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「クレド」は、企業の存続と成長をもたらす重要な概念として、非常に注目されています。
従業員の意識変革をはじめとした効果が期待され、多くの企業で積極的に導入されるようになりました。
本記事では、以下のような点について解説します。
- クレドの定義
- クレドを導入することで得られるメリット
- クレドを導入する方法
- 実際の導入事例
クレドの導入などを考えている場合は、ぜひご一読ください。
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クレドとは
経営者
クレド(Credo)とは、ラテン語で「信条」や「自身を信じる」といった意味の言葉です。
転じてビジネスにおいては、「企業活動の根本にある、従業員全体の行動基準や指針」といった意味を持ちます。
世界的な医薬品メーカーである「ジョンソン・エンド・ジョンソン」にて考案されて以降、クレドは各国企業へ普及し、日本においても導入事例が増えつつあります。
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クレドと誤解しがちな言葉
クレドは、以下のような言葉の意味と誤解、混同されることがあります。
- クレドと「経営理念」
- クレドと「ビジョン」
- クレドと「マニュアル」
しかし、上記の言葉が持つ意味とクレドの定義は異なるものであり、この違いを理解することは、クレドの導入において重要です。
下記でそれぞれの言葉との違いを解説します。
クレドと経営理念
「経営理念」は、特にクレドと混同されやすい言葉です。
経営理念は「企業の経営層や創業者が持つべき、経営活動の根幹となる価値観、思想」を示します。つまり経営理念は、クレドほど従業員へ浸透させ、実践されることを前提としません。
一方でクレドとは、従業員全体で共有すべき、具体的な行動基準や指針を意味します。
クレドと経営理念では、抽象度も、その対象も異なるのです。
クレドとビジョン
クレドとビジョンの混同にも注意が必要です。
ビジョンは「企業全体が目指している理想形」といった意味合いを持ちます。
つまり、企業の最終的な目標や方向性、あるいは未来像を示すものです。
ビジョンを従業員全体で共有することで、企業はより統一された行動を取れるようになります。ただしビジョンは、クレドのように具体的に何をすべきかまで提示するものではありません。
クレドとマニュアル
マニュアルとは、一言で言えば企業がおこなう業務の進め方を示すものです。
マニュアルを用意することで、均一化された業務が実施され、誰しもが想定した成果を出せるようになります。
一方クレドは、業務の進め方を示すものではありません。業務に当たる従業員として、「どのような姿であるべきか」を示すものです。
また、クレドとマニュアルの間には「受動的か能動的か」という違いもあります。マニュアルはすでに提示されているものであり、その内容を受動的に受け止め、業務へと落としこみます。
一方でクレドは、能動的に「どうあるべきか」を考え、その都度あるべき姿に応じた行動を選択する、というきっかけになるものです。
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経営者
クレドの導入を検討する際に注意したいのは「クレドは宗教ではない」ということです。
ラテン語としてのクレドには「ある宗教を深く信仰すると、宣言する」といった意味合いがありますが、ビジネスにおけるクレドには、宗教的な観念は存在しません。
あくまでも「行動における基準、指針」という意味合いにとどまります。
しかし、クレドは、全従業員に対しての行動指針というその役割から、時として従業員を縛りつけ、負担を与えることがあります。そうなると従業員や外部からの「宗教じみている」という批判にもつながります。
クレドを導入する際には「クレドが絶対的に信仰すべき宗教ではない」ということに注意しなければいけません。
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クレドを導入するメリット
冒頭でも触れたとおり、クレドを導入することにはさまざまなメリットがあります。
具体的には、以下3点が挙げられます。
- 従業員の意識が変わる
- 顧客対応が変わる
- 会社の売上を向上させる
それぞれについて、下記で詳しく解説します。
1.従業員の意識が変わる
クレドを導入する最大のメリットは、従業員の意識が変わるというところにあります。
クレドという明確な基準や指針が提示されていることで、従業員の意識が変化し、企業にとって合理的な行動を取りやすくなります。
また、「クレドから逆算して、何をすべきなのかを主体的に考えて実行する」という能動的な姿勢を持たせることも可能です。
主体的に考えることは、従業員自身にやりがいを持たせることにもつながり、従業員エンゲージメントといった部分にも反映されます。
また、クレドという指針が提示されることで、看過しがたい個人プレーに走ることもある程度予防できます。
経営者
2.顧客対応が変わる
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クレドを導入すれば、従業員の顧客対応も大きく変化すると考えられます。
従業員がクレドを強く意識していれば、顧客に対してクレドが反映された対応がなされるからです。
クレドがない場合と比較して、企業活動における顧客対応が企業の求める、いわゆる「顧客ファースト」と呼べるような、優れた形に近づいていきます。
顧客対応という重要なファクターにおいて、競合他社と差別化することも可能となるでしょう。
3.クレドは会社の売上に関わる
最終的にクレドは、会社の売上を向上させうるものです。
なぜならクレドを導入すれば、上記含め、さまざまな変化が企業活動にもたらされるからです。
たとえば顧客対応が変わったなら、顧客は企業に対してよい印象を持ちます。
すると、顧客は企業のプロダクトやサービスを購入する方向に動いていくでしょう。
クレドによって他社と差別化され、顧客のファーストチョイスの位置付けを獲得するといったことも可能です。
したがって、クレドのもたらすさまざまな効果は、最終的には会社の売上へ反映されると考えられるのです。
経営者
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ワークエンゲージメントとは?従業員満足で業績アップにつなげるにはクレドを導入する方法
経営者
クレドを導入するには、慎重な計画が必要です。
- メンバーを選出する
- フレームワークを利用して計画・目的を明確にする
- 従業員に調査する
- クレドを明文化する
- クレドカードを作成/朝礼に取り入れる
1.メンバーを選出する
クレドを導入する際、まずは作成メンバーを選出します。
メンバーの選出にあたっては、企業にはふたつの選択肢があります。
- 経営陣から選出する
- 経営陣と従業員、両方から選出する
しかし、クレドの導入に当たっては「経営陣と従業員、両方から選出する」ことが推奨されます。なぜなら従業員が参加するには、以下のような利点があるからです。
- 現場の状況をクレドに反映させられる
- 現場で実現可能なクレドを設定できる
- 従業員が受け入れやすいクレドを考案できる
つまり、できる限り従業員を加えたほうがボトムアップに裏打ちされ、企業にとって合理的かつ実現可能なクレドが作成できます。また従業員を参加させるなら、できる限り多彩な部門から選出することも重要です。
2.フレームワークを利用して計画・目的を明確にする
続いて、クレドの導入における計画と目的を明確にします。
計画においては、作成メンバーで以下のような点を考えることが必要です。
- 何のために、クレドを導入するのか
- クレドがあれば、一体何が変わるのか
- どのようにして、クレドを作成するのか
- いつまでにクレドを作成し、導入するか
- どのようにして、クレドを従業員へ根付かせるのか
上記のように計画と目的を明確にし、適切なフローでのクレド作成を目指します。
計画と目的を考案する際には、以下のようなフレームワークが有効です。
- ブレインストーミング
- 5W1H
また、作成メンバーが独断的なクレドを作成しないように、計画と目的については経営者にも確認・同意してもらうことも重要です。
3.従業員への調査を行う
クレド作成と目的が明確化されたら、従業員への調査を実施します。
調査するべきポイントは以下3つです。
- 会社にとって従業員のあるべき姿とは何か
- 自分はどのような従業員でいたいか
- どのようなクレドなら実行可能か
先ほども触れたとおり、クレドはボトムアップによって作りあげられるものです。
ボトムアップで意見を吸いあげることによって、より実践的で影響力の強いクレドが作成されます。
また、従業員への調査に基づいて作成されたクレドなら、実際に導入された場合にも受け入れられやすくなるはずです。
4.クレドを明文化する
続いて、クレドを明文化します。
ここまでクレドを作成するにあたって、さまざまな情報が集約されているはずです。
- 経営陣の意見
- 作成メンバーに入っている従業員の意見
- 従業員への調査
- 経営者の意見
- 既存の経営理念やビジョン、ミッション
上記の情報から総合的に判断し、ひとつのクレドとして明文化します。
明文化されたクレドは、全従業員が理解し、実践できるものでなければいけません。
つまり、基本的には難解ではなく、簡潔でシンプルなものであることが推奨されます。
5.クレドカードを作成/朝礼を取り入れる
最後に、作成したクレドを全従業員へ共有します。
共有するうえでは、基本的には「クレドカード」の配布という方法が用いられます。
また、朝礼にクレドの読み上げを実施するなどの施策もあるでしょう。
「カードを持たせて朝礼に取り入れるほど、徹底する必要はあるのか?」と感じた方もいるはずです。
しかし、実際にクレド導入の成功事例の筆頭であるザ・リッツ・カールトンなどでは上記のような施策を取っていました。クレドを浸透させたいなら、それだけ強く施策を打ち出していく必要があります。
しかしクレドの存在が大きすぎると、先ほど触れた「クレドの宗教化」が懸念されるでしょう。
従業員がクレドに対し、看過できない強度の抵抗感を感じるかもしれません。
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エンゲージメントとは?意味やメリット、必要性、高め方を解説クレド導入の際の注意点
専門家
クレドを導入するうえでは、2つの注意点があります。
- トップダウンにしない
- 時代に応じて変える
それぞれについて解説します。
トップダウンにしない
クレドを導入する際は、「トップダウンにしないこと」が重要です。
トップダウンでクレドが作成された場合、経営陣にとって好都合な内容になってしまいがちです。仮にそうでなくとも、トップダウンの時点で、従業員が抵抗感を感じやすくなります。
実際に業務に反映させ、またそのために従業員に納得してもらい根付かせるためにも、先ほど触れたとおり、クレドを導入する際にはボトムアップが推奨されています。
時代に応じて変える
クレドは、時代に応じて変える必要があります。
企業活動を取り巻く状況は、こく一刻と変化するものです。
前年度は有効だったクレドが、今年度も有効であり続けるとは限りません。
もしクレドが時代にそぐわないものであれば、企業活動は間違った方向へと進みます。
したがって企業に設定すべきクレドは、時代に応じて変更すべきケースもあります。
実際の導入事例
専門家
今回は、以下3社の導入事例について解説します。
- 楽天
- 三井不動産ホテルマネジメント
- ANAサイエンスホールディングス
それぞれについて詳しく解説するので、ご一読ください。
楽天
楽天は、国内においてもっとも影響力があるIT企業のひとつです。
楽天では、「成功の5つのコンセプト」と名付けられたクレドが掲げられています。
- 常に改善、常に前進
- Professionalismの徹底
- 仮説→実行→検証→仕組化
- 顧客満足の最大化
- スピード!!スピード!!スピード!!
上記のクレドにより、楽天の従業員は、あるべき姿をわかりやすく認知しています。
たいへんシンプルな内容ですが、常に高いパフォーマンスを発揮することへつながる、極めて意義深いクレドです。
三井不動産ホテルマネジメント
三井不動産ホテルマネジメントは、 「ザ・セレスティンホテルズ」などを展開している企業です。
三井不動産ホテルマネジメントには、6つの項目で構成されたクレドが存在します。
- 楽しむ
- 考える
- 努力する
- 行動する
- 点検する
- 一体感を持つ
非常にシンプルで、だからこそ全従業員が理解しやすく、実践的なクレドになっていると言えます。
導入に当たっては従業員と経営陣の間で活動報告書を通したコミュニケーションがとられ、従業員の報告と経営陣のフィードバックを何度も繰り返すことで従業員へとクレドを根づかせています。
ANAサイエンスホールディングス
科学機器や医療機器を扱う、ANAサイエンスホールディングス。
ANAサイエンスホールディングスは、以下2項目で構成されたクレドを掲げています。
- 顧客・取引先・社員・企業の満足を実現することで社会に奉仕する
- 仕事は生き甲斐であり、職場は夢を提供する場所
ANAサイエンスホールディングスは、株式会社アオバサイエンスと株式会社ナルセの合併によって成立したグループ企業です。
両社の経営陣は、「両社がより深く融合し、新しいチャレンジをすべきだ」と考えていました。
その目的を達成するために、クレドが考案され、現在も同グループの企業活動における根幹を成しています。
まとめ:クレドを上手に取り入れよう
クレドとは、企業の目指すべき姿を実像化するうえで、たいへん有効な手段です。
クレドが企業活動の根幹に根ざして、従業員全体に具体的な行動基準や指針を示します。
適切に設定されたクレドは従業員をあらゆる面で向上させて、最終的に企業の成長へとつながるはずです。
自社がまだクレドを導入していない場合、導入を検討する価値は大いにあります。本記事の導入方法や成功事例を参考に、自社で導入できないか検討することを推奨します。
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