お客様の目的は、保険に入ることではなく、あくまで保険金を受け取ることにあるはず。保険は金融商品のなかでももっとも長期にわたる契約。であれば、どれだけお客様にアフターフォローを徹底できるかが、保険代理店の最大の責任ではないか。
2006年5月の設立以来、「アフターフォローを大切にする保険代理店」として個人・法人顧客から信頼を集め、業績を伸ばし続けてきた企業。それが、R&C株式会社だ。設立10年ながらも、現在は、北は青森から南は沖縄まで全国各地に支社を構え、成長を続けている同社。しかし、その裏側には、業界ならではの組織における課題があったという。識学のトレーニングを受けた決め手とは。
そして、組織がどのように変わっていったのか。代表取締役の足立哲真氏、そして営業・業務部門の統括を担う専務取締役の今村英之氏に話を伺った。
目次
出来高制の組織は、ピラミッド構造がいびつになりやすい
識学と出会ったきっかけについてお聞かせください。
今村 元々は、僕が2014年の8月に識学の体験セミナーを受講したことがきっかけです。
当時は、課題は山ほどあるけれど、もはや何が課題かさえ分からないような状況でした。
そのセミナーで識学の理論の入り口に触れたことで、自社の抱えている課題に気づかせてもらうことができたんです。特に印象に残っているのは、『位置』の話。私たちの業種というのは、営業マンの報酬は出来高制。各自フリーで行動することがほとんどなので、一人ひとりが『個人商店の事業主』という思いを抱きやすく、組織のピラミッド構造がいびつになってしまいがちです。
足立 保険代理店業界というのは『ヤドカリ族』と揶揄されることも時々ありまして。
営業マンは、個の実力も持っているし、自信もある。
それがゆえに『看板を変えるだけ』『どこへ行っても一人でやっていける』と考える人が多いんです。報酬が出来高だと、『組織なんてなくてもいいんだ』という思考に陥ったり、勘違いが生まれてしまう。僕自身も、代表になるまではそう思っていました(笑)。
一般的な日本企業の組織や仕組みに苦手意識を持っていたり、合わないと感じているような人が集まりやすい傾向にありますね。例えるならば、あっちでは野球をやっていて、こっちではサッカーをやっていて、そっちでは相撲をやっていて……といったように、本来であれば組織内で同じルールに則った役割を全うしなければならないのに、それができていなかったのです。
今村さんから識学の話を持ちかけられた際、抵抗などはありませんでしたか?
足立 僕は全く感じませんでしたね。先に今村がトレーニングを受けていて、その内容を僕にかいつまんで話してくれたのですが『ウチの会社の組織内では今こんなことが起こっているんだよ』『この問題は、識学の理論に当てはめると、こうすれば解決できる』というのがとても分かりやすく納得感もあって。識学を学ぶと、起こっている課題を言語化でき、説明しやすくなるのだという点に対して興味を持ちました。
結果が明確になると、社員間で健全な競争が生まれる
識学のトレーニングを受けたことで、どのような気づきがありましたか?
今村 まず、講師の方に言われてあらためて気づかされたのは、組織の中で起こっている課題は、僕たち経営層側に責任があったのだということです。例えば、僕たちが『普通はこうだろう』と思ってしまうのは大変危険。
相手によってその『普通』の尺度が全く異なるため、お互いにズレや勘違いが発生してしまうからです。識学を受けるまではそれに気づかず『誰に対してどんな役割を担ってほしいのか』を明確にしないまま、こちら側がやってほしいことをやってくれているかどうかを判断してしまっていました。
その結果『俺は経験を踏まえて、自分なり考えで結果を出せばいいんだ』というメンバーばかりになってしまい『俺は出塁するんだ』『俺はホームランを打つんだ』『じゃあ俺はファンサービスを大事にしよう』……というように、共通の競争ができない状況が続いていました。
そこで、僕がまず取り組んだのは『結果の明確化』です。ただ『頑張る』ではなく『頑張ってどこへ到達するのか』を明らかにしていきました。『健全な競争』が組織内で出来るようになるとともに、プロ集団としてのチームワークが生まれてきたことを実感しています。
結果を明確にしたことによって、社内から反発などはなかったのでしょうか?
足立 ありましたね。 『結果を決める』ということは、言い換えると『できたかできないかを管理していく』ということ。その『管理』というのを『こちらの要求を押しつける』というような捉え方をされてしまうと、営業メンバー達に反発されてしまうのではないか、という各拠点を統括する拠点長たちからの反発はありましたね。
こちらとしては、結果ができていたのかいなかったのか。できていなかったら、次にどうするか……という話をしたいだけなのですが、どうしても過去の経験から『できていなかったら詰められてしまうのでは…』ということに紐づいてしまうようで。
今村 この仕事って『自由さ』が醍醐味なんですよね。
組織に縛られたくなくて、この業界に飛び込んできたのに、結果の管理なんてされたくないと思う人が多くて…(笑)。結果を明確にするという約束に対して息苦しさを感じるのは、約束をすることによって、急かされているという思考になるから。
でも、それは不必要な恐怖心なんです。○か×かの基準は明確なので、○がもらえることによって初めて存在意義が獲得できるという状況になると、そこに歩むしかない。そうすると、個人は結果を求めるために、最善の手を尽くすようになり、主体的な変化が発生し、成長できます。でも、そこをぼやかしてしまうと、○も×もつかずに居続けてしまう。
こういう状態だと、成長というプロセスに歩んでいけないため、結局は自分自身が損をすることになります。
実は〇か×が明確になるというのは、反発する様なものではなく、逆に迷いなく行動できるようになる環境なんですね。
足立 ここ2年で従業員数は約1.5倍に増えましたが、その一方で古いメンバーの中で辞めていく者も出ました。組織が大きくなっていく中で、個々の『自分なりの』という考え方が、組織に合わなくなっていったことが大きな理由のひとつだと思っています。
トレーニングを受け終わってからの「気づき」が成長の鍵
どんな方が識学を受けると効果を期待できるでしょうか?
足立 『下で起こっていることのすべてはあなたの責任ですよ』というところから識学はスタートするので、やはり最初は会社のトップが受けるのが一番でしょうね。
今村 トップが識学を理解していることが前提にあるとしたら、現場の司令塔を担うミドルマネージャーもトレーニングを受けると、より識学的な結果を出しやすいと思います。
識学を検討されている方へのアドバイスをお願いします。
足立 識学は、トレーニングを受け終わってからが大変です。
トレーニング中は週1回、マンツーマンで講師の方からトレーニングを受けるため、直面している課題に向き合わざるを得ません。
しかし、トレーニングを受け終わった後に、すべてを理解した気になってしまい、気が緩んで少しでも課題を放置してしまうと、すぐに組織は元に戻ってしまいます。その分、根気強く継続していくことで得られる気づきは非常に大きいです。僕自身も、識学のトレーニングを受け終わって1年以上経ちましたが、未だに日々の中にはたくさんの気づきがあります。
新しい課題に直面したときに『ああ、あのときに言っていたのはこのことだったんだな』と講師の方から教わった理論を思い出しながら、行動し続ける。その繰り返しを維持して初めて、識学を自分のものにできたと言えるようになるのだと思います。
今村 識学は、いわば経営の『骨格』の部分。
そこにどのように血液を流していくのかは、トレーニングを受け終えた僕たち自身で考えていかなければなりません。識学を受けると、つい結果を早く求めてしまいがちですが、そこはぐっとこらえて、識学の理論に則ったマネジメントを続けていくこと。
そうすれば、確実に組織全体を成長へと導くことができると思います。ちなみに、僕は『営業の○○さんがすごい』と、特定の人ばかりが目立つ組織ではなく『R&Cって誰がいるか分からないけど良い会社だよね』と思ってもらえるような組織にしていきたいですね。
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