2021/02/01

令和の消費中核層 「Z世代」の特徴と流行を取り込むマーケティング基礎知識

「ミレニアル世代」に続く「Z世代」が、若い世代の消費の中心になろうとしています。
そして、これら1990年代後半~2010年生まれのZ世代には「若者」という一言で片付けるほど単純ではない、特徴的な消費傾向が見えてきました。

そんなZ世代はどんな特性を持っているのか、またZ世代に「刺さる」売り方とはどのようなものなのでしょう。
Z世代について研究している原田曜平氏の著書「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」を元に紐解いていきましょう。

 

「3万人調査」で見えてきたZ世代の消費傾向

 

マクロミル  ブランドデータバンクは、2019年にZ世代を含む3万人を対象にした消費行動や価値観に関するアンケート調査を実施しています。
他の世代との共通点・相違点が明らかになっていますので、まずそちらを紹介します。

まず、調査対象の経済状況です(図1)。


図1 調査対象の経済状況(出所「Z世代プロファイル分析」マクロミル ブランドデータバンク)
https://www.branddatabank.com/report/index.html p10

景気動向の影響もあってのことか個人年収は低く、1ヶ月に自由に使える金額も少なくなっています。

しかし、消費意欲は旺盛であるとマクロミル ブランドデータバンクは分析し、他世代との違いが大きいものとしてこのような特徴を挙げています(図2)。


図2 Z世代の消費行動(出所「Z世代プロファイル分析」マクロミル ブランドデータバンク)
https://www.branddatabank.com/report/index.html p14

好むブランドを見ると、この傾向が強く反映されています(図3)。


図3 Z世代が好むブランド状況(出所「Z世代プロファイル分析」マクロミル ブランドデータバンク)
https://www.branddatabank.com/report/index.html p14

「次から次へと欲しいものが出てきて困る」というのは、SNSの影響が大きいでしょう。
溢れる情報もそうですが「インフルエンサー」と呼ばれる人たちの存在も大きいと言えます。
「みんなと同じものが欲しい」というのは、主にSNSで話題になっている商品と直結していると言えます。
「共感」を重要視するとも言うこともできるでしょう。

ただ、使える金額はそう多くはありませんので、自分で足を運ぶのはGUやユニクロ、また、メルカリなどで安めに欲しいものを手に入れる、といったところです。
「Instagramでウインドーショッピングをし、メルカリが実店舗」という消費行動も一般的です。
また、「デジタルネイティブ」を通り越して「SNSネイティブ」「DXネイティブ」とも呼べる世代であるのも、特徴と言えるでしょう。

 

Z世代攻略の糸口「チル&ミー」

 

博報堂出身でマーケティングアナリストである原田曜平氏は、Z世代の特徴を「チル&ミー」と名付けています。

「チル(chill)」は英語のスラングで「chill out」、日本語では「まったりする」といったニュアンスが近いのだといいます。

私があるZ世代に電話し、飲みに誘おうと「今、何してる?」と聞いた時に、「今っすか?今、自分の部屋でネフリでチルってます(ネットフリックスを見ながらまったりしています)」という返事をされたことがありますが、例えば、このように使うのです。
<引用:「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」p64>

一方で、強い自己承認要求と発信欲求があり、原田氏はこれを「ミー意識」と名付けています。「for me」の感覚が強いという意味です。
根性論ではなく、「売り手市場」「優しい時代」に育ったからならではの発信欲求でしょう。
しかしZ世代の承認要求と発信欲求は、他の世代とは少し違う形で現れています。
原田氏はそのうちのひとつして「間接自慢」という特徴を挙げています。

「間接自慢」とは、直接的、ストレートに他人に自慢するのではなく、間接的、碗曲的に他人に自慢したいという要求や、間接的に自慢する行為のことを指します。

(中略)リアルでもSNS上でも、直接的で露骨な自慢をすると、嘘や陰口が広がりやすく、周りから煙たがられてしまうので、それを避けるために「間接自慢」という手法が生まれました。
<引用:「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」p95>

その一例として、このような行動を挙げています。

例えば、あるOLさんが、「東京出張行って来ました」という書き込みとともに、東京―高崎間の新幹線のチケットの写真を撮ってインスタグラムに投稿したとします。その投稿で彼女が言いたいのは東京出張の事実。だから、彼女はチケットを接写した写真を投稿すればいいはずですが、彼女が投稿した写真は、なぜか引きの絵で撮られており、端っこの方にマイケル・コースのブランドの財布が写り込んでいる――。
(中略)
本音では新しく買ったマイケル・コースの財布を自慢したいものの、それを東京出張というオブラートで包み、間接的・婉曲的に新しく買った財布の自慢をしているのです。こうした行為を、私は「間接自慢」と命名しました。
<引用:「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」p96>

実際、この投稿を見たZ世代は敏感です。財布の存在に気付き、「出張お疲れ様。新しい財布買ったの?」といったコメントがつくことでしょう。
逆に、そこに気づいてもらえなければ、投稿者は期待外れでガッカリする、そんな感性を持っています。

 

Z世代の「ツボ」はここにあり

 

これらの特徴を元に原田氏は新しいZ世代のツボとして、このようなものを提唱しています。一部を紹介します。

 

「チル映え」

映えながらまったりする、といった概念です。2019年の上半期にZ世代の間で流行ったものが「映えピク」というもので[1]、「インスタ映えするピクニック」を指します。
ピクニックをすることではなく、むしろその様子を撮影することが目的で、オシャレなレジャーシートや食器を使い、写真に収めてSNSに投稿するといった具合です。

これもまた「間接自慢」にあたるでしょう。まったりしている、という「みんなやっていることを自分もやっている」という発信の片隅には、オシャレな道具を揃えているという自慢を暗に込めているのです。

 

「安かろう映えろう」

やはり「安さ」もひとつの要素だということです。「100均一の商品が優秀すぎる件」のような投稿です。

また、従来からある「動画映え」は、他世代と違いZ世代が好むものの種類があるのだといいます。以下のようなものです[2]。

・「見えなかったところが見えるようになる系」=食べ物の断面が見える。
・「目の前で炙られる系」=チーズケーキの表面が炙られて焦げ目がついていく様子。
・「切って開く系」=ふわふわのオムライスなどにナイフを入れて切り開く様子。
・「引き上げると伸びる系」=チーズが伸びる動画。
・「最後の仕上げが任される系」=テーブルの上で、食べる前に一手間加える様子。
・「上から垂れ流される系」=テーブルに出された後に、上から細いマロンクリームをあしらってくれるモンブランなど。

従来の「映え」とは違い、一見地味な側面を持っていることがポイントです。
この辺りは、「そうお金をかけるわけではない」という意識とも繋がっているでしょう。
「チル」という意味では、犬や猫の写真や動画がTwitterで大いに拡散されている現象もこれに当てはまるかもしれません。
「イッヌ」「ぬこ」など、独特の感性で言葉遊びをします。

 

他世代への媒介役にも

 

ここまで、Z世代の意識や行動について紹介してきました。

その中で、大前提として押さえておかなければならないのは、Z世代は「SNSネイティブ」でもあるということです。
匿名でいつでもなんでも発信できる環境が最初からあるのです。

SNS、特にTwitterの特徴は、世代間や地域を超えた交流がある点です。
よって、彼らの発信はそのリーチが長いということでもあります。
元々Twitter自体も「若い人のもの」として他世代からは敬遠されていた存在です。ただ、あまりにユーザーが増えた結果、他世代も広く利用するようになりました。

タイムラインには若者の発信も多く、他世代が様々な媒体を通してそれを目にする機会も増えてきました。
またTwitterのトレンドがテレビで話題になる、というマスとSNSの逆転現象さえ時折見られます。

少子化の影響で人数としては少ないZ世代ですが、彼らをニッチなマーケットと捉えるのではなく、その特性を理解して「発信の起点」と考える視点も、これからのマーケティングには必要と言えるでしょう。

[1][2]「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?」p104、250-251

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