組織が成果をあげるためマネジメントスキルが非常に注目されています。
一方で、マネジメントを身に着けられない・理解できないマネージャーに頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
マネジメントは、こうしたら誰でもわかる・身につくと一概に言い切れない、スキルです。
しかし、実践を通じてマネジメントスキルを身に着けることは出来ます。
本記事では、マネジメント能力の身につけ方を解説していきます。
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目次
マネジメントを理解していないマネージャーは新人を辞めさせてしまう
人手不足が叫ばれている今、経営者にとって、今まで以上に一人一人の人材の価値は上がっているのではないでしょうか。
特に採用コストをしっかりかけて採用した新卒社員や第二新卒といわれる若手に対する期待は、並々ならぬものがあるでしょう。
一方で、それほど期待をかけて採用しているにもかかわらず、「新卒の3割が3年で辞める」という傾向は、全く変化していません。
転職最大手の「リクナビNEXT」が公開している退職理由を見てみると、まさにマネジメントに関する理由が非常に多いことがわかります。
「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)」「労働時間・環境が不満だった(14%)」「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)」「仕事内容が面白くなかった(9%)」「昇進・評判が不満だった(4%)」といった5つの理由はまさに、マネジメントで対応できる可能性があるでしょう。
この理由の割合を合計すると、なんと60%。半分以上が、上司や組織のマネジメント不足を理由に辞めているといえるのです。
こうしたデータからも、「マネジメントを理解できていない上司は、新人や部下を辞めさせてしまう」ということがわかると思います。
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マネジメントを身に着けるための知識やスキルは、一人一人の性格や立場によって異なる
世の中には、マネジメントを身に着けるためのセミナーや研修はたくさんあります。
例えば、Google検索で、「マネージャー マネジメント 研修」と検索するだけで、10~20個の研修会社がヒットするでしょう。
それでも、マネジメント不足で、新人や部下はやめてしまう傾向は変わっていません。どうして、マネジメントが身につかないのでしょうか。
マネジメントをスキルとして考えたうえで、非常に重要なのは、柔軟性にあります。
つまり、ただ単に、勉強したり知識を得たりするだけで、うまくいくようなものではないのです。
どうして勉強や知識だけではうまくいかないかといえば、マネジメントが扱うものは、人そのものだからといえるでしょう。
一方で、マネジメントでよく使われる言葉は管理です。
果たして、私たちは、マネジメントをしていく上で何を管理すればいいのでしょうか。
そして、人ひとりひとりは非常に個性的で、得意不得意も異なります。
その人をマネジメントしていく上での手法には、果たして横断的なスキルは存在するのでしょうか。
マネジメントで管理するのは人なのか
多くの人は、人を管理するというと、人の動きや考え方を管理しようとします。
例えば、営業周りをしている営業マンに対して、1~2時間ごとに電話で必ず会社に連絡を入れなさいというものがあります。
社内スマホにGPSを入れて、営業マンの行動を逐一監視しているという会社も存在しているほどです。
はたして、これは、何を管理しているのでしょうか。
そもそも、マネージャーの仕事とは、部下が勤勉に働いているかどうか監視することなのでしょうか。
こうした迷走には、一つ大きな理由があります。
それは、「何をしたら数字が上がるのか、社内のだれもわかっていない」ということです。
もし仮に、部下の営業が勤勉に働くことが最も数字に影響するかもしれません。
しかし、他の要素が数字に影響を与えていることも大いにあります。
著者の経験で大変申し訳ないのですが、ある不動産業を行っている会社の営業管理について相談されたことがあります。
その会社は、日報に力を入れており、その営業が、その日に誰と会ったのか、どのような話をしたのかという点において、多くの情報を持っていました。
しかし、著者自身が様々な角度から検証したところ、日報を綺麗に書いていようが汚く書いていようが、営業成績にほとんど影響を与えないことがわかりました。
加えて、日報に記載されている会話内容も、その後の契約成立にあまり関係がなかったのです。
さすがにこの結果は、著者自身も頭を抱えることになりましたが、その後、営業の行動パターンを観察していたところ、結局のところ、「メールのレスポンスの良さ」が最も営業成績に影響を与えることがわかりました。
この結果を受けて、マネージャーの基本的な仕事は、部下のメール返信の速さや、返信の難しいメールが来た時のアドバイスに終始することになったのです。
結果として、営業成績が悪かった人たちの営業成績が飛躍的に上がったという経験をしたことがあります。
ちなみに、この場合は、日報を書く時間が少なくなったため、部署全体の残業時間も減らすことにも成功しました。
このように、目的を忘れてしまうと、人は「目の前のことをひたすら頑張ること」に注力しがちです。
特に、勤勉な日本人が陥りがちな欠点ともいえるかもしれません。
この「目の前のことをひたすら頑張ること」から、「必要な要素を取捨選択して、最も効率よく結果を上げること」にシフトチェンジすることが、マネジメントの最大の目的です。
結果は上がるようになって、更に労働時間が少なくなるといったことは、マネジメントがうまく機能している時は、往々にして起こることでもあります。
モチベーションとタレントを管理せよ
結局のところ、マネジメントで管理できることは、人の行動ではありません。
朝の弱い人は、どんなに頑張っても、努力しても、気合を入れても、あるいは薬を飲んでも、遅刻が治らない可能性があります。
これに対しての施策として、7時までに出社したら、マネージャーがマクドナルドのコーヒーを奢ってくれる、といった仕組みにしてみたらいかがでしょうか。
ちなみに、この方法で非常に有名なのが、立命館大学の朝定食でしょう。
食生活や生活リズムが乱れがちで、1限2限の出席率が下がりがちな大学生に対して、1食100円という安価な定食メニューを導入したところ、大きな支持を得たというものです。
ちなみに、この朝定食は、その後、明治大学や上智大学などにも広まりつつあります。
このように、「頑張る」という方法や、「さぼらないように見張る」というような発想では、マネジメントはうまくいきません。
大事なことは、モチベーションとその人のタレント(≒得意・才能)を如何に活かすかということです。
朝早く起きるということにモチベーションを保てない学生に対して、「朝定食お得」「ついでに1限も出よう」といった、新しいモチベーションを設定した大学の朝定食から学べることは、非常に大きいのではないでしょうか。
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まとめ
マネジメントを身に着けていくときに忘れてはいけないのは、何を管理するのかということです。
組織においては、多くの人は「他人」を管理しようと考えてしまいますが、実は「他人」はコントロールできるものではないのです。
つまり、マネジメントのベーススタンスとは「何がコントロール出来て何が出来ないのか」を、できる限り厳密に理解することと同義といえるでしょう。
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