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マインドセットとは、複数の要素によって固定された、考え方や思考パターンを意味する言葉です。
ビジネスをはじめとした行動や成果に大きく影響し、近年は人材育成においてマインドセットの教育を行う企業が増えています。
本記事ではマインドセットとはなにか、またマインドセットを向上させる方法についても解説していますので、ぜひご一読ください。
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マインドセットとは
マインドセットとは、固定された考え方や思考パターンです。
各人の生まれ持った性格をはじめ、過ごしてきた環境や経験などによって構成されます。
同じ出来事や対象であっても、マインドセットによって各人の受け取り方や行動は変わります。
そのため、マインドセットは行動や成果に大きく影響を与えると考えられており、成功・失敗を決定づけるポイントでもあります。
前述したように、マインドセットは過ごしてきた環境や経験、教育などの後天的な要素で変化することもあります。
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失敗は挫折でしか無いのか 「クリスピー・ドーナツ神話」を産み出した男の法則とはマインドセットは今後の世の中を生きる上で必要
マインドセットは今後の世の中を生きる上で必要な要素です。
世の中を上手く生きていくためには、苦痛や不快を感じにくく快適な生き方を実現できるようなマインドセットを持つ必要があります。
今後の世の中においてマインドセットが重要とされる主な理由は以下の3つです。
- 目まぐるしく技術が進歩する
- 想定外の問題が発生する
- 考える力がより一層必要になる
一体どういう意味なのか、そしてマインドセットがどのように関係するのか、それぞれ解説します。
目まぐるしく技術が進歩する
現在は技術の進歩が目まぐるしい時代です。
すなわち大きな変化に遭遇し、心を揺さぶられる機会が多いと言えます。世の中に上手く適応するためには、変化を受け入れ柔軟に対応する力が必要です。そのため、マインドセットによる適切な心構えが有用なのです。
もし変化に弱く柔軟な対応が苦手なマインドセットの場合、技術の進歩についていくことができなくなるかもしれません。
したがって、目まぐるしく技術が進歩する世の中において、ストレスを感じやすくなってしまうのです。
今後の世の中を上手く生きるためには、技術の進歩に上手く対応できるマインドセットが必要です。
想定外の問題が発生する
情報量が多く日々多くの出来事が起きる現代では、そのぶん問題も多く発生します。特に身構えるべきは想定外の問題です。
現代に生きる人は毎日のように様々な問題の対処をしますが、ある程度予想していた問題に対しては心構えもできているでしょう。
このような問題なら多少のストレスはあるものの、メンタル面の影響を抑えながら対処可能です。
しかし急な事態や想定外の出来事に対しては、マインドセットによって受ける影響が大きく変わります。
想定外の問題が発生しやすい現代では、不測の事態に対応できるマインドセットがないと辛さや負担を感じやすいです。
したがってマインドセットをしっかり整える必要があります。
考える力がより一層必要になる
現代は多様性や自主性が重んじられる傾向が強く、個人が発信する機会や、自分の考えを持たなければならない状況が非常に多いです。
このような状況は今後の世の中でますます進むと予測できるため、考える力がより一層必要になるでしょう。
自身でしっかり考えるためには、自立や自主性を実現するマインドセットが必要です。考える力がより一層必要になる世の中では、自主的に考えるという主体的な行為を実現するためのマインドセットが必要です。
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成果はマインドひとつで大きく変わるマインドセットには2つの種類がある
マインドセットは大きく分けて2つの種類があります。
- グロースマインドセット
- フィックスドマインドセット
このうち企業において特に求められるのは、グロースマインドセットです。両者の特徴について詳しく解説します。
グロースマインドセット
グロースマインドセットは成長マインドセットとも呼ばれ、成長や変化を大切にするマインドセットです。
現状は努力や行動次第で変化出来ると考え、強い成長意欲も含んだものです。グロースマインドセットに見られる特徴は以下の4つです。
- 成長のため前向きに努力する
- 失敗しても成長のチャンスとしてとらえる
- 何事にも積極的
- 変化を良いものとして受け止める
グロースマインドセットは前向き、積極的という特徴を強く持ちます。
現代そしてこれからの、変化への対応力や自主的に考える力が求められる世の中で求められるマインドセットです。
フィックスドマインドセット
フィックスドマインドセットは固定マインドセットとも呼ばれます。グロースマインドセットとは真逆で、変化を嫌い現状維持を好むマインドセットです。個人の能力は伸ばしづらいとも考えています。
フィックスドマインドセットに見られる特徴例は以下の通りです。
- 成長より現状維持が良いと考える
- 失敗に対して強い恐怖を覚える
- 他者から受ける評価や賞賛を重視する
- 保守的な傾向が強い
現状維持や保守的な姿勢が大切とされる場面では、フィックスドマインドセットが役立つケースもあるでしょう。
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マインドセットが違うとどうなるのか
マインドセットが違うと、同じ場面でも状況の捉え方がまったく異なります。
ビジネスにおいて、マインドセットによる違いが顕著な場面の例は以下の通りです。
- 新しい仕事を頼まれたとき
- 仲間が昇進したとき
- 失敗をしたとき
- 1つの目標に向かって進むとき
状況の捉え方は行動に影響を与え、結果として成果を大きく左右します。したがってマインドセットの違いがビジネスの成果を変えるのです。
具体的にどのような違いが見られるか紹介します。
新しい仕事を頼まれたとき
新しい仕事を頼まれる場面はよくある光景です。未経験の仕事なため、変化や成長の面を強く持ちます。
グロースマインドセットの人に見られる考え方の例は以下の通りです。
- 自身の能力や状況によるものの、承諾に対して意欲的
- 「成長のチャンス」と好意的に受け止める
- 積極的に取り組む
一方でフィックスドマインドセットの人は別の考え方をします。
- 強い不安を感じる
- どうにかして断れないかと考える
- 嫌な気持ちになるケースが多い
マインドセットの違いによって、新しい仕事をチャンスと捉えるか、嫌な気持ちになるかが全く異なります。
仲間が昇進したとき
仲間が昇進したときも、マインドセットにより感じ方の違いは大きいです。まずはグロースマインドセットの人に見られる考え方です。
- 仲間の成功を素直に祝える
- 自分も頑張ろうと積極的な気持ちになる
- 自身ではなく人の成長にもポジティブな感情になる
一方でフィックスドマインドセットは自身が評価や賞賛を受けたいと考えるため、仲間の昇進に対して以下のような考えを持ちます。
- 別の人が称賛される状況にストレスを感じる
- 人の大きな変化を受け止めにくい
- 昇進した仲間に対してマイナスな感情を持つ
仲間の昇進を祝えるか、そして自身の力にできるかは、マインドセットによって左右されます。
失敗をしたとき
ビジネスで失敗してしまうと、誰でもある程度は落ち込んだり悲しんだりするでしょう。しかし立ち直りまでのスピードや今後への活かし方が違います。まずはグロースマインドセットの場合です。
- 失敗を成長に活かそうと考える
- 失敗を受け止めしっかり振り返る
- 立ち直りが早く引きずりすぎない
一方でフィックスドマインドセットの場合は異なります。
- 自分に能力がないと感じひどく落ち込む
- 成長ではなく失敗の回避を重視するようになる
- 失敗を受け止められず自己防衛に走りやすい
失敗の捉え方は成長に大きく関係する部分です。失敗の完全な回避はほぼ不可能なため、前向きな姿勢が求められます。
1つの目標に向かって進むとき
1つの目標に向かって進む場面でも、マインドセットによって姿勢が異なります。
まずはグロースマインドセットの場合です。
- 努力を惜しまず出来ることを積極的に行う
- 目標に近づくにつれ成長を感じ喜びを覚える
- 前向きな気持ちを保てる
フィックスドマインドセットの人は異なる考えを持ちます。
- 自身の能力に限界値を決めてしまい、目標達成が難しいと捉える
- 目標達成に対して懐疑的
- 目標への過程でも変化や成長を避ける
比較すると、目標への積極性が全く違うといえます。目標達成までのスピードはグロースマインドセットの方が早いケースが多いです。
経営者
マインドセットは個人と企業で違う
ひとくちにマインドセットといっても、個人と企業で内容が大きく違います。マインドセットについて正しく理解するには、個人と企業それぞれについて知識が必要です。
そしてどちらのマインドセットも、ビジネスで成果を出す上で重要な意味を持ちます。
両者について具体的に解説します。
個人のマインドセット
個人のマインドセットは、組織に属する各人が持っているマインドセットです。
企業の傾向や雰囲気から影響を受ける部分もありますが、基本的には個人が持つマインドセットがそのままビジネスに反映されます。
後述する企業のマインドセットと乖離があると、負担を感じやすい傾向にあります。
同じ企業内でも個々人によって積極性や受け止め方に違いがあるのは、個人のマインドセットによる影響が大きいです。
理想的なマインドセットにするためには、ひとりひとりに向き合い適切な対応が求められます。
企業のマインドセット
企業のマインドセットは企業全体に見られる傾向や姿勢です。
同じ業種や近い製品を扱う企業でも、各企業によってビジネスの展開方法や重要視する要素が異なります。
それは企業のマインドセットによる部分が大きいです。また企業全体だけでなく、企業内の部署によってマインドセットが違うケースもあります。
そして市場や目標の変化によっては、マインドセットを変える必要性も生まれます。
企業に属する人の足並みを揃え目標へ上手く進めるには、企業のマインドセットに合わせた対応、そして働く人たちへのマインドセットに関する知識の浸透が必要です。
企業のマインドセットにはクレドが利用されることもあります。
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クレドとは何?経営理念との違いや導入事例、注意点を解説企業のマインドセットはどう形成されるのか
企業と個人は全く異なる存在なため、マインドセットを形成する要因も違います。
企業のマインドセットを構成する要素は主に以下の通りです。
- 製品・事業特性
- 企業理念
- 企業の経験
それぞれの要素の意味や、マインドセットに与える影響について解説します。
製品・事業特性
製品・事業特性とはその名の通り、企業が扱う製品や展開する事業に見られる特性です。
企業全体を上手くまとめ目標に進むには、製品・事業の特性に合わせたマインドセットを形成する必要があります。
例えば「業務の効率化」を実現するための製品を扱う場合、扱う製品に合わせ企業でも以下のような点を大切にするでしょう。
- 効率化を実現できそうな新要素を積極的に採用
- ソフトやツールを駆使し非効率な要素はすぐに排除
効率化という特性を持つ製品・事業を扱うのに、企業体制がフィックスドマインドセットではちぐはぐになってしまいます。
したがって、特性に合わせたマインドセットが必要です。
企業理念
企業理念も企業のマインドセットを決定づける重要な要因です。企業理念には企業が大切にする価値観や、経営を通して実現したい目標などが表されます。
企業は設定された企業理念を守り事業展開・経営を行う必要があるため、企業理念は企業の方向性を決める要因とも言え、マインドセットに与える影響も大きいです。
企業のマインドセットを上手く定着させるには、まず企業理念を企業全体で共有する必要があります。
企業理念の意味を浸透させ、全体が同じ理念のもとで業務を進めれば、自然と企業のマインドセットも強固になっていきます。
企業の経験
個人のマインドセットと同様、企業のマインドセットも経験による影響が大きいです。
例えば製品を展開する2つの企業があり、それぞれ以下のような経験をしたと仮定します。
- これまでと異なる要素をつけた商品が今までと違う客層から支持され、結果として大ヒットした経験を持つ企業
- ヒットを狙って新商品を展開したものの、思うほど伸びなかった経験を持つ企業
前者の企業は変化によって成功をした経験から、変化への積極性が強まるでしょう。
一方で後者の企業は、ある程度の現状維持をし大きな挑戦は控えるようになると考えられます。
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グロースマインドセットを持つ従業員を獲得するためには
経営者
企業の大きな成長には、成長に意欲的であるグロースマインドセットを持つ従業員が必要です。
グロースマインドセットを持つ従業員を獲得する方法として、以下の4つが挙げられます。
- 採用時に判断する
- 従業員にコーチングを実施する
- 研修を受けさせる
- 目標を決めて仕事に取り組ませる
それぞれ解説します。
採用時に判断する
マインドセットは個人の話し方や質問に対する回答から、ある程度予測できる部分も多いです。
そのため採用時の面接などを通した確認と判断が重要です。マインドセットを確認する上で有用な質問例を挙げます。
- なぜ弊社を志望した?(企業理念や企業のマインドセットとの近さを確認)
- 5年後のビジョンは?(成長意欲を確認)
- 働く上で大切にしていることは?(行動原理を確認)
ただし面接では、採用担当者から評価を得られそうな回答を用意しているケースもあります。
従業員にコーチングを実施する
従業員へのコーチング実施も、グロースマインドセットを持たせる上で有用です。
コーチングは単なる対話と違い、次の3点を大切にしながら行なわれます。
- 相手の思考や行動原理を引き出す問いかけをする
- 相手に気づきや行動のモチベーションを与えることを目的とする
- 相手の主体性を大切にし、アドバイスや答えの提示はしない
マインドセットは考え方の癖であり、強制的な変化はできません。
まずはコーチングを通して思考を引き出し、従業員に今のマインドセットを自覚させる必要があります。
研修を受けさせる
グロースマインドセットの重要性を伝えるため、研修を受けさせるという方法も効果的です。
なぜグロースマインドセットを持つ必要があるか、どのような心構えでビジネスに取り組むべきかを理解・納得してもらう必要があります。
マインドセットに関する研修は、特に以下のタイミングでの実施がおすすめです。
- 新卒社員の入社後すぐ
- 新規事業の展開など変化が起きる前
- 昇進など立場が変わる時期
教育は個人のマインドセット形成に影響を与えます。なぜグロースマインドセットが求められるか理解できれば、マインドセットを変える意欲も強くなるでしょう。
目標を決めて仕事に取り組ませる
グロースマインドセットには積極性が必要です。
積極性を持って仕事に取り組ませる方法として、目標設定が挙げられます。明確な目標があると、それを達成するために必然的に意欲的な姿勢を持ちやすくなります。
特別なきっかけがない状態でいきなりマインドセットを変えるのは困難です。したがってグロースマインドセットを持ちやすい状況を作る必要があり、そのための目標設定ということです。
一方で、目標を明確に指示してしまうのは適切ではありません。目標を持たせる必要性を説きつつ、具体的な目標設定は従業員個人に行わせるのが効果的です。
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考え方の癖であるマインドセットは、個人の行動に大きな影響を与えます。行動は成果に直結する要素ですが、良い成果を出すためには行動に影響を与えるマインドセットそのものを整える必要があります。
積極的な行動や前向きな姿勢には、グロースマインドセットが必要です。マインドセットの意味や重要性、グロースマインドセットを持たせる方法を押さえれば、ビジネスのさらなる成長を実現できるでしょう。
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