーションの引き上げ

オンボーディングを活用し、将来のキャリアプランを明示することで、新入社員・転職者ともにモチベーションの引き上げをはかることができます。

モチベーションが上がることで、自社への貢献度も上がり、結果的に今まで以上にパフォーマンスが向上する可能性もあります。

早期戦力化

オンボーディングを実施することで、社員の早期戦力化を目指せます。企業にとって社員の早期戦力化はROIを高めるためにも必要です。

新入社員や転職者が仕事内容・事業内容の理解を深めることで、既存社員へも良い影響をもたらすこともあります。

専門家

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オンボーディングの実施方法(PDCAを回す)

オンボーディングを実施するには、以下のPDCAを回すと結果が出るでしょう。

  • P:問題点を洗い出す
  • D①:交流の場を設定する
  • D②:メンター制度を活用する
  • D③:継続的なOJCを実施する
  • C①:アンケートや対面で効果を確認
  • C②:施作の見直し、文化の浸透

P:問題点を洗い出す

まずは問題点を洗い出すことが大切です。

  • 現状何が提供できているのか
  • 社員はどう思っているのか
  • 社員の感じた悩みは何か

上記3つを社内アンケートをとることで、従業員が自社に対して抱えている悩みや不満を洗い出すことができます。

その上で、問題点を改善するための施策を検討します。

問題点を洗い出した後は、新入社員や転職者が1ヶ月後、半年後、1年後にはどうなっていて欲しいのかを明示することも大切です。

目標を設定することではじめてその後の振り返りに活用することができます。

D①:交流の場を設定する

次に交流の場を設定することが大切です。

オンボーディングで解消したい課題のひとつには人間関係があります。

例えば、オリエンテーションを活用して交流の場をつくるなどの場を具体的に設定し、実施することが求められます。

D②:メンター制度を活用する

メンター制度を活用するのもオンボーディングの手段としては適切です。

メンター制度とは、新入社員や中途社員が先輩社員に相談ができる制度のことです。

  • 仕事の悩みを話すことができる
  • 会社のキャリアアップのビジョンが浮かぶ
  • メンタリングチェーンができあがる

メンター制度を活用することで、上記のようなメリットがあります。

メンタリングチェーンとは、新入社員が次にまたメンターとなり、その後教えられた社員がまた次のメンターになるという繋がりを表していますが、こうした連鎖ができることで従業員が仕事に打ち込みやすくなり、離職率の低下につながります。

D③:継続的なOJCを実施する

OJTだけでなく、OJCという方法があるのをご存知でしょうか。

OJCとは「On the Job Coaching」の略で、OJTと組み合わせるとより効果的だと言われている手法です。

OJCではOJTとは異なり、社員の自発性を高めるためのコーチングを主目的として実施します。

ただ指示を待つだけの社員ではなく、自発的に行動できるクリエイティブな人材開発をするためにOJCの導入が有用です。

継続的に実施することで、離職率を下げる効果があるといわれています。

専門家

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C①:アンケートや対面で効果を確認

計画通りオンボーディングを実施した後は、アンケートや対面で効果を確認する必要があります。

ここで、想定通りの成果を社員が残せているのかの見直しを行います。

C②:施作の見直し、文化の浸透

想定通りの結果が出なかった場合には、何が問題だったのか、原因を分析する必要があります。

アンケートや対面で出た意見や反省点を次のオンボーディングに活かすことが大切です。

また、一度で終了することなく繰り返しPDCAを回すことで、オンボーディングを企業文化として根ざすことで、より精度も高まるでしょう。

経営者

上記の企業文化はその後の採用活動にも活かせる、企業の強みとなりそうだね。

オンボーディングを実施する際のポイント

オンボーディングを成功させて企業に人材を確保するためには、実施するポイントを押さえておく必要があります。

ここからは、オンボーディングを実施するポイントを紹介します。

事前準備をしっかりと行う

オンボーディングを行う際には、事前にしっかりと準備しておくことで、そのパフォーマンスを最大化させられます。

そのために、例えば以下のような事前準備をしておくといいでしょう。

  • 育成担当やフォロー体制を決定する
  • 入社研修の内容をブラッシュアップする
  • 社内全体で新入社員の育成方針・プロセスを共有する
  • 仕事に必要な環境や道具がそろっているかを確認する

このような内容を事前に検討し、社内で目的を共有してフォロー体制を整えると、新入社員が早期にパフォーマンスが発揮できるようになります。

既存社員のスキルを伸ばす

オンボーディングは、OJTのように直属の上司や所属しているチームのみで行うのではなく、社内全体でサポートする育成方法です。

そのため、新入社員に直接関係のある上司や人事担当のみならず、社内全体で新入社員をサポートする雰囲気を醸成しなければなりません。

具体的には、社内の人員が積極的に声をかける効果を伝え、行動を促したり、人材育成に関する研修の機会を与えたりするとよいでしょう。

これらの取り組みにより社内の育成スキルが上がると、新入社員の成長スピードが速まります。すると、企業としての生産性の向上が期待できます。

新入社員に目標を設定してもらう

オンボーディングの目的は、新入社員が仕事や組織に慣れる時期を早め、企業の生産性を高めることです。

しかし、会社の期待値を新入社員とすり合わせできていなければ、その効果は発揮されなくなってしまいます。

そのような事態を避けるため、新入社員に今後どのようになってほしいのか、直近や中期のビジョンを明確に企業から伝えるようにしましょう。

そのうえで、新入社員に目標を設定してもらうことが有効です。

最初から大きな目標を掲げると道筋がわからず、達成が難しくなってしまうため、目標を細分化し、スモールステップで近づけるように促しましょう。

目標を定期的に振り返り、客観的な評価を繰り返すと、企業が人材に求める理想像の理解につながります。

オンボーディングの役に立つツール3つ

経営者

有名なツールとかはあるのかな?

オンボーディングの役に立つツールには以下3つがあります。

  • Trello
  • Asana
  • HR Onboard

TrelloとAsanaはどちらもタスク管理やプロジェクト管理に役立つツールです。

リモートワークが広がる中で、仕事の進捗状況が見えづらくなる問題が発生している状況下で役立ちます。

特に、入社して間もなくリモートワークになってしまった従業員にとっては、報告・連絡・相談も難しく、次に何をすればいいのかわからないこともあります。

上記のツールを使用することで、チーム内のタスクが見える化され、上記の問題を解決できるとともにタスク管理がしやすくなります。

HR Onboardは、従業員に寄り添うことができるといった理由から、導入企業が増えているツールです。

従業員に対して簡単にアンケートを取ることができ、悩みを抱えている社員を発見できるので、うまく使えば離職の予防に役立てることができます。

オンボーディングを実施している企業

オンボーディングを実際に導入している企業の例として以下を紹介します。

  • ヤフー株式会社
  • サイボウズ株式会社

ヤフー株式会社

ヤフーでは中途社員や新入社員に向けてオンボーディングを活用しています。具体的には以下のような施策があります。

  • 1on1ミーティング
  • 中途入社者のガイドラインを作成
  • 常時接続のウェブ会議室

リモートワークを取り入れているヤフーでは、新入社員のサポートのみならず、中途入社者への手厚いサポートを実施するなど、離職率を下げる取り組みを実施しています。

上記のような取り組みは既存の社員にも良い影響をもたらしており、良い刺激になっているようです。

サイボウズ株式会社

サイボウズの実施するオンボーディングには自主性が深く関わっています。

新卒・中途社員は予め人事部が決めた研修を受ける必要があるものの、それ以外に用意されている研修には自主性での参加となっています。

強制的な講義がほとんどないため、興味を持った講座に必要なときに申し込む体制が整のっています。

また、1人1人にチューター制度を設けており、フルリモートの中でも気軽に相談ができる体制を整えているのが特徴です。

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まとめ

本記事では、オンボーディングについて以下内容を紹介しました。

  • オンボーディングとは
  • オンボーディングのメリット
  • オンボーディングの実施方法
  • オンボーディングに役立つツール
  • オンボーディングの企業事例

離職率の観点と合わせて、社員のエンゲージメントを向上させ自社の競争力を高める意味でも、オンボーディングを採用する重要性は高まっています。

自社のフェーズに合わせて、少しずつ取り入れる動きが今後必要になるでしょう。

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